国債市場特別参加者会合(第29回)
| 開催日 | 2009-10-23 |
|---|---|
| 場所 | 第3特別会議室 |
| 議題 | (1) 発行計画の下期見直しについて〔参考配布:資料〕 (2) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて |
| 原文 | 財務省サイトでは公開終了(本ページはアーカイブから復元) |
配布資料
| 資料PDF |
議事要旨
(1) 発行計画の下期見直しについて〔参考配布:資料〕
はじめに、理財局から、発行計画の下期見直しについて、以下のように説明を行った。
・本日の会合では、「個人向け国債」、「新型窓販」の販売が低迷し、発行計画で計上されている販売予定額の達成が困難な状況になっていることを受けて、予定額に足りないと見込まれる分を市中発行に振り替えることを考える必要があるが、その場合、どのような年限に配分するかについてご議論をいただきたい。
具体的な数字のイメージを申し上げれば、計画上、「個人向け国債」が年間2.4兆円計上されているのに対して、これまで年間4回の販売のうち3回が実施されており、1.1兆円の販売にとどまっている。最終回の販売も過去最低の水準である0.3兆円程度と見込めば、年間1.4兆円の販売となり計画比1兆円程度の下振れが見込まれる。また、「新型窓販」についても1.8兆円の計画に対して、これまで7ヶ月の販売実績が0.5兆円程度にとどまっており、今後も販売のペースが直近程度の水準で継続することになれば、年間1兆円程度の下振れが見込まれる。したがって、合計2兆円程度の下振れ分への対応を議論していただくこととなる。
また、マーケット関係者の中では、「発行計画に計上されている物価連動債(3,000億円)、15年変動債(3,000億円)についても今年度中の発行は困難と見込まれることから、今回の見直しのタイミングにあわせて計画から落として、他の年限に振り替えることを考えるべき」との声も多数聞かれているところであり、この点も今回の見直しのタイミングで対応すべきかどうかについても議論いただければと考えている。
したがって、今回のタイミングで対応するということになれば総額で2.6兆円程度の振り替えを議論していただくことになる。もちろん、こうした対応となる場合であっても、発行当局が、両債券にコミットメントしていることに変わりはなく、その旨は強調させていただきたいし、両債券について来年度の発行計画においても盛り込む方向で議論させていただきたいと考えている。
今回、振り替えをこのタイミングで行うことで、年度末までの4~5ヶ月の月数を使って振り替え額をならすことができることに鑑みれば、毎月発行の債券での振替を基本に考えるべきと思われる。
出席者から出された意見等の概要は以下の通り。
・物価連動債及び15年変動債については、今回を機に振り替えてしまった方がよいと考えており、個人向け販売分2兆円と合わせ、合計2.6兆円を、現在の需給環境や、今後の発行計画などを考えた上で、1~10年でバランス良く配分したほうがよい。内訳は、1年T-Billを月2,000億円増額し5回、2年債を月2,000億円増額し4回、5年債を月1,000億円増額し5回、10年債を月1,000億円増額し4回とし、合計2.7兆円という形としてはどうか。(出席者3名が同一の意見。)
・個人向け販売分からの振り替え2兆円強、15年変動債及び物価連動債からの振り替え6,000億円を想定している。少なくとも来年度の上期までは日銀の利上げがないという前提のもとで中短期債中心に増額し、足りない分を長期・超長期債で補うといったコンセプトをもっている。
具体的には1年T-Billを月1,000億円増額し5回、2年債は月2,000億円増額し4回、5年債は月1,000億円増額し5回、10年債は月1,000億円増額し4回、さらに超長期債の入札が予定されていない3月に30年債を1回追加することとしてはどうか。振り替え額が多すぎる場合は、10年債、30年債の順に増額を見送っていただきたい。
今回は流動性供給入札を振り替えの対象とすることを見送ったが、短い年限に関しては増額余地は十分にあると考えている。ただし、これについては入札意義の再定義や、年限の拡大、入札の年限区分の見直しを年末に予想される2次補正、来年度の発行計画の議論までの間じっくり検討してから増額するべきと考えており、その時まで増額余地を残しておいた方がよい。
・総額は2.6兆円を想定している。個人向け販売分の2兆円に対しては2~10年ゾ-ンでの消化を考えている。増額が11月からか、12月からかという議論はあるが、足元では需給懸念が出ていたり、予算の話など、まだ様子見したいというマーケットの状況も鑑み、増額は12月からとした方がよい。金額に関しては2年、5年、10年で振り分け、2年債は月2,000億円増額し4回、5年債は月2,000億円増額し4回、10年債は月1,000億円増額し4回と考えている。
残りの6,000億円については3月に30年債を追加してはどうか。それでも足りない場合、2年ゾーンにまだ多少の増額余地があると考えている。
・物価連動債及び15年変動債に関しても今回振り替えた方がよいと思っており、総額2.5兆円のイメージである。具体的な振り分けは、2年債を月1,000億円増額し4回、5年債は月1,000億円増額し5回、10年債は月1,000億円増額し5回、30年債及び40年債も1回当たり1,000億円ずつ増額する。加えて30年債を3月に1回追加する形とし、毎回の発行額を7,000億円としてはどうか。
・個人向け販売の分2兆円に関しては、よりデュレーションリスクの低いセクターでの発行で賄うべきという考え方をもっている。具体的には2年債で月3,000億円増額し4回、5年債で月1,000億円増額し4回、10年債で月1,000億円増額し4回という考え方である。
物価連動債と15年変動債の振り替え分に関しては、30年債を3月に1回追加するという形としてはどうか。
なお、流動性供給入札を増額することに関しては、再度、位置付けやあり方を含めて議論の上行うべきである。
・振り替え案としては、物価連動債及び15年変動債の発行を行わないという前提で、総額2.6兆円の配分を考えている。内訳は2年債を月2,000億円増額し4回、5年債を月2,000億円増額し5回、10年債を月1,000億円増額し5回とし、残り3,000億円については、40年債を3月に1回追加すればよいのではないか。
・物価連動債及び15年変動債の発行を取り止めることを前提に、総額2.6兆円を市中発行に振り替えることを想定している。内訳としては、毎月発行の利付債のうち、今年度、第Ⅱ非価格競争入札の実績が高い5年債及び10年債は、マーケットに需要があると考えられるので、月1,000億円ずつ増額する。これ以外に、日本銀行の金融政策の影響を受けやすいものの、今年度安定的に推移している2年債や1年T-Billを月2,000億円ずつ増額すればよいのではないか。
・個人向け販売の振り替え分を2兆円と仮定すると、基本的に短期金利の低位安定を前提に、2年債を月2,000億円増額し5回、5年債を月1,000億円増額し5回程度振り分けることは可能ではないか。残りについては、超長期ゾーンに対するコンスタントバイヤーの需要が安定的であることから、20年債を月1,000億円増額し5回とすればよいのではないか。ただし、今週の20年債入札を見ると、1回の入札発行額1.1兆円は少し慣らさないと消化しづらく、マーケットでインパクトがあるかもしれないため、1回当たりの発行量が比較的少ない30年債で対応することも考えられるのではないか。
・振り替えが必要な額は2.6兆円と仮定し、2年債及び5年債を月2,000億円増額し5回、30年債を1回当たり1,000億円増額し2回、更に不足する分については、流動性供給入札で補えばよいのではないか。
・当初振り替えるべき額は2兆円程度を考えていたものの、物価連動債や15年変動債、前倒債の減額等の対応が残っており、今後、更なる増発が必要となった場合のことを考え、T-Billでの対応は後のバッファーとして残すとした場合、今回の振り替えは2.6兆円まで想定する必要があるかもしれない。また、物価連動債及び15年変動債については、今年度の発行取り止めは想定済みであり、早めにアナウンスしたほうが、マーケットの期待値も安定するのではないか。
内訳については、全体的に発行量が大きくなっており、各ゾーンとも発行余力にあまり余裕がある訳ではないが、足元の需給バランスや当面の金融政策の見通しを考えると、やはり年限の短いもののほうが消化余力は大きいのではないか。具体的には、2年債ならば月3,000億円は増額可能であり、5年債及び10年債については月1,000億円の増額が可能かと思われる。20年債はもっとも増発余地がないため、超長期ゾーンの発行を考えるのであれば、平準的に回数を増やすことは難しいかもしれないが30年債で対応した方がよいと思われる。
流動性供給入札については、特に5~15年ゾーンの短いゾーンについては、もう少し吸収余力はあるとは思われるが、前回も話したとおり、ここもと急ピッチで増やして来たことから、ここで一度、応札義務や落札義務を設定する等、全体の中での流動性供給入札の位置付けをマーケット参加者で整理する必要があると思う。今回の振り替えで不足分があれば、短いゾーンで月1,000億円ぐらい増額しても問題ないと思うが、他で賄うことができれば、増額についてはもう少し議論を深めてから来年度に向けて検討すべきではないか。
・現在の資金の流れや金融政策のことを考えた場合、デュレーションの短いゾーンでの対応が妥当と思われる。また、足元イールドカーブは、国債増発懸念というよりは、財政悪化懸念からスティープ化する動きが少し強まっていることから1年T-Billを含む毎月発行を行っている年限での対応を前提に、物価連動債及び15年変動債の振り替えを含め考えるべきではないか。内訳としては、1年T-Bill及び2年債を月2,000億円増額、5年債及び10年債を月1,000億円増額し、増額するタイミングによって2兆数千億円を確保すればよいのではないか。
超長期ゾーンの3月の追加発行に関しては、2次補正や来年度予算の発行計画を議論する際に検討すべきと考えている。超長期ゾーンの主なバイヤーは、生保やインデックスプレイヤー、海外勢などであるが、その内、生保はニューキャッシュが入ってくる状況ではなく、インデックスプレイヤーは毎月一定額を買っているが、海外勢は現在のスティープ化の流れを作っている節があり、そういうことも含めると、現時点で30年債のスポット発行を決めることは拙速かと思われる。
なお、11月の入札から増額を開始するとした場合でも、来週木曜日に行われる10年債の1週間前発表において急に1,000億円の増額を発表されると、マーケットにインパクトを与えると思うので、これまで通り、早めに全体的な見直しに関するアナウンスを行ってほしい。
・中短期ゾーンの吸収余力が一番高いと考えている。1年T-Billの増額はマーケットへの影響は少なく、増額する余地はあるものの、1-3月期に相当の発行増が見込まれるため、できるだけ後にとっておくべきではないか。したがって、2年債を月2,000億円増額し5回、5年債を月1,000億円増額し5回。超長期ゾーンについては、買い手は生保が中心で、平準買いが多いことを考えると、30年債、40年債を含め毎月発行があってもよいと思っているので、現状の6,000億円を発行がない3月に1回増発する。不足分は、緊急的な状況であることを踏まえ、すでにかなり増額しているが、流動性供給入札を月1,000億円増額する。
増額のタイミングは、できるだけ一月当たりの増額を大きくしないことを考慮し、12月からではなく11月からとし、早期に発表していただきたい。
・増額の金額は、個人向け販売の下振れ分2兆円と、物価連動債及び15年変動債の振り替え分6,000億円を合せて合計2.6兆円と考えている。年限別の内訳は、1年T-Bill及び2年債を月2,000億円増額、5年債を月1,000億円増額する。流動性供給入札については、5~15年ゾーンを月1,000億円増額と考えている。
基本的な考えとして、2次補正予算と、来年度予算を念頭に置く必要があるが、補正予算による増額は、予算案が国会を通らなければ発行できず、発行のタイミングは2月、3月に集中することが見込まれるため、30年債を3月に1回追加発行し、あとは6ヶ月T-Billで調整し、さらに不足分は、前倒債の取り崩しという順で対応すべきと考える。よって、残り月数が4~5ヶ月あるうちは、毎月発行分を増額することで対応し、2次補正予算に向け、ある程度の余裕を持っておく必要がある。
流動性供給入札については、来年度の国債発行計画の議論等で引き続き今後の在り方を整理する必要があるが、足元のイールドカーブがスティープ化していることや、購入したいが、なかなかコアな投資家がいない10年ゾーンはやや不安があるため、あくまでも来年3月までの緊急避難的な措置として、5~15年ゾーンを増額しておき、来年4月以降この水準の発行が続くのであれば、今度は減額し、10年ゾーンの増額で対応するといった方法が短期的にはよいのではないか。
一方、流動性供給入札の増額ではなく、短期ゾーンにもう少し集中的に増額するという考え方もあり、1年T-Billと2年債を月2,000億円ずつ増額した上で、来年の2、3月には、6ヶ月T-Billを3~4兆円発行する方法も考えられる。しかし、日本銀行の金融政策について、今後も企業金融支援特別オペを継続するかどうかへの懸念から、足元では短期マーケットもやや不安定な状態にあり、万一、短期、中期のところの需給が崩れると、イールドカーブ全体が上方にシフトするというリスクもあるため、バランスよく配分した方がよいのではないか。
・物価連動債及び15年変動債が今年度発行されないことを踏まえ、2.3兆円の増額が必要と考える。基本的には、比較的需給がしっかりしている中短期債を中心に増額し、流動性供給入札で調整するという考え方である。
具体的には、2年債を月2,000億円増額し4回、5年債を月1,000億円増額し5回、流動性供給入札を2ゾーンとも1回1,000億円増額し10回としてはどうか。
流動性供給入札の増額は、あくまでも今年度限りの緊急避難的な措置として考えている。5年~6年ゾーンの需給は比較的しっかりしており、業者間の流動性供給に対する準備はそれなりにできているため、1回1,000億円の増額はそれほど影響はないと考えているが、来年度に向けては、流動性供給入札の在り方を考え直し、今後の方向性を議論すべきであると考えている。
・個人向け販売の下振れ分として総額1.8兆円の振り替えを想定しているが、2年債を月2,000億円増額し4回、5年債及び10年債をそれぞれ月1,000億円増額し5回でよいのではないか。
15年変動債と物価連動債については今年度は発行が難しいと思われる。この振り替えについては、生保等においては長いゾーンに対するニーズがあると聞いており、また、償還年限のことを考えると、30年債を3月に1回追加し6,000億円発行することでよいのではないか。
流動性供給入札については発行額もかなり増えてきているため、さらに増額するのであれば在り方についての議論をもう少し経てからにすべきではないか。
・増発回数が5回ではスケジュール的にタイトであり4回を前提とするが、1年T-Bill、2年債、5年債、10年債をそれぞれ月1,000億円増額し、さらに20年債あるいは30年債で月1,000億円増額、また2年債については月2,000億円増額しても消化可能と思われる。これにより総額は2.4兆円から2.6兆円となる。
流動性供給入札に関しては、もう少し議論が必要ではないか。確かに流動性供給入札により需給のタイト化が緩和されているということはあるが、逆に荷もたれ感となってしまう可能性もある。今後の増発、さらに来年度以降の増発に向けてさらに議論が必要ではないか。
15年変動債、物価連動債に関しては、現在のマーケット環境からすれば、当然発行は難しく、発行取り止めについて早いうちにアナウンスすべきであると思う。この振り替えに関しては、30年債を3月に発行できるのであればそれで構わないとは思うものの、まだ議論が必要とも考えている。
・個人向け販売の下振れ分を総額1.7兆円と想定しているが、足元の日本銀行の潤沢な資金供給による緩和的な環境によって中期ゾーンに増額余地があること、また30年債、40年債には絶対的な平準バイヤーがいることを考えて、2年債を月2,000億円増額し4回、5年債を月1,000億円増額し5回、30年債及び40年債をそれぞれ1回当たり1,000億円増額し2回としてはどうか。
物価連動債と15年変動債についても発行は見送り、これらの振り替えについては30年債を3月に1回発行するという対応でよい。
・個人向け国債等の振り替えに関しては、日銀の金融政策のサポートがある短期ゾーンで振り替えればよい。具体的な上乗せ額は1年T-Billと2年債をそれぞれ月2,000億円増額し5回、5年債を月1,000億円増額し3回と考えている。
物価連動債と15年変動債に関しても、今回発行取り止めを早期に打ち出すということは、マーケットにとっては比較的サポート材料になると思う。なお、物価連動債に関しては、来年度以降も当局の方で発行に対するコミットを表明した上での早目の振り替えという形を取ってもらいたい。その分の3,000億円として年明けから10年債を月1,000億円増額し3回とし、総額で2.6兆円の振り替えを考えている。
・金利が低位安定していること、あるいは今後の増発を考慮に入れると、中短期債を中心に増額余地があると思われる。振り替え額を総額2.4兆円と考え、内訳としては1年T-Bill及び2年債をそれぞれ月2,000億円増額し4回、5年債及び10年債を月1,000億円増額し4回と考えている。
物価連動債及び15年変動債については発行取りやめを既にマーケットは織り込んでいると思われるため、早めにアナウンスした方がよいのではないか。
・1年T-Billを月2,000億円増額、2年債、5年債及び10年債をそれぞれ月1,000億円の増額と考えている。各4回とすると振り替え額の総額が2兆円となり、5回ということであれば2.5兆円になる。
30年債を3月に追加発行することについては、期末月の発行は元々消化に不安があるため外していたという経緯があり、期末のマーケット波乱要因として負担をかけない方がよいのではないか。
・個人向け販売分の振り替えについて、2.5兆円を前提として議論するとした場合、今のタイミングや金融政策を含めたマーケットのコンディションを考えると、ボラティリティーの小さいものを厚めにした方がよいと思う。具体的には、1年T-Bill及び2年債は月2,000億円の増額、5年債及び10年債は月1,000億円の増額とし、回数については、4回あるいは5回としてはどうか。また、この議論の前提として、第Ⅱ非価格競争入札の進捗の見込みは、どういった位置付けになるのか。
(これらの議論に対して、理財局から以下のとおり発言した。)
・第Ⅱ非価格競争入札については、現状において実績が計画を上振れしているが、市場環境等によるので基本的に据え置くことを考えている。
流動性供給入札の在り方について、複数の方からご指摘があったが、流動性供給入札のほか国債管理政策全般について、現在、国の債務管理の在り方に関する懇談会において議論を深めることとしている。
もちろん本会合での議論を排除するということではなく、今後も四半期見直しや、来年度の発行計画の議論の際等に議論していただければと思う。
(2) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
出席者から出された意見等の概要は以下の通り。
・長期金利については、この下期が始まる前には、10月に1.35~1.4%位まで小幅上昇し、11月に揉み合った後、12月に低下という流れを想定しており、足元ではブルフラットニングの修正の動きがみられるが、その想定に沿った動きとなっている。月々の発行と償還のバランスでみると、9月に比べ10月と11月はかなり悪くなる方向にある。さらに、本日のテーマである11月からの個人向け販売分の振り替えのほか、新政権下での2次補正、来年夏の参院選に向けた経済対策、日本銀行の企業金融支援特別オペの継続性の有無など、市場の動きを左右し得る要因が何点かあり、10月はやや金利が上がりやすいと考えている。ただ、12月になれば、多額の国債償還や年金支給等により市場での資金余剰が見込まれるほか、景気回復の息切れや円高進行によるファンダメンタルズ面の影響もあり、金利には低下圧力がかかると考えている。
来年度の国債発行計画において、現在の市中発行ペースから更に増額が必要となるのかが焦点であり、12月に具体的な見通しが出るまでは、金利が大きく低下する環境にはならないと考えている。さらに、海外マクロ系ファンド等には、目先の国債発行よりも2011~2012年度までの財政運営を展望し、2010年度にある程度高水準の国債発行が維持され、その先にも一段と国債が増発されると、将来的には日本国債の格下げもあり得るとの見方で、売りを仕掛けてくるところもある。従って、新政権によって示される2011年度以降の中期的な財政の展望も非常に大きな焦点になっている。マーケットの人間としては、新政権には、財政再建に向けた姿勢を決して先送りせず、ある程度の姿を早期に見せてほしいと考えている。
・景気は引き続き悪い状況だが、一方で国債の需給も決してよいわけではないため、国債相場もレンジの中での動きとなっているのではないか。この先国債が増発され、需給を材料に一時的に相場が振れることはあっても、暫くはそのような構図が続くとみている。中長期的にも、資金循環を考えれば当面の増発は吸収できるとは思うが、不安定な均衡の上にあるという感じもする。特に入札においては、海外投資家による売買が少なくなる中で、国内投資家による寡占化のような状況になっており、大口投資家のスタンス次第で大分振れやすくなっている。ちょっとしたきっかけでテールが流れることが最近あるので、これに増発や期末要因が重なってくると決して盤石な状況ではないというリスクは残っていると思う。税収減に伴い年明けから増発になると思うが、不測の事態にも機動的に対処する方策を早目から想定する必要があると思う。
海外勢の動きについては、今年度収益が上がったヘッジファンドも多い中、その余裕資金を、来年度以降に長期金利が急騰するシナリオに基づくオプション買いに充てている向きがある程度で、全体的に金利上昇シナリオを描いているとは思わない。仮に、動きが早い海外投資家がこうしたシナリオにより短期的に儲けた場合には、その後には必ず買い戻すはずなので、結局はレンジの中での動きが変わることにはならないと思う。
・年末にかけての需給を展望すると、需要サイドは金融機関が資金余剰である一方、供給サイドでは今のところ新政権下での国債発行が見えづらいこともあり、市場には不安感がある。2次補正や来年度予算の輪郭が見えるまでは、そのような不安感が残るため、長期金利は1.2%台~1.4%台での推移が続くだろう。しかし、年末に予算案が固まり国債需給の不安感が払拭されれば、需要サイドの動向次第では年明けに金利が急低下することもあると考えられる。
しかし、新政権の政策への懸念は持っておくべきである。すなわち、新政権の政策は企業のコストを高めかねないものであり、家計部門への支出の結果、使われないお金が多くなるおそれがある。これらはどちらかと言えば期待成長率を下げる方向にあり、金利への影響としては相殺関係にあるが、財政が悪化していくことへの懸念は今後も議論されるだろう。
国債発行については、来年度はあまり心配していないが、2011年度、2012年度も国債発行が増えていくと、現在のような需要サイドの余資もなくなると考えられ、市場が国債を消化できるかは不透明である。その場合でも、長期金利が、現在の1.5%割れの水準からその前のコアレンジである1.5~2.0%に戻るだけかもしれないが、海外勢の仕掛け的な売りは長期的には間違っていないという印象も受けるので、本会合や国の債務管理の在り方に関する懇談会なども含めて丁寧に議論する必要がある。
このところの入札がやや不調である点は、マーケットのリスクが少し高まっていることを意味するかもしれないので、今後も更に発行量が増えていく中では配慮が必要であろう。
・速いペースで発行額が増加しているが、現在のデフレ基調やその他の経済環境を考えると、短期的にはそれほど心配する必要はないのではないか。しかし、4~5年という長いスパンでは、今後の国債発行の増加のほか、経済が好転した際の需給のアンバランスによる影響も懸念され、より木目細やかな対応が必要だと思う。過去には、国債金利の急騰に賭けた海外勢の動きは裏切られ、実際に金利上昇したことはなかったが、5~10年の長いスパンでは侮れないかもしれない。
・このところ、財政や国債増発を材料にした相場展開となり、投資家は割安な年限を買っても入替えで別の年限を売るので、上値が重くなっている。今後については、個人向け販売分の振り替えについては大体方向感は出てきたが、振り替え後の発行額が市場で円滑に消化されるかは見極める必要はある。また、2次補正や来年度の発行計画についても暫く全容が掴めないとすれば、霧が晴れない状況が続くだろう。
・もっとも、本年6月を振り返ると、下値を売ったり、安値で買いそびれ、その後金利が急低下して後悔した記憶も市場参加者には残っているので、資金余剰の状況や景気見通しに大きな変化がない限り、一方的に金利が上昇することは無いだろう。具体的には、長期金利は1.2%~1.5%程度でのレンジ相場が継続すると考えている。
・今後も金利は低位安定が続くとみている。このところ、税収減、2次補正、新しい政策等の話題が先行し、国債の全体的な需給の方は未だ見通しづらいこともあるため、財政に関する展望がしっかりと示されることを期待している。国債の需給に対する不安が燻ると、無用な金利の変動を招くこともあるほか、海外にも必要以上に影響されることにもなりかねないので、重要な問題であると考えている。
・このところの財政の悪化懸念を材料に国債の相場を崩す動きは、本年4月に16.9兆円の国債増発が決まった後にみられた動きと同様であるが、その時は結局レンジの範囲で金利は落ち着いた。こうしたことを踏まえると、次の国債増発についても売り材料になり得ないというのが市場の大勢の見方ではないか。
しかし、前回は増発の決定から実際の開始まで3ヶ月程度の期間があり、市場が織り込む時間が十分にあったことが、スムーズに消化された理由の一つではないかと考えている。物価連動債と15年変動債への計上分の振り替えのほか、2次補正に伴う増発を年度内に行う場合には、4月の1次補正時の増発対応よりも市場が織り込むための時間は短くなるので、その部分は注意が必要だろう。
・短期金利については、日本銀行の企業金融支援特別オペが中止されても、その分の資金供給が共通担保オペに置き換わるとすれば、0.1%での調達が0.13%程度に上昇するだけと考えられる。CPの金利が極端に低い水準で推移している現状をふまえれば、それが正常化に向かったとしても、市場の波乱材料にはならないだろう。むしろ、貸出などはクレジットリスクを取っているので、それに見合うリターンが必要であるともいえる。
長期金利の方は、国債の需給が材料になっても、需要と供給の均衡点を探すための動きだけであり、最終的にはファンダメンタルズの見方を反映した水準に落ち着くと思う。そして、今の若干デフレ気味の状況を考えると、大きく金利が跳ね上がることはないだろう。また、2002~2003年にかけて、金利が大きく低下した後のいわゆるVaRショックと呼ばれる金利急上昇の経験をふまえ、市場において金利の絶対水準を見ながら投資が行われるとすれば、金利はレンジ内で上下する展開になるだろう。
・日本国債のほか、米国債など外国の国債も一緒にオペレーションしていることもあり、両者について言えば、日本国債の相場は基本的にはレンジの中での動き方をするとみているが、最近は外国の国債の相場についても同様にレンジ感がかなり強まっている感じがある。そうした中、将来いずれかのタイミングでFRBの金融政策の動向等の影響によりそのレンジを離れることがあると、日本国債も何らかの影響を受けることが考えられるので、海外の動向も慎重に見ていきたい。また、我々は本会合等を通じて発行当局と対話をしながら財政や国債管理政策に対する安心感を持つことができる一方で、海外ファンド等の中には、メディアを通じた一部の報道を受け取り、中長期的な財政政策の展望を正確に理解していない、または不透明な印象を持っている向きもあるため、最近のような長期金利の動き方になることもあるのではないか。
・新政権の下での来年度の国債発行計画がどのようになるか市場関係者として大変強い関心を持っている。ただ、歳出に関する話題の方が多く、歳入をどう確保するかという話題があまり聞こえてこない印象があり、今のところ不透明感はある。銀行の預超構造は全く変わっておらず、市場全体として資金は潤沢にあるが、リスクがどの程度許容できるかは別の問題である。そうした中で、5年債が0.6%台、10年債が1.3%台という現在の金利水準は、リスクプレミアムまで考慮すると低いという見方もある。当面は、金利水準等を慎重に見極めながら運用する環境が続くとみている。基本的にはレンジの中で動くと思うが、リスクプレミアムがもう少し織り込まれた所で需給が均衡すべき局面にきている。
連絡・問合せ先:
財務省 理財局 国債業務課 鈴木・橋本
電話 代表 03(3581)4111 内線 5701
出典:財務省