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auctions / pd / m / 19 — 2007-12-07

国債市場特別参加者会合(第19回)

開催日2007-12-07
場所財務省 第3特別会議室
議題
(1)平成20年度の国債発行計画について
(2)流動性供給入札の在り方について
(3)金利スワップ取引の実績と今後の取組方針について〔参考配布:資料4〕
(4)入札日から発行日までの期間短縮について〔参考配布:資料5〕
(5)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
原文財務省サイトでは公開終了(本ページはアーカイブから復元)

配布資料

資料1PDF
資料2PDF
参考PDF
資料3PDF
資料4PDF
資料5PDF

議事要旨

(1)平成20年度の国債発行計画について

〔参考配布:資料1,資料2,参考〕

はじめに、理財局から、平成20年度の国債発行計画についての市場関係者の見方を踏まえた現時点での当局としての検討状況について、以下のように説明を行った。

○国債の年限別の発行額等について

20年度の国債発行計画については、これから、予算編成、財投編成、税制改正等の大詰めを迎えるところであり、確定的なことを申し上げられる段階にはないが、借換債の状況や国債市場特別参加者・投資家の意見等を踏まえつつ、カレンダーベース市中発行額を減額することを前提に、次のような方向で検討することを考えている。

・一致して強い減額要望のあった15年変動債については、発行額を引き下げ、0.6兆円×4回と

し、前回会合でお示ししたとおり、原則リオープン発行とする。

・40年債については、総額0.4兆円程度の定期発行とし、落札・応札義務の対象とする。

・流動性供給入札については、20年度より抜本的に対象銘柄を拡充することを踏まえ、通年で計

上することとし、金額については1.2兆円とする。

・5年債については、国債市場特別参加者、投資家の間で需給が緩んでいるとの見方が多いこと

から、減額する。

なお、前倒債については、19年度と同程度の規模の大幅な減額は行わない方向で検討したいと考えている。

予算編成作業が大詰めを迎えているとはいえ、例年同様、現時点においては、まだ不確定要素が色々と存在する状況にあり、今後、最終的な国債の要発行総額の水準によっては、ただいま申し上げた年限以外の国債も含めて、更なる調整を行うことも検討してまいりたい。

また、19年度補正予算についても現時点で確定的なことは申し上げられない状況であるが、仮に国債発行総額等が変更されることとなるとしても、前倒債の発行額により調整が可能ではないかと見込んでいるところであり、カレンダーベース市中発行額の総額や年限別の内訳は見直さない方向で検討している。

○買入消却について

20年度の買入消却については、15年変動債の流動性を向上し、また将来の借換債発行額の圧縮・平準化を図る等の課題にも対応するため、国債市場特別参加者・投資家の意見等も踏まえつつ、

・通常の買入消却については、15年変動債の買入規模を1.2兆円程度に大幅に増額するととも

に、名目利付債及び物価連動債の買入規模についても、19年度よりは増額を図る方向で検討す

ることとしたい。

・また、ストリップス化が円滑に行われるようになるまでの時限的措置として、新たにストリ

ップス債の利札の買入消却を導入することとし、買入規模については半期に1回、各200億円程

度で実施するという方向で検討することとしたい。

出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

【15年変動債】

・0.6兆円×4回ということだが、昨今の需給を踏まえると、0.5兆円×4回に減額して欲しい。

・新規発行額から買入消却額を控除した今年度のネット発行額は3兆円を切っているが、それでもダブつき感がある。20年度は、2.4兆円の新規発行に対して、1.2兆円を買入消却し、ネット発行額を1.2兆円とすれば、割安感を修正するという発行当局の意思が明確に市場に伝わり、非常に良いと考える。

・0.5兆円×4回への減額がより望ましいと考える。また、来年度以降、減額後も割安さが解消されず、一方で市場流動性を確保する観点から更なる新規発行の減額ができないというジレンマに陥るケースも考えられる。投資家は発行継続を強く要望していると思うので、大幅に減額しても割安が解消されない場合においても発行を継続する理由を考えておいた方が良い。

・買入消却を1.2兆円実施しても、15年変動債の市中残高は増える訳であり、減額後の発行ロットとして、0.6兆円または0.5兆円のいずれが適当かと問われれば、0.5兆円が望ましいと考える。

・割安さの解消に向けた当局のクリアなメッセージ性という点で言うと、0.6兆円ではなく、0.5兆円まで減額すれば、更に良いのではないか。

【40年債】

・発行方式については、30年債が年4回あることを勘案し、40年債を0.2兆円×2回とし、30年以上の超長期ゾーンを年6回定期発行することが望ましい。

・まだ30年債のマーケットが育っていないことを考えれば、40年債の発行額は少ない方が良いと考えており、0.1兆円×2回が希望である。

・40年債の定期発行について、ニーズが相応にあると当局が判断したのであれば、マーケット育成の観点から必要な施策と考える。ただし、当方としては、必ずしもマーケットニーズを確認できておらず、当局の見方を教えて欲しい。

(これに対して理財局からは以下の通り回答した。)

・国債投資家懇談会においては、発行額の増額希望が多く、例えば年間0.6兆円まで増額が可能といった意見もあった。また、特に定期発行に関しては、定期発行でないと、投資計画を立てられないという声も多く聞いている。そういった観点から、投資家の予見可能性を確保する点で定期発行は必要不可欠である。定期発行せず、需要が出るかどうか分からないから、発行上限額方式で少額ずつ発行するというやり方では、なかなか市場育成に弾みが付かないと判断した。

【その他年限、総論】

・2年債については、発行サイドの観点を推察すると、平均償還年限の長期化や目先の借換債の発行を抑えるために減額すべきと考える。来年度のカレンダーベースの平均償還年限について、今年度対比でどう考えているのか。

(これに対して理財局からは以下の通り回答した。)

・カレンダーベースの平均償還年限については、18年度、19年度いずれも7年となっている。一方、普通国債の残高ベースの平均償還年限は徐々に延びており、19年3月末で5年9ヶ月となっている。国債管理政策の基本的な考え方としては、将来の借換リスクをできるだけ削減する観点から、諸外国の超長期債の比率を踏まえて、引き続き平均償還年限を延ばしていくことが必要であると考えている。一方、国債発行計画の策定に当たっては、当局の事情だけではなく、市場との対話も踏まえる必要もあり、双方のバランスを取りながら最終的に決定していくこととなる。

・カレンダーベース発行額は減額方向とのことだが、5年債を減額する分、例えば、20年債を増額するという考えはないのか。

(これに対して理財局からは以下の通り回答した。)

・20年債や特に30年債については、投資家懇談会では金利水準の如何に関わらず、ある程度平準的に買うという意見もあったが、全体として、現在の金利状況を踏まえると、増額は難しいという意見が多かった。最終的な国債の要発行額に応じて、今回の議論を踏まえながら更なる調整を検討したい。

・5年債については、特に需給が重たいという感じはなく、現行通りでお願いしたい。

・5年債については、当社店頭を見る限りはダブつき感が強く、減額をお願いしたい。一方、2年債については、1回当たりの売買額が非常に大きいため、現在の発行額では店頭取引の際に足りない場合もあることから、増額をお願いしたい。20年債や10年債についても、若干増額する余地はあると考える。

・5年債については、それ程ダブつき感があるとは感じないものの、長い目で見て、中長期的な金利正常化に対して、早めの対応をして行くという意味合いにおいては、減額するのは妥当なのではないか。

・15年変動債の買入消却を1.2兆円行い、ストリップス債の買入消却も行うとの説明であったが、固定利付債や物価連動債の買入消却についても増額方向と考えて良いのか。

(これに対して理財局からは以下の通り回答した。)

・増額方向で検討中であるが、増額規模が15年変動債のように飛躍的に大きくなることは考えていない。

(2)流動性供給入札の在り方について

〔参考配布:資料3〕

理財局から、流動性供給入札の在り方について、以下の通り説明を行った。

20年1~3月について

20年1~3月の対象の流動性供給入札の対象ゾーンについては、先般の国債市場特別参加者会合及び国債投資家懇談会での議論を踏まえて、現行と同様の20年債40~69回(残存11~16年程度、30銘柄)を継続することとしたい。

20年度について

これまでも説明してきた通り、当局としては、流動性供給入札の目的を「構造的に流動性が低下しているゾーンの流動性向上」から一歩踏み込んで「構造的に流動性が低下している銘柄の流動性向上」に拡大し、対象ゾーンも拡張したいと考えている。

19年度までは対象ゾーンを限定していたため、ニーズの継続を半期毎に確認することとし、上期分のみを発行計画に計上していたが、20年度分については、ゾーン拡張に伴って0.1兆円×12回として通期分を発行計画に計上することとしたい。

20年度上期については、資料3でお示ししている通り、①残存6~15年、②残存16~29年の2つのゾーンを設けて、月毎にいずれか片方のゾーンを対象に入札を実施することとしたい。その際、前回会合でもご意見があったが、新発債への影響を排除するためにカレント近辺の残存9~11年、残存19~20年ゾーンは対象外としたい。前回会合の資料では、10年カレント近辺として、20年3月末時点で残存9年超11年未満の銘柄としていたが、これを見直して残存9年以上11年以下の銘柄は除外することとし、20年、30年カレント近辺のゾーンも同様の考え方で除外銘柄を若干拡大することとしたい。

また、ゾーン毎の具体的な金額配分については、市場の状況にも左右されるため、20年に入ってから議論して決定したい。20年度下期の対応方針については、上期の実施状況も踏まえて検討することとしたい。

なお、20年度以降、流動性供給入札の発行銘柄は、発行後6ヶ月間、買入消却の対象から除外する(現行は対象ゾーンを一律除外)。なお、この取扱いについては、買入消却の機動性の確保など、実際の運用状況等も踏まえつつ、必要があれば適宜見直すことも検討することとしたい。

出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

・対象ゾーンの考え方について当局案に対して異論はない。買入消却からの除外期間については、上期の途中であっても、例えば流動性供給入札で1億円だけが発行された結果、その銘柄が買入消却から除外されて困るという意見が出れば、その時点で見直しを検討して欲しい。

・全般的には異論はないが、買入消却からの除外期間については、もう少し短い方が良いと認識している。発行後3ヵ月間または更に短縮することを再検討してもらいたい。また、除外期間を設定しても、実施状況をチェックしながら、その都度見直していくことが必要だと思う。

・対象ゾーンについては当局案のとおりで良いが、買入消却からの除外期間については短縮しても良いと思う。

・対象ゾーンについては異論ない。買入消却からの除外期間について、適切な期間を予め設定するのは難しいと思うが、当社としては発行後6ヵ月間を除外することに異論はない。

・残存9~11年ゾーンを流動性供給入札の対象外とすると、個別銘柄の流動性向上を実現するという効果が薄れるのではないか。1回当たり0.1兆円程度の供給であれば、カレント近辺のゾーンを対象にしても新発債の需給を歪める懸念は生じないと考えている。

また、買入消却からの除外期間を発行後6ヵ月にすると、買入消却の落札銘柄が流動性供給入札の対象外である短期ゾーンに偏ってしまう可能性がある。その場合、平均償還年限を長期化して借換リスクを抑制するという国債管理政策上の目的には合致するが、マーケット関係者の立場としては、流動性供給と買入消却の関係がややアンバランスになると思う。

(以上の意見に対して理財局からは以下の通り回答した。)

・買入消却からの除外期間として発行後6ヵ月では長過ぎるという意見が多いが、当局としては、業者と投資家のそれぞれの異なる意見も踏まえて設定する方針である。予め適切な期間を設定するのは難しく、「発行後6ヵ月間」という期間に固執するものではない。前述のとおり実際の運用状況も踏まえて、必要があれば上期中であっても見直すことはあり得る。なお、流動性供給入札の参加者は国債市場特別参加者に限定されていることもあり、当局の希望的観測として、買入消却の候補となるような「マーケットでロングになっている銘柄」が、流動性供給入札で少額発行されることはないものと期待している。

カレント近辺のゾーンを対象に追加して欲しい旨の意見があったが、当局としては、新発債の需給に影響があるという意見を尊重する必要があると考えている。20年度は、流動性供給入札の目的を拡張し、対象ゾーンも相当広げることになるので、当面、カレント・ゾーンの追加については慎重に考えていきたい。

特別流動性供給入札について

理財局から、特別流動性供給入札の在り方について、以下の通り説明を行った。

特別流動性供給入札については、前回会合でも議論したが、存在の意義を認める一方で、慎重な運用を求める意見が多く、当局としては運用の透明性確保に努める必要があると考えている。前回の会合では、当局の考え方に対して、「ハードルを高くした方が良い」とのご意見があった。

これを踏まえて、当局が緊急会合の開催を判断する材料として、国債市場における当該銘柄の取引状況及びSCレポレート等を総合的に勘案することを検討したい。このほかにも、フェイルの発生状況等、可能な限り情報収集を行っていくつもりである。また、特別流動性供給入札の実施要否の判断時の考え方として、当該銘柄の追加的な供給を特に必要と認める場合とし、当局として慎重に運用する方針で検討したい。

当局としては、20年度のスキーム導入に向けて、年明け後も引き続き議論していきたいと考えているが、以上の点について現時点でのご意見を伺いたい。

出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

・当局の説明で趣旨も理解しており、異論はない。

・参加者の様々な意向があるので客観的に発動を判断するのは難しいが、最終的に当局が判断するのであれば特に問題ないと思う。

・発動のハードルを低くしてしまうと安易な方向に流れてしまう可能性があるので、ハードルを高くするという当局の考え方に異論はない。

・議論のきっかけの1つとなっているのが今年6~7月に10年第286回債のSCレポレートが急低下したことだと思うが、発行量が足りないというよりもレポ市場が混乱したことが問題である思うので、議論を進めると同時にフェイルのルールも含めた、レポ市場の整備も必要だと思う。また、後ほど議論することになるが、当局から提案されている通りT+3発行に移行すれば、新発債のスクイーズはある程度緩和されると思う。

(3)金利スワップ取引の実績と今後の取組方針について〔参考配布:資料4〕

理財局から、金利スワップ取引のこれまでの実績と20年度の方針について、以下の通り説明を行った。

金利スワップについては、19年度はコスト・アット・リスク分析を活用し、国債発行計画における利払いコストと金利リスクをともに削減することを目的として金利スワップ取引を実施。19年度のスワップ実施の上限額(想定元本ベース)は、マーケットへのインパクト等も勘案して、1.8兆円と定めている。

具体的な実施内容については、資料4の通り、上期までの実施額は受払合計で10回・4,500億円となっている。これまでのところ、市場関係者からマーケットへの影響はニュートラルという評価を頂いている。なお、下期分を含めた金利スワップの効果については、改めてコスト・アット・リスク分析により検証し、「国の債務管理の在り方に関する懇談会」等の適宜の機会を捉えてご説明していきたいと考えている。

20年度については、今年度同様、利払いコストと金利リスクのバランスを注視しながら、引き続き適切に実施したいと考えている。規模については、今年度同様の1.8兆円程度を上限とする方向で検討している。

また、金利スワップ取引におけるカウンター・パーティー・リスクに関しては、20年度以降、スワップ取引先の皆様のご協力も得ながら、マージン・コール頻度の増加等、よりきめ細かなリスク管理を実現する方策について検討して行きたいと考えており、既に個別に照会作業を開始させていただいているところであるが、引き続きよろしくお願いしたい。

出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

・これまでのところ、財務省の実施した金利スワップ取引のマーケットインパクトはほとんどない。20年度の上限額についても1.8兆円は十分吸収でき、多少増えたとしてもマーケットインパクトという点では特に心配はないと思う。

・カウンター・パーティー・リスクの管理の厳格化については、マージン・コール頻度をウィークリーからデイリーに変更すると、バックオフィスの事務負担が相当量となるので、具体的な実施に当たっては負担が過度にならないような方法を検討してほしい。

・基本的にマージン・コール頻度を上げることについては協力するが、事務負担は増えるので、詳細については相談させてもらいたい。

(4)入札日から発行日までの期間短縮について〔参考配布:資料5〕

理財局から、入札日から発行日までの期間短縮について、以下の通り説明を行った。

本件については、多くの国債市場特別参加者及び投資家から支持の意見が聞かれている。当局案の通り、5年以上の固定利付債について、20年度より入札から発行までの期間を短縮し、原則として通常の受渡しと同じT+3発行に移行したい。その際、3、6、9、12月の償還月については、T+3が償還日である20日よりも前になる場合には、20日発行としたい。

(5)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて

出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

・足元では、一時の金利低下から若干の金利上昇に転じている。これに関しては、それまで市場が現実に先行して、年末に向けての悪材料を織り込んだ分、その巻き戻しが起きていると理解している。米国の長期金利が4%以下、日本の長期金利が1.5%以下といった水準では、次々と悪材料が出てくる状況でないと更なる金利低下が難しいということだと思う。ただ、短期金利の上昇の幅が小さいことから、金利上昇トレンドに戻ったわけではないと考える。

また、サブプライム問題については、楽観的になるには時期尚早である。例えば、米国の金融機関について1兆円の損失が生じた場合、その金融機関の自己資本比率が8%であったとすると、その影響で12兆円のバランスシート圧縮効果が出る。つまり、1兆円の資本を引き当てると、資産規模を12兆円縮小しなければならないことになる。このように、損失額の確定後にバランスシートの縮小効果が生じることを勘案すると、サブプライム問題のクライマックスはまだ先であり、損失処理に数年がかりとなろう。

したがって、年末までに市場の金利、株価が底を打つのは難しく、来年に入ってからということになろう。年末に向けては、金利は低位のレンジ内で推移すると考えるが、どちらかと言えば、じりじりと低下する可能性が高いとみている。

・米国においてサブプライム問題のような大きな外的ショックが起きたとき、過去の金融政策運営においては、流動性供給とともに金融緩和が行われてきた。例えば、S&Lの問題があった90年代やITバブル崩壊時には、実質金利がマイナスになったこともある。したがって、市場に金融緩和に対する期待が強くなるのは当然であろう。サブプライム問題の解決には、政府が関与しながら落としどころを探っていく形になるため時間を要すると見ており、債券市場の先行きを見る上では、経済の不透明性がどの程度払拭されるかがポイントとなる。

日本においては、過去2年間、金利正常化の議論の中で金利上昇傾向にあると見られてきたが、世界的に金融政策が緩和方向に傾いている中では、日本銀行の金融政策スタンスにも制約がかかり、金利上昇の可能性は低くなっている。長期金利の水準は、量的緩和時代は日銀のコミットメントもあり、大体1.4%を中心に1.2~1.6%、金利正常化が議論されるときは、1.6%台後半を中心に1.5~1.9%であった。サブプライム問題という不透明感が残るうちは、経済にデフレマインドが残ってしまうので、量的緩和時代の金利水準にどうしても目線が移ってしまうと思う。したがって、債券市場には金利低下バイアスがかかりつつ、10年債は1%台半ばあたりを中心に低位安定するのではないか。

・現在のイールド・カーブの形状を見ると、来年中の日銀の利上げは困難という見方がマーケットに織り込まれている状況である。今後の金利動向については、日銀が一段と悲観的に傾き、当面利上げをしないことをコミットメントするか、または海外の金融政策と同じ利下げ方向に舵を切ることとなれば、一段の低下余地が生まれることになる。海外の景気減速は来年も続くと考えているが、国内景気が連動して減速するという見方はやや悲観的過ぎると考えている。その意味では、来年は足元の金利水準からややレンジを切り上げて、長期金利は1%台後半での推移が見込まれるのではないか。ただし、来年は米国景気がどの程度減速するか、それに対してアジア景気がどの程度連動するのかという点について、マーケット参加者の見方は分かれると考えており、比較的ボラタイルな相場になるのではないかと思う。

足元はLIBORが上昇する一方、安全資産である国債が買われており、この結果、クレジット・スプレッドがかなり開いている状況である。LIBORの上昇は、年越えの資金手当てに加えて、欧米の金融機関の決算期が11月、12月というタイミングに集中していることが要因である。来年1月になればクレジット環境は改善している可能性もあり、来年初に国債金利が上昇する局面があってもおかしくないと考えている。

・米国のサブプライム問題の本質は地価下落であると捉えている。この影響により、米国の成長率は、今年と向こう2年間は潜在成長率である3%を1%程度下回る2%程度で推移するのではないか。米国では今後半年間に25bpずつ4回の利下げがあると見ており、これに伴って米国債の金利は低下し、日本の金利も低下傾向が続くのではないか。

さすがに日本では利下げはないと思うが、一方で21年初までは利上げできる状況ではないとも考えている。景気減速は、米国など海外経済の減速によるものではなく、日本経済固有の事情によるものであり、特に中小企業の業況悪化が目立っている。例えば、失業率が3.6%から4%に上昇しているように、雇用環境は確実に悪化している。また、来週公表される日銀短観においては、中小企業、大企業ともに業況悪化が見込まれ、来年前半までは回復しないとみている。この点を踏まえると、日銀の金融政策は非常に慎重な運営が考えられ、長期金利が今年初めのように1.7%や1.8%の水準に戻ることはまだまだ考えにくい。

・今年度の長期金利は、当初1.5~2.0%で推移するという見通しを持っていた。サブプライム問題が顕現化する前は、多くの市場参加者はより高い金利水準を想定していたと思うが、金利低下に伴って足元は逆に想定レンジを下げてきている。当方は、日本の長期金利の決定要因が短期間でそれほど変化したとは考えていない。サブプライム問題については、今後もある程度は混乱が続くものの、決算期を何回か経験すればいずれ収束していくであろうし、来年度になれば、今年度当初に想定していた1.5~2.0%のレンジに落ち着くとみている。

また、日本銀行の金融政策は長期金利には直接影響しないので、これが決定要因にはならないのではないか。

・最近の相場動向からすると必ずしも言い切れないところではあるが、それほど金利が上昇する状況ではないと考えており、少し長いスパンで見れば落ち着いた相場が続くのではないか。

・10年金利は1.5%を中心に来年3月まで推移するという基本的な認識は変更しておらず、どちらかというと下振れる可能性の方が強い。足元、米金利に引っ張られる形で上下動しているが、特に金利の上昇については、短期的な修正という認識である。

市場参加者のサブプライム問題についての見方は、債券だけでなく株価、為替、国内外の市場でそれぞればらつきがあり、株価と同様に債券市場も引き続き振れやすいと思われる。金融システムへの悪影響は出尽くしていないと見ている。

問題は、日本銀行の次の政策変更の一手が必ずしも利上げではなく、利下げの可能性もあると考えており、メインシナリオではないが、その確率は高くなったと判断している。日本銀行は金利の正常化を推進しているが、前提となる生産・所得・支出の循環メカニズムが足元で崩れつつあり、特に所得について中小企業で一部賃下げの動きが見られることや、改正建築基準法によって建築確認の審査が厳しくなったことによる住宅着工戸数の大幅な落ち込みの影響も、今後顕在化してくるのではないか。

また、債券需給については、「ねじれ国会」の下では予算のバラまきリスクはあるが、基本的には前倒債の活用によって国債の増発をある程度回避でき、来年度についてもカレンダーベースで減額ということなので、これらを踏まえると当面は金利が急激に上昇するリスクは少ないのではないか。

連絡・問合せ先:

財務省 理財局 国債業務課 金森・田原

電話 代表

03(3581)4111 内線 5701

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出典:財務省