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auctions / pd / m / 32 — 2010-06-11

PD Meeting #32

Date2010-06-11
Venue第3特別会議室
Agenda
(1) 平成22年7-9月期の流動性供給入札について 〔参考配布:資料1〕
(2) 平成22年7-9月期の買入消却入札について 〔参考配布:資料2〕
(3)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
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Materials

資料1PDF
資料2PDF
資料PDF(not archived)

Minutes

(1) 平成22年7-9月期の流動性供給入札について 〔参考配布:資料1〕

はじめに、理財局から、平成22年7-9月期の流動性供給入札について、以下のような説明を行った。

資料1-1の流動性供給入札については、昨年7月に毎月3,000億円×2回の発行として約1年が経過するが、3月の前回会合以降の入札状況をみると、この間の金利低下の流れの中で、残存5~15年を対象とした入札では倍率が4倍を超える好調な結果が続いており、また、残存15~29年を対象とした入札においては、倍率こそ2倍程度となっているが、全体としては安定した結果となっている。

その上で、7-9月期の実施方法について、資料1-2のとおり、毎四半期の機械的な対象銘柄の入替えを行った上で、引き続き現行の2ゾーンを対象に毎月3,000億円ずつ発行してはどうかと考えている。

7-9月期の実施方式についてのご意見のほか、この1年間の実施状況を振り返って、秋以降の来年度国債発行計画の議論も展望して流動性供給入札の中長期的な運営についてのご意見も頂きたい。

出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

・7-9月期については、現状維持で特に異論はない。

中長期的な観点では、新規発行のある年限と発行のない年限の需給格差は拡大する方向であり、来年度以降についても、現状程度の金額は維持してほしい。また、対象年限及び入札区分等については、今後も市場関係者で議論を継続していく必要があり、来年度の発行計画を策定する上で、必ず増額する年限が出てくると予想されるので、それを絡めて、増額する年限とのバランスを考え、対象年限あるいは入札区分を議論していく必要があるのではないか。

・従来から、入札区分を超長期ゾーンとそれ以外に分けた方が非常に使い勝手がよいと考えているが、システム上の制約からそれは難しいことは重々承知している。7-9月期については、現行どおり実施する方向でよいのではないか。

来年度以降に関しては、補完的な役割を担うということであるが、その適正額という意味では、特に残存5~10年ゾーンに関しては、各年限とも2兆円を超える新発債の入札を毎月実施しており、それと比較すると、1回3,000億円でも少ないと考えている。可能であれば、特に残存5~15年のゾーンに関しては増額してもよいのではないか。残存15~29年のゾーンに関しても、増額すればそれに応じて、当然応札もしやすくなると考えており、新発債の発行額とのバランスを見ながら検討していただきたい。消化は十分可能であると考えている。

・7-9月期については現行と同様でよい。

中長期的には、円債のマーケットは海外のマーケットと違い、どうしても資金量の大きな少数の投資家によって左右される面があるため、一部の銘柄に逼迫感が生じることが間々あるという状況を考慮すると、この制度は長く継続してほしいと考えている。

・7-9月期について現行どおりで異論はない。

足元の状況を見ると、残存15~29年ゾーンで応札倍率が2倍程度と、やや低い水準となっている一方で、残存5~15年ゾーンは応札倍率が上がっているという状況であるが、来年度以降は、在り方懇でも議論があったとおり、補完的な位置付けということもあり、応札倍率等の状況をよく見ながら、新発債への振替や、あるいは減額といったことも考えられるのではないか。

・ディーラー側からすると非常に使い勝手がよい。セカンダリー売買を円滑に進める上でも非常に役立っており、カーブを均すという働きによって、通常の5・10・20年といったレギュラー入札を順調にこなすことにも非常に寄与していると思う。いろいろな制約があることは理解しているが、理想論としては、入札区分を残存5~10年と超長期ゾーンという二つの切り方とし、残存5~10年ゾーンの方を多めに配分する形としてほしい。

来年度以降に関しては、発行増額の余地は大いにあると思っている。

・7-9月期に関しては、現状維持でよいのではないか。

将来的な展望と足元の状況を考えると、足元では、残存15~29年ゾーンに関しては、生保のソルベンシーマージン規制の強化により、ALM上のマチュリティを埋めるような既発債への新規投資がかなり見られており、オフザランの超長期債への投資は、今年度に関してはある程度継続すると考えている。しかしながら、そういったニーズが来年度以降はある程度減退していく可能性もあり、応札倍率あるいはマーケットの需要を見ながら、在り方懇等々で議論されているように、いずれは、あくまで補完的であるという位置付けから、需要の後退を確認できれば、そのゾーンから縮小することも検討してよいのではないか。

・7-9月期に関しては、現状維持で異論はない。

中長期的な観点からは、補完的位置付けとされているにも関わらず発行額が増えてきているため、来年度は難しいとは思うものの、今後国債発行総額が減額される際には流動性供給入札は減額の方向でよいと考える。

・7-9月期においては、当局の提案どおりでよい。

来年度以降についても、現行方式を継続していけばよいと考える。需給如何ではあるものの、現段階ではもう少し増額余地があると考えている。

・7-9月期については現行方式で構わない。

発行総額に占める割合は約5%であり、補完的位置付けからは逸脱していない規模と考えている。また、業者としては、バランスシートのコントロールが出来るとともに、安定的な流動性を提供するという形で投資家に貢献出来ることから、制度自体は非常に重宝している。ただ一方で、投資家からは、発行銘柄や発行額が不確実であるため嫌がる声も聞かれる。今後は、例えば新発債の発行額等を基準にしながら、銘柄毎に発行上限を課していく様な工夫も行う必要があると思う。制度そのものは来年度以降も続けて欲しい。

・7-9月期については現状維持で全く異存ない。

今後については、発行額を増やしていく方向で検討して欲しい。

・現状の水準で問題ない。

ただ最近は、当社の店頭でも長期負債を抱える投資家からのきめ細かな負債マッチングニーズが多く見られることから、今後も20年、30年債のオフザラン銘柄に対するニーズが高まってくるのではないかと考えている。現状では、残存5~15年ゾーンの入札では先物周りのイールドカーブの歪みの影響が相当出やすいため、将来的には超長期ゾーンとそれ以外を分けるなどゾーン区分についても検討して欲しい。

(2) 平成22年7-9月期の買入消却入札について 〔参考配布:資料2〕

理財局から、平成22年7-9月期の買入消却入札について、以下のような説明を行った。

物価連動債については、資料2-1のとおり、3月の前回会合以降、暫くの間は最長期物の実質利回りは低下、BEIは上昇していたが、5月下旬に反転し、昨日時点の最長期物の実質利回りは1.873%、BEIは▲1.032%となっている。15年変動債については、資料2-2のとおり、3月の前回会合以降では、最長期物の実勢αは5月の一時的な急上昇により0.6%台に乗せた後、5月下旬には反転し、昨日時点で0.520%となっている。

資料2-3では、最近3年程の買入消却実施額の推移を示している。2008年9月のリーマンショック後、物価連動債及び15年変動債の買入消却を大幅に増額して危機対応を継続してきたが、本年から危機の改善を踏まえた規模の縮小等を開始し、1-3月期には総額で従来の1兆円から9,000億円に、そして4-6月期には7,200億円に減額した。今後については、買入消却が借換債で調達する財源に依存している中で、物価連動債については市中残高が6月末にはピーク時の半分以下の4兆円台まで減少すること、15年変動債については市場価格が額面を超える水準まで回復した銘柄も出てきていることを踏まえると、基本的な方向性は変わらないものと考えているが、勿論、本日のご意見のほか、買入消却入札の結果及び日々の値動きも十分に注視しつつ、7-9月期の実施方法を検討する必要があると認識している。

出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

・15年変動債、物価連動債の買入消却は危機対応として導入されたものであり、市場の落ち着きに伴い買入額を減額していくという財務省の方針に一定の理解はできる。また、買入消却によって市場残高も着実に減少しているので、市場規模に合わせて買入額を調整していくことも、市場機能を回復していく意味で重要だと思う。ただし、両市場は買入消却に対する期待で支えられているのが現実であり、昨今の価格推移の不安定さを踏まえると、急激な減額は市場を混乱させる可能性があるのではないか。市場残高が大きな15年変動債については、現状程度の規模を維持することを希望する。また、市場残高が非常に減ってきている物価連動債についても1回当たりの買入額を据え置くなど、慎重な調整をしたほうがよいだろう。多少楽観的な見方をしていたが、投資家の売買等も含めてみると、少し丁寧に対応した方がよいのではないか。

・中長期的には減額という方向で進めるべきだが、足元の環境は、価格が戻れば多少売りが出て、買い手サイドは当局の買入消却のみという状況であるため、7-9月期は4-6月期と同程度の買入を継続するのが望ましい。内訳については、市場残高が大きく、また7-9月期には日本銀行の買入オペが1回になる15年変動債の買入消却を手厚く実施するという趣旨で、15年変動債及び物価連動債をそれぞれ3,600億円としてはどうか。

・市場規模や市況の安定度を考えると、中長期的には徐々に減額していくといいう方向性は理解できるが、足元の市場環境では投資家の買入消却に対するニーズは強く、その存在を前提に流通市場が成り立っていることを踏まえると、7-9月期も4-6月期と全く同規模の物価連動債4,500億円、15年変動債2,700億円として欲しい。

・物価連動債の市場規模は小さくなってきたが、価格のボラティリティは高く、買入消却の減額の議論を契機に市場が不安定になると、2008年のような状況も連想しかねないため、7-9月期については現在の金額を維持してほしい。その上で、現状の環境を踏まえ、物価連動債への配分を若干厚めにしてもよいのではないか。

・物価連動債、15年変動債ともに、当局の買入消却や日本銀行の買入オペの効果により現在の価格が保たれているので、7-9月期についても基本的に現状維持を願いたい。勿論、減額の方向性については十分理解しているので、減額が絶対に許容できないというわけではないが、仮に減額する場合でも、市場参加者の声を十分に聞いた上で、1割減のような緩やかなペースで進めてほしい。

15年変動債については、依然として市場残高が大きく、その殆どを国内投資家が保有している。理論価格での評価が広がっているとはいえ、再び市況が悪化すれば、利付債の市場にも悪影響を及ぼすリスクがあることを理解して欲しい。

・15年変動債は、まだ40兆円近くの市場残高があり、また、最近の値動きにより、価格が戻れば売りたい投資家がいることが確認されたと思う。現在は会計上の評価に理論価格を採用している参加者が多く、直ちに売ることはできない状況であっても、実勢価格が理論価格に近付いてくると、会計上の評価を実勢価格に戻す参加者も多いと考えられる。その場合の潜在的な売却ニーズも考えると、7-9月期も15年変動債は現状の買入額を維持してほしい。物価連動債についても、最近の買入消却入札では応札倍率が高い状況が続いていることから、7-9月期には減額する場合でも微減に止めてほしい。

・4-6月期の金額で今後買入消却を継続しても、年度枠の3兆円は下回るため、少し余裕があるのではないか。昨今の市場では、15年変動債と物価連動債を比較すると、BEIが▲1%を割り込むなど、物価連動債の方が厳しい状況にある。従って、物価連動債は4-6月期と同額がよい。一方、15年変動債は、毎月700億円程度まで減額できるかとも考えたが、今の需給環境では、4-6月期の金額を据え置き、又は減額しても毎月800億円の計2,400億円程度に止めるべきではないか。

・減額方向で運営するという考え方に異論はないが、物価連動債はボラティリティが高いと認識しており、これまで同様、物価連動債の方に厚めに金額を配分してほしい。7-9月期には、年間枠の3兆円を前提に四半期7,500億円も考えたが、それでは4-6月期を300億円上回るので、同様の効果が期待できるよう4-6月期から横這いの規模としてはどうか。

・最近の市況の不安定さ等を考えて、7-9月期は4-6月期と同規模を希望する。勿論、市場が落ち着けば減額も可能と考えるが、今はまだ落ち着いている状況ではないと感じている。

・物価連動債及び15年変動債の買入消却額を減額していく方向感に異論はない。ただし、足元の市場の状況を鑑みると、減額により更なる流動性の低下、あるいは価格下落を引き起こす可能性もあるので、7-9月期については、4-6月期と同規模の買入消却を行うことが望ましいのではないか。

また、月別の物価連動債の買入額について、日本銀行の買入オペの金額と合わせたベースで平準化するほか、買入頻度も4-6月期より増やし、毎月2回としてほしい。それらを踏まえ、物価連動債は7月に1,400億円、8月に1,700億円、9月に1,400億円を配分し、日本銀行の7-9月の400億円と合わせて、市場全体として毎月1,700~1,800億円がコンスタントに吸収されるのが望ましい。

仮に買入消却の総額を減額する場合には、両債券合わせて45兆円程度の市場残高に対して、その1.5~1.6%程度の規模を毎四半期維持していくことが望ましい。さらに、市中残高がより少なく、かつ発行再開の可能性がより高いと思われる物価連動債を、可能な限り先行して買入消却することが効果的だと思う。

・大きな方向性として減額を進めるべきという点には全く異論がない。ただし、直近の欧州市場の混乱を受けて、市場の流動性や市場参加者のリスク許容度が低下している状況の下、このタイミングで減額することは厳しく、7-9月期は現状維持を希望する。

・買入消却については、昨年、一昨年と緊急対応のために実施した面があることから、中長期的な方向感としては減額していくべき。ただし、3~4月以降、欧州の財政懸念等により金融市場が再度混乱していることを考えると、大幅な減額は市場に対してネガティブ・インパクトを与える可能性があるため、7-9月期はできれば横這いでお願いしたい。

中長期的な減額に当たって、物価連動債と15年変動債のどちらをより減額するか意見が分かれているが、市場残高を考慮すると物価連動債の買入額が多いため、市場が安定してくれば、物価連動債を優先的に減額してはどうか。15年変動債については、金融機関の間で理論価格での評価から時価評価に戻る動きもみられ、売却ニーズは潜在的に相当残存していると考えており、現在の規模を維持してほしい。

(3)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて

出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

・ユーロ圏の危機は、基本的に債務者側の問題であると考えている。サブプライムショックの時はリスク保有者である債権者側の問題であり、リスクを証券化し、売却することを前提にレバレッジをかけて保有していたにもかかわらず、証券化の流れが止まってしまった。現状は、リスクエクスポージャーをもっているのが預金金融機関であり、流動性危機になるようなことは考えにくい。一方で、債務者側の問題であるため、実体経済への影響がゆっくりではあるが長期的に続くのではないか。ユーロ圏では当面ユーロ安によるインフレ圧力がかかってくると思うが、長期的な視点で考えると、構造的に日本型のデフレになってもおかしくないと考えている。よって、円債の金利も当面上昇する状況ではなく、年末にむけて現状か若干低い水準のかなり狭いレンジで低位安定すると考えている。日本の財政リスクがユーロソブリンリスクのショックによりどの程度懸念されるかについては、日本の場合は預金金融機関の預貸ギャップによる国債の需要が旺盛であることから、供給量を十分にカバーしており、少なくとも、数年単位ではほとんど問題ないと考えている。しかし、主に預金金融機関からの需要であるため、現行の発行方法では年限のずれが生じてくる可能性はある。最近の中期セクターの堅調さをみてもそのことが一部影響しているのではないか。財政リスクが金利水準へ与える影響はないと考えるが、超長期ゾーンにおけるイールドカーブがスティープ化する可能性は無きにしもあらずである。

・先日のスペインにおける3年債入札は39億ユーロと計画のほぼ上限で、利回りも3.3%台で落ち着き、欧州の財政懸念も一服感が出てきた。7,500億ユーロの安定化メカニズムと1,100億ユーロのギリシャ支援策が実際に動きはじめており、ECBによる国債買い取り策も徐々に効果が出てきている。ただ、欧州の財政・経済のよくない国々の状況が、今後の緊縮策によって一段と悪化する可能性がある一方、ユーロ安等の影響がドイツ、フランスにとってプラスになる等、二極化の問題が出てきており、中長期的には少しリスク要因である。ただ、中国等の新興国の成長が旺盛であり、米国の金融市場が安定すれば、6~7月が質への逃避のクライマックスになり、徐々に世界の金融市場が安定化していくとの見通しをもっている。昨年来、日本の財政状況は特にギリシャ問題にからんで注目されているが、日本は経常黒字かつ世界最大の純資産国であり、国債の95%が国内投資家に保有されており、フローベースでみても1年半の間海外の資金にまったくといってよいほど頼っていないことを考えると、むこう数年間は超低金利の状況が続くだろう。ただ、5年、10年というタームで考えると、日本の場合はギリシャ以上に少子高齢化が進んでいるため、産業の空洞化、企業の多国籍化が進むような状況になると、中長期の財政リスクが高まりやすい。そういう面では経済と社会保障を一体的に強くしていくという政策を打ち出し、優先順位をもって具体化していくことが必要であると考えている。

・財政悪化による金利上昇というシナリオは過去何度も実現しなかったが、今回も欧州における財政懸念による金利上昇が日本にも波及するのではないかと市場関係者は考えてしまった。7月に参院選を控えた景気対策の可能性や、これまで過去4年間、5、6月に年度の最高利回りをつけているので、今年度も同様、例えば6月末に1.6%をつけると考える市場関係者が多かった。そのような中でボタンの掛け違いが生じてしまったのではないか。

そのボタンの掛け違いを直そうと年度の運用方針を変更し債券購入を開始したことが、今のような相場展開、つまり足元から5年ゾーンを潰し、更には10年の金利低下という状況に繋がっているのでないか。

リーマンショック時は、キャピタルを狙いにいく、すなわち、金利が急低下すれば、売りに行く投資行動が多かった。今回の欧州の問題は、おそらく90年代後半に起こったアジア通貨危機のような大胆な策をとらなければ解決しない。例えば、ユーロ圏からギリシャが離脱して、自国通貨を復活して切り下げる。場合によっては、デフォルトを宣言するなどのような政治決断をしなければならない。しかしながら、それは難しいので問題解決が長引く。そうすると戦略的にはキャピタルではなくインカムをとりにいくことになるのではないか。その結果、カーブを潰しにいくという動きが長期化してもおかしくないだろう。

今までスティープ化のリスクを強調する市場関係者が多かったが、今年度の最大のリスクはブルフラット化と考える。昨年度、一気にスティープ化する中で構築したポジションが残存する中、一旦巻き戻しになると、2002年、2003年のような相場には決してならないと思うが、金利の大幅な低下やイールドカーブがブルフラット化するリスクの方が、金利上昇やスティープ化よりも蓋然性が高いのではないか。

・6~7月頃に一時的に金利上昇があると春先には考えていたが、今は予想が間違っていたと考えている。これには二つの要因があったと思っている。一つは世界的なリスク回避の流れの長期化である。ただ、7,500億ユーロのセーフティーネットは十分なものと考えており、欧州の金融市場はこの夏から秋にかけて一時的に落ち着くと予想している。もう一つは、国内の資金余剰感の強さやその背景にあるマクロ的なシナリオの見間違いである。先般発表された法人企業統計季報において、キャッシュフローが増えているにも関わらず、企業は設備投資をほとんど増やしていないことに驚いている。減価償却の範囲内の設備投資しかしていないというのが現状であり、過去をみても前例がない。その結果として、銀行サイドからみれば、法人の預金が増えて貸出が減るという形で資金余剰が生じているが、このレベルは想定以上であった。今後中短期ゾーンの金利は後者の要因により上がりにくいと考えており、5年金利は0.4%を中心とした狭いレンジで推移するとみている。より長いゾーンについては今後のリスク回避の動き次第という面はあるが、一時的には巻き戻しがあってもおかしくない。ただ、その場合も国内の資金余剰感の強さを考えると上限は春先の想定よりも低く、1.4%台というところが精一杯ではないか。

・今回のヨーロッパ発の危機的状況は各国の政策によって落ち着いてきているが、長い目でみるとサブプライムショック以降、民間部門は徐々に解消しているもののレバレッジは残存しており、また財政出動を考えると、国全体で見ても、まだまだレバレッジがかかったような状態だと思う。日本の失われた何年という話ではないが、これから徐々に欧米の方もレバレッジを下げていく展開が始まり、高成長という状態には向かいづらいと思う。そうすると、外需依存の日本はマクロの観点からはすぐに利上げを見込みにくく、金利も大きく上がるという状況には向かいづらいと考えている。

足元に関しては、近年4-6月期は金利が上がるアノマリー的な現象が見られていたことや、株価やGDPも改善傾向であったので、運用計画としては、控え目な慎重スタンスをとる市場参加者が多かった。その後、金利は押し目らしい押し目がないまま低下してきてしまったので、目先、市場参加者が運用に苦慮する方向はどちらかというと金利の低下方向であり、戻り売りより、押し目買いをしたい参加者が多いだろう。本日は相場が調整しているが、そういう意味では良い押し目買いの機会を提供してくれたと思っている。

・足元の円金利の低下は、欧州発の危機を起点として下がった展開であり、特に米国金利の低下が大きかったと思う。今後の不透明感は金利低下の要因であると思われるが、一方で円金利の絶対的水準の低さは明らかなので、ここから更に金利が下がっていく展開になるとは思っていない。5、10、20年債を見たときに、なかなか投資妙味を感じない水準まできている。今後の展開を考えると、結果的に今回の金利低下で円金利は近い将来からの景気減速を織り込んだ形となっており、そのシナリオが今後確認されていくのかどうかが一つのポイントになると思う。一方、足元、政府は景気回復宣言をしており、なかなかデータとして景気減速を示唆するものがないとなると、金利水準のアップサイドへのリスクが広がり始めるのではないか。逆に欧州の問題が更に拡大し、株価の下落、円高が加速し経済活動も減速していくということが明らかになれば、現行水準の金利を更に下げることもあり得ると思う。

・水準は別として、海外等の外部環境や日本銀行による低金利政策に伴う量的緩和効果が当面継続するという前提で債券投資を行っている投資家が多く、中短期セクターのボラティリティが10年セクター、超長期セクターのボラティリティに比べて、相対的に低い状況が継続していくのではないか。足元では貸出の絶対額が減っている中、貸出の構造変化が起きている。また、預金サイドをみても、ある程度預貸ギャップが拡大していく状況が顕著となっている。中短期セクターのボラティリティが相対的に低いという前提に立って、ALM上の観点から引き続き債券投資を位置付けていきたいと思っている。

・現状の金利水準は極めて低いという認識であるが、特に国内勢については、基本的には押し目買いの投資家が多いという印象が店頭のフローから見て取れる。一方、海外勢は多少違った動きも出始めている。米国債や欧州債は、基本的にフライトゥクオリティが行き過ぎているようなレベルであるため、本日のような海外主導である程度売られるような展開はそれなりにあると思われる。とはいうものの、基本的には今のレベルで、それが相殺される展開になるのではないか。カーブに関しては、10年超はしっかりとした需要があり、中短期ゾーンに関しても引き続き需要がある一方、10年に関してだけ非常に需要が見えにくいという状況で、少し歪みが生じやすい需給バランスになっていると感じている。

(以上の発言に対して、理財局から以下のとおり発言した。)

・金利が低下傾向にあり、一方で銀行の預貸ギャップが拡大している中で、例えば2003年のVaRショックの時に今よりも行き過ぎの金利低下及びその反動があったと思うが、銀行セクターが国債を大量保有しているという状況において、2003年にあったようなことを常にリスク要因として考えなければいけないと思う。実際に投資している銀行セクターの方々に、今の運用の仕方で、それがVaRショックに対する耐性を高めているというようなことがあれば教えていただきたいと思う。

・過去のポートフォリオの中身等から推察すると、やはりキャピタルゲインをある一定期間で増やしていく運用手法ではなく、もう少し長いスパンで負債サイドの特性をより意識して、インカムゲインをどう取っていくかという方向に変わっている。具体的には中短期セクターの比率が大きくなってきているが、これは、日本銀行による金融政策のコミットメントの見通しに依拠していることに他ならない。資金量や投資量がかなり大きなものとなり、マーケットで大きく売買できないため、よりリスクレスなところを長く持てるように、より短いセクターに投資する傾向が強まっている。このことはインカムを重視することであり、その大前提は日本銀行の金融政策のコミットメントに対するビューをどこまで見るかということである。長期・超長期については、振れがそれなりにあると思っており、これらの比率を抑えていくということが、大きな傾向として、ショックを引き起こさないことにつながるのではないか。

連絡・問合せ先:

財務省 理財局 国債業務課 鈴木・橋本

電話 代表 03(3581)4111 内線 5701

Source: Ministry of Finance.