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auctions / pd / m / 58 — 2014-11-21

PD Meeting #58

Date2014-11-21
Venue財務省 第3特別会議室
Agenda
1. 平成27年度国債発行計画について〔参考配布:資料1〕
2. 応札上限・応札責任について〔参考配布:資料2〕
3. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて〔参考配布:参考資料〕
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Materials

資料1PDF
資料2PDF
参考資料PDF

Minutes

○平成27年度国債発行計画について、理財局から以下のように説明を行った。

・「発行根拠法別発行額」としては、新規財源債(建設・特例国債)については、資料1のP1のとおり、平成26年度の発行規模は41.3兆円であるところ、「前年度を上回らないよう、最大限努力する」とした中期財政計画に沿って予算編成作業が進められている。復興債については、今後の予算編成過程で決定される予定である。財投債については、財投計画全体の規模を踏まえて今後決定されることとなる。借換債は、平成27年度概算要求ベース(120.2兆円)では、平成26年度計画額(122.1兆円)より約2兆円下回る見込みである。

・「消化方式別発行額」としては、市中発行額については、本会合を含め、市場関係者の意見も踏まえつつ、予算編成過程と並行して規模を決定する。そのうち、第Ⅱ非価格競争入札は、平成26年度計画額より上振れている状況である。個人向け販売については、足元で、「個人向け国債」は順調に消化(10月末時点2.1兆円、平成26年度計画2.1兆円)されている一方、「新窓販」は売上が伸び悩んでいる(10月末時点1,600億円、平成26年度計画4,000億円)。こうした販売動向を踏まえつつ、発行予定額を決定する。日銀乗換は、最終的には日本銀行の決定によるものであるが、今後当局として市場環境も踏まえ、要請内容を検討する。

・年限構成については、資料1のP2のとおり、平成26年度は30年債を増額する一方、2年債及びT-Bill・1年物の減額等により、平均償還年限の長期化を実現した。平成27年度発行計画においても、市場関係者の意見を踏まえながら年限構成を検討し、平均償還年限の長期化に取り組んでいく予定である。なお、国の債務管理の在り方に関する懇談会においては、平成27年度発行計画の課題として、本会合等の場における市場との対話を通じ、「超長期債の増額、中短期債の減額等による平均償還年限の長期化」を図ることが指摘されている。

・資料1のP3の発行総額の推移をみると、平成26年度は借換債が大幅に伸びたこと等により、過去最大の発行額(181.5兆円)となっている。これは資料1のP4のとおり、平成21年度のリーマン・ショック後の経済対策で、短期債のほか、5年債等の中期債が大量に追加発行されたことにより、平成26年度に大量償還を迎えたことによるものである。平成27年度は、そうした「償還のコブ」も存在せず、借換債の減額も見込まれているところである。

・平均償還年限については、資料1のP5のとおり、平成26年度は約0.5年の長期化を達成し、フローベースで約8年5か月である。資料1のP6のとおり、ストックベースで見た場合、日本国債の平均償還年限は約7.5年であり、英国(15.3年)より短いものの、米(5.4年)・独(6.4年)・仏(7.0年)に比べ長期となっている。資料1のP7のとおり、フローベースで毎年長期化していった場合のストックベースの平均償還年限への影響について試算してみると、今後、仮に平成29年度まで毎年0.5年ずつ長期化していった場合、10年後(平成35年度)にはストックベースの平均償還年限が10年に達する見込みである。また、資料1のP8のとおり、償還年限の長期化による借換債発行額への影響を試算してみると、例えば、平成29年度まで毎年0.5年ずつ長期化していった場合、平成35年度には最大で15兆円(131.8兆円-116.0兆円)の発行抑制が可能となり、平成26年度の額(120.6兆円)を下回る水準となる。こうした長期化による借換リスクの抑制を通じて、「中長期的な調達コストの抑制」を図ることも国債管理政策上の重要な目標となっている。

・本日の会合では、様々な状況に的確に対応できるよう、幅広く皆様のご意見を承りたい。

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・2年債及び5年債について、それぞれ月2,000億円程度の減額が可能。

流動性供給入札については月1,000億円程度の増額が可能。ゾーン毎の具体的な金額の配分は四半期毎の本会合で議論させてほしい。

30年債及び40年債については、合わせて月1,000億円程度、年間で1.2兆円プラスアルファの増額が可能ではないか。30年債については、7,000億円×12回に増額することが考えられる。40年債については、5,000億円×5回又は4,000億円×6回のどちらにするか、マーケットの需要を踏まえて決定してほしい。

・30年債及び40年債については、日銀買入オペにより金利が低下する中、投資家層が若干薄くなっていることもあり、ボラティリティが高くなっている状況。特に40年債は発行額の半分程度を日本銀行が買い入れているため、現在の発行額である1.6兆円の1.5~2倍弱程度までは増額可能と考えている。1回の入札当たりの発行額は5,000億円程度が限界ではないかと考えており、1回の入札当たりの発行額よりも、入札の回数を増やすことでマーケットを大きくしてほしい。

30年債についても、月1,000億円程度は増額可能と思うが、30年債は今年度も増額しているため、20年債の増額でもよいと考えている。もっとも、仮に今後3年間にわたって平均償還年限を0.5年ずつ長期化していこうとするのであれば、30年債及び40年債のマーケットを大きくしないと難しい。そうした観点から、30年債の増額は致し方ないのではないか。

2年債及び5年債については、それぞれ月1,000~2,000億円程度は減額可能であると考えている。

・現行の金融緩和政策の下においては、40年債を4,000億円×6回又は5,000億円×5回に増額することは可能と考えている。

30年債については、7,000億円×12回への増額は十分消化可能。

流動性供給入札については、月1,000億円程度の増額が可能と思われるが、30年債及び40年債の発行額を増額するのであれば、残存5-15.5年ゾーンの増額が望ましいのではないか。ただし、流動性供給入札を安易に増額すると新発債への需要が減退する可能性があるため、制度創設の趣旨から逸脱しない範囲内での増額に留めるべきと考えている。

2年債、5年債及びT-Billは減額可能と考えているが、平均償還年限長期化の観点からは、2年債の減額の優先順位が高いのではないか。

・30年債及び40年債は、それぞれ1回の入札当たり1,000億円、流動性供給入札は月2,000億円程度の増額が可能と考えている。当社の顧客の需要は30年債が中心であるため、30年債の重点的な増額を希望するが、増額によって流動性が向上し、投資家需要の拡大が見込まれるのであれば40年債の増額も問題ない。

大規模な日銀買入オペによってレポ・レートが高止まるなど、市場流動性の低下が著しいことから、流動性供給入札の対象年限等については、市場参加者の意見を聴取した上で、柔軟に対応してほしい。

2年債及び5年債は、それぞれ月2,000億円程度の減額が可能であると考えている。

・30年債及び40年債は増額余地が大きく、それぞれ1回の入札当たり1,000億円程度の増額が可能。

流動性供給入札については、日銀買入オペにより、残存5-15.5年ゾーンのオフザラン銘柄の流動性が低下していることを踏まえれば、月2,000億円程度の増額が可能と考えている。

平均償還年限長期化の観点からは、2年債又は5年債の減額が適当。特に2年債を減額する方が効果的。月1,000~2,000億円程度の減額が可能ではないか。

・40年債については、日本銀行による金融緩和の中でマーケットを育成する観点から、1回の入札当たりの発行額若しくは回数、又はその両方を増やすことが適当。例えば3,000億円×8回、4,000億円×6回、又は5,000億円×5回に増額することが考えられる。

30年債については、7,000億円×12回に増額することは十分可能。場合によっては、例えば40年債を5,000億円×5回とするのであれば、30年債については、40年債の発行月を7,000億円の発行とし、それ以外の月は8,000億円の発行とすることも考えられる。

流動性供給入札については、1回の入札当たり1,000億円の増額が可能。

2年債及び5年債については、それぞれ月1,000億円の減額が可能と考えている。もっとも、2年債及び5年債の需給は逼迫していることから、大幅な減額は適当ではない。

・40年債については、1回の入札当たり1,000~2,000億円の増額が可能。当社は6,000億円×4回で問題ないと考えているが、1回の入札当たりの発行額が大きくなることを避けたいのであれば、入札の回数を増やして1回の入札当たりの発行額を抑えることも一案。もっとも、1回の入札当たりの発行額が小さいと投資家の参加が難しくなるため、1回の入札当たりの発行額は5,000億円を確保することが適当ではないか。

30年債については、月1,000億円程度の増額が可能と考えている。

流動性供給入札については、月1,000億円程度の増額余地はあるものと思う。

2年債及び5年債は、月1,000~2,000億円の減額が可能。

大規模な日銀買入オペを背景に、中期ゾーンの流動性が極端に低下している中、2年債及び5年債が減額されるのであれば、流動性供給入札の対象年限を残存3年辺りまで拡大することを検討してほしい。

発行額を増やさずに平均償還年限を長期化することは、財政規律の観点から非常に重要であると考えており、そうした方針については理解している。

・最も増額余地が大きいのは40年債であり、次いで30年債だと思っている。40年債及び30年債を合わせて2兆円程度は増額可能。40年債については、5,000億円×5回でも4,000億円×6回でも問題ない。

また、2年債及び5年債を減額することも問題ないと考えている。

・超長期ゾーンの増額は、30年債及び40年債で問題ない。40年債を重点的に増額し、マーケットを育成するという考え方もあるかもしれないが、現時点では圧倒的に30年債の方がマーケットも大きく、投資家層も幅広いことから、30年債を中心とする方がよい。40年債は5,000億円×4回とし、残りは30年債の増額で対応することが適当。

流動性供給入札については、増額を希望。月2,000~3,000億円は増額が可能。大規模な日銀買入オペによって市場の流動性が低下している中、流動性供給入札の増額は、流通市場の取引円滑化に資するものと思っている。

減額については、2年債及び5年債で問題はない。平均償還年限長期化の観点からは、2年債を優先的に減額することが適当。5年債はまだそれなりに利回りも付いており、流動性も非常に高いことを踏まえると、減額幅は2年債よりも抑えた方がよいと考えている。

・30年債及び40年債で総額2兆円程度の増額余地があると思う。30年債の方がマーケットは成熟しているので、まずは40年債の発行額を決定した上で、残りを30年債で調整すればよいのではないか。

現行の金融政策が継続することを前提とした意見ではあるが、流動性供給入札については、証券会社に相応の需要があるので増額可能と思っている。

減額については、2年債を中心とすることでよい。

・来年度の発行計画を考える上で4つのポイントが挙げられる。

1点目は、前回の国の債務管理の在り方に関する懇談会でも指摘された平均償還年限の長期化。その方法としては、超長期ゾーンを増額して中期ゾーンを減額することが考えられる。

2点目は、借換債の発行額について。資料1のP8によると、平成32年度の借換債の発行額(平成26年度発行計画ベース)は、足元対比で7兆円強増加する見込み。平成27年度に発行する5年債が丁度このタイミングで償還となることを踏まえれば、5年債の発行額は減額することが適当。

3点目は、市中発行額について。仮に平成27年度のプライマリー・バランスの赤字対GDP比半減目標を維持するのであれば、新規財源債の発行額は減少すると見込まれる。また、借換債に加え、状況次第では財投債についても発行額が減少することが想定される。更に前倒債の発行額も相当積み上がっていることを踏まえれば、財政健全化への取組姿勢を示す観点からは、カレンダーベースでの市中発行額は相応の減額をすべき。

4点目は、日銀買入オペにより市場の流動性が低下している中、超長期ゾーンの市中への供給額を増やしてほしいという意見が投資家から聞かれていること。

以上の4点を踏まえると、30年債、40年債について、合わせて年間で2兆円程度の増額が考えられるのではないか。

40年債については、6,000億円×4回では1回の入札当たりの発行額が大きいということであれば、5,000億円×5回としてもよいのではないか。その場合、30年債については、40年債の発行月を7,000億円の発行とし、それ以外の月は8,000億円の発行とすることが考えられる。

流動性供給入札については、月1,000億円の増額は可能。その場合、残存5-15.5年ゾーン及び残存15.5-39年ゾーンのそれぞれについて1回の入札当たり4,000億円の発行とすることも考えられる。ただし、残存5-15.5年ゾーンの発行額を増額した方がよいということであれば、例えばそれぞれのゾーンについて1回の入札当たり3,500億円の発行をベースとした上で、残りの1,000億円の配分について検討するという方法も考えられる。いずれにせよ、柔軟な対応が必要。

2年債は月2,000億円程度の減額が可能。5年債は月1,000~2,000億円の減額が可能だろう。

T-Bill・1年物については、カレンダーベース市中発行額を減少させるということであれば、割引短期国債の発行を1回の入札当たり1,000億円減額して、政府短期証券の発行をその分増やすことにより、T-Billとしての発行額は月2.5兆円で据え置くということも選択肢ではないか。

以上によれば、先に挙げた4つのポイントを概ね満たせると考えている。

・国債の需要サイドについても分析が必要ではないか。国債発行により調達した資金が市中に供給されると、銀行を中心とした預金取扱金融機関に預貯金が積み上がる結果、運用サイドのデュレーションは短くなっていくことになる。そうした中で当局が平均償還年限を長期化することについて、もう少し議論が必要なのではないか。

また、平均償還年限を長期化することにより借換債の発行額が減少するのは確かだが、マーケットが受け止めるのは発行額の額面ではなく、額面×デュレーションであり、これは一定である点に留意すべきではないか。

日本銀行は現在、超長期ゾーンの国債買入を増額することによって同ゾーンの金利を低下させようとしている。これに対して、当局が平均償還年限の長期化を行うことは、日本銀行による金融緩和の効果を減殺してしまう面があるのではないか。

2. 応札上限・応札責任について〔参考配布:資料2〕

○応札上限・応札責任について、理財局から以下のように説明を行った。

・昨今、T-Billや中期債の入札、及び流動性供給入札において、1社による発行予定額の半額超の落札が散見されている。

・国債入札においては、「発行予定額」を各入札参加者の応募の限度額とする制度が平成17年以降導入されているが、日本銀行による「量的・質的金融緩和」が実施される中、国債市場の流動性を確保する観点から、応札上限の在り方を見直すべきとの指摘がなされており、国の債務管理の在り方に関する懇談会においても同様の問題提起がなされている。

・これらを踏まえ、資料2のP1のとおり、平成27年4月以降については、各入札参加者の応募の限度額を、発行予定額の2分の1とすることを提案する。応札上限を引き下げることにより、一部参加者による寡占的な落札を抑制する一定の効果が期待される。一方、上限を過度に引き下げた場合には発行金利が上昇する可能性があること等の観点から、発行予定額の2分の1を上限とすることが適当と考えている。

・なお、この応札上限については、今後の金融環境の変化や国債市場の流動性の状況、市場参加者の意見等を踏まえ、必要に応じ見直すことを検討する。

・また、これとともに、万一の場合における未達防止の観点から、国債市場特別参加者に負っていただいている応札責任を、現行の「発行予定額の3%以上」から「発行予定額の4%以上」に引き上げさせていただくことを提案する。この引上げが行われた場合には、現在の国債市場特別参加者23社により、少なくとも発行予定額の92%の応札がなされることになり、国債の安定的な市中消化に資することが期待される。

・なお、本件について、事前にご意見を伺ったところでは、以上の提案に強く反対する先はなかったように認識しているが、本件については、本日いただいたご意見も勘案して総合的に判断していきたいと考えており、改めてご意見を頂戴したい。

○応札上限・応札責任については、当局の提案に対して問題ないとする意見が多数見られたほか、以下のような意見があった。

・応札上限について、将来的には更なる引下げも可能かと思うが、急速な引下げは国債発行段階での不安定さを増すことから、まずは発行予定額の2分の1とすることでよいものと思う。応札責任について、発行予定額を国債市場特別参加者の数(23社)で除した割合を義務分とすることでも構わないが、端数が出るため、4%とすることでよいと考える。

・応札上限について、幅広い入札参加者による落札を可能とする観点からは、発行予定額の3分の1としてもよいのではないか。応札責任については、当局の提案に強く反対するものではないが、現行の3%でも特に問題はないのではないか。

・応札上限について、イギリスの例に見られるように、入札の種類によって変えてもよいのではないか。例えば流動性供給入札については発行予定額の3分の1、利付債やT-Billについては2分の1とすることなどが考えられないか。

・当局の提案に異論はないが、応札上限について、幅広い入札参加者による落札を可能とする観点からは、発行予定額の3分の1とする方がよりよいのではないかと思う。また、ダッチ方式による入札の拡大など、応札上限の引下げに限らず様々な観点から検討することが必要ではないか。

・当局の提案に異論はないが、応札責任について、当局は今後5%への引上げを意図しているのか。

(これに対し、理財局から、「今後について、現時点で何らかの方向性を有しているわけではない」旨回答した。)

・当局の提案に異論はないが、国債の安定消化に向けた国債市場特別参加者の責務を強化する意味では、より実効性のある措置として、落札責任の2%への引上げも検討してはどうか。

3. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて〔参考配布:参考資料〕

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・自分は今年度の初めから、「利回りの自然落下」という言葉を使ってきたが、これまでのところ当たらずとも遠からずとの印象。背景にあるのは、もちろん日本銀行による国債買入。日本銀行は、追加緩和によって年間約80兆円ものマネタリー・ベースを積み上げようとしているところ、昨年度に国債保有残高を大幅に落とした市場参加者は、今年度は昨年度ほどには日本銀行に国債を売却できないはず。その結果、日本銀行はより高い価格(低い利回り)で国債を買い入れることとなる。年度当初、10年金利は0.4%まで自然落下すると見ていたが、追加緩和により0.35%程度まで低下するのではないかと見ている。

それにも関わらず、今年9月には9.5bp、11月には10bp金利上昇する場面があった。9月の金利上昇は円安によるもの。足元で円安が急速に進んでいるが、これがいつまでも続くかは疑問。米国においては9月以降、今後ディスインフレ傾向が続くとの見方から、長期金利が2%台後半から前半に低下してきている。一方で短期金利はFRBの利上げ前倒し観測を反映したものとなっており、バランスが悪い。後者の見方が修正される結果、ドル安となる局面も出てくるのではないか。欧州経済への懸念からユーロ安となる可能性も考えれば、今後円高となる可能性も念頭に置いておく必要。その場合、円金利は史上最低水準の0.315%まで低下してもおかしくない。ただし、そこまで金利が低下した場合、「谷深ければ山高し」で、ボラティリティの上昇に留意する必要。

11月に金利が10bp上昇したのは、消費税率の再引上げ先送りの影響。この点良かったのは、再引上げの時期が平成29年4月と明示されたことと、景気判断条項が撤廃されることである。先送りに伴って失われた税収分は5.5兆円程度であるが、これは日本銀行が買い入れる国債の約半月分に相当することを踏まえれば、先送り自体のインパクトは限定的とも言える。それにもかかわらず金利が10bp上昇したのは、消費税率の再引上げの実施が担保されないかもしれないという不安があったからである。こうした市場の反応には、政府は財政健全化に着実に取り組むことが重要とのメッセージが集約されていると思われる。

・今年前半は、海外金利の低下の影響が強かったと考えている。特に欧州では、「日本化」とも言われるディスインフレの長期化への懸念を背景に、長期金利が大きく低下した。そこに日本銀行が追加緩和を行ったことで、今後しばらくは国内要因、金融政策の効果を織り込みに行く展開になると考えている。

足元では、消費税率再引上げの先送りといった話もあって超長期ゾーンのボラティリティが若干上昇しているものの、こうしたボラティリティが落ち着いてくれば、徐々に追加緩和の効果が浸透してくると見ている。超長期ゾーンを中心に再び金利低下余地を試していく形になろう。具体的には、20年金利において、1%を試しにいく展開となる可能性は十分にあると考えている。

・需給という観点からは、基本的に金利上昇は考えられない。日本銀行による大規模な国債買入が続くという期待感が変わらない限り、金利は自然と下がりやすいものと思う。

ただし、足元で急速な円安が進む中、円安が止まらなかった場合に、当局にそうした流れを止める手段が無いということが、円金利にとってのリスクではないかと考えている。過去を振り返っても、円安に振れた場合に当局が単独介入した例は無いのではないか。来年のFRBによる利上げを織り込んだ円安の加速と、世界経済の景気底打ち期待に伴うコモディティ価格の上昇が重なった場合に、インフレ期待に対する見方が大きく変わる可能性があるのではないかと考えている。円安が急激に進行した場合に、それを止める手段が無いということは、非常に不幸な物価上昇につながるおそれがある。

・消費税率再引上げの先送りは決してポジティブなニュースではないが、再引上げの時期の明示、景気判断条項の削除、平成32年度のプライマリー・バランス黒字化目標の維持、によって政府が財政健全化を放棄したわけではないことが示されたことは評価できる。平成27年度のプライマリー・バランスの赤字対GDP比半減目標の達成が不透明となっていることはネガティブな話だが、仮に目標が達成できなかったとしても、赤字幅が目標に近い水準に留まれば、大きなリスクとはならないだろう。政府としては、効果的な景気対策を実施していくことが重要。

海外の投資家について、欧州の投資家は、債務危機を経験したこともあって、財政健全化を重視する傾向。他方、米国の投資家は成長路線を重視している印象を受ける。いずれにせよ、政府が経済成長と財政健全化の両方にしっかり取り組んでいくことが重要。

国債市場へのリスク要因としては、消費税率再引上げを先送りしても金利が上昇しなかった場合に、政府の財政健全化への取組姿勢が後退してしまうこと。その場合、日本銀行による将来の出口戦略が困難となったり、(過度の)円安が進行したりするリスクがあろう。また、日本銀行が大量の国債買入を行う中、財務省が債務の長期化を進めることも、見方によっては財政ファイナンスと捉えられかねない。自分としては、政府・日本銀行のそれぞれが合理的な判断をした結果であると考えているが、そのように見られることのないよう、政府・日本銀行がそれぞれの立場をしっかりと貫いて政策を進めていき、金融緩和からの出口をしっかり議論できるようにすることが重要。

・円金利は当面、消費税率再引上げの先送りや解散総選挙を背景にボラティリティの高い状態が続くものの、日本銀行による巨額の国債買入によって、イールド・カーブのブルフラット化が進むとの見方に変更はない。

国債市場に対するネガティブな材料としては、消費税率再引上げの先送りや足元で進行している円安・株高に加え、日本の景気回復が挙げられる。確かにGDPは2四半期連続のマイナス成長となったが、9月以降、輸出、鉱工業生産、消費、機械受注など景気回復の動きが鮮明化している。確かに家計消費は心許ない状況ではあるが、日本銀行の追加緩和は既に家計に大きな資産効果を生み出しており、この効果を過小評価すべきではない。この他、GPIFによる保有国債の売却、低金利に伴う投資家の国債需要の後退もネガティブな材料として考えられる。ただしいずれにせよ、日本銀行による金融緩和の影響の方が強いと見ている。

また、外部環境も円金利の低下要因になると考えられる。欧州においては、景気や物価の動向に関する懸念を背景に、ECBによる追加緩和期待が高まっており、欧米金利の顕著な上昇は見込みづらい。また、順調だった新興国経済に陰りが見られる中、コモディティ価格が下落しており、世界的なディスインフレ要因となっている。以上を踏まえれば、短期ゾーンのマイナス金利も含め、国債市場の金利低下は当面続く可能性が高いと見ている。

・今年度、特に下期に入ってからはイールド・カーブのブルフラット化が大きく進んでいる。この背景としては、地域金融機関や海外投資家が超長期ゾーンへの投資を積極化していることが挙げられる。日銀買入オペによって、国債のネット市中供給額(国債の市中発行額から国債の償還額と日銀買入額を差し引いた金額)のマイナス幅が今後大きくなっていく中、投資家が投資の「量」によって利息収入を確保することは難しい。過去に発行された高クーポン債の償還も進んでおり、投資家としては、これまでより長い年限の国債を買わなければならない状況となってきている。そうした中、金利上昇の押し目を待てずに平準買いをする投資家が増えてきている印象。こうした状況を踏まえると、需給の面から金利が上昇する局面は想定しづらい。とはいえ、中央銀行が発行される国債の大半を購入する状況は正常ではなく、市場の価格発見機能及び流動性が低下する中、市場は外的ショックに対して脆くなっている面があるものと思う。

リスクとしては、急速に進む円安が挙げられる。海外の一部では、「日本売り」が始まったのではないかといった声も聞かれるところである。また、今回の消費税率再引上げの先送りを受けて、海外の格付会社を中心に日本国債の格付けが見直されるのではとも言われており、財政健全化に向けた政府の姿勢は非常に重要。政府は、日本銀行との共同声明(平成25年1月)の中で、「財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」としているところ、平成27年度のプライマリー・バランスの赤字対GDP比半減目標は、消費税率の再引上げ先送りがあっても必ず達成すべき目標である。平成32年度のプライマリー・バランスの黒字化目標に関しても、来年の夏にかけて策定する財政健全化計画は、具体的な数字を盛り込んだ信頼に足るものとする必要がある。例えば、消費税率の10%以上への引上げや、従来以上に踏み込んだ歳出カット等、政府の強い意思を示す必要がある。

Source: Ministry of Finance.