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auctions / pd / m / 43 — 2012-03-15

国債市場特別参加者会合(第43回)

開催日2012-03-15
場所財務省 第3特別会議室
議題
(1) 平成24年4-6月における流動性供給入札及び買入消却入札について〔参考配布:資料〕
(2) 平成24年度における30年債及び40年債の発行方法について
(3) 物価連動債の発行再開に関する検討状況について
(4) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
(5) その他について
原文財務省サイトでは公開終了(本ページはアーカイブから復元)

配布資料

資料PDF

議事要旨

(1) 平成24年4-6月における流動性供給入札及び買入消却入札について〔参考配布:資料〕

はじめに、理財局から、平成24年4-6月における流動性供給入札及び買入消却入札について、以下のように説明を行った。

・流動性供給入札について説明する。資料1-1のとおり、残存5-15年ゾーンを対象とする入札は1-3月期入り後も安定した結果が続いており、残存15-29年ゾーンを対象とする入札も無難な結果となっている。

このような状況を踏まえ、資料1-2のとおり、引き続き残存5-15年ゾーン及び残存15-29年ゾーンを対象にそれぞれ毎月3,000億円ずつ発行するとともに、発行対象銘柄をアンケート方式で入札の都度見直す案を提示している。この点について、参考までに事前に意見を聞いた際には、大多数が本案を支持する結果となった。いずれにせよ、当局としては、本日の意見も勘案し、総合的に判断する考えであり、4-6月期の流動性供給入札の実施方式について意見を頂きたい。

次に、資料1-3以下で買入消却入札について説明する。昨年末に発表した国債発行計画にあるとおり、来年度は、総額3兆円程度を上限に買入消却を実施する予定である。

物価連動債については、資料1-3のとおり、BEIはここもとプラス圏で推移しており、3月14日時点で実質利回りは0.367%、BEIは+0.114%となっている。こうした中、買入消却入札及び日銀買入オペともに、足元では足切りが+50銭近辺となる等高値での決着が続いている。

15年変動債については、資料1-4のとおり、価格は横ばい推移となっており、3月14日時点で実勢αは0.732%となっている。こうした中、買入消却入札及び日銀買入オペともに、10-12月期はプラス圏での決着が続いていたところ、1-3月期入り後は概ねマイナス圏での決着となっている。この点、期末を控える中1回当たりの買入額が10-12月期に比べ小さいことも、このような結果になっている要因と考えられる。

この点について、参考までに事前に意見を聞いた際には、物価連動債については、市中残高の減少に伴い売却ニーズが減退していること等を理由に発行再開までの間は減額方向で実施すべきとの意見が多かった中、4-6月期は、毎月1回の買入頻度を維持しつつ1回当たりの買入額を200億円減額して300億円×3回とすることで問題ないとの意見が多く聞かれた。また、15年変動債については、売却ニーズが依然根強いこと等を理由に来年度トータルの買入総額は今年度と同額または同程度とすべきとの意見が多かった中、1回当たりの買入額を1,300億円に固定化したうえで、日銀買入オペのある偶数月に1回、同オペのない奇数月に2回実施することで問題ないとの意見が多く聞かれたところである。

ついては、当局からは、4-6月期の実施方式として、物価連動債の買入消却を毎月1回300億円、合計900億円とし、15年変動債の買入消却を1回当たり1,300億円で4月及び6月に1回、5月に2回、合計5,200億円とすることを案として提示する。もっとも、本日の意見も勘案し、総合的に判断する考えであり、当局案の是非も含め意見を頂きたい。

4出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・流動性供給入札については、対象ゾーンを10年以下と10年超で分けてほしい。超長期ゾーンについては、足元こそ需給環境は良好と言えるものの、マーケット環境の変化に対し一番脆弱なゾーンでもあることから、供給頻度を下げるべきと考える。もっとも、足元特に問題がある訳ではないため、当局の提案に特段反対するものではない。

買入消却入札については、当局提案のとおりで問題ない。

・流動性供給入札については、当局提案のとおりで問題ない。

買入消却入札について、物価連動債は、300億円×3回の合計900億円とし、15年変動債は、1回当たり1,300億円で4月及び6月に1回、5月に2回の合計5,200億円とすることで問題ない。

・流動性供給入札については、当局提案のとおりで特段異論はないものの、40年債の既発債を対象化することも検討してほしい。

買入消却入札については、当局提案のとおりで異論はない。

・流動性供給入札については、当局提案のとおりで問題ない。

買入消却入札について、物価連動債を300億円×3回とし、15年変動債の1回当たりの買入額を1,300億円に平準化することに特段異論はない。

・流動性供給入札については、比較的安定した需要が見られていることもサポート要因と考えていることから、当局提案のとおりで問題ない。

買入消却入札について、物価連動債を300億円×3回とすることに異論はない。15年変動債についても、当局提案の形で多少減額することは問題ないと考える。

・流動性供給入札については、当局提案のとおりで異論はない。

買入消却入札について、物価連動債は、市中残高が3兆円を割っている中マーケットの流動玉は1兆5,000億円程度まで減少していると見込まれることから、1回当たりの買入額を300億円程度まで減額する必要があると思われ、300億円×3回を提案したい。15年変動債については、年間で今年度並みの売却ニーズは十分存在すると考えているところ、1回当たりの買入額を1,300億円又は1,400億円で固定化することが望ましいのではないか。

・流動性供給入札及び買入消却入札ともに、当局提案のとおりで異論はない。

・流動性供給入札については、当局提案のとおりで異論はない。

買入消却入札について、物価連動債は300億円×3回で特に問題ない。15年変動債についても、当局提案のとおり1回当たりの買入額を平準化することに異論はない。

・流動性供給入札については、当局提案のとおりで異論はない。

買入消却入札について、物価連動債は、300億円×3回の合計900億円で問題ない。15年変動債についても、当局提案のとおりで特に異論はない。

・流動性供給入札及び買入消却入札ともに、当局提案のとおりで異論はない。

なお、買入消却入札の実施方式を次回見直す際には、ストリップス債の買入消却の再開について検討してほしい。直近では昨年12月に200億円程度の分離実績があり、現在3,750億円の分離元本残高が存在しており、今後超長期ゾーンが増発されることもあり、投資家の多様なニーズを汲み上げるという意味で、業者のポジションとして固定化されやすい分離利息部分の買入消却を少額でも再開してほしい。

(2) 平成24年度における30年債及び40年債の発行方法について

はじめに、理財局から、平成24年度における30年債及び40年債の発行方法について、以下のように説明を行った。

・昨年末に発表した国債発行計画にあるとおり、来年度においても、30年債を 1回当たり7,000億円で計8回、40年債を1回当たり4,000億円で計4回発行する予定である。これらについては、従前同様に複数回分を銘柄統合して発行することを考えており、資料2でそれぞれ2つの案を提示している。

30年債については、今年度と同様に年間2銘柄とする考え方と、年間4銘柄案として、3月債と本年4月の2回分、6・7月の2回分、9・10月の2回分そして12月と来年1月の2回分をそれぞれ銘柄統合する考え方を示している。

40年債についても、今年度と同様に年間1銘柄とする考え方と、年間2銘柄案として、本年5・8月の2回分及び11月と来年2月の2回分をそれぞれ銘柄統合する考え方を示している。

この点について、参考までに事前に意見を聞いた際には、30年債については年間2銘柄、40年債については年間1銘柄を支持する意見が大勢を占める結果となったが、意見を頂きたい。

また、40年債の入札方式として、資料2では、①利回りダッチ方式の継続、②新発債は利回りダッチ方式としリオープン債は価格コンベンショナル方式とする案、及び③価格コンベンショナル方式への移行の3つの案を提示している。この点について、参考までに事前に意見を聞いた際には、40年債の流動性は増してきてはいるものの依然として入札結果が不安定であること等を理由に利回りダッチ方式の継続を支持する意見が大勢を占める結果となっていたが、併せて意見を頂きたい。

4出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・来年度の30年債・40年債のリオープン方式については、特段拘りはなく、今年度と同様に30年債を年間2銘柄、40年債を年間1銘柄とすることで異論はない。

40年債の入札方式について、新発債、リオープン債ともに価格コンベンショナル方式とする案を希望していたが、現行どおりの利回りダッチ方式とすることで異論はない。

・現在、新発債発行時において20年債は毎月1兆円を超える金額が発行されるが、30年債及び40年債は、投資家層のポテンシャルを反映し、頻度及び1回当たりの発行額が絞られている。一方で、リオープン後の発行額を考えると、20年債は、リオープン発行とならなかった場合1銘柄当たりの発行額は1兆1,000億円となるが、それでも流通市場が成立している。この点、40年債は3回のリオープンでようやく1兆円台となり、また、30年債は年間2銘柄とした場合、1銘柄当たりの発行額は7,000億円×4回で3兆円程度となる。発行時において、頻度及び1回当たりの発行額を投資家層のポテンシャルに合わせているにもかかわらず、最終的な流通市場においては、30年債の1銘柄当たりの発行額が相対的に大きいことから、30年債を年間4銘柄とし、1銘柄当たり1兆4,000億円程度とすれば、20年債、30年債及び40年債それぞれの市場のポテンシャルと発行時の形態、リオープン後の形態が全て整合的になるのではないか。1兆円以上の発行額が確保されていれば、流通市場において特段問題はないと考える。

40年債の入札方式については、新発債、リオープン債ともに価格コンベンショナル方式を希望する。この点、昨年8月と11月の40年債入札では、利回りダッチ方式の悪い面が出たことにより結果が不安定になったと見ている。年間1銘柄で1兆6,000億円の発行額がようやく流通市場においてこなせるようになってきていることから、今後の40年債の育成の観点からも、価格コンベンショナル方式に移行し、よりバリュエーションや需給に応じた価格形成を入札参加者が意識するべきと考える。

・現行どおり30年債は年間2銘柄、40年債は年間1銘柄でよい。30年債については、カレント銘柄がしっかり投資家にはまっており、1銘柄当たり2兆8,000億円程度の発行額は適正と思われる。40年債については、流動性を考えると年間1銘柄が適当ではないか。

40年債の入札方式については、新発債、リオープン債ともに現行どおり利回りダッチ方式でよいのではないか。足元では流動性が出てきているものの、価格コンベンショナル方式の悪い面が出る可能性があるため、利回りダッチ方式のままでよいと思われる。

・30年債のリオープン方式については、年間2銘柄を支持する。20年債に比べ、30年債は満期保有の投資家が多いことから、1銘柄当たり7,000億円×2回の1兆4,000億円という発行額では、流動性にやや不安がある。将来的に1回当たりの発行額が増えた場合に年間4銘柄とすることを検討してはどうか。40年債のリオープン方式については、未だ発行額が少なく流動性に乏しいことから、年間1銘柄を支持する。

40年債の入札方式については、新発債、リオープン債ともに利回りダッチ方式でよいと考える。

・30年債及び40年債のリオープン方式については、現行どおり、30年債は年間2銘柄、40年債は年間1銘柄を支持する。1銘柄当たりの発行額が少ないと、ショートスクイーズやレポがタイトになった場合、イールドカーブにゆがみが生じやすく、マーケットメイクがしづらくなるため、1銘柄当たりの発行額は多い方がよいと考える。

40年債の入札方式については、現行どおり、利回りダッチ方式を継続することでよい。

・現在の30年債及び40年債の流動性を考慮すると、それぞれ年間2銘柄、年間1銘柄が適当と考える。

40年債の入札方式については、新発債、リオープン債ともに現行どおり利回りダッチ方式を希望する。他者と同じ価格で購入できるという安心感から投資家札が集まりやすい面もあることから、価格コンベンショナル方式に移行した場合、発行コストの上昇につながる可能性があるのではないか。

・30年債のリオープン方式については、年間4銘柄を希望する。年間2銘柄とした場合、1銘柄当たりの発行額が7,000億円×4回の2兆8,000億円となり、他の年限とのバランス等を考慮すると、やや多い感がある。1回当たりの発行額が少なかった頃はショートスクイーズ等の懸念もあったが、現状発行から1年経過すれば30年債も流動性供給入札の対象となることから、ショートスクイーズ等を懸念する必要はないのではないか。40年債のリオープン方式については、年間2銘柄を希望する。現在、40年債のボラティリティはそれほど大きくないことから、年間を通してみた金利水準に違いはなく、年間2銘柄と年間1銘柄にそれほど差異がある訳ではないものの、1年を通じて同じクーポンとなることにはやや抵抗がある。

40年債の入札方式については、利回りダッチ方式を希望する。40年債の流動性は向上しつつあるとはいえ、入札前後のボラティリティは相応に大きいことから、流動性がもう少し向上した後で、価格コンベンショナル方式への移行を検討すべきではないか。

(3) 物価連動債の発行再開に関する検討状況について

はじめに、理財局から、物価連動債の発行再開に関する検討状況について、以下のように説明を行った。

・物価連動債の発行再開に当たっては、平成24年度国債発行計画において示したとおり、「市場関係者を交え、具体的な商品性等に係る実務的な検討を進める」としている。それを受けて、国債市場特別参加者及び国債投資家懇談会メンバーのうち、参加を希望した先との間で、本年2月より「物価連動債の発行再開に関するワーキング・グループ」を開催している。なお、本WGの趣旨としては、昨年11月及び12月に本会合及び国債投資家懇談会において、物価連動債について意見を頂いた際、商品性に変更がある場合、システム対応等準備が必要となるので時間が必要との意見があり、今後、経済状況、投資家ニーズ等を踏まえ物価連動債の発行再開が具体的になった際、そこからシステム対応をしていては発行再開が遅れてしまう可能性があることから、予め商品性等システムに関わる部分については先に議論を行い、合意が得られれば、速やかに発行の再開が出来るように準備を行うため、議論を行う場として設けることとなったものである。本WGについては、これまでに3回実施し、概ね意見が一致を見たということで、中間報告をまとめ、本会合で報告させていただくことになった。具体的な合意内容は次のとおりである。

商品性について、既発債から変更する事項として、償還時の元本に対するフロアの付与がある。償還時の連動係数が1を下回る場合、額面金額にて償還することとしている。償還までの間においては、CPIに応じて連動計数が1を下回ることに留意が必要である。

また、その他の事項については、当面既発債と同様とすることで合意している内容について整理すると、年限については、流動性を集中的に確保するため当面10年のみとし、他の年限については、その後の市場動向や需要等を踏まえ検討する。

参照指数は、従来と同様、全国消費者物価指数(除く生鮮)を用いる。譲渡制限は、従来と同様、利子源泉徴収対象者について適用される。WGにおいても、個人からのニーズが見込まれるので、譲渡制限を外してほしいという意見が出ているが、25年度以降の税制改正の中で税制当局と議論をして譲渡制限が解除出来るように努力することとしたい。

連動係数の桁数については、再開時は当面従来と同様、小数点以下3桁とするものの、日次の連動係数の推移を滑らかにして欲しいという要望を踏まえ、新日銀ネットの全面稼動開始に合わせて円滑な移行が可能なタイミングで5桁へ拡充する。

リオープン時の応札価格の入力方式についても、従来と同様、連動係数積算後の価格を入力することになるが、市場慣行に合わせて連動係数積算前の価格を入力する方式に変更して欲しいという要望を踏まえ、新日銀ネットの全面稼動開始以降可及的速やかに入力方式の見直しを検討することとしている。

次に発行再開時の発行方法について説明する。発行方法については、発行再開が具体的に見通せるようになった段階で、既発債保有者の乗換え需要の大きさを確認した上で、必要と認められれば、記載した案のような方法を期間限定で実施することで、乗換え需要を取り込み、発行再開を円滑にすることを考えている。具体的には、新発債の発行入札と既発債の買入消却入札を同日に実施することで、実質的にエクスチェンジを行うということであり、既発債から新発債への乗換えをし易くする、というものである。

次に買入消却の実施方法について説明する。発行再開までの間の買入消却については、買入額を減額しつつ継続することが望ましいという意見が多く見られ、また、発行再開後の買入消却については、改めてWGでも議論を行うこととしているが、具体的な買入額・頻度や今後の買入消却の在り方については、本日のように、従来と同様、本会合及び投資家懇談会での議論を経て決定するものである。

以上がWGにおける検討結果であり、市場参加者においては、今後の発行再開に対応できるよう、必要に応じ速やかにシステム対応等所要の準備を進めて頂きたい。また、特に本会合メンバーにおいては、顧客である投資家への周知も行って頂きたい。

4出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・物価連動債の発行再開に係るシステム対応について、投資家の立場で考えた場合、自社でシステムを用意する投資家と、信託銀行に保有債券を信託している先も存在しているが、投資家が利用している当該信託銀行に対して自ら内容を説明することになるのか、それとも当局が信託銀行に何らかの連絡等を行うことを予定しているのか。

(これに対して理財局からは、当局が直接説明することは予定していないが、要望があれば対応を検討したい旨回答した。)

(4) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて

4出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・日本国債については、円安株高や米国債の調整といった外部環境の悪化が主因となり、昨日、今日と調整が大きくなっている。米国債については、もう少し早い段階から調整の流れとなっていたが、ここ1日、2日で節目を抜けたことで日本国債の金利観に影響を与えたと考えており、足元から来月半ばくらいまでは調整含みの相場展開になるだろう。株・為替については、足元では「脱デフレ」がテーマとなっている。債券は逆張りプレーヤーが多く、株・為替は順張りプレーヤーが多く、また、株については海外勢のウェートが大きいことが、相場に影響している。

昨年11月~12月にかけて、日米欧の中央銀行によるドル供給が決定され、ECBが3年物LTROを実施するなど欧州を中心に流動性に対する懸念が和らいだことで、結果的に現在は流動性相場となっている。欧米の株価は昨年11月、12月以降上昇基調にあった中で、日本株は1ヶ月ほど出遅れ、年末年始あたりからようやく上昇した。最初のプレーヤーは海外勢のショートカバーであり、個人は逆張りで対応していたが、最近になって個人も持たざるリスクが懸念されているようであるし、年金についても株のウェートが小さいところほどパフォーマンスが低くなっている。また、3月末には個人の株にからんだ投信設定も入ってくることから、しばらくは円安株高の流れが進むと思われる。

米国債については、現行のFRBの時間軸政策からすると最近の調整はやや2年、5年が売られすぎに感じる。1月、2月は天候が良かったこともあり経済指標が想定より上振れている。ガソリン高の影響が実際に米国経済指標にでてくるのは4月に入ってからであり、相場を冷やす米国経済減速の材料が出てくるのは年度を越えてからになるだろう。ガソリン高や足元でBEIが上昇基調にありインフレ圧力懸念がある中、FRBも追加緩和政策に前向きになれないことが米債の調整を深くした要因となっているのだろう。

国内に目を移すとさらなる調整リスクとしては、消費増税関連法案を巡る動向がある。法案は月末までに国会提出するという流れだが、政策の是非というよりは解散総選挙などをにらんだ政局重視になっているので、混乱したまま年度末を越えてしまう可能性があり、これが投資家心理を大きく冷やす可能性がある。債券市場の調整を深くしないためにも、財政再建に向けて厳しい姿勢で取り組んでいただきたい。

消費税関連法案の国会の採決は5月以降となるだろうが、法案が成立すれば財政再建に対する信認が高まって国債利回りの低下要因となるであろう。また米国についてもガソリン高が徐々に消費等に影響を与え、4、5月以降にはそれが経済統計に出始めると考えられることから、4、5月には再び金利が低下することを予想している。

米国では住宅市場が差し押さえなどの影響もあり根強い調整圧力にさらされており、欧州では財政金融問題やその実態経済への負の循環が懸念されており、新興国では経済成長にも陰りが見えていることなどから、今のところ、ファンダメンタルズから金利が持続的に上昇していくような過程ではないと考えている。

・米国債が大きく調整されていることが、最終的に円債市場にも影響している。ただこれまで米国債が相対的に強かった理由は、自国経済がそこまで悪くないという気運があった中、欧州債務懸念が相場の支えになっていたからであり、欧州の懸念が完全に剥げ落ちたわけではないので、このまま米国債が売られ続けることは想定していない。それは日本国債にも同様と考えているが、年始からの状況を考えると海外勢が仕掛けたと思われるドルロング、株ロング、債券ではスワップの超長期を絡めたスティープナーポジションがトレンドとなってきている。このような中、これまで低ボラティリティ環境が投資家の買いを促す側面があり円債を支えていたが、最近ボラティリティが上昇しており、海外主導でこのトレンドが続けば、ボラティリティの上昇が投資家の売りを生むことを若干懸念している。ただし、ドル円の調整もある程度の水準まできており、株もこれまで節目と言われた1万円を超えるところまできたことで、一旦は現状のレンジ感で推移するのではないか。

・米国市場がかなり荒れてきているとの印象である。ギリシャが無秩序なデフォルトを回避したことや米雇用統計が良かったことを受けて金利上昇するのではないかというセンチメントがあったところに、マクロファンドからの強烈な売り浴びせやCTAからのロングポジションの外しに加えて、昨日の終盤にはモーゲージ債のヘッジも入ったようであり、米国市場らしく、動き始めるとボラティリティがボラティリティを呼ぶという形で、一気に2.3~2.4%の水準まで到達した。QE2の直後に米国債の金利が2.5%から3.5%まで上昇したが、今回の金利上昇はその時のような持続的なものにはならないのではないか。昨年10月頃に米国債の金利が一気に2.4%まで上昇した後すぐに戻ったことがあったように、今回の金利上昇はテクニカルな部分が非常に寄与していると思う。すぐに2%に戻るというイメージは全くないが、どんどん金利上昇するというより、むしろ現行水準近辺でもみ合うのではないか。

日本国債についても、昨日から今日にかけてファンド勢によって先物中心に売られたが、相場が落ち着くのに相応の時間を要することが見込まれるものの、今後もどんどん売られていく展開も想定していない。米国債の金利の上昇が止まってくれば、日本国債の金利もレンジ内でもみ合いながらも金利上昇余地は段々と限られてくるだろう。その中でファンド勢のショートカバーが入れば、また金利低下するタイミングに入るのではないか。全般としては、4月に入って期初の益出しや4月25日のFOMCなどで若干売られる展開を予想していたが、それが1ヶ月前倒しで来たという印象である。

・どの程度のスパンで見るかによるが、数ヶ月のスパンで見れば、昨年の8月、9月に成長見通しが屈折した後、市場のリスクアセットの価格がじわじわと上昇してくる中、ユーロの話があってもたついたが、その後に経済指標が好転し、それが円債を含めたグローバルな債券市場に影響を与えている。円債については、11月末に若干の調整を挟んだが、昨年の10月ぐらいから日米の債券相場はほとんど動いておらず、その間にどの程度のポジションが溜まっていたかが今後試されるだろう。このため数ヶ月のスパンで言えば、調整はまだ続くのではないか。ただし、何年というスパンで見れば、全体として低成長への流れが続くことが見込まれるため、その枠組みの中で円債市場も一定のレンジ内で推移するだろう。全体として今の調整がどんどん進むことは全く想定されないものの、10月頃からほぼ横ばいで推移してきたことを勘案すると、もう一段もう二段の調整があってもおかしくないと思う。

・今回の金利上昇の一つの要因は、一昨年来の大きなテーマである欧州問題の進展がある。今年は幾つかハードルが予想されており、当面のハードルが3月20日のギリシャ国債144億ユーロの償還問題であったが、どうにか民間の債務交換も無事に終了し、EU委員会とIMFから支援を行うこととなり、当面のギリシャのデフォルト懸念が薄れ、一時的かもしれないがリスクオンの動きとなった。ただ欧州問題についてはより大きなハードルが5月、6月に存在していると考えている。ギリシャ問題からのファイヤーウォールをきちんと構築できるかが次の問題であり、昨年欧州各国が議会で批准したEFSFの機能拡充についても具体化が進んでおらず、より重要なESMの1年前倒しについてもこれから長い議論が必要だと思うので、欧州の問題については、まだこれから5月、6月にかけてはまだ昨年起こったような混乱も予想され、完全に欧州問題が終息したと言うには時期尚早だと思う。

米国については、どちらかというと昨年来やや悲観論が優勢だったかと思うが、クリスマス商戦を無事に通過して、足元では、雇用、住宅市場についても先行指標等ではやや底打ち的な指数も出ている。また、企業減税や失業保険の延長についても超党派で何ら財源の裏づけなく1年延長するということが決まっており、当面は米国については少し景況感が良いと考えられる。その中、大統領選という背景もあると思うが、なかなか量的緩和には踏み切れないだろう。仮に緩和するとすれば不胎化オペというような形で、金融の資金の総量を変えない形で住宅市場の支援策等が打ち出されることが考えられるが、ツイストオペが終わり、次が不胎化、MBS購入オペというような形になると、イールドカーブにはスティープ化圧力がかかりやすい状況となるのではないか。

国内の債券市場の動向を見ると、昨年来、金融機関は相当な金余りの状況が続いており、加えて日本銀行の強烈な金融緩和もある。今日先物が1円近く急落した一方で10年債・20年債の金利上昇幅は極めて限定的で、特に20年債の入札については相当強い所で決まっており、最終投資家の現物債の需要はまだ相当堅調である。そうしたことを考えると、これから新年度に入って債券運用も本格化するタイミングにあるので、3月、4月は海外につられて若干金利が上昇したとしても、5月、6月にかけては安定するのではないか。今回は金利が上がったといっても、底からみれば10bp程度であり、あえて言えば「山低ければ谷浅し」といったレンジ相場である。昔の80年代後半は、先物は1日で2円、3円動いていたので、それに比べたら今の相場は本当に安定している。海外の金利が20bp、30bp動いても日本では5bp程度なので、あまり現時点で心配することはない。

ただ、今年も政局リスクがあり、場合によっては日本国債の格下げ問題が再浮上する可能性はある。しかし、今年や数年のタームであれば、国内の資金循環的に見て、日本国債が大きく売られるようなことにはならないだろう。5年後、10年後、20年後を展望すると、少子高齢化や産業の空洞化リスクも徐々に高まってくるので、毎回のことだが財政再建と成長戦略を車の両輪として堅実に推し進めていくことが長期にわたって国債市場を安定化させる最大の王道ではないか考えている。

(5) その他について

理財局から、その他の項目として、以下の説明を行った。

・国債の入札から発行までの期間の短縮化について、本年1月31日に公表しているとおり、4月23日以降の入札より国債の入札から発行までの期間を原則T+2とすることとしているので、対応をお願いしたい。

・東日本大震災の発生から1年が経過したこともあり、改めて災害時等における国債発行当局の入札に対する考え方等を説明した。

連絡・問合せ先:

財務省 理財局 国債業務課 中島・高嶋

電話 代表 03(3581)4111 内線 5701

出典:財務省