国債市場特別参加者会合(第45回)
| 開催日 | 2012-09-14 |
|---|---|
| 場所 | 財務省 第3特別会議室 |
| 議題 | (1) 平成24年10-12月における流動性供給入札及び買入消却入札について〔参考配布:資料(439KB)〕 (2) 今後の国債発行予定等について (3) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて |
| 原文 | 財務省サイトでは公開終了(本ページはアーカイブから復元) |
配布資料
| 資料(439KB)PDF |
議事要旨
(1) 平成24年10-12月における流動性供給入札及び買入消却入札について〔参考配布:資料(439KB)〕
○はじめに、理財局から、平成24年10-12月における流動性供給入札及び買入消却入札について、以下のように説明を行った。
・流動性供給入札について説明する。資料1のとおり、残存5-15年ゾーン及び同15-29年ゾーンを対象とする入札ともに、7-9月期入り後も無難な結果が続いている。
このような状況を踏まえ、10-12月期の流動性供給入札の実施方式については、資料2のとおり、7-9月期と同様、残存5-15年ゾーン及び同15-29年ゾーンを対象に、それぞれ毎月3,000億円ずつ発行するとともに、発行対象銘柄は、国債市場特別参加者へのアンケート結果を踏まえ、入札の都度見直す案を提示している。この点について、参考までに事前に意見を聞いた際には、大多数が本案を支持する結果となった。いずれにせよ、当局としては、本日の意見も勘案し、総合的に判断する考えであり、10-12月期の流動性供給入札の実施方式について、意見を頂きたい。
次に、資料3から資料5で、買入消却入札について説明する。
物価連動債については、資料3のとおり、実質利回り及びBEIは、ここもと横ばい圏内での推移が続いており、9月13日時点で、実質利回りは▲0.312%、BEIは+0.607%となっている。
また、15年変動債についても、市場価格は横ばい圏内での推移を続けており、資料4のとおり、9月13日時点で、実勢αは+0.789%となっている。
このような状況の中、物価連動債及び15年変動債の売却ニーズは依然根強く、7-9月期入り後の買入消却入札及び日銀買入オペは、買入価格較差がマイナス圏での決着となっている。
10-12月期の買入消却入札の実施方式については、資料5のとおり、7-9月期と同様、物価連動債の買入消却を毎月1回300億円、合計900億円とし、15年変動債の買入消却を1回当たり1,300億円で、10月及び12月に月1回、11月に月2回、合計5,200億円とする案を提示している。この点について、参考までに事前に意見を聞いた際には、大多数が本案を支持する結果となった。いずれにせよ、当局としては、本日の意見も勘案し、総合的に判断する考えであり、10-12月期の買入消却入札の実施方式について、意見を頂きたい。
○ 出席者からは、流動性供給入札については当局提案のとおりで特段異論なし、買入消却入札については現状維持でよい、との意見が多数であった。
○ その他の意見の概要は、以下のとおり。
・流動性供給入札については、過去にも何度か議論に上ったが、カレント近辺の銘柄を入札対象とすることを再検討すべき時期に来ているのではないか。足元のイールドカーブの形状を見ると、流動性供給入札が上手く機能している印象はあるものの、カレント近辺については歪みが生じている。特に、10年債については、カレント近辺のレポがタイトになり、それによって現物債の需給もタイト化し、イールドカーブが歪む状況が散見されることから対象にすべきである。
・流動性供給入札については、カレント近辺銘柄として対象から除外されている20年56~58回債の需給がタイト化する場面が見られることから、対象に含めてもよいのではないか。同様に、40年1~4回債についても、対象に含めることを検討してもよいのではないか。
・買入消却入札については、当局提案のとおりで問題ないが、店頭においてストリップス債の売買が多少見られることから、今後、過去にも実施していたストリップス債の買入消却入札について、検討いただきたい。
・買入消却入札については、足元では、売却ニーズが強いことから、当局提案のとおりで問題ない。もっとも、物価連動債については、市場規模が小さいことから、また、15年変動債については、償還財源との兼ね合いによって、買入額を減額する余地があるのではないか。
(2) 今後の国債発行予定等について
○理財局から、今後の国債発行予定等について、以下のように説明を行った。
(平成25年度概算要求における国債の発行額について)
・平成25年度概算要求における国債発行額のうち借換債の発行額は、60年償還ルール等に基づいて計算される約119.9兆円を計上しており、平成24年度予算と比べて約7.5兆円の増額となっている。
現在、買入消却は国債整理基金残高を活用しているが、平成24年度末の基金残高は約9.8兆円と見込まれており、オペレーショナルリスクの観点からの必要額に近づいていることから、平成25年度の買入消却については基金残高以外の財源も含めて考える必要がある。概算要求において買入消却の財源に充てることを想定している23年度剰余金の今後の処理状況や、25年度の買入消却の規模によっては、さらに借換債を増額する必要が生じる可能性がある。
こうした状況を踏まえ、今後、年末に予定される国債発行計画の策定に向け、増発の対象年限や規模、買入消却の規模について、市場関係者の皆様とイメージをすり合わせてまいりたい。
(特例公債法の早期成立の必要性について)
・現時点では、平成24年度における特例債の発行根拠となる特例公債法案が成立していないため、特例債の発行を後ろ倒ししているが、利付債の入札発行を平準的に行っていくには、法案が11月までに成立する必要があり、法案提出部局である主計局とともに、早期成立の必要性について引き続き訴えてまいりたい。
(3) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
○ 出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・夏場にかけて欧米ではかなりリスク回避の動きが出ていたが、今月に入りECBが新たなプログラムの実施を決定したことや、昨日のFRBでの量的緩和といった流れを受けて、足元では悲観論がやや後退している状況であると考えている。円債市場は、海外市場に振られやすい状況が続いている。一番の関心事は、このまま世界経済が何とか小康状態を取り戻すことができるのか、それとももう一度悪化の方向へ道を誤るのかということである。そういう観点で行くと、中央銀行がこれだけの措置を講じているため、当面時間を買うことができると考えているが、一方で、欧州ではギリシャやスペインなど周辺国についての問題が懸念事項であり、昨今では中国を含む新興国についても減速懸念がやや高まってきており予断を許さない状況が続いている。円債市場は、海外動向に振られつつも安全資産としての価値が認められており、需要は旺盛な状況が続いている。この点は、為替や、為替が株価へ与える影響にも今後左右されると思っており動向を注目している。来年度の発行だけでなく、その次の年度を見渡しても借換債の発行が増えていくことによる需給懸念や、目先としては政局による今年度予算の消化がリスクの材料だと考えている。
・最近の債券相場は比較的落ち着いている。いろいろ海外で動きはあるが、ドイツ、アメリカともに国債市場のボラティリティが低下してきており、資金が溜まりやすい状況となっている。今の世界経済の状況をみれば現状のような状態がしばらく続くのではないか。しかし、今までもそうだがボラティリティが低い中で、そのうちリスクを取る動きが出てくる。どれくらいのタイムスパンかは難しいが、マグマが溜まりやすい方向だと思っている。
・今年度入り後、JGB金利は海外市場につられて徐々に低下が進んだものと考えている。足元の注目材料は、新興国の中で最も注目されている中国の動向である。先日約1兆元の公共投資が8月分の主要経済指標の公表に先立って公表されたところであるが、これが既に予定されている執行内容に収まるのか、それともこれに関して裏付けとなる予算を更に積み上げるのかという点が、資料を細かく見てもはっきりしない。また、中国のマクロ経済については、住宅価格が今年の年初頃から下がり始めたが、今後、金融緩和や公共投資の増額をリーマンショック後のようなフルスロットルで実施することにより、大規模なリフレ政策に踏み切れるのかという点も未だ不確定要素と考えている。
欧州に関しては、ECBによる無制限の国債買入れやドイツの憲法裁判所でESMの批准に合憲判断が下された点等、政策的には正しい方向に進んでいるものの、マクロ経済動向を見ると今年はマイナス成長が続き、来年も0%台の低成長が続くことが予想される。
アメリカについては、FEDがQE3を決定したが、購入が決まったMBSは商業銀行が主要な保有主体であることが知られており、日本の経験を踏まえると、これら商業銀行への大規模な流動性の供給が、与信の供給につながるのかは不透明と考えている。
外部環境は総じて金利の低下余地を示しているが、翻って日本においては、最大のリスク要因として今後の政治動向が挙げられ、今後選挙を控えていることが金利上昇リスクになりうると思うが、この点について海外投資家からもかなり質問を受けているところである。政治経済学の分野の有名な論文において、連立政権は財政再建に取り組むが、成功する確率が低いとの実証研究もあり、こうした点もかなり注目されているのではないか。
その一方で、需給動向については、本年4月以降7月までの売買高の動向を見ると、海外投資家が中期債を1.3兆円、長期債を2.2兆円買い越しており、ともに国内投資家の買い越し額を上回っている。この背景として、例えばドイツの10年債と比較すると、2年債はJGBの方が金利が高く、ボラティリティが低いためリスク・アジャスティッド・リターンの観点からもより魅力的であること等があり、海外投資家の需要は今後とも見込めるのではないか。こうした状況の下、海外経済に引っ張られる形で、それほど大きな金利上昇には至らないのではないかというのが結論になると思う。
・マクロ経済の観点から見ると、米国では労働市場の回復が緩慢なペースとなっていること、欧州では債務危機や財政緊縮策を受けた低成長が続くと見込まれること、日本ではデフレ基調が続いていること等、総じて金利の低位安定を示していると考える。金融政策に関しても、ECBが預金ファシリティ金利を0%に引き下げていることや、FRBがFOMCで時間軸を延長したこと、また日銀が資産買入等基金によりJGBを買い入れていること等、やはり金利の低位安定を示していると考える。他方、欧州債務問題の悪化が日本やアメリカ、ドイツ国債に対して質への逃避的な需要を発生させており、これがマクロ経済や金融政策によって下支えされている金利水準から更に下方への乖離を発生させていると考えている。
欧州問題については、ECBが新たな国債買入プログラムを発表し、ESMの稼働も近々見込まれること等、進展を見せており、もし今後も緩やかながら改善の方向に向かえば、質への逃避的な需要が剥落することにより、金利水準は緩やかに上昇していくのではないかと考えている。ただし目先に関しては、米国でのQE3を受けたリスク資産の動きや、ツイストオペレーションが終了する見込みであること、財政の崖等の材料があり、日本でも重要な政治イベントが控えていることから、年末年始にかけて多少ボラタイルな動きを示す可能性もあると考えている。欧州問題については、緩やかながら改善に向かう可能性があるものの、未だ不透明感な点も多く、スペイン・ギリシャ等の情勢が再び悪化することにより、市場が不安定化するリスクも注視しておかなければならないと考えている。
・ここ一年程度を見ると、欧州がテールリスクを回避さえすれば、国内経済の減速は回復局面における踊り場の範疇に留まり、景気後退には向かわないと認識してきたが、ここ数週間の国内経済指標の下振れが想定以上に厳しく、その認識を維持することが難しくなった。
ようやく欧州のテールリスクが回避される情勢になったにも係わらず、年末に在庫循環が反転するまでは、国内の長期金利については超低金利が維持される可能性が高いと考えている。超長期セクターについては、6月ごろにJGBの10-30年スプレッドが100bpの節目を超えてからは、完全に水準感が失われてしまい、不安定な状況となってしまっている。
消費税法案が成立するなど、財政規律を維持しようとする発行サイドの意思は市場として受け取っていると思われるが、需要サイドに懸念が出てきたと考えている。欧州で年金・生保のALM需要が減退するような規制変更がなされたことから、日本にも同様の規制が課されるのではないかとの不透明感が出てきている。国内保険会社の割引率カーブに関して監督当局から明確なメッセージが公表されるまでは、短期的なリバウンドの局面を除けば、長期的にはショートポジションの継続で問題ないと認識している。
・6-7月頃までは、欧州財政問題の再燃、米国経済の減速、中国経済でも弱めの景気指標が続くなど、世界的な株安・円高が続いた。米国、英国、ドイツで金利低下が見られた一方、日本でも、日本銀行の追加緩和によって同様に金利低下が見られた。
8-9月以降は、ECBによる欧州周縁国の国債購入スキームであるOMTの決定などの積極的な対応、ドイツ連邦憲法裁判所におけるESMの合憲判決が見られた。10月8日にはESMの設立総会が開かれ、11月にかけてはギリシャ・スペインの支援を見込んでいる。今後2ヶ月程度は、欧州問題は沈静化する方向にあると認識している。
米国においては、雇用関連の指標が一進一退したものの、QE3の発動が決まったことなども踏まえて、しばらくリスクオン的な動きが続くと認識している。
中国では、予想以上に景気低迷が長引いているが、先週1兆元の財政出動が認可され、10月中旬と見込まれる第18回共産党大会前後には、例年に倣って追加的な財政出動が実施される見込みであり、今後、政策発動が本格化し、ここ数ヶ月はリスクオン的なムードが強まると見込んでいる。
その一方で、11月以降は政策というより政局的な動きがリスク要因になると見込まれる。アメリカでは11月6日に大統領・議会選挙を控えている。「近いうち」に解散する可能性がある日本においては、臨時国会において解散が行われれば、やはり11月頃に選挙が行われる可能性がある。
米国の大統領選挙では、フロリダ・オハイオなどスイングステートの情勢からオバマ大統領の再選を見込むものの、議会選挙では相当拮抗した状況が続く見込みであり、深刻化している保守・リベラルの政策対立は、新大統領・新議会発足後も継続する可能性がある。1月から発生する財政の崖問題や、3月には資金が尽きる見込みの債務上限問題などの要因を踏まえれば、金融市場が混乱した昨年の8月に似た環境が訪れ、場合によっては質への逃避をもたらす可能性がある。イラン問題もその時期に深刻化する可能性がある。
日本では、両サイドのリスクがある。状況によっては近いうちに解散・総選挙が行なわれ、結果次第では政界再編から大規模な勢力図の変化につながることも考えられ、場合によってはリスクオンの方向に向かう可能性、もしくはその真逆に向かう可能性も考えられ、いずれにせよ先行きが不透明である。
このように日米で年末から年明けにかけて、不透明要因が高まる情勢を踏まえると、金融市場では全般的にボラティリティが高まるだろうと考えている。日本の国債市場においても、金利が高まる要因、下がる要因双方があるものと認識している。
・ここもと長期金利は0.8%中心に低位安定で推移しており、米独国債は、欧州債務問題を巡る諸々の政策や景況感等によって大きく振らされているのに対し、円債については大きく影響を受けることなく、比較的安定的に推移している。背景の1つとして考えられているのは、日本銀行の強力な金融緩和政策がある。周知のとおり時間軸政策により、現状の5年金利が約3年半程度の時間軸を織り込んでいる状況であることに加えて、資産買入等基金による残存1年から3年までの大量の国債買入効果もあって、5年金利が0.2%前後で安定的に推移しているところが大きいと考えている。
また、足元の季節性として、今月は国債の大量償還があることや、直近では世界経済の下振れリスクがより強まっていること、また、年度当初想定していたよりも金利水準が下振れしたことによって、地域の金融機関を中心に買い遅れ感があり、目先については円債金利の低位安定が見込まれる。
一方で10-12月以降については、金利が不安定になる材料が三つ挙げられる。一つ目の理由として当局からの説明にあったように、来年度の国債発行計画について、借換債を中心とした増発リスクが挙げられる。依然不透明であるが、概算要求の時点で復興がらみの費用や一部政党から日本再生のための更なる国債増発が求められるなど諸々の増発リスクもあって、今後のリスクワークに繋がる可能性がある。二つ目は政治を起点とした政策リスクである。先日、消費増税関連法案が成立したものの、法案が成立したのみで実際の増税については、今後の景気動向等によるところがあり、そもそも法案の成立に当たっては公共事業の積み増し等が条件に盛り込まれている形となっている。また、社会保障改革についても、どちらかというと充実策が先行され、抑制部分については先送りされてしまっている。更に、年末にかけては税制改正においては自動車や住宅を中心に減税要望が出ていることから、せっかく増税を決定しても別な用途に使用されてしまっては無意味となる。この点について、個人的なイメージでは、政治サイドからはあまり財政再建に向けた強い意思が現状では感じられない。加えて、各政党の政権公約として、日本銀行による外債購入を求める動きがあるが、これについても海外勢を中心に投機的な動きを誘うリスクが考えられるところであり、慎重な検討をしてほしいところである。三つ目は、特例公債法関連についてのリスクである。これは12月以降の国債発行が非常に不透明となることが考えられ、特に発行が一時停止してしまった後に増発・上積みとなれば発行バランスの崩れから需給に対する懸念が高まる可能性がある。また、極論的なところもあるが、一部の海外勢からは、特例公債の発行が遅延することで、いずれは利払いや償還が滞るという見方が出てくる可能性がある。更に、特例公債法が政争の具になっていること自体が、政治家の財政規律に対する意思を疑われる行為となってしまう点も考えられることから、早急に法案の成立を市場参加者の立場からは要求したいところである。
出典:財務省