国債市場特別参加者会合(第66回)
| 開催日 | 2016-06-24 |
|---|---|
| 場所 | 財務省 第3特別会議室 |
| 議題 | 1. 平成28年7-9月期における物価連動債の発行額等〔参考配布:資料1〕 2. 平成28年7-9月期における流動性供給入札〔参考配布:資料2〕 3. 最近の国債市場の状況と今後の見通し〔参考配布:参考資料〕 |
| 原文 | 財務省サイトでは公開終了(本ページはアーカイブから復元) |
配布資料
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| 参考資料PDF |
| 資料PDF(未取得) |
議事要旨
○平成28年7-9月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。
・物価連動債の発行額については、P1のとおり、平成28年度発行計画において、年4回、5,000億円を発行することを基本としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、発行額を調整」するとされており、四半期ごとに、次回発行額等について、この場で御議論を頂いている。
・4-6月期においては、前回3月の本会合等における議論を踏まえ、需給バランスの改善及び流動性の維持・向上を図る観点から、P2のとおり4月の発行額を4,000億円に減額するとともに、4月と6月にそれぞれ200億円の買入消却入札を実施することとした。本日は、次の7-9月期における発行額と買入消却入札について皆様の御意見をお伺いするもの。
・P3は最近の発行入札の状況である。昨年度は7月以降、応募倍率が2倍台前半で推移してきたが、4月の入札では2.8倍となっている。また、P4に4月と6月に実施された買入消却入札の結果を示しているが、いずれも高い応募倍率となっているほか、買入最大価格格差もマイナスとなっており、相応の売却ニーズがあることが見て取れる。また、P5にBEIの推移を示しているが、4月の入札時点では、0.36%であったBEIがその後0.6%台まで回復している。
・こうした状況を受けて、本会合に先立ち、国債市場特別参加者や投資家の皆様から伺った御意見も踏まえ、7-9月期における物価連動債の発行額等について、P7のとおり、当局案をとりまとめた。
・まず、次回8月の入札における発行額については、4,000億円に据え置くことが適当という意見が大半であり、4月と同様、4,000億円としてはどうかと考えている。
・また、買入消却入札についても、市況の改善は見られるものの、継続することが適当との意見が強かった。一部に、物価連動債の日銀買入オペが6月から毎月2回の実施に変更となったことを受け、買入消却入札についても毎月実施に変更することを求める意見も聞かれたが、入札回数の増加に伴うオペレーショナル・リスクの増大を懸念する声もあったことから、引き続き隔月の実施とし、今期は、8月に200億円の買入消却入札を実施することしてはどうかと考えている。
・当局としては、物価連動債の市場を育成していくことは国債管理政策上の重要な課題と考えており、そうした観点も踏まえ、来期における物価連動債の発行額等について、国債市場特別参加者の皆様の御意見を承りたい。
○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・当局の提案に賛成する。
・当局の提案に賛成する。マーケットを育成するためには、一定額を継続して発行する必要がある一方、インフレ期待が盛り上がらない中で5,000億円の発行額はやや重いため、8月の発行額は4,000億円が適当。買入消却については、1回の入札当たりの買入額が少ないと、入札結果が不安定になる可能性があることから、偶数月に200億円の実施が適当と考える。もっとも、日銀買入オペの実施方法は毎月変更され得るため、今後変更された場合には、その内容を踏まえた上で買入消却入札の実施方法についても改めて検討する必要がある。
・当局の提案に賛成する。国債発行、日銀買入オペ、買入消却と入札の回数が非常に多く、オペレーショナル・リスクは大きく高まっている。入札の回数は1回でも少ない方がよいと考えている。
・当局の提案に賛成する。未だ投資家ニーズは少ない状況であり、8月の発行額を5,000億円に戻すことは難しい。一方で、発行額を3,000億円に減額すると、マーケット育成の観点からは少ないように思う。買入消却入札については、1回の入札当たり200億円の規模が適当。
・4月の入札以降、原油価格の上昇等の外部環境の好転を受け、BEIは底堅く推移しているが、8月の発行額は引き続き4,000億円とすることが適当。買入消却入札については、月1回、100億円の実施を希望するが、1回の入札当たりの買入額が少ないことによる影響や、入札回数の増加に伴うオペレーショナル・リスクの増大といった指摘も理解できるものであり、当局の提案どおり偶数月に200億円の実施でも問題ないと考えている。
・8月の発行額は4,000億円で問題ない。発行額を5,000億円に戻すほどのニーズはなく、足元では株安・円高となっており、物価連動債にも売りが出やすい状況。買入消却入札については、コンスタントに実施されることが望ましいと考えているため、月1回の実施を希望したが、1回の入札当たりの買入額が100億円では少ないとの意見も理解できることから、当局の提案でも問題ない。
2. 平成28年7-9月期における流動性供給入札〔参考配布:資料2〕
○平成28年7-9月期における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。
・流動性供給入札について、P1のとおり平成28年度発行計画では、新たに残存1-5年ゾーンを供給対象として追加し、年間9.6兆円発行することとした上で、「具体的な実施方法は、市場参加者との意見交換を踏まえ、決定」とされており、四半期ごとにこの場で御議論頂いている。4-6月期においては、P2のとおり、残存5-15.5年ゾーンについては、昨年度と同様、毎月5,000億円実施とする一方、残存1-5年ゾーンの新設に伴い、残存1-5年ゾーンについては、5月に2,000億円、残存15.5-39年ゾーンについては、4月と6月に4,000億円の発行としたところ。
・本日は次の7-9月期におけるゾーンごとの発行額の割り振り等について、皆様の御意見をお伺いするもの。
・P3・4に最近の流動性供給入札の結果を示している。新設された残存1-5年ゾーンについては、5月に初回の入札が実施されたが、応募倍率が5倍台となっており、テールも広がっておらず安定した結果となっている。また、既存のゾーンにおける入札結果についても、残存15.5-39年ゾーンの直近の入札ではテールがやや広がったものの、概ね安定している。
・7-9月期の流動性供給入札の実施方法について、国債市場特別参加者や投資家の皆様から事前に御意見をお伺いしたところでは、現状の実施方法・金額配分が適当であるとする意見が大多数であった。
・こうした状況を踏まえ、7-9月期における流動性供給入札の実施方法についての当局案をP6にお示しした。4-6月期同様、残存1-5年ゾーンを奇数月の7月と9月に2,000億円、残存5-15.5年ゾーンは毎月5,000億円、残存15.5年-39年ゾーンは偶数月の8月に4,000億円としてはどうか。
・7-9月期における流動性供給入札の実施方法については、本日頂いた意見も勘案して総合的に判断したいと考えており、改めて御意見を頂戴したい。
○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・当局の提案に賛成する。
・当局の提案に賛成する。マーケットの安定を図る観点からは、需給バランスの連続性を保つことが重要であり、現行の方式を継続することが望ましいと考えている。
・当局の提案に賛成する。残存1-5年ゾーンの入札は、1回しか実施されておらず、当面は実施を継続することが必要と考えている。また、6月に実施された残存15.5-39年ゾーンの入札でテールが広がったが、これは前日に同ゾーンが大きく金利低下した反動に過ぎないため、このような状況が続くとは考えていない。
・4月から現行の方式で始めたばかりであるところ、足元で需給環境に大きな変化が生じているわけではないことから、現状維持とする当局の提案でよい。
3. 最近の国債市場の状況と今後の見通し〔参考配布:参考資料〕
○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・前回の3月会合の際に0.3%台であった20年債の金利について、0.1%を目指すだろうとお伝えした。6月16日には、英国のEU離脱懸念が重なる中とはいえ、実際に0.09%まで低下してしまった。本日の英国の国民投票では、EU離脱が支持されたため、これに伴って円高が進めば、日本銀行が追加緩和するとの見方が強まり、更なるフラット化の圧力がかかるだろう。
一方で、全ての年限がマイナス金利となるかというと、そこには限度があると思う。例えば、20年債については、マイナス金利になる可能性も否定できないものの、とりあえずは、ゼロ%が1つの目安ではないか。ただ、顧客の中には、全ての年限がマイナス金利になってしまうという恐怖感を持っている者もおり、そのような市場参加者の考え方も含めてマーケットが形成されていくことを理解しないといけない。
また、極めて低い金利水準の中で、国債市場の流動性は著しく落ちており、まとまった額の売りが出ることで、一時的に金利が急上昇する可能性は絶えずあると思う。譲渡益を積み重ねることで収益を確保する途しかない中で、日本銀行が買い続ける限りは問題ないという見方もできるかもしれないが、日銀買入オペも、どこかで技術的な壁にぶつかる可能性があるほか、仮に、日本銀行が2%の物価目標を引き下げるようなことになれば、金融政策の出口につながり、大きな金利上昇となるリスクを孕んでいるのではないか。
・金利が大きく低下している中で、国債市場の流動性も低下し、それに応じて市場が価格を発見するメカニズム自体も失われていくことを懸念している。需給全てをコントロールすることによって、金利水準をも当局が決めてしまっているような環境にあるのではないか。
低金利及びマイナス金利が長期化すれば、本邦の金融機関の収益に対する圧力がかかり、今年、来年は耐えられたとしても、それ以降、段々と厳しさを増していくだろう。その中で、海外にビジネスチャンスを求めていこうとしても、日本国債の格付けが今後も下がっていくとの見通しに立つと、依然として厳しい状況が予想される。また、海外のビジネス全体について見ても、例えば米国の長期金利が低下しているように、相対的に取れるスプレッドも低下してきているという問題がある。
確かに、マイナス金利付QQEにより、何とかインフレ率や経済成長率を上げていく必要もあるが、発行当局としては、それ以上に、日本の信用力を保つことに向けたしっかりとしたコミットメントが必要であり、それが最も重要だと考えている。
・ マーケットの流動性を確保する観点から2点提案したい。1点目は海外ヘッジファンドとのレポ取引について。2014年12月に日本国債が格下げされたこと、日本国債を担保とした債務が英国銀行税の対象となったために、英国現地法人によるレポ取引を縮小せざるを得ない状況。この結果、日本国債の取引量が減少し、流動性が低下しているのではないかと考えている。一方で、海外ヘッジファンドはマイナス金利の下で日本国債に非常に関心を高めており、こうした投資家を日本のマーケットに呼び込み日本国債の取引量を回復させることで、流動性の低下を止めることができるのではないかと思う。現在、国内金融機関と海外ヘッジファンドとのレポ取引は非課税措置の適用対象外であり、このことは海外ヘッジファンドが日本の金融機関とレポ取引を行う上での制約になっている。このため、レポ取引にかかる非課税措置の適用対象を海外ヘッジファンドまで拡大することはとても意義があることだと思う。
2点目は入札制度について。マーケットの流動性低下に伴い入札後に相場が急変するリスクが高まっており、以前ほど積極的に入札に参加することが難しい環境になっている。入札時に顧客から委託を受ける場合に、入札の平均価格で買いたいと言われることがある。国債市場特別参加者が入札の平均価格で購入できる第Ⅰ非価格競争入札という仕組みがあるが、最近の市場の状況では、顧客の平均価格での購入ニーズが高く、第Ⅰ非価格競争入札で確保できる量では賄えなくなっているのではないかと思う。結果として、最近は、顧客のニーズに応えるため平均価格より高い価格で落札し、それを平均価格で顧客に販売するケースも多くなっており、このことが積極的に入札に参加しにくい一つの要因となっている。
・足元の海外環境等を踏まえると、FRBによる利上げは難しくなり、円高は続くと思われる。そうした状況では、マーケットは、マイナス金利付QQEの長期化や更なる政策金利の引き下げを織り込まざるを得ないことから、一段と金利は低下すると想定している。ただ、マーケットの機能が低下していることから、イベントの発生や現行の金融政策の持続可能性が疑われるようなことがあれば、大きな調整が入る可能性もある。そのような局面が訪れる前に、政府には、財政の健全化を進めてほしいと思っている。
・マイナス金利付QQE導入直後から残存10年までの金利がマイナスとなったところ、国内の投資家は、プラスの金利を求めて投資対象の年限を長期化させたことで、イールド・カーブは大きくフラットニングした。マイナス金利の年限に対する国内投資家の需要は大きく減った一方、海外投資家は、国内金融機関のドル調達ニーズによってワイドニングしたクロスカレンシー・ベーシスを用いて、マイナス金利の中期ゾーンを購入している。このように、マイナス金利のゾーンとプラス金利のゾーンで投資家層が分断されている状況。こうした状況下で、マーケットにおける売買高は大きく減少しており、値動きが激しくなっていることを実感している。
こうした状況の下、市場の流動性の維持・向上を図るためにも、レポマーケットは重要である。当社のレポ取引の相手方は、非課税措置の適用対象外となっている海外ヘッジファンドのような顧客が多く、そのような顧客とは日本のマーケットでは直接取引が行えない。アクティビティの高い海外投資家が取引を行う上で制約となっているものがあれば、その見直しを検討していくことが日本国債の流動性にとって重要だと考えている。
また、レポマーケットの機能向上の観点からは、日本銀行の国債の保有率が高まり、補完供給オペの利用度が高まっていることを踏まえると、補完供給オペの在り方についても検討する余地はあるのではないか。
・マーケットの流動性は大きく低下しており、店頭における売買高も大きく減少している。こうした中、マーケットを大きく動かしているのはマイナス金利の日本国債を購入できる海外の投資家や、イールド・カーブの裁定取引をしている海外ヘッジファンドであり、海外投資家がマーケットに流動性を提供しているともいえる。
海外投資家がレポ取引の非課税措置の適用対象外となっていることで、彼らがレポ取引に参加しにくくなっている面がある。マイナス金利付QQEの影響等もあり流動性が低下している中にあっては、海外投資家がレポ取引に参加しやすい環境にするため、レポ取引にかかる非課税措置の適用拡大を進めてほしい。
・金利水準やイールド・カーブの形状については金融政策によるところが大きく、足元の状況が当面継続すると考えている。そのような状況下においては、現行の金融政策の持続可能性が最も気になるところ。マーケットの流動性の低下については懸念しているものの、現行の金融政策はデフレ脱却のために大量の国債を買入れるという枠組みであることから、流動性が低下することはある程度覚悟の上ともいえる。そうした中では、金融政策以外で流動性を向上させるためには何でもやるという姿勢で取り組んでいかなければならない。例えば、日本銀行の補完供給オペの見直しについてはこれまで意見を述べてきたところ、実際に連続可能日数の延長やオファー金額の上限の見直しなどが行われ、これが流動性の向上に資した面がある。また、海外ヘッジファンドが日本のマーケットで行うレポ取引は、現在非課税措置の適用対象外となっているが、この制度が見直されることで海外ヘッジファンドが日本の国債マーケットに流動性を提供しやすくなると考える。
・マーケットの流動性については2点問題意識を持っている。1点目はレポ取引にかかる課税の取扱い。海外ヘッジファンドが日本のマーケットでレポ取引を行うと、非課税措置の対象とならないことから、現在は海外マーケットでレポ取引を行うしかない状況。このように自国のマーケットで取引が行いにくい制度となっていることはグローバル・スタンダードからはずれているため、日本の国債マーケットの国際化に向け、速やかに制度を見直すべきである。
2点目は、国債と非常に強い相関を持っているスワップ市場の流動性の低下。主な原因としては、クリアリングハウスによって、同じ取り組みに対して異なる価格がついてしまうことであり、これによって国内投資家と海外投資家のフローが出合いにくくなっている。但し、これについては、単に制度を見直せば解決するという問題でもないため、当局も含む市場参加者全体で解決策を考えるべきものと思う。
出典:財務省