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auctions / pd / m / 28 — 2009-09-11

国債市場特別参加者会合(第28回)

開催日2009-09-11
場所第3特別会議室
議題
(1) 平成21年10-12月の流動性供給入札について〔参考配布:資料1〕
(2)平成21年10-12月の買入消却入札について〔参考配布:資料2〕
(3)理財局からの報告事項〔参考配布:資料3〕
(4)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
原文財務省サイトでは公開終了(本ページはアーカイブから復元)

配布資料

資料1PDF
資料2PDF
資料3PDF

議事要旨

冒頭、理財局長より、以下とおり挨拶を行った。

・国債発行当局にとって、本会合は継続的な「市場との対話」のための大変重要な場であると承知している。

国債管理政策の基本的目標は恐らく普遍的なものであると思うが、それらをどのように達成するかについては、その時々の様々な考え方、状況に即し、理財局としても日夜腐心しているところである。

そのような観点から、国債発行計画については、市場のニーズ、動向をその都度踏まえたものにしており、様々な手段で流動性の向上を図っている。本会合では、平成21年10-12月の流動性供給入札及び買入消却について議論するとともに、併せて国債を巡る環境についてもご意見あるいはご助言をいただければと思う。

なお、近日中に新しい内閣が発足する運びとなっている。今後は、新しい内閣、新しい大臣の下で国債管理政策の運営に当たることになる。ご意見、ご助言もそうした流れの中で受け止めていきたいと考えている。

(1) 平成21年10-12月の流動性供給入札について〔参考配布:資料1〕

はじめに、理財局から、平成21年10-12月の流動性供給入札について、以下のような説明を行った。

流動性供給入札については、本年7月から発行額を毎月6,000億円に増額したが、6月の前回会合におけるご意見等を踏まえ、残存5~15年のゾーン及び残存15~29年のゾーンを対象に1回当たり3,000億円ずつの方式で実施している。

まず、最近の流動性供給入札の結果について資料を用いてご説明する。資料1-1は、昨年4月以降の流動性供給入札について、対象残存期間の長短の別に左右のグラフに分け、応募状況を示したものである。このうち本年7月以降の状況をみると、残存5(6)~15(16)年を対象とした入札では、発行増額後も応募額が順調に伸び、折れ線で示した応募倍率は3倍以上で安定している。一方、残存15(16)~29年を対象とした入札は、直近の9月に漸く応募額が大きく増えたものの、7・8月の入札では応募倍率が2倍程度まで低下した。次に、資料1-2は、各入札の募入平均利回り較差とテールの状況を示している。募入平均利回り較差には、入札当日前場の相場全体の動きも加味されるため、単純には比較ができないが、最近の入札をみると、残存15(16)~29年を対象とした入札においてプラスの較差での発行が目立っている。また、テールの状況も7・8月はやや長くなっており、残存15(16)~29年の入札が市場にとってやや重かったような印象も受けている。

以上、最近は全体的に対象残存期間が長い方の入札がやや低調であるということも踏まえ、10-12月の実施方式についてご意見を頂きたい。資料1-3には、論点1.として基本的なゾーン区分と発行金額について、議論を整理しやすくするために、予め案を幾つか提示している。①の「現行維持案」は7-9月と同様の方式、②の「金額調整案」は、現状の2ゾーンを維持し、各ゾーンの最近の応募実績額に照らして応募倍率が均等になるように、対象残存期間が長いゾーンⅠの発行を減額し、その分を対象残存期間が短いゾーンⅡの発行に上乗せする方式、③の「ゾーン調整案」は、1回当たりの現状の発行額を維持し、ゾーンⅠとゾーンⅡの境目を残存期間の短い方に移動させ、ゾーンⅠの対象を拡大する方式、④の「3ゾーン案」は、現在は対象外としている残存3~5年を含むゾーンを新設し、1回当たり2,000億円の規模で月3回の入札を実施する方式である。勿論、それ以外の案もあるかと思う。論点2.としては、6月の前回会合の席上でご要望が出された40年1回債の対象化を挙げている。

出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

・当社は流動性供給入札には積極的に応札していないが、流動性供給入札は元来スクイーズされている銘柄の価格を正すことを目的とした入札と捉えている。しかしながら、残存15~29年ゾーンを対象とした入札において、平均利回り較差がプラスとなり応募倍率も低下傾向にあることが示すように、やや供給過多ではないかという懸念を持っている。したがって、当面の対応としては、②の金額調整案を希望する。

また、より長い目で考えれば、流動性供給入札の目的を再定義する必要があると感じている。本年度は前例のない増発が行われ、流動性供給入札に増額分を振り向けたが、元来のスクイーズ解消、市場是正という目的に戻すのか、あるいは将来的にスポット発行手段へと変貌させていくのか、この点の検討についても市場参加者として加わっていきたいと考えている。

40年債についてはスクイーズの解消という観点から対象化する考え方もあるとは思うが、対象化には反対である。セカンダリー市場では40年債の取引は非常に散発的であり、安定した投資家層が形成されているとは言い難い状況にある。市場が活発化し、入札方式もイールドダッチ方式から価格コンベンショナル方式へ移行することが可能となる段階まで対象化を待つべきではないかと考える。

・②の金額調整案を希望する。直近の超長期ゾーンの入札では応募倍率は高かったものの、当該ゾーンの方が需要がやや弱い印象を持っている。直近の入札の応募倍率を合わせて勘案しても、発行額はゾーンⅠを2,400億円、ゾーンⅡを3,600億円へ変更した方がよりニーズにマッチするのではないかと考える。

40年債については投資家層がまだ広がっておらず、市場の育成が不十分であると思われるため、対象化については見送るべきである。

・流動性供給入札については、日銀の国債買入れオペと同様の区切り方とし、10年以下のゾーンと、10年超のゾーンの二種類に分ける方法が望ましい。ただし、この方法だとオファー銘柄が60銘柄を超えてしまうことから、次の2通りの案を提案したい。

第1案としては、それぞれのゾーンについて国債市場特別参加者に事前アンケートを実施し、必要な銘柄を選定する方法である。但し、年限が偏ってしまうことで、逆に歪みが発生してしまう可能性もある。それを解消するための第2案としては、まずゾーンⅠについて20年55~110回債のうち同償還銘柄の中から一銘柄ずつ(29銘柄)、30年1~30回債(30銘柄)及び40年1回債(1銘柄)の合計60銘柄とする。ゾーンⅡは、5年54~82回債、10年227~300回債及び20年40~54回債のうち、各々について同償還銘柄の中から一銘柄ずつ(それぞれ13銘柄、33銘柄、11銘柄)を選定し、合計57銘柄とする。③のゾーン調整案に近いが、なるべく超長期ゾーンとその他のゾーンに分けることが望ましい。

流動性供給入札は、これまで発行額が非常に小さかったが、前回の増発の際に1回当たりの金額が3,000億円まで増額され、それなりの発行額になっている。しかしながら、入札に向けたマーケット参加者の準備があまりされていなかったことが、ここもとの応募倍率の低下に繋がっているのではないと考えている。落札の可能性が高まるかどうかという観点からすれば、流動性供給入札をある程度主要な調達手段として捉えることにより発行額を増やすことで、参加者もそれなりに準備をして入札に臨めると考えられる。

・②の金額調整案でお願いしたい。超長期ゾーンについては、各年限とも今年度から発行額が増額され、入札の都度重みが増している。それに加え、流動性供給入札で超長期ゾーンに3,000億円の供給があるというのは、正直厳しいというのが実感である。こういった状況はマーケット環境や金利水準によって変化し得るものではあるが、向こう3ヶ月の見通しでは、今の状況に大きな変化はないと考えている。また、超長期ゾーンについては、新発を中心としたカレントゾーンに投資家の買いが集中する傾向がある一方で、10年以下の、例えば6年、8年、9年といった年限に投資家の大口の買いが入ることも珍しくなく、ゾーンⅡについては、多少の増額余地はあるのではないか。

40年債の対象化については時期尚早であると考えている。新規の発行額がまだ少額であり、現状は投資家を広げていく過程であると考えている。そういった中で流動性供給入札の対象となると、少しずつ育ててきたこの40年債のマーケットを壊してしまうリスクがあるのではないか。今後1年、2年と継続発行し、マーケットが広がってきた段階で考えればよい。

・①の現状維持案でよいのではないか。7・8月のゾーンⅠの入札は比較的テールは長かったが、発行額に対してマーケットが慣れていなかったことや、夏場のお盆の週で市場参加者が薄い中での入札ということも影響したのではないか。それに対してマーケットの厚みもある程度戻り、習熟してきた9月の入札は、かなりしっかりしている。超長期ゾーンのカレントの需要は引き続き旺盛であり、特に30年債については、発行額の少ない銘柄のクーポン特性による新規のニーズはそれなりにあるため、現状のまま様子を見てもよいのではないか。

40年債は対象に加えてほしい。現状ではマーケットのリクイディティは少し細いが、逆に細いが故に40年1回債を更に投資したいという投資家はいる。

・①の現状維持案を希望する。3,000億円に増額してから数回の入札しか行っておらず、それで判断するのはやや早いと思う。もう少し今のルールで入札を行ってもよいのではないか。

40年債については対象に加えてほしい。現状では流通量があまりない状況であり、流動性が乏しいからこそ加えてもよいのではないかと考えている。

・超長期ゾーンは10年以下の年限に比べると若干ボラティリィティが高いという部分はあるものの、現状のマクロ環境等が超長期ゾーンにネガティブであるということは否めない事実であり、若干の減額対応が望ましい。こうしたことから、②の金額調整案を希望するが、①の現状維持案でも問題はないと思っているため、②の案ではゾーンⅠが2,400億円、ゾーンⅡが3,600億円となっているが、比率をもう少しゾーンⅠに戻し、2,500億円や2,600億円としてもよいのではないか。

40年債については特段の需要がないと思っており、今のところは対象に加える必要はない。

・基本的には①の現状維持案を希望するが、②案で示されている程度の金額調整であれば、それほど差があるとは思えないため、意見が多ければ②案でも全く問題ない。

40年債についてはできれば対象としてほしい。買い手は見えるが、売り手がそれほどいるとは思っていない。

・現状の入札結果に関してはそれほど問題視していない。①の現状維持案で問題ないと考えているが、残存5~15年の対象ゾーンのニーズが強いことは事実であることから、丁寧な調整がなされた②の金額調整案がよいのではないか。中短期ゾーンは銀行のアクティビィが高く、超長期ゾーンは生保のアクティビティが低かったことが入札結果に反映したのではないか。今後、システム対応が進んでくる中で入札結果の発表時刻がもう少し早くなれば応札倍率等も改善されると思う。

また、流動性供給入札についてはその位置付けを見直す中で応札・落札に義務を課すことも議論になってくるのではないか。発行当局にとっても市場のニーズにマッチした発行を行えば発行コストが低減され、業者としてもB/Sのコントロールがしやすくなる。流動性供給入札の二―ズを踏まえて、もう一度議論をするタイミングではある。

40年債については30年債の発行当初と比較すれば、投資家の買いが早く、マーケットの立ち上がりも早いと思う。しかし、現状ではまだ新発債の発行を増やしていくというステージであると思っており、流動性供給入札の対象としなくてよいのではないか。

(この発言に対して、当局から以下のとおり回答した。)

・流動性供給入札の結果発表時刻の繰り上げに向けたシステムの開発に関しては、8月に開発業者の選定の入札を終え、本格的な開発作業に着手したところであり、今年度中には発表時刻の繰り上げを実現させるという方向で準備を進めている。

・独自の案としてゾーンを3つに分け、④の3ゾーン案に近い形がよいと考えている。ゾーンI、Ⅱは現状通り行い、Ⅲとして新たに中短期ゾーン(具体的には残存2.5~4.5年)を加える。入札回数の増加によって事務負荷は増加するが、月に1回でありマーケットとしては問題なく対応できる。中短期ゾーンにもタイトな銘柄があり、追加発行を行うことによって市場の流動性を高め、マーケット全体の効率を高めることができる。金額は合計6,000億円で各ゾーン2,000億円ずつがよい。

40年1回債の対象化については、ゾーンの中で40年1回債だけが特別に発行されるわけではないので、対象化によるデメリットは限定的であり対象銘柄に加えて欲しい。

・流動性供給入札については、当社の意見は④の3ゾーン案であり、実施するとすれば今後増発を行う時がよいと考えている。例えば全体で9,000億円、内訳は短いゾーンから順に3,000億円、3,000億円、3,000億円といった形や8,000億円で3,000億円、3,000億円、2,000億円などといった形で対応できるのではないかと思っている。流動性供給入札の理論武装を考え直すということもあるのかもしれないが、既にゾーンに対する流動性の供給から、銘柄に対する流動性の供給という形に移行し、対象年限も5~29年までと拡大しているので、全体へ年限を広げるほうが自然ではないか。

(ここまでの議論を踏まえ、当局から以下のとおり発言した。)

ゾーン区分の議論以外に、そもそも流動性供給入札の趣旨をどう捉えるべきかとのご指摘に関しては、発行当局としても同意見である。当初は構造的にイールドカーブが歪んでいるゾーン(11~15年)に限定して流動性供給入札を実施したが、対象銘柄を増やすことが可能となったため、考え方を広げ、構造的に不足している銘柄を対象に切り替えて実施してきた。更に、国債全体の発行額が増える中で徐々に増額し、今年度は、平年度ベースで7.2兆円まで増額した。発行当局として開始時点の理屈に固執しなければならないことはないが、資金調達手段の一つのツールとしての位置付けにするということであれば、応札・落札義務の議論も出てくる。流動性供給入札の位置付けについては、今後、議論していきたい。

(2)平成21年10-12月の買入消却入札について〔参考配布:資料2〕

理財局から、平成21年10-12月の買入消却入札について、以下のような説明を行った。

買入消却については、市場の状況や6月の前回会合でのご意見を踏まえ、物価連動債及び15年変動債を対象に引き続き積極的に行うこととし、7-9月計で物価連動債は6,800億円、15年変動債は3,200億円の合計1兆円の規模で実施することとした。

まず、市場動向や最近の買入消却入札の結果について資料を用いてご説明する。資料2-1は物価連動債市場の動向をグラフにしているが、BEIの状況をみると、6月の前回会合時から改善しており、BEIは▲1.2%程度となっている。

この間の物価連動債の買入消却入札の状況について、資料2-2及び資料2-3で整理している。資料2-2は、応募状況とその時々のBEIの状況を示しているが、応募額は入札毎に増減があり傾向を見出すのは難しい。BEIが上昇した時の入札では応募額が増加し、その後BEIが横這う中では応募額は徐々に落ち着き、そしてBEIが更に上昇すると応募額が再び増加するような形で、BEIの回復に合わせて増減する様子も窺える。資料2-3は、買入平均価格較差とテールの状況を示しているが、6~8月にかけて応募額がやや低下した入札では、平均価格較差のプラス幅が拡大し、テールが長くなることもあった。

次に、資料2-4では15年変動債市場の動向をグラフにしているが、実勢αは、いわゆる理論価格による会計処理が可能となったことなどにより着実に回復し、昨年9月のリーマン・ブラザーズ破綻時よりも高い水準になるなど、こちらも6月の前回会合時から改善している。

この間の15年変動債の買入消却入札の状況について、資料2-5及び資料2-6で整理している。資料2-5は、応募状況を示しているが、ここ数回の入札をみるとこちらはやや減少基調にあるように窺える。資料2-6は、買入平均価格較差とテールの状況を示しているが、最近は買入平均価格較差が徐々に上昇し、テールがやや長いケースもみられる。

物価連動債については、積極的な買入消却の結果、ピークである昨年8月発行後には約10兆円あった残高は今月末には7兆円を切る見通しで、7-9月の買入消却の規模は市場残高対比で約1割に当たることや、15年変動債については、実勢αが昨年5月の48回債発行時よりも高い水準まで上昇していることなどを考慮すると、10-12月は総額1兆円を下回ることもあり得るのではないかとの問題意識を持っている。

もっとも、物価連動債と15年変動債の買入消却を積極的に行うという基本姿勢を変えるつもりはなく、今回の会合でのご意見も踏まえて慎重に判断してまいりたい。また、物価連動債については、本年度の発行計画の中に盛り込んだ、「償還時の元本保証等を含めた商品性の見直し」など国内投資家の投資促進へ向けた対応も、現在の市況では早期の実現は難しいと見込まれるが、今後の状況を見つつ続けていくつもりである。

最近の市場の状況や中長期的な展望も踏まえて10-12月の買入消却の対応についてご意見を頂きたい。

出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

・7-9月期の買入消却についてはその存在が市場に安心感を与え、価格の正常化に大きな効果があったと捉えている。一方で、バリューの安さを見て新規の投資家が現れたわけではないので、10-12月も同額の買入消却額を維持するのが好ましい。物価連動債、15年変動債について価格急落における緊急対応として多額の買入消却を行った以上、将来的にはその出口も意識しなければならないが、9月に実施した物価連動債の買入消却入札のように出口戦略が意識されてくると入札結果に影響してくるため、発行当局に対してはそのあたりも考えて市場とのダイアログをお願いしたい。

・物価連動債、15年変動債は昨年のように差し迫って投げ売らなければならないという投資家はほとんどいないが、買入消却入札のタイミングで売りたいという投資家のニーズは潜在的に多い。マーケットでは買入消却があるという安心感を前提に価格が形成されており、売るタイミングを待っているという状況である。そういう意味ではマーケットのプライス自体がこの買入消却を折り込んだものとして形成されており、この状況に影響を及ぼすような変更は今の段階では好ましくない。特に12月、3月は決算を控えていることもあり、ここで大きな影響を与えるような変更は避けた方がよい。

水準に影響を与えない微調整程度の減額はあり得るかもしれないが、明確に5~10%程度の減額が可能かどうかは分からない。仮に減額を行う場合には、今後も引き続き積極的に買入消却を行うというコミットメントを示す必要があると思う。物価連動債については価格が安い間は積極的に買入消却していくのがよいのではないか。

・物価連動債と15年変動債の買入消却は10-12月も現状と同額としてほしい。店頭では潜在的に売りたい投資家が引き続き確認されており、買入消却入札に合わせた投資家の売りは依然ある。価格の正常化が進んでいるとは思うが、依然として割安であることには変わりなく、買入消却は引き続き実施してほしい。

・物価連動債と15年変動債に対象を絞った買入消却を実施するようになって、この両市場に安心感を与えた結果、価格がやや正常化してきていることから、買入消却は非常に意味のある施策だと考えている。

基本的に物価連動債も15年変動債も、買入消却があることを前提にマーケットが安定している。将来のマーケットに対する不安を大きくしないことが一番大事であり、買入消却は現状のままでよいと考える。現状の買入消却の入札結果からみれば、若干調整の余地はあるかもしれないが、仮に調整をするのであれば、微調整にとどめるのが望ましい。大きく調整すると、急激に減額されるかもしれないといった思惑が生まれ、将来への期待が不安定になるのではないか。また、物価連動債は今後を見据え、フロアの付与等を含めた新しい商品を発行することを目指すべきと考えており、丁寧な調整が必要であろう。

15年変動債は、物価連動債に比べてマーケット規模が大きいが、理論価格を採用している投資家も多いので、買入消却を現状から大きく増額しなければならない状況ではない。引き続き、現状程度の買入消却を継続していただきたい。

・資料にある物価連動債の実質利回りや15年変動債の実勢αの推移を見ると分かることだが、多くの投資家が過去に両方の国債を購入した水準を考慮すると、これまで塩漬けにしていたポジションについて、漸く売却を検討できる水準に近づいてきたという感じである。最近は市況が改善しているが、15年変動債の方はいわゆる理論価格には達しておらず、物価連動債のBEIも市場で聞かれる予想インフレ率よりも低い▲1.2%であるなど、両方とも割安な状態は続いているので、現状の規模での買入消却を希望する。

財源が厳しい中で、買入消却の減額の可能性を検討し始めるのは、もっともな考えではあるが、現在の利付国債の発行と物価連動債や15年変動債の買入消却の関係は、利回りが低い国債を発行しながら、利回りの高い割安な国債を買い入れるものであるから、コスト低減の観点からも有効な手段であると認識している。

・現状の規模での買入消却を希望する。本年は、イールドカーブの歪みもなく、ボラティリティも低く、国債も安定的に消化されるなど、市場が非常に安定している状態にあるが、その要因の一つには、物価連動債や15年変動債の買入消却の取り組みが、メッセージ性も含め市場の不安要素を払拭していることがあるだろう。従って、12月に向けたこの時期に買入消却の減額を打ち出すのは、アナウンスメント効果としても望ましくないのではないか。

・物価連動債や15年変動債を巡る環境については、発行当局による説明と同じ認識であり、次の四半期の買入消却は、物価連動債が毎月2,000億円で3ヶ月計6,000億円、15年変動債が3ヶ月計2,800億円の合計8,800億円まで減額するよう提案したい。勿論、物価連動債の毎月2,000億円が絶対というわけではなく、総額9,000億円前後にする選択もあろう。

本日の議題の中で、先程の流動性供給入札では超長期ゾーンの入札結果が低調であるので減額が望ましいという声が聞かれた一方で、買入消却の方は、市況が好転しているにも関わらず、現状の規模で継続すべきとの声があるのは、ややバランスを欠いているような印象を受ける。また、発行当局が、買入消却をやみくもに減額させるわけではなく、当面は年間4兆円の枠は維持するという姿勢だとすると、仮に減額して再び市況が悪化した場合には、再度買入消却を増額する判断もあり得るということを明示すれば、それで十分であると思う。

・物価連動債の買入消却は、残高の減少に伴って若干減らす時期にきていると思う。具体的な数字を挙げれば、全体で1割程度の減額は可能だと考えている。その中で、11月や12月は外国人投資家の決算期に当たるので、やや多めに配分するのがよいだろう。

・買入消却が市場に安心感を与えているというのは共通の認識だと思う。こうした中、物価連動債や15年変動債は依然として割安な状態で放置されているので、多少といえども敢えて買入消却を減額する必要があるのか疑問を感じる。まだ出口を議論する段階には至っていないと考えており、今まで通りの買入消却を継続して欲しい。なお、物価連動債と15年変動債の買入消却の金額については、実際の残高に見合った配分が望ましい。物価連動債はかなり残高が減っているので、物価連動債の買入消却を減額し、15年変動債の買入消却を増額すべきである。

(ここまでの議論を踏まえ、当局より以下のとおり発言した。)

・冒頭の説明でも申し上げたとおり、このタイミングで買入消却に対する基本姿勢を変えることは全く考えていない。本日の会合、さらに来週月曜日の投資家との懇談会等を踏まえて検討することになるが、仮に、例えば次の四半期で総額1兆円を少し下回ったとしても、この段階で年間4兆円の枠を削るというわけではなく、今後、昨年のように価格が急落するようなことがあれば、機動的に増額するなどの対応を行いたいと考えている。

(3)理財局からの報告事項〔参考配布:資料3〕

理財局から、以下の事項について説明を行った。

○ 海外IRの実施状況

6月に実施した北欧IRの結果について御報告申し上げる。

6月15日(月)から6月22日(月)にかけて、北欧IRとしてストックホルム、オスロ、コペンハーゲン及びロンドンの4都市を訪問し、個別に投資家に説明を行った。

ストックホルム、オスロ、コペンハーゲンにおいては2度目、ロンドンにおいては7度目の実施となる。

個別の投資家への訪問については、年金などのリアルマネーの投資家を中心に説明を行った。もともとJGBのエクスポージャーがそれほど多いわけではないが、ポートフォリオの見直しの時期と重なったこともあり、IRのタイミングは良かった。また、物価連動債を保有している投資家からは、買入消却や今後の方向性などに関心が示された。

(4)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて

出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

・前回会合において、「アノマリーは信じたくないが、今年も6月が最も金利の高い月になると考えている。7月から増発となるものの、既に額は分かっている。市場参加者が懸念するのは常のことである。実際に増発が開始される前が最も金利が上昇しやすいのではないか。一方で、2003年に長期金利が0.4%台まで低下した頃よりも短期金融市場での余剰資金が多いような感覚もある。4月時点で国内銀行の公社債残高が過去最高の148兆円という統計などはその裏付けといえるのかもしれない。」と言ったが、そのシナリオに沿ってここまで動いており、今年はその流れが続くと思う。前回会合の前日の6月11日に長期金利が1.56%をつけて、それが天井となった後、7月には1.27%まで低下し、早くも供給サイドの懸念が払拭された。今後、色々な要素により市場での国債発行額が増えるかもしれないので、需給懸念は絶えずマーケットに存在するであろうが、7月の増発額を上回ることはないと思われるので、供給サイドをそれ程心配する必要はないと思う。「銀行貸出が伸び悩み、更に余資が積み上がることが見込まれる中、国債の需給懸念が払拭される局面がくると、市場が景気減速を織り込み始めるだろう」という見通しも前回会合で申し上げたが、成長率の数字自体に多少の振れはあっても、各種指標の中には減速感を示すものも出てきており、来年度に向けてそうした流れの中に入っていくと思う。

欧米の市場動向としては、米国においては国債が大きく増発されている中で、FRBが10月に国債買入を停止することから、需給懸念が持ち上がってもおかしくない環境にもかかわらず、市場は非常に安定している。この背景には、米国でも結局は銀行に資金が溜まっており、一方で増発されているのは国債だけであるので、米国の銀行の資産を国債が占めるようなことはなくても、ある程度それを買わざるを得ないという状況で、S&L危機の後に起こった展開と似ているのではないかとみている。米国であっても欧州であっても景気回復が鈍いのは共通認識であるため、今年度中は海外でも大きな金利変動はないとみているが、投資家の行動次第では金利が低下するような場合があっても不思議ではないと思っている。勿論、来年度も再来年度も同じ傾向が続くとは思えないので、将来的には金利上昇を意識しておく必要はあるだろう。

・前回会合の際には、国債増発に伴う財政リスクが金利上昇の要因になる可能性を指摘したが、その後の景況感の低迷、物価の下落、銀行の預貸ギャップの拡大、ボラティリティの低下などにより、実際には金利が低下するという展開となった。これは、国債が増発される時には景気は悪い状況であるため、金利は上昇しづらいという過去のパターンと同じ流れといえる。

5年債の金利水準をみると、量的緩和政策下の2002年7月から2003年6月を除けば0.4%が下限となっており、現在の0.5%台はかなり下限に近いのではないかとみている。

足元では、株高、債券高、コモディティ高のような金融商品全般の価格上昇の傾向がみられるが、金利の低下はリスク資産への資金の流入を促す要素になることを考慮すると、今後の金利低下が一段の株高などを招くことも想定される。しかし、それが逆に金利上昇のトリガーとなり、金利のボラティリティを高め、更に金利が上昇するといった悪循環が、12月頃から生じることも考えられる。向こう半年は、設備投資のサイクルが下向きであるので、景況感が著しく改善することは考えにくいが、過剰流動性による株やコモディティ価格の上昇により、金利にも調整圧力が掛かることはあり得るのではないか。

・基本的には金利の低位安定を見込んでいる。7月以降、財政出動による資金が銀行に還流し、銀行の余剰資金が短期から中期の国債に投資されている。今後、低金利によりアセットアロケーション効果等が生じない限り、こうした資金フローは維持されると考えられる。特段のポジションの偏りなどが生じない限りは、金利は比較的狭いレンジでの動きをすると見込んでいる。

・今後の金利は低位安定を見込んでいる。タイミングのずれはあるが、基本的には国債増発により財政から支出された資金が一巡して銀行に流入するという循環があり、その銀行が中短期の国債を中心に購入するため、国債発行の年限との違いによりイールドカーブにスティープ化圧力が掛かっていると理解している。こうした資金の流れが変わらない限り、大きな金利上昇は生じないだろう。米国も似たような展開が想定される。

連絡・問合せ先:

財務省 理財局 国債業務課 鈴木・橋本

電話 代表 03(3581)4111 内線 5701

出典:財務省