国債市場特別参加者会合(第42回)
| 開催日 | 2011-12-19 |
|---|---|
| 場所 | 財務省 第3特別会議室 |
| 議題 | (1) 平成24年度予算に伴う国債発行計画について〔参考配布:資料〕 (2) 平成24年1-3月における流動性供給入札及び買入消却入札について (3) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて (4) その他について |
| 原文 | 財務省サイトでは公開終了(本ページはアーカイブから復元) |
配布資料
| 資料PDF |
議事要旨
(1) 平成24年度予算に伴う国債発行計画について〔参考配布:資料〕
はじめに、理財局から、平成24年度予算に伴う国債発行計画について、以下のように説明を行った。
(平成23年度の発行計画について)
・まず、23年度第4次補正予算に基づく国債発行計画の見直しについては次のとおり。「発行根拠法別発行額」における借換債について、本年度の発行実績を踏まえ、多少の調整が行われる予定であり、これに伴い、「消化方式別発行額」においては、第Ⅱ非価格競争入札の計上額等に若干の変更があるものの、全体として大きな変更は予定していない。
(平成24年度の当初計画について)
・24年度の発行計画において、現時点でわかっていることは次のとおり。「発行根拠法別発行額」において、復興債を除く新規国債発行額については、16日に閣議決定された予算編成の基本方針によると、「平成23年度当初予算の水準である約44兆円を上回らないものとするよう、全力を挙げる」こととされている。復興債については、概算要求において、東日本大震災からの復旧・復興対策に係る経費が3.5兆円要求されていることから、その範囲内で発行されることとなる。借換債については、概算要求において114.1兆円要求されているところであるが、復興債の償還について、財投特会の剰余金等の償還財源が繰り入れられることから、幾分か減額する見込みである。なお、この中には、買入消却の財源となるものは含まれていない。財投債については、財投計画の規模や財投償還金及び財融回収金、預託金の見通し等によって決まってくる。24年度財投計画については、平成23年度当初計画より増加する見込みであり、財投債の発行は、平成23年度当初の14兆円を上回る見込みである。これらの結果、国債発行総額は170兆円台半ば程度となる見込みである。
一方、「消化方式別発行額」において、現時点の見込みは次のとおり。個人向け国債について、引き続き復興債として販売を続ける予定であるが、出納整理期間発行の技術的な処理により、発行計画への計上額は平成23年度から若干少なくなると考えている。その他窓販について、平成23年度分に関して概ね計画通りであることから、平成24年度も同水準での計上を考えている。日銀乗換について、11月末時点における、日銀の保有する平成24年度に償還期限の到来する利付国債は15.1兆円である。最終的には日銀の政策委員会で判断されることになるが、例年と同様に取り扱われることとなれば、平成23年度を上回る金額で計上されることとなる。これらの結果、カレンダーベース市中発行額について、多少の増額を行う必要があると考えている。増額を行う年限に関しては、第3次補正において中期債を増額したことから、長めのゾーンを中心に考えており、最終的な必要額とともに、前回及び今回の皆様のご意見も踏まえて対応したいが、ご意見があれば伺いたい。
なお、前回会合で議論があった物価連動債については、その発行再開に向けて、商品性や入札方法等について実務者レベルで市場関係者の皆様と検討を進めたいと考えており、年明け以降、改めてご相談させていただきたい。
(2) 平成24年1-3月における流動性供給入札及び買入消却入札について
はじめに、理財局から、平成24年1-3月における流動性供給入札及び買入消却入札について、以下のように説明を行った。
・流動性供給入札について、資料2-1のとおり、残存5-15年ゾーンを対象とする入札は安定した結果が続いており、残存15-29年ゾーンを対象とする入札もここもとは順調な結果が続いている。
このような状況を踏まえ、資料2-2のとおり、引き続き残存5-15年ゾーン及び同15-29年ゾーンを対象にそれぞれ毎月3,000億円ずつ発行するとともに、発行対象銘柄をアンケート方式で入札の都度見直す案を提示している。この点について、参考までに事前に意見を聞いた際には、国債市場特別参加者及び国債投資家懇談会メンバーともに、大多数が本案を支持する結果となった。いずれにせよ、当局としては、本日の意見も勘案し総合的に判断していきたいと考えており、来年1-3月期の流動性供給入札の実施方式について意見を頂きたい。
次に、資料2-3以下で、買入消却入札について説明する。
物価連動債については、資料2-3のとおり、BEIは足許では▲0.3%台で推移しており、先週末(12月16日)時点で実質利回りは0.858%、BEIは▲0.356%となっている。こうした中、買入消却入札及び日本銀行の買入オペともに、以前は▲20~30銭程度での決着が続いていたものの、足元ではプラス圏での決着となる等売却ニーズはやや減退しつつあるように見受けられる。
15年変動債については、資料2-4のとおり、価格はここもと上昇傾向にあり、先週末(12月16日)時点で実勢αは0.716%となっている。こうした中、買入消却入札及び日本銀行の買入オペは、10月以降プラス圏での決着が続いており、前日引値以下の安値での売却ニーズは殆どみられなくなってきている。
資料2-5では、最近4年程の買入消却額の推移を示している。来年1-3月期についても、従前同様に買入総額は7,500億円を予定している。この点について、参考までに事前に意見を聞いた際には、国債市場特別参加者からは、市中残高の減少等を背景に物価連動債の買入額を減額すべきとの意見も相応にみられたものの、国債投資家懇談会メンバーも含め総じてみれば、従前と同程度の買入規模、すなわち物価連動債1,500億円・15年変動債6,000億円を維持すべきとの意見が多かったが、意見を頂きたい。
4出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・流動性供給入札については、当局提案のとおりで特段問題ない。
買入消却入札についても、1-3月期の買入総額が従前同様7,500億円となる場合には、現状どおり物価連動債の買入額を500億円×3回の計1,500億円とし残額を15年変動債の買入に充てることで特段問題ない。
・流動性供給入札については、当局提案のとおりでよいと考える。
買入消却入札について、物価連動債は投資家の売却ニーズもやや減退しつつあることから毎月の買入額を100億円減額して400億円×3回の計1,200億円とし、当該減額分を15年変動債の買入に充てることが望ましいと考える。
・流動性供給入札については、引き続き事前アンケートに基づいた銘柄選定が望ましいと考えている。もっとも、選定銘柄上限数は、落札銘柄の実績等を勘案しても20~30程度でよいであろう。また、事前アンケートの実施時期を入札日の1週間前程度とすれば、個別銘柄の需給をより如実に反映することができると考える。これらの方式を採用することにより、オフザラン銘柄の流動性補完という本来の目的、趣旨が明確化するのではないか。
買入消却入札について、物価連動債は、市中残高の減少等を背景として価格は安定推移している。また、日本銀行の買入オペも含め夏以降の入札では高めの結果が続いており、特に直近2回の入札は前日比プラス圏での決着となっていることを踏まえると、若干の減額が望ましいのではないか。一方、15年変動債は、市場価格と理論価格が未だ乖離しており市中残高も大きいことを勘案すれば、物価連動債の買入額を若干減額し、当該減額分を15年変動債の買入に充てるべきと考える。この点、日本銀行の買入オペと合わせた月毎の買入額の平準化を図ることが必要と考えているところ、物価連動債については1月及び3月は300億円とする一方2月は600億円とし、15年変動債については2月は1,300億円とする一方1月及び3月は2,500億円とすることが望ましいと考える。
・流動性供給入札については、当局提案のとおりで問題ない。需要が相応に見られる中安定消化に寄与していると考える。
買入消却入札については、15年変動債の売却ニーズが相対的に強いという状況に変わりはない。その中で、物価連動債の買入額は将来的には減額方向とみているものの、1-3月期は現状維持で問題ないと考える。仮に物価連動債の買入額を減額する場合、当該減額分は15年変動債の買入に充てることが望ましいと思われるが、特段強い意見ではない。
・流動性供給入札については、当局提案のとおりでお願いしたい。
買入消却入札について、物価連動債は、市中残高が減少している中、発行再開に向けた議論を控え来年以降もある程度マーケット規模を維持すべきであること、及び現状売却ニーズも(無い訳ではないものの)やや減退していることを踏まえると、300億円×3回の計900億円に減額することが望ましいと考える。当該減額分については15年変動債で吸収可能であり、3月末に向けて売却ニーズは十分存在すると考えられる。具体的には、日本銀行の買入オペが実施される2月は1,400億円、同オペが実施されない1月及び3月は1,300億円×2回の2,600億円を提案する。
・流動性供給入札については、当局提案のとおりで問題ない。
買入消却入札について、日本銀行の買入オペと重なる月は、相場の乱高下やショートスクイーズを未然に防ぐためにも、買入額の調整が必要と考える。具体的には、物価連動債の買入額を1月100億円、2月500億円、3月100億円とし、残額を15年変動債の買入に充てて1月2,700億円、2月1,400億円、3月2,700億円としてはどうか。15年変動債については、引き続き相応に売却ニーズが存在すると考える。
・流動性供給入札については、相応にニーズがあるところ当局提案のとおりでよい。
買入消却入札について、物価連動債の売却ニーズは徐々に減退しつつあると感じているものの、微調整を要する程ではないため、現状どおりで問題ないと考える。
・流動性供給入札については、相応にニーズがあるところ当局提案のとおりで問題ない。
買入消却入札について、物価連動債、15年変動債ともに売却ニーズは徐々に減退しているものの、1-3月期の買入総額が従前同様7,500億円となる場合には、現状の買入のバランスを変えるべきではないと考える。
・流動性供給入札については、当局提案のとおりでよいと考える。
買入消却入札については、物価連動債の買入額を毎月100億円ずつ減額して計1,200億円とし、当該減額分を15年変動債の買入に充てて1月2,500億円、2月1,300億円、3月2,500億円の計6,300億円としてはどうか。なお、現状超長期債の買入は日本銀行が行う月1回の買入オペに限られているところ、来年度は、超長期債に限定した買入消却を数百億円程度実施してもよいのではないか。
・流動性供給入札については、当局提案のとおりでよい。ここもと残存15-29年ゾーンを対象とする入札の応募倍率が上がってきていることは、引き続き投資家需要が強いことの証左と考えている。
買入消却入札についても、当面は現状維持でよいと考える。来年度は物価連動債の買入額を減額するという方向性がみえている中で、仮に具体的な減額幅がある程度みえてくれば年明け以降売却ニーズが強まることも考えられるところ、1-3月期は物価連動債と15年変動債の買入額を変更すべきではない。
・流動性供給入札については、当局提案のとおりで問題ない。
買入消却入札について、物価連動債及び15年変動債の売却ニーズは引き続き相応に存在すると考えているところ、1-3月期の買入総額が従前同様7,500億円となる場合には、物価連動債と15年変動債の買入のバランスは現状維持でよい。仮に買入総額自体を若干調整する必要がある場合には、物価連動債の買入額を減額し残額を15年変動債の買入に充てることが望ましいと考える。
・流動性供給入札については、当局提案のとおりでお願いしたい。
買入消却入札について、物価連動債は売却ニーズがやや減退しているものの一定レベルの応募倍率は維持されているところ、1-3月期は現状どおり500億円×3回の計1,500億円とし、残額6,000億円を1月2,400億円、2月1,200億円、3月2,400億円という形で15年変動債の買入に充ててはどうか。
・流動性供給入札については、当局提案のとおりで問題ない。
買入消却入札について、引き続き一定の売却ニーズは存在すると見込まれるところ、1-3月期は現状どおり物価連動債の買入に1,500億円、15年変動債の買入に6,000億円充てることが望ましい。
・流動性供給入札については、当局提案のとおりで問題ない。
買入消却入札について、ここもとの結果に特段サプライズはないところ、1-3月期の買入総額が従前同様7,500億円となる場合には、現状どおり物価連動債の買入に1,500億円、15年変動債の買入に6,000億円充てることでよいのではないか。
(3) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
4出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・今年度の投資家の動きからアプローチしてみると、「公社債投資家別売買高(除く短期証券)」で数字を見ると、今年度一番国債を買っているのが生損保となっている。今年度のイールドカーブの変化を見るとブルフラット化している。キーマチュリティーで一番利回りが下がっているのが20年債であり、次いで10年債、その次が30年債である。来年度の発行計画について考えるとき、例えば20年・10年というところは今年度増発もされていないため、そのような結論に至るのは当然であると思う。もちろん来年度以降のカーブ変化や投資家の動きが同じようになるとは限らない。二番目に買っている業態は海外勢であり、これは増え方が尋常でない。昨年度の買い越し額の2~3倍を既に10月までの段階で買い越している。ということは、色々と日本の財政問題等も言われるが、欧州の債務問題が拡がる中で、日本国債は、米国債とともに資金の退避先になってくると思う。そのため今年度いっぱいは、おそらく金利は低位安定を続けるのではないか。
外部環境を少し考えてみると、今回の震災・原発事故が起こる中で、恐らく将来的な財政悪化に関し、リスクプレミアムは拡大していると思う。一方で、期待成長率が残念ながら下方屈折することによって金利が下がっているということがある。従って、欧州の問題がいつ片付くか分からないが、それが当面は日本の国債利回りの低下に寄与したとしても、それが薄れてくると、低位安定でもボラタイルになってくると思う。すなわち、リスクプレミアムの金利を決める割合が拡大する。そのため、来年度・再来年度を展望すると、今年度のようにタイトな動きではなく、大胆に言うと10年国債利回りで0.5~1.5%というような動きになっても不思議ではない。
また、どうしても日本国債の表面上の利回りは低いので、なかなか利回りが市場の警告にならず、財政問題に関しての政治的な取り組みがどうしても薄れてくる。リスクプレミアムが上がっているといっても、やはり名目金利が上がらないとそこは見せられない。ギリシャ等の姿とオーバーラップさせるのではなく、アメリカでこの夏に起こった動きや、ドイツで11月以降起こった動き、これらがすぐに日本で起こるとは思わないが、そういった説明が必要なのではないかと思う。アメリカで債務上限問題・格下げは、結局大きな動きにはならなかったが、一時的な金利上昇要因として認識された。またドイツも、もちろん今回の欧州の問題の中でドイツは渦中にいるので、最終的にはドイツの負担が膨らむ形で財政問題が表面化する。日本はそのときに連れ高ということには決してならないと思うが、ただ将来的な日本の姿として、経常黒字国のドイツでもそうなるのだということは、きっちり説明しておく必要があると思う。折しも社会保障と税の問題を色々議論する中でなかなか消費税率の引き上げも政治的に困難を極めている。そのような各国の状況を踏まえてきっちりと説明していくことが今は求められているのではないかと思う。いずれにしても、これらを踏まえ、来年度以降は少しボラタイルになるというイメージで見ている。
・海外勢の日本国債に対する需要について中央銀行やSWFを調査した結果によると、需要が拡大している要因としては3点あると考えている。1点目は、そもそも全体的な外貨準備の金額が増えているということ。日本は準備通貨ということで一部組み入れざるを得ない。2点目は、日本の比率がこれまで少なすぎたということ。リーマンショック以降、これまで主だった準備通貨であるドルとユーロは大きく通貨安となっていることで、各国のローカル通貨から見ると大きく打撃を被っており、そのため資産保全の観点から日本円をある程度選好せざるを得ない。通貨バスケットをニュートラルにもっていく作業を今後数年続ける必要があると聞いている。3点目としてはリターンの観点。米国や欧州の主な準備通貨圏は、現状実質利回りがマイナス圏で推移している。当然外貨準備としては、いずれ自国通貨に立て直すことを勘案すると実質利回りが確保できている必要があり、現状それが確保できているのが円債だということ。そのリターンの観点からも日本は選好される。
しかし、中央銀行等のどのファンドマネージャーからも聞かれるのは、日本に対して決してポジティブではないということである。現状では、あくまで消去法的に円債を買わざるを得ない状況だということは注意しなければならない。海外勢は、市場に入る時も早いが出る時も早いということが懸念材料。海外勢が買っていることで現在の円債市場は低位安定していると捉えることもできるが、将来的にはかなり市場にボラティリティを与える可能性があるという認識も必要である。
来年の見通しとして10年債利回りは0.8%~1.5%と若干ワイドに想定している。仮に売りが生じた場合には急激な利回り上昇するおそれがあることを考慮し、若干金利上昇サイドをワイドにとっている。
・先行きのイメージは、ファンダメンタルズから金利が上がる可能性はそれほど大きくないと考えている。欧州の債務問題はかなり深刻化してきているし、アメリカについても従来の住宅ローン問題に加えて、地方財政の悪化や給与税減税の先行きが非常に不透明であるというところもある。新興国経済についても中国・インドでかなり減速感が出てきている。国内は今後の復興需要等々で、財政面から景気が一回浮揚すると思うが、その持続性等々の観点からはなかなか金利が上がりにくいと考えている。日本銀行についても、市場ではあと2~3年は政策金利の引上げがないという見方が中心的であるので、そういう意味では中期セクターが比較的安定的に推移すると見込まれている。
ただ不安が無いかというと必ずしもそうではなく、例えば来年度にかけてはカレンダーベースの市中発行で150兆円が視野に入ってくる状況の中で、仮に市場の不安心理が高まって、投資家が買いを手控えた場合には入札が不調に終わって思わぬ金利上昇を招くリスクもあると考えている。そのため市場参加者や投資家にとって安心感が得られるような環境づくりが必要である。財務省が進めてきた国債管理政策については、密な市場との対話を通じて、流動性向上策、キーマチュリティーの育成、借換えリスクの軽減等々で相応の成果をあげてきていると見ている。一方で、足元では政治リスクがかなり高まってきている印象を持っている。昨年今年と海外勢の円債の購入が非常に目立っているが、当社としてはその理由については、外貨準備のリスク分散や流動性対策等々、どちらかというと消去法的な買い方が中心と見ている。むしろ政府債務残高が非常に高いということとか、政治の基盤も弱いというところで、ある意味ギリシャやイタリアと似たようなところがあるというところが懸念材料という指摘を受けている。今後、JGBのブランドイメージを守るという意味でも、日本はそのような国とは違って、やはり中期的な財政再建に向けた方向性・道筋を明確に示していく必要があると考えている。そういう意味ではまさにいま素案づくりということでやっている消費増税については確実に引上げていく方向性を明確に示していくための政治の強い意志と実行力をぜひ示していただきたい。そういうことを示すことによって、日本国債の信頼感が増して、大量の国債も安定的に吸収できるのではないかと考えている。特に来年にかけては、市場からも消費増税に対する関心は非常に高まってくると思うので、政治には特に財政規律に向けた強い意志を見せていただきたいと考えている。
・最近、欧米の長期金利が相当乱高下しているのに対して、日本の長期金利は低位で安定している。このような状況であれば、来年に向けても山低ければ谷浅しであまりボラティリティの上がらない状況が続くと思う。しかし、現在の低位安定の背景を考えると、投資家は安心して国債を買っているというよりは、中長期のリスクはむしろ増したという意識を持っていると思われる。
今回の震災、円高、産業の空洞化、少子高齢化の進行といった中長期での国債のリスクは高まりつつあるが、短期的に見ると国内勢のみならず、海外勢についても、特に新興国の下振れ等により日本への投資比率を少し上げざるを得ないと考えられる。ただし、よく見ると、格下げのリスクがあるからか、買われているのはT-Billが中心で、長いものは買われていない。
5年先、10年先を展望すると、日本の国力を再興する努力が財政再建とともに必要だと思う。消費税の引き上げ余地があるため金利上昇しないという議論をよく聞くが、消費税を上げるのと個人向け国債の発行ないし銀行が国債を買うことは、償還の有無に違いはあるが、単年度で見れば資金フロー的には同じである。消費税の引き上げが不要であるということではなく、消費税等の引き上げの方が効率化の面では良いと思うが、全体としての国力が増して、経常収支が黒字でないとファイナンスが厳しくなるということである。
現在、G7や欧州周辺国の海外投資家の保有比率と長期金利を並べると、ドイツ以外はほとんど正の相関にある。ドイツはユーロのベンチマーク債との位置づけにあるためやや特殊であり、米国でも政府内保有分を含めると実質的な海外保有比率は大体3割で、欧州等の5割前後に比べて低い。米国には基軸通貨というアドバンテージがあるが、国力がどれだけあって、自前でどれだけファイナンスできるかが重要である。このため、財政再建とともに、今回の震災で相当痛んだ日本の国力を早期に復興していかないと、向こう数年は長期金利の低位安定が継続する可能性が高いものの、その後はリスクが高まる恐れがある。
(4) その他について
はじめに、理財局から、その他について、以下のように説明を行った。
・国債を確実かつ円滑に消化していくためには、透明性・流動性が確保され、安全かつ効率的に決済が行われる流通市場の存在が重要と考えている。
11月30日に、「国債の決済期間の短縮化に関する検討ワーキング・グループ」の最終報告書が取りまとめられ、流通市場における国債のアウトライト取引の決済期間について、これまでのT+3から、来年4月23日約定分よりT+2に短縮することとなった。
国債の発行についても、入札から発行までの期間の短縮化は重要と考えており、現在基本的にT+3となっている入札から発行までの期間についても、流通市場におけるこのような取り組み状況を踏まえ、同様に来年4月からT+2に短縮することができないか、市場参加者の方々からも意見を伺いつつ検討を進めてまいりたい。
今後、皆様をはじめとする市場参加者の方にアンケートを行い、必要があれば直接意見を伺いたい。
連絡・問合せ先:
財務省 理財局 国債業務課 中島・高嶋
電話 代表 03(3581)4111 内線 5701
出典:財務省