国債市場特別参加者会合(第117回)議事要旨
2025-12-19 ・ PD会合
日時 令和7年12月12日(金)16:00~16:45
場所 中央合同庁舎第4号館 1208特別会議室
内容 1. 令和8年度国債発行計画について〇令和8年度国債発行計画について、理財局から以下のように説明を行った。
〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
2. 令和8年1-3月期における物価連動債の発行額等について〇令和8年1-3月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。・物価連動債については、P.14に掲載のとおり、令和7年度発行計画において、「市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされているほか、買入消却についても、P.15に記載のとおり、「市場の状況や市場参加者との意見を踏まえ、必要に応じて実施する」こととされている。・これらを踏まえ、前回9月の本会合では、皆様からのご意見を伺ったうえで、11月に2,500億円の発行入札を行いつつ、10-12月に毎月200億円の買入消却を行うこととした。・令和7年10月~12月に実施した入札等の結果と流通市場の状況を、P.17~P.18に掲載している。・また、P.19に掲載のとおり、BEIは足もと170bps台となっている。・令和8年1-3月期の発行額等について事前に皆様にご意見を伺ったところ、一部の参加者から、第Ⅱ非価格競争入札の再開や買入消却の取り止めを検討してはどうかとのご意見を頂いた一方で、ほぼ全ての参加者から現状を維持することが適当とのご意見を頂いた。・これらを踏まえた当局案はP.20のとおりである。現状通り、2,500億円の発行入札を2月に行いつつ、毎月200億円の買入消却入札を行うことを想定している。〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・物価連動債について、当局の提案を支持。すなわち発行額及び買入消却額の維持が望ましいと考えている。足元ではインフレ期待の上昇等を背景として、不安定ながらも堅調な地合いが見られているが、入札では依然として一部の参加者に落札が偏っており、セカンダリマーケットでも流動性の乏しい状況が続いている。少額の売却でも価格が一方向に動きやすく、まとまった金額の売却には日銀買入オペや当局の買入消却を利用せざるを得ないという状況に変化は見られていない。・このような状況下で日銀買入オペも減額方向に向かっているため、現状と同程度の発行額及び買入消却額の維持が適切。また、対象銘柄についても当局の提案が適当。・当局の提案に賛成。BEIは現状拡大方向にあるが、少し前のタイミングでは消費減税の懸念や補助金に対する警戒感、また一時的な物価の引き下がりに対する警戒感からある程度大きく売られた局面もあった。また、実際のインフレ期待に対してはボラタイルに動いており、流動性が悪い状況の中で過度に双方向に反応しやすい状況。 ・現状のBEIの高まりについても、基本的には足元の円安や積極財政に対する海外勢の警戒感が強まっており、ファンダメンタルを自然に反映している状況。ただし、実際のインフレ期待に対する流動性プレミアムに関しては、特に前回の本会合から変わりはない。基本的には現状の投資家層の広がりという側面に関しても、一部の海外勢においては引き続き強いニーズが見られているものの、当社店頭では新規の顧客が買っているというよりは既存の投資家が買い増しているといった状況であり、投資家層の広がりが見られているという認識ではない。・以上の点を考慮すると、現状の発行額及び買入消却額を維持し、引き続き様子を見るのが適切。・市場へのネット供給額を増やすことによって、セカンダリー市場の流動性を回復することが重要な局面ではないかと考えている。目先、インフレ率が低下傾向にある中でもBEIは過去最高水準を更新しており、他通貨BEI対比でもアウトパフォームしている状況にあると思っている。インフレヘッジニーズの高まりによって、潜在的な買い手は増えてきていると認識しているが、セカンダリーの出合いが少なく、流動性が低いことにより、買いたくても買えないという投資家も出てきていると認識している。・流動性がないことの要因は、ネット供給額が少ないことによるものと考えている。現在、当局による買入消却が200億円、日銀買入が500億円と毎月実施されるため、四半期でのネット供給額が400億しかなく、コロナ禍という特殊要因で大幅に減らした供給額を、少し元に戻す余地が出てきている状況ではないかと考えている。また、第Ⅱ非価格競争入札の再開の議論を進めることが可能な需給状況であると考えていると同時に、買入消却に関しても、現在の実施額を減額することが適当ではないかと考えている。オフ・ザ・ランの浮動玉はかなり少なくなってきていると思うため、買入消却を休止し、第Ⅱ非価格競争入札を復活したとしても、マーケットは十分耐えうる需給環境ではないかと考えている。3. 令和8年1-3月期における流動性供給入札の実施額等について〇令和8年1-3月期における流動性供給入札の実施額等について、理財局から以下のように説明を行った。
・流動性供給入札については、P.22に掲載のとおり、令和7年度発行計画において、最終的には「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整」することとされており、前回9月の本会合では、皆様からのご意見を伺ったうえで、P.23に掲載のとおり、令和7年10-12月期の実施額について、残存15.5-39年ゾーンを減額し、残存1-5年ゾーンを増額した。・令和7年10-11月期に実施した流動性供給入札の結果等は、P.24~P.26のとおりである。・令和8年1-3月期の実施額等について事前に皆様にご意見を伺ったところ、一部の方から、残存15.5-39年ゾーンについては、「銘柄間のゆがみがみられ、需給が引き締まっている銘柄がある」ことから、残存15.5-39年ゾーンを増額してはどうかというご意見をいただいた一方で、多くの参加者からは、超長期のオフ・ザ・ランの需要が、カレント銘柄に比べ引き続き良くないとの声が聞かれ、現状維持とするのが適切ではないかとの声をいただいた。・これらを踏まえた当局案はP.27のとおりである。現状通り、残存1-5年ゾーンを1・3月に7,000億円/回、残存5-15.5年ゾーンを毎月6,500億円/回、残存15.5-39年ゾーンを2月に2,500億円/回実施することを想定している。〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・流動性供給入札の残存15.5-39年ゾーンについて、これまでの超長期ゾーンの発行減額の効果もあり、一時期に比べると需給は緩やかに改善してきているものの、引き続きゾーンとして不安定な需給構造であるため、令和8年1-3月期においては、令和7年10-12月期に調整した各ゾーンの金額を維持する案に賛成する。そのうえで、来年度においては20年債、30年債の発行減額を行う前提で、同ゾーンの増額を希望している。超長期ゾーンのオフ・ザ・ランについては、流動性が低い中で投資家需要、証券会社のショートカバーニーズがある中、残存35年近辺はイールドカーブ上、相当程度割高な状況が継続している。市場において売買の機会があるということがプレミアムを縮小させるためには重要であり、流動性供給入札はそのための重要なツールであると認識しているため、今年10月より超長期ゾーンの需給の緩みに対応するために減額した1,000億円をカレント銘柄の発行減額に合わせて元に戻すことを希望している。・当局の提案に賛成する。残存1-5年ゾーンに関しては直近増額された後、最初の入札が行われたが、概ね実勢水準での結果となっており、引き続きタイトな銘柄を中心にカバー需要は根強いものの、一方でスクイーズ気味に買わなければいけないような規模感ではなくなっている認識。したがって、現状維持が適当。・続いて残存5-15.5年ゾーンに関しては、日本銀行によるチーペスト銘柄の減額措置の利用が進んできたことを受けて、需給のタイトさは本年を通してかなり緩和されてきた印象を受ける。また、ゾーン区分の特性上、入札当日のイールドカーブの形状によっては残存15年ゾーンが多く発行されるケースも散見され、長い目でみると超長期セクターの需給の重しになり得る上に、当社が必要と考えている平均発行年限短期化と逆行するため、現在の発行額が十分に市中で消化可能である一方で、増額する必要もないため、現状維持が良いと考えている。・最後に残存15.5-39年ゾーンに関しては、2,500億円に減額された最初の入札では市場実勢対比かなり強い結果が観測されたため、セカンダリー市場でも一部(残存30年、35年)の超長期ゾーンのオフ・ザ・ランの需給がタイトな状態が続いていることから、これ以上の発行減額は難しいと考えている。一方で、そのような状況を受けて増額すべきと言う声が11月の本会合でも多く聞かれたが、増額は平均発行年限の短期化とは逆行する上に、9月の本会合で十分に議論して減額を決定したことを短期間で翻すようなことになれば、本会合における議論の質自体が問われてしまうと考えている。したがって、現段階では増額の必要性はないと考えている。・中長期ゾーンの金利上昇に伴い超長期ゾーンも水準を上げてはいるが、7月に超長期ゾーンの発行を減額して以降、時間の経過とともに春から夏にかけての極端な動きは徐々に無くなってきていると思っており、実際に10年超のカーブ形状もレンジ内での動きとなっている。・また、金利水準が上がってきたことにより、新規の投資家需要も増えていると感じている。一方でオフ・ザ・ラン銘柄とカレント銘柄に関しては、かなり需給に偏りがあり、流動性の低下からリスク許容度の低下をもたらしているとも考えられる。・また、ロークーポンのオフ・ザ・ラン銘柄からカレント銘柄への入れ替えの動きも継続しているが、投資家の中には単価が安い(単利が高い)ということでロークーポンの債券を嗜好する動きも見られ、セカンダリーでカバーすることが困難な銘柄も存在している。このように極端に流動性の乏しい銘柄については、流動性供給の果たす役割は大きいと考え、マーケット・メイカーのバランス・シートやセクター間のリスク削減は、リスク許容度や流動性の回復に大きく貢献すると考えている。・2,500億円で実施された10月の残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札は、思ったよりも発行額が十分ではないといった印象を受け、また、40年債入札のある月とない月で超長期ゾーンの供給量に大きく差が出ることもあるため、当社としては残存15.5-39年ゾーンの流動性供給を減額前の3,500億円に戻すことを希望する。
4. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。・足元の国債市場の状況について、政権が代わって補正予算の規模が大きかったこと、また、これを踏まえた来年度当初予算も相応の規模になることが意識された可能性があり、発行増額懸念に加えて日本銀行の金融政策の正常化、中立金利に対する見方の変化によって、改めて日本国債のリプライシングがされているように見える。例えば、マーケット参加者がよく見ている2年先1か月の金利については、1.25%程度で推移していたものが1.5%近くまで上昇しており、ターミナルレートが上がっていくことが意識され始めてきているものと思われる。・完全雇用の下、さらに財政政策によるプッシュがあると、インフレが跳ね上がってしまう可能性がある。一方で、日本銀行に関しては高圧経済戦略を意識してなのか、非常に緩やかに金融正常化しており、ビハインド・ザ・カーブに陥り、将来的に想定よりも大幅に政策金利を引き上げなくてはいけなくなるといったリスクが市場で意識されていると思われる。・そのために非常に珍しいが、利上げ局面であるにも関わらず、例えば残存2-10年のカーブがスティープニングしているなど、教科書的な金利の動きにはなっていない。ただ、これらの動きについてもインフレが意識されているという観点で考えていくと、ファンダメンタルズからは整合性がある。・今後の見通しについて、来週の日本銀行の金融政策決定会合において、植田日銀総裁が中立金利に対する見方について凄く上昇したとか、直ぐに中立金利まで引き上げないといけないといった強烈なタカ派的発言がない限り、マーケットのインフレ懸念を冷ますことは難しいと思っている。一方で、強烈にタカ派すぎる発言をした場合、市場が混乱し将来の利上げがしづらくなってしまうリスクもあると思っており、極めて難しいコミュニケーションが要求されている状況。・来年度の当初予算が公表される際、新発債の規模だけでなく財投債(5,500億ドル投資)の対応や借換債の増額なども踏まえると、カレンダーベース市中発行額の増額をかなり意識せざるを得ず、どの程度の規模で落ち着くのかについて注目を集めていくだろう。・足元の金利について、10年債は2%を超えないところで落ち着いているように見えるものの、いつ2%まで上昇しても全くおかしくない状況と思っている。
出典:財務省 ・ https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/251212.html