国債市場特別参加者会合(第44回)
| 開催日 | 2012-06-15 |
|---|---|
| 場所 | 全省庁共用1208特別会議室 |
| 議題 | (1) 平成24年7-9月における流動性供給入札及び買入消却入札について〔参考配布:資料〕 (2) 変動利付債の保有状況について (3) 物価連動債の発行再開に向けた準備状況について (4) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて (5) その他(2年債入札の再入札について) |
| 原文 | 財務省サイトでは公開終了(本ページはアーカイブから復元) |
配布資料
| 資料PDF |
議事要旨
(1) 平成24年7-9月における流動性供給入札及び買入消却入札について〔参考配布:資料〕
はじめに、理財局から、平成24年7-9月における流動性供給入札及び買入消却入札について、以下のように説明を行った。
・流動性供給入札について説明する。資料1-1のとおり、残存5-15年ゾーン及び同15-29年ゾーンを対象とする入札ともに、4-6月期入り後も無難な結果が続いている。
このような状況を踏まえ、資料1-2のとおり、引き続き残存5-15年ゾーン及び同15-29年ゾーンを対象にそれぞれ毎月3,000億円ずつ発行するとともに、発行対象銘柄をアンケート方式で入札の都度見直す案を提示している。この点について、参考までに事前に意見を聞いた際には、大多数が本案を支持する結果となった。いずれにせよ、当局としては、本日の意見も勘案し、総合的に判断する考えであり、7-9月期の流動性供給入札の実施方式について、意見を頂きたい。
次に、資料1-3以下で買入消却入札について説明する。
物価連動債については、資料1-3のとおり、BEIは0.7%近辺まで上昇の一途を辿っていたが、5月24日の日銀買入オペにおける買入額の減額公表を受け、足元ではやや低下基調に転じており、6月14日時点で実質利回りは▲0.266%、BEIは0.598%となっている。こうした中、買入消却入札及び日銀買入オペともに高値での決着が続いていたが、5月の日銀買入オペ及び6月の買入消却入札は、ともにマイナス圏での決着となっている。
15年変動債については、資料1-4のとおり、価格は横ばい推移を続けていたものの、5月24日の日銀買入オペにおける買入額の増額公表後には上昇の動きがみられ、6月14日時点で実勢αは0.771%となっている。こうした中、買入消却入札及び日銀買入オペともに、1-3月期のようなマイナス圏での決着はないものの、4-6月期入り後も概ね安定した結果が続いている。
この点について、参考までに事前に意見を聞いた際には、物価連動債について、国債市場特別参加者からは、市中残高の減少等を背景に減額方向とすべきとの意見がみられた一方、日銀買入オペにおける買入額の減額等を背景に7-9月期は現状維持とすべきとの意見がみられ、総じて後者が優勢であった中、国債投資家懇談会メンバーについては、現状維持とすべきとの意見が大勢を占める結果となった。また、15年変動債については、国債市場特別参加者及び国債投資家懇談会メンバーともに、7-9月期も4-6月期と同様の実施方式とすべきとの意見でほぼ一致していた。
いずれにせよ、当局としては、本日の意見も勘案し、総合的に判断する考えであり、7-9月期の買入消却入札の実施方式について、意見を頂きたい。
4出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・流動性供給入札については、当局提案のとおりで特段異論はない。
買入消却入札については、現状維持でよい。
・流動性供給入札については、当局提案のとおりでよい。
買入消却入札について、物価連動債は、1回当たりの買入額は現状維持とする一方偶数月のみ実施することを提案するが、特段強い拘りはなく、他の参加者の意見を踏まえ現状維持としても特段異論はない。15年変動債は、現状維持でお願いしたい。
・流動性供給入札については、当局提案のとおりで異論はない。
買入消却入札について、物価連動債は、基本的には市中残高の減少に応じて買入額も減額方向が望ましいと思うものの、足元の状況を踏まえれば、7-9月期は現状維持とした方がよいと考える。15年変動債は、現状維持で問題ない。
・流動性供給入札については、当局提案のとおりでよい。
買入消却入札について、物価連動債は、現状維持でよい。一方、15年変動債については、どうしても外したいという玉は減少しているように思われるところ、買入消却の総額を減らす必要がある場合には、15年変動債の買入額を減額すべきと考える。具体的には、1回当たり1,100~1,200億円程度としても問題ないのではないか。
(2) 変動利付債の保有状況について
理財局から、変動利付債の保有状況について、以下のように説明を行った。
・変動利付債の買入消却については、その規模として、物価連動債と合わせ、昨年度は3兆円、今年度は3兆円を上限とすることを年末の発行計画で示した上で、買入消却を行っているところであるが、来年度の買入消却の規模等について、今後、その財源も含め、年末に向けて検討を行っていく必要がある。
先般、変動利付債を多く保有している国内投資家を対象にアンケート調査を実施し、保有状況を取りまとめたので、報告させていただきたい。
【資料の内容に沿って説明】
来年度以降の変動利付債の買入消却については、今後、市場関係者から意見を伺いつつ、年末に向けて検討を行っていきたい。
(3) 物価連動債の発行再開に向けた準備状況について
理財局から、物価連動債の発行再開に向けた準備状況について、以下のように説明を行った。
・物価連動債の発行再開に当たっては、本年2月より物価連動債の発行再開に関するワーキング・グループにおいて商品性等について議論の上、「第一次報告」として中間的な取りまとめを行い、その内容を3月の本会合及び国債投資家懇談会において、報告を行っている。
その後、市場関係者の方々には、発行再開に対応できるよう、必要に応じてシステム対応等の所要の準備を進めていただいていると思われるが、今回の会合を開催するにあたり、事前にシステム対応等の準備状況について確認したところ、概ね順調に準備が進んでいるとのことであり、迅速な対応に感謝している。
システム対応に要する期間は概ね半年程度と聞いていたところであり、本年度半ばには、発行再開に向けてシステム面では環境が整うものと考えている。
今後は、発行再開のタイミングやその場合の発行方法・買入消却等について検討を進めつつ、投資家のニーズの把握・掘り起こしを行っていきたいと考えているので、引き続き協力をお願いしたい。
(4) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
4出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・日本の長期金利も、一時、2003年6月30日以来の水準である0.79%まで下がった。これは基本的には、世界的に金利が過去最低水準を更新している中の一環と考えている。
このような状況に対して、①我が国はまだ最低水準に至っていないという部分で財政に対する懸念が存在しているという見方、②そもそも2003年に0.43%まで下がったのが行きすぎだと考えるのであれば世界的な流れの中で日本の位置はそれ程不思議ではないという見方、の二つの見方ができるが、基本的には後者の理解でよいと思う。
目先は、ギリシャの再選挙が週末にあるほか、来週にはFOMCもあるなど、6月中旬はイベントが多く、それを待っている投資家が非常に多いと認識している。その投資家がイベントが終わった時にどうするのかというと、今年度の場合、利回りがずるずる下がっていく中で、これまで余り買っていないという数字上の裏付けもあり、買うとの判断しかないと思う。利回りが上がれば結果的に押し目買いになるし、利回りが上がらなくてもイベントが終了したということで、やはり買うことになる。そうなると需給環境的に、利回りが上がるという形にはなりにくく、この0.79%をもう一回下回る可能性も十分にあるのではないかと考えている。
もう少し長い目で見ると、米国のバランスシート調整であるとか、欧州の問題はなかなか片付かないと思われるので、結局、今年度も利回りは低いままという状況になると考えている。今年度の最高水準は4月4日の1.05%であるが、過去6年間、4-6月期が利回りのピークとなっており、また過去2年間は4月がピークとなっている。そうすると、1.05%が今年度のピークと考えざるを得ないかもしれない。ただし、投資家の動きによっても少し変わってくる。2002年、2003年がそうであったように、利回りは、谷が深くなればその分だけ山は高くなるということもあるので、仮に0.79%を大きく割り込むような投資行動になるのであれば、逆に1.05%は通過点となって、1.25%といった利回り水準となっても不思議ではないと思う。恐らく、来年になると、少し世界的にも環境が良くなり、金利も少し上がってくると思うので、このように一気に金利が下がるという流れは長くは続かないと思うが、需給によって局面が変わる可能性があることも認識しておくべきだと考えている。
・ギリシャを始めとした欧州債務問題が、最近ではスペイン格下げなど様々なところに飛び火しており、相場が急回復することはないだろう。また、米国もそこまで景気が強くないことを勘案すると、日本の長期金利の上昇はしばらくないと考えている。一方で、年限別に捉えてみると、10年までは預金取扱金融機関の需要が非常に強いものの、10年超は生保などの運用計画も今年度は抑えめとなっている。その背景としては、昨年まで好調であった保険商品を今年度に入って減少させていることや、昨年度はソルベンシマージン対策などで株などのリスク資産を圧縮し国債投資へ向かっていたものが、今年度は減少するということがある。このため、最近見られる超長期にかけてのスティープニングは今後もすぐには解消されず、10年までが安定する一方で、超長期はスティープ気味な展開が当面予想される。
・少し前までは7-9月期に米経済指標が改善するのではないかという期待感から金利上昇を見込んでいたが、直近の米経済指標の弱さ等を勘案して見通しを下方修正した。長期金利でいえば0.7~1.1%のレンジで年度内は推移するのではないかと考えている。欧州債務問題や欧州・中国の景気減速を勘案すると、金利の低下圧力がかかりやすいとみているが、1998年や2003年に金利が大幅に低下した一番の要因が国内の金融危機であったことを踏まえると、今回は国内で金融危機が発生しているわけではないため、金利が現行水準から大幅に低下することはないと考えている。
一方、政策対応が取られ始めていることから、金利が多少上昇する余地もあると考えている。少し前までは金融不安や景気減速といった問題に対して諸外国を含めて明確な政策対応が取られてこなかったことが金利低下の背景にあったと考えている。足元ではリスクオフの流れが続いているが、中国の利下げやEUによるスペインの銀行の救済策といった政策対応が取られ始めており、今後のFEDやECBの対応策、EUの金融問題への対策の具体化のほか、中国が財政を出す余地が多少あることから、これらの政策対応がでてくれば、過剰な金利低下に歯止めがかかると考えている。
・週末のギリシャの再選挙の結果は非常に大きいが、今後は年後半にかけて、景気後退エリアの拡大と各国政策当局の対応に焦点が当たっていくと考えている。しかし、ECBやFEDの政策対応への期待は非常に強いものの、LTROの3回目やツイスト・オペの延長にしても、前回ほどの効果は期待できないと考えている。一方で、特に欧州に関しては、ギリシャの預金流出や歳入減少、スペインの支援要請など、政策的に対応が難しくなっている印象を受ける。このような要素を考えると、年後半で大きく金利上昇することはあまり見込めないと考えている。また、時間軸や基金などの中央銀行の政策により中期金利に低下圧力がかかる中、長期金利についても上がりにくい展開が見込まれ、1%を超えたとしてもすぐに戻るような状況と考えている。
・足元の金利は、低位安定していると理解している。一カ月半程度、長期金利は0.8%台、20年金利は1.6%台で推移している。この水準が始まったのは5月はじめであるが、そのときの米国の10年金利は1.9%台から1.4%半ばまで約50bp下がり、またドイツでは1.7%台から1.1%台前半まで約60bp近く下がっている。一方で、JGBは10bp程度の金利低下に止まっている。その背景にあるのが、絶対水準がもともと低いということだが、投資家としては調達コスト等との兼ね合いである程度買い進めるにも限界があるということだと考えている。特に今年度については、期初に売却益をそれなりに積み上げているため、4-6月期についてはある程度予算上も余裕があり、7-9月期をどう見るかと考えている人が多い状況だと思う。また、足元で消費税の議論が行われているが、やはり将来的な財政不安というのもそれなりにはあったのではないかと考えている。一方、ここ1、2週間、米国とドイツの金利が大きく反発したが、その中でもJGBの利回りの上昇は非常に限定的であった。この背景としては、日銀の政策等によって特に5年までの金利がかなり低いレベルで推移しており、中期ゾーンの金利の低位安定がイールドカーブ全体の上昇を抑えていることがある。このため、目先は似たようなレベルでの推移を予想しているが、特に今月後半は、長めの年限の供給が無い一方で、国債の大量償還もあり、7-9月期の予算を睨んで債券を買っていかざるを得ないという状況であることから、月末には一旦金利の低下余地を試す場面があると考えている。
外部環境については、ソブリン危機や金融危機と色々言われてきた欧州の問題が、結局新興国も含めグローバルに実体経済にも影響を与えてきており、現状は世界経済の下振れリスクが強く意識されている。同時に、こちらもヨーロッパの影響が大きいと思うが、商品価格も下落しており、インフレ懸念も後退している。こうした中で、各国の中央銀行で追加緩和期待が強まりやすい環境であり、債券のサポート要因はそれなりに多いと考えている。
一方、7-9月期、秋にかけてのリスクとしては、現状消費税を巡る議論があり、9月には民主党・自民党の代表戦の選挙やオランダの総選挙もあり、11月には米国の大統領選挙があるなど、政治のイベントが非常に多く気になっている。政権が変わることによる財政政策等への影響も一部懸念される。今回の消費増税の法案が仮に成立したとしても、将来的な財政健全化目標という意味では、社会保障費も含めた歳出の抑制をやっていかざるを得ないと考えている。消費増税法案が成立したとしても、今後総選挙等も意識すると、例えば2013年度予算編成では再び公共事業の拡大圧力がかかるなど、政治サイドの財政のタガが緩むというリスクも想定される。引き続き、金利の低位安定を守り国債の安定消化を行っていくためには、特に政治家には財政規律に対する強い意識を持って欲しいというのがマーケットからの希望である。
・まずは週末のギリシャ再選挙の行方次第といったところがあるが、そのような短期的要因を除き、今回のユーロ圏の問題は、通貨統合によるものであり、インフレなどの主要な景気変動要因をならし、通貨統合のコストが減少するという最適通貨理論に基づいた経済発展が今後大きなテーマになると考えている。しかし、ギリシャやスペインが抱えている問題を短期的に解決することは難しく、今後の日本国債市場は引き続き外部環境に支えられる形で低位安定が続いていくと考えられる。
・4-6月期は、我が国を始め欧州・米国・中国において金利低下や質への逃避が進みやすい環境にあったと考えている。欧州については、7月に向けたセーフティネットの再構築が完了して銀行の資本増強が終わる前にギリシャであのような選挙結果になったことで、ギリシャの問題がスペインやイタリア等に波及している。米国については、暖冬の影響があったと考えられるものの、4-6月期に弱めの経済指標が続いている。中国については、昨年の4-6月期の輸出が強かったこととその後の金融引き締めの影響が足元で出ており、弱めの経済指標が続いている。我が国については、昨年度に4度に亘って予算が組まれ、今年度の当初予算では大きな復興予算が計上されたが、執行が遅れており、1-3月期までは、政府最終消費には計上されているものの、固定資本形成にはほとんど出ていない。日本銀行による追加緩和が2月及び4月に実施され、大規模な国債の買い取りが決定された。これらを背景に世界的に金利が低下したと考えている。
7-9月期については、そういった影響が政策対応によってやや巻き戻されると考えている。欧州については、ギリシャの再選挙が世界中から注目を集めているが、その後に欧州で財務相の電話会合が行われるほか、来週にはG20や場合によってはG7が開催され、その後も欧州4か国の首脳会議やEUサミットが続く。そのような中で、優先劣後関係が問題にならない範囲でスペインへの支援が来週にでも決定されるのではないかと考えている。米国については、このような環境であることから来週のFOMCでは追加緩和が決定されるか、少なくとも追加緩和に向けたコメントが追加される可能性が高いとみている。中国については、既に秋の共産党全国代表大会に向けた金融緩和を始めており、今後財政出動も出てくるのではないかと考えている。我が国については、4-6月期以降は、特に公共投資の追加からの復興需要が表面化してくると考えている。このような各国の政策対応から、一時的に7-9月期は世界的に質への逃避の巻き戻し、リスクオンの動きが出てくるのではないかと考えている。
年後半を見渡すと、米国で選挙を控えており、共和党と民主党の間で政策面での対立が相当程度深まっている。来年に向けた財政の崖の調整方法や昨夏の格下げの要因にもなった債務上限の引き上げについてもめると見込まれることや、イラン情勢の緊迫化の懸念があることなどから、来年に向けて米国発の質への逃避的な環境が続きやすく、ボラティリティが高まる展開になるのではないかと考えている。
(5) その他(2年債入札の再入札について)
理財局から、5月29日に実施された2年債入札において、事務トラブルが発生し、再入札を行ったことに関し、理財局と国債入札の事務を担当する日本銀行より原因と再発防止策について説明を行った。
出典:財務省