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auctions / pd / m / 26 — 2009-04-17

PD Meeting #26

Date2009-04-17
Venue中央合同庁舎第4号館 共用1202会議室
Agenda
(1) 経済危機対策に伴う国債発行計画について〔参考配布:資料1・資料2〕
(2)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
(3)その他の施策について
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Materials

資料1PDF
資料2PDF

Minutes

(1) 経済危機対策に伴う国債発行計画について〔参考配布:資料1・資料2〕

4はじめに、理財局から、経済危機対策に伴う国債発行計画について、以下のように説明を行った。

現在、明らかになっていることは、対策にかかる国費が15.4兆円、また対策の事業費の中には財投追加が7.8兆円含まれていることである。既に、大臣が記者会見で発言されているところであるが、国費の内、平成21年度の経済緊急対応予備費や財政投融資特別会計の金利変動準備金活用分を除いた分が新規財源債でファイナンスされることとなる。他方、財投債については財投追加のかなりの部分が財投債発行により対応される方向である。

4出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

・今回の増額が17兆円前後になることを前提に、長期金利に影響を与えやすい超長期ゾーンでの消化可能額をまず割当て、残りを主力の2年債、5年債及び10年債に割り振ってはどうか。

具体的には、40年債を各回1,000億円増額し計3,000億円増額、30年債を各回1,000億円増額し計4,000億円増額、20年債と10年債を各回2,000億円増額し計3.6兆円増額、5年債を各回3,000億円増額し計2.7兆円増額、2年債とT-Bill1年物を各回4,000億円増額し計7.2兆円増額、流動性供給入札を各回1,500億円増額し計2.7兆円増額し、合計で16.9兆円の増額をメインシナリオとしている。

サブシナリオとしては、先行きを考えラストリゾート的に短期ゾーンの発行余力を残すのならば、超長期ゾーンの需要がもう少し確認できることを前提に、40年債及び30年債のいずれの入札もない9月と来年3月に30年債の発行を各6,000億円行うことで、2年債の増額幅を抑えることも可能ではないか。

・今回の増額は16~17兆円との大規模なものとなると考えているが、ショックが発生すると今後の増発にも悪影響が出ると思われるため、極力ショックを軽減する必要がある。また、発行計画を見直した後に、市場が予想外の反応を示した場合は機動的に見直す必要がある。さらに、増額に当たっては追加需要が見込まれるゾーンで対応すべきで、新年限での対応はリスクを伴うため極力避けた方がよい。

増額の内訳は16兆円をベースに試算しており、長期・超長期ゾーンへの増発はやむを得ないものの、超長期債はここもと10年との入れ替えが行われており、長期金利に影響が出たことから、増額は徐々に行うべきである。

具体的には10年債から40年債については、各回1,000億円の増額で一旦止め、状況によって更に増額すればよい。また、5年債は各回2,000億円増額、2年債は各回3,000億円増額、T-Bill1年物は各回5,000億円増額とすると、ここまでの合計で11.5兆円となる。残りはT-Bill6ヶ月物を4.5兆円追加発行すればよいと考えているが、今後の発行増額のクッションとして残しておくため、今回の増額を見送る必要があれば、市場が対応可能という前提であるが、2年債と5年債の増額を各回1,000億円上乗せし、更に流動性供給入札を各回1,500億円増額すればよいのではないか。

新年限については、3年債などが考えられるが、2年債と5年債からの入れ替えが主になると思われ、大きな純増には繋がらないのではないか。それならば2年以内の年限を増額した方が短期債からシフトしやすく、発行は避けるべきである。また、7年債については、対象となる投資家が不明確なことや先物への影響も考え見送る方がよいのではないか。

・今回は大増発ということもあり、様子を見ながら、あるいは発行コストを減らすといった観点から全般的に散らす形での増額がよいと考えている。

具体的には、40年債を各回1,000億円増額、30年債を各回1,000億円増額、20年債及び10年債は各回2,000億円増額とする。5年債は各回3,000億円増額、2年債及びT-Bill1年物は各回4,000億円増額し、流動性供給入札は需要があることから各回1,500億円増額、合計で16.9兆円の増額を考えている。中でも、T-Bill1年物については、さらに増発余地があると考えており、このゾーンがバッファーになるのではないか。

新年限については、仮に行うのであれば、業者や投資家が準備できるよう、事前にアナウンスする必要があるのではないか。

・根拠法別の発行額の増額は、財政出動に伴う新規財源債が11兆円弱、財投の追加分が6兆円強で、全体では17兆円弱を予想している。

これをどう割り当てるかについて考える上の前提として、まず、個人向け国債については、先般の4月分の発行がやや低迷気味だったということを考えると、こちらへの増額は難しいと考えている。また、日銀乗換についても過去期中で増額したことがないという経緯を考えると、今回はそこへの増額は見込んでいない。

以上の前提で17兆円弱を7月から来年の3月までの9ヶ月間の市中消化で賄うとすると、40年債及び30年債は各回1,000億円増額、20年債、10年債及び5年債は各回2,000億円増額、2年債は吸収力が大きいため各回3,000億円増額としてはどうか。なお、30年債については現行9月と3月の発行がなく、期末要因ということで避けてきたと思うが、最近、国内勢の投資対象が30年債に移っており、問題ないと思われるので、1回当たり1,000億円増額の上、9月と来年3月についても発行する。

T-Bill1年物については各回4,000億円の増額を見込んでいる。T-Bill6ヶ月については、財投の積立金の取り崩しにより、T-Billの国庫内引受が一層減額され、結果的にT-Bill3ヶ月物の市中増発が継続されると考えており、この年限については今回見送る。

流動性供給入札については現行の2倍、すなわち1月当たり6,000億円の消化が可能であろう。この場合、現状は月2回の入札で対象ゾーンを分けているが、できれば月当たり2,000億円×3回とし、対象ゾーンの拡大は行わずに3つのゾーンに分けてほしい。

このような形で振り分けると、最終的に16.3兆円分の発行となる。これに、第Ⅱ非価格競争入札の増加分を加味すると16.75兆円となり、17兆円弱に到達するという形で考えている。

新年限について3年債や7年債との声も聞いているが、7年債については債券先物市場の流動性低下を考えると発行すべきではない。一方、3年債については潜在的なニーズはあると思う。ただし、最近の短期債の投資パターンとしては持ち切りの場合と半年から1年程度のローリング収益を取って売却する場合の2種類あり、仮に後者が投資行動の主体となった場合、3年債の新規発行は2年債市場に悪影響を及ぼす恐れがある。そのため3年債を満期まで持ち切るような新たな需要をもつ投資家がいるなら発行の余地はあると思うが、そうでなければリスクが大きい。毎月5,000億円の発行とすると6ヶ月間で3兆円となるが、流動性の観点からは金額が少ないことからリオープンが必要だろう。3年債が発行できれば来年度以降の国債発行計画に余裕が出るので、来週の投資家懇談会で十分なヒアリングをお願いしたい。

・当社としても17兆円程度の増額を見込んだ計算をしている。30年債及び40年債は各回1,000億円増額、10年債及び20年債は各回2,000億円増額、2年債及び5年債は各回3,000億円増額、T-Bill1年物は各回4,000億円の増額とし、流動性供給入札に関してはかなりニーズがあると考えているため、各回2,000億円の増額は消化可能であろう。これら合計で16.9兆円と考えている。

9月、3月に30年債を増発するという意見もあるが、現行のリオープンルールであれば、4回分が1銘柄で発行される可能性があり、消化に懸念が生じることからできれば反対したい。

・当初想定したよりも増額幅が大分大きくなり、基本的には全年限満遍なく増額することが必要になると考えている。今後の税収の落ち込みや、二次、三次の補正もあるかもしれないということを考慮すると、あくまでも投資家を含めたコンセンサスがとれることが前提であるが、新年限を含めた検討をしておくことで、将来増発をする際の期待値を醸成し、ポケットを作っておくということも一つの策であると考えている。ただし今回は急な議論であり、あまり無理に新年限を含めて検討を行うと、問題が起こる可能性もあるため、あくまでコンセンサスがとれることが前提である。

新年限については、超長期ゾーンでは強いニーズが確認できていないこと、また、7年についてはボラティリティの高いセクターであり、安定消化という観点ではやや扱いにくい部分があることから、消去法的に他年限とのバランスやマーケットへのインパクト等を考えると、3年ぐらいが可能性として残るのではないか。

増額の総額は17兆円程度と見ているが、仮に、3年という新年限を入れた場合は、30年債及び40年債を各回1,000億円増額、20年より手前の年限すべて各回2,000億円増額とし、流動性供給入札については非常に意義深く、ニーズも続いていると思うが、いつまでも打ち出の小槌のように増額を続けられるかというとやや懸念もあり、1月当たり2,000億円程度の増額で、1回当り2,500億円に止めてはどうか。これに3年債を1回当たり5,000億円で7月以降毎月発行とすると、合計で17兆円弱という数字になる。なお、3年債については、短期債や流動性供給入札で微調整しながら、コンセンサスのとれる時期になってから発行することも考えられる。

一方、3年債への十分なコンセンサスが得られない場合には、20年債及び30年債を各回2,000億円増額とし、T-Bill1年物から10年債のすべての年限で各回3,000億円増額するか、または10年債を各回2,000億円増額に抑え、T-Bill1年物を各回4,000億円増額する、もしくは流動性供給入札をさらに各回500億円上乗せして、1回当り3,000億円で、月6,000億円という形としてはどうか。

ただし、流動性供給入札についてこのくらいの規模にするためには、対象ゾーンを2年などの中期まで拡げていくことも検討すべきではないか。

・発行増額は16兆円と考えているが、金額が大きいため各年限にある程度満遍なく割り振らざるを得ないと考えている。

その中でもポイントは3点あり、一つは流動性供給入札で、毎回需要のある年限が発行されるという点を考慮すれば、ある程度重点を置いてよいのではないか。もう一つは超長期セクターで、金利水準の調整が必要かもしれないが、潜在的な需要が引き続き強いと考えている。最後は短いセクターであり、中期の短い方やT-Billなどは、日銀の緩和的な金融政策が続くということが前提にはなるが、そこそこの増額が必要であると考えている。

これらを踏まえると、40年債及び30年債は各回2,000億円増額、20年債及び10年債が各回1,000億円増額、5年債が各回2,000億円増額、2年債及びT-Bill1年物が各回3,000億円とし、流動性供給入札については各回2,000億円の増額、つまり月当たり4,000億円の増額としてはどうか。これらを合計すると14兆円になるが、発行増額との差額の2兆円はT-Bill6ヶ月物に置いている。

ただし、今後、歳入の減額補正をする際に、大きな増額を3か月程度の短い時間で調達しなければならなくなる可能性も考えられるため、そのバッファーとしてなるべくT-Bill6ヶ月物の増額は避けるということであれば、各回1,000億円の増額に止めておいた20年債及び10年債を各回2,000億円の増額とし、残り2,000億円のみT-Bill6ヶ月物で調整してはどうか。

・増発額を17兆円と見込んでいるが、金額が大きいため増額分を全年限に満遍なく配分することと、投資家の負債構造に裏打ちされた安定的な需要が見込める年限を厚く発行するということを基本的な考え方としている。

40年債及び30年債については各回1,000億円ずつ増額する。20年債、10年債及び5年債については各回2,000億円の増額、2年債についてはここもと非常に好調な入札が続いているため、日銀による金融政策が当面維持されることを前提とすれば、各回5,000億円程度の増額は可能ではないかと考えている。T-Billについては1年物を各回3,000億円増額し、6ヶ月物は増額を見送るという方針である。流動性供給入札については、現状の各回1,500億円を1,000億円増額して1回当たり2,500億円とし、更に流動性供給入札の対象外となっている残存1~6年に対する入札を追加する形で、月3回入札としてはどうか。

新年限については、3年債という声も聞かれるが、2年債や5年債と投資家層が重複し、3年債の発行が新規需要の喚起につながる可能性は低いと考えられる。かつて4年債と6年債の発行を中止し、5年債をベンチマークとして中期セクターの発行の中心にした経緯もあり、また、他年限と比較して少額での発行では流動性の観点からも問題が出てくると想定されるため、3年債の発行については慎重な検討が必要である。3年近辺の需要に対しては1~6年の流動性供給入札を導入することで応えることが可能ではないか。

・基本的には中短期ゾーンを増額の中心に考えているため、3年債の新規発行についても検討はしたが、当該年限の主要な買い手である銀行の需要が顕在化していない段階では時期尚早だと考えており、金融政策を含めた短期市場が安定してからでよいのではないか。

新年限を発行しない前提では40年債及び30年債を各回1,000億円増額、20年債及び10年債を各回2,000億円増額、5年債を各回3,000億円増額、2年債を各回4,000億円増額、T-Bill1年物を各回5,000億円増額する形が妥当ではないか。さらに、流動性供給入札については発行額を各回1,500億円に据え置いた上で、入札回数を月1回増やすと合計で、約16兆円の増額という計算になる。

流動性供給入札については、残存1~6年のゾーンを新たに加えていただきたいが、仮に1回当たりの発行額を増やすのであれば、入札結果の発表時刻を15分程度前倒していただきたい。なお、流動性供給入札を増額した場合には、5年債の各回の増額幅を3,000億円から2,500億円に減額する形とする。

・増額幅は第Ⅱ非価格競争入札増加分を捨象した上で16.5兆円と見積もっている。当初の発行計画では30年債及び40年債の入札が実施されない9月と来年3月に、発行額を据え置いた上で40年債の入札を追加し、合計4,000億円増額する。30年債については各回2,000億円増額し計8,000億円の増額を考えているが、両年限とも各回1,000億円の増額という見方も多いと想定されるため、特に固執するつもりはない。20年債及び10年債については各回2,000億円増額し、5年債を各回3,000億円増額、2年債を各回4,000億円増額、T-Bill1年物については各回3,000億円の増額を想定している。各回4,000億円増額という意見も多いと思うが、T-Bill1年物は翌年にすぐ借り換えの必要が生じるため、極力抑える形とした。流動性供給入札は月間で3,000億円増額し、T-Bill6ヶ月物については今回の増額を見送れば、税収見積もりの下方修正等により再度の国債増発となった場合の糊代となるため、変更なしとした。

新年限について、3年債や7年債という声が聞かれるが、7年債に関しては日銀のシステムが未対応のため、早急な対応は困難と思われる。また、先物に連動するゾーンであるため市場が振れる要因を作る可能性があり、導入は難しいのではないか。3年債については投資家の需要次第だが、数千億円の規模の発行ではショートスクイーズの発生が予想され、流動性に問題が出る可能性がある。実際に6年債で同様の現象が見られたと記憶しており、短期債で新しい銘柄を発行するのは困難ではないか。いずれにしても導入に際しては一定量を発行することになると思われるが、2年債や5年債とのトレードオフになりかねず、投資家の意見を吸い上げながら議論を継続していくことが肝要である。

この他の要望としては、第Ⅰ非価格競争入札の比率を上げることにより、ヘッジ等が容易になるため、5%程度の引き上げを検討していただきたい。

・増額については、30年債や40年債といった流動性の低い年限の割合を小さくし、多少余力のある2年債、5年債に大きく割り振る、また、流動性供給入札を月当たり4,000億円程度増額することを基本に考えている。ただし、30年債と40年債については、30年債のみ各回2,000億円増額するか、両方とも各回1,000億円増額するかはどちらでもよい。T-Bill1年物はあまり増額せず、各回3,000億円程度の増額に止めておく方がよい。1年以下の債券については、来年度の借換債の発行に繋がることや、いわゆる「埋蔵金」を取り崩すとその分は従来のFBの市中発行の増加に繋がることから、極力抑えた方がよい。

また、今後の税収減や下期に発行を予定している15年変動債や物価連動債の減額の可能性、個人向け国債の販売不振などを考慮すると、第二次補正において10兆円規模の増額が必要になると考えている。来年度は参院選があり追加的な経済対策も予想される。その対応として、前倒債を利用したり、T-Bill6ヶ月物を集中的に発行する必要があることに加え、T-Bill1年物にも負担が発生すると考えているため、今回の増額では出来る限り長い年限で発行し、1年以下の債券の負担を減らした方がよいと考えている。

・近い将来の借換債の増加に繋がることや年末の補正を考慮すると、現段階から短い年限に依存するということは避け、流動性供給入札や超長期ゾーンを中心に増額した方がよい。具体的には回数の変更は行わない前提で、40年債を各回2,000億円増額、30年債及び20年債を各回3,000億円増額、10年債、5年債及び2年債を全て各回2,000億円増額、T-Bill1年物を各回3,000億円増額、流動性供給入札については、各回2,500億円増額し、月8,000億円という形にすれば、トータル17.1兆円の増額が可能になる。流動性供給入札についてはやや多めだが、金額自体を大きくしていけば、今までは補完的な役割であったこの入札が、一つの入札としてマーケットの要になると思う。

・これまでの意見と大きな差はないが、あえて申し上げれば、流動性供給入札について各回3,500億円増額し、月当たり5,000億円×2回でよいのではないか。なお、増額する際には、短い年限を入れるなどの議論を進めてほしい。

(ここまでの議論を踏まえ、当局より以下のとおり発言した。)

・流動性供給入札には様々な要望が出ているが、本入札については四半期ごとに実施方法を検討することとしている。7月以降の発行額については、本日の議論等を踏まえて決定することとし、ゾーンの扱いや結果発表時刻を含め、7月以降の実施方法に関しては今四半期の状況を踏まえ改めてご相談させていただくということにしたい。

(2)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて

4出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

・当面の見通しとしては、現在の市場にとって国債増発が非常に大規模なものになるため、そのインパクトを見極めたいという投資家が多い状態といえる。海外、例えばアメリカや中国で景気の回復の兆しが多少見えてくると、株式市況も変わり、為替でも円高から円安の流れが出てくる中で、足元では金利が上がってきていると認識している。国債増発の問題は、今回で終わるものではなく、年度を通じての大きなテーマになると考えており、国債発行が大きく増加する中で金利が安定推移するかが一つのポイントとなる。この関連では、景気回復の兆しが本物であるかどうかも、国債増発とともに債券市場に大きな影響を与えると考えている。当社では、ある程度の金利上昇を許容すれば国債は消化可能であると考えており、その理由としては、経常黒字が小さくなったとはいえ所得収支の部分があることや、外国債券や海外直接投資により国内の資金が海外へ向かう環境も想定できないため、それが個人や企業の預金という形になれば、国債を増発しても、銀行を中心に一定の債券購入のニーズが生まれてくるためである。

景気については、今回の経済危機対策で2%ぐらいの成長率の押し上げ効果があると内閣府の試算が出ているが、当社では今年度▲5%程度のゲタを履いてスタートし、その後▲2%以上落ち込むとの見通しであるので、今回の対策で実質GDPのレベルが下げ止まるという局面は今年度中には見られないだろう。そのため、金利は上昇したとしても1.6%近辺という非常に小幅なものに止まると予想する。

・キャピタル狙いでの債券買いは昨年までは可能であったが、今年に入ってからは、デフレ下での長期金利の上昇への対応がテーマになる。今回のような景気対策や、税収不足などを考慮し、20兆円規模の国債増発も想定していたので、足元までの金利動向については、概ね予想していたとおりである。

本年度の長期金利は、上期は1.5%が中心で、下期は1.3~1.4%が中心になるとみている。景気に対する見方はかなり弱く、一旦、在庫調整が緩和することはあっても、秋以降には再調整という流れになると思う。また、個別企業の格下げが来年にかけて増加することも予想され、クレジットリスクへの警戒感が高まれば、改めて国債に資金が戻る可能性がある。ただ、一方で、年後半には二次補正を巡る議論も予想され、デフレだから金利が素直に下がるのではなく、展開次第では金利急上昇のリスクも否定できない。投資家においては、デフレの中で金利が下がらない、株価もなかなか上昇しない、貸出しも伸びない状況になると、運用が非常に難しくなり、従来以上にリスク管理が重要になると考えている。

一方で、この間の国債管理政策については、全体として適切になされているという印象を持っている。日本の場合、多額の国債が発行されても、まだ長期金利は1.4%台半ばであり、米国などとは異なり、サプライズのない形で国債増発に対応してきたと思う。これは本会合をはじめ、発行当局と市場との対話が機能しているためである。今後も厳しい局面があると思われるが、ある程度自信を持って対応していけばよい。日本銀行も、金融市場の安定に向けて最大限の努力をしており、短期マーケットはかなり落ち着いている。今日の会合でも短い年限を中心とした国債増発が予想されているが、財政ファイナンスという観点でなく、あくまで金融市場の安定という視点から支援して欲しい。

・今回の経済危機対策は、国費15.4兆円、事業費56.8兆円という過去最大の規模であり、98年以来の経験である。当時の国債発行額は一般会計の12.3兆円であったところ、今回は一般会計分こそ11兆円弱に止まるとみているが、当時はなかった財投債分として6兆円程度上乗せされるため、合計で17兆円弱となり、市中消化額としても過去最高になる。加えて、国債発行残高でみると、当時よりも遥かに大きい。98年当時、10年国債の発行額が毎月1.4兆円から1.8兆円に増加した中、資金運用部の買い切りオペの停止もあり、運用部ショックという金利上昇が生じた。今回の増発においては、本日の会合では10年国債の発行額が毎月1.9兆円から2.1兆円に増加するとの見方が大勢で、さらに第Ⅱ非価格競争入札による発行額も若干上乗せされるので、名目GDPが10年前と殆ど変わらない状況を考慮すると、増額のインパクトは相当大きい。

今のところ、長期金利は若干上昇して1.4%台になったが、98年には半年間で0.775%から2.5%台まで上昇したこととの比較では極めて小さな振れであり、殆ど金利上昇がみられない。この背景には、運用部ショックの反省を踏まえて2000年から開催してきた国債市場懇談会や本会合において議論されてきた施策やインフラ整備などが機能している結果とみている。今後、税収見通しの改定が予想されるほか、本年から来年に掛けては追加景気対策の話がでてくる可能性もあり、財政政策と債券市場の関係が再び緊張する状況が生まれる可能性もある。今後も、本会合などを中心に市場のニーズなどを拾い上げ、インフラ整備を引き続き進め、国債増発のショックを和らげていただきたい。市場参加者側でも、引き続き材料を提供していきたい。

・今回の15兆円規模の経済対策は、昨年秋からの極端な実体経済の悪化への対応として実施されるものである。米国などでも同様に国債発行が急増しているが、こうした過去に例のない景気悪化が進む中では、各経済主体では、多少経済が好転しそうな見通しがあっても簡単にレバレッジを回復させることはない。むしろ、生産の極端な落ち込みを踏まえ、設備や雇用の調整圧力が高まり、次第にデフレに向かっていく展開が予想される。同時に、市場参加者のリスク許容度が低下しているため、国債増発や各種の指標などに敏感に反応しやすくなる。これらを踏まえると、神経質な相場展開が続く可能性が高いため、実体経済の悪化度合いに比して金利は下がりにくく、金融的な側面からは緩和効果が効かない。その結果、実体経済の低迷が長引く可能性が非常に強くなっている。金利がそれ程上昇しない局面は、これから半年以上続くのではないかと考えている。

・来年3月末までは10年債利回りは1.0%から1.6%のレンジで推移すると思われる。年度を通しては上期よりも下期の方が平均の利回りは低くなるだろう。その背景には急激な生産調整により在庫があまり積み上がらない中で、4-6月から生産が回復し、更に今回の景気対策の効果で7-9月にはGDPも前期比でプラスに転じると見ている。また、年度後半には前期比年率換算で1%台後半から2%程度のプラスは期待できるだろう。マーケットでは、こうした回復や国債増発を既に織り込んでいるが、その先は追加の景気対策がなければ回復も鈍化し、更に海外の景気や外需が回復しないことには、現在の日本の経済構造からは持続的な回復は難しい。そうした状況を見通すと、年度後半の方が平均の利回りは低くなると見ている。

国債増発懸念があるにもかかわらず、足元では金利はあまり上昇していないが、そもそも今回の景気対策では需給ギャップを全て埋めることはできないので、それほど金利上昇の要因にはならなかったのではないか。足元の景気悪化にもかかわらず長期金利が1%台前半で推移してきたことの裏返しと思えば整合的かと思っている。従って、現時点での金利水準がフェアなもので、そこから上下に変動させる要素は何かあるか、例えば、今とは状況が全く異なるものの、市場との対話が不完全の場合には、かつての運用部ショックのようなことが起こってしまうのだろう。

最終的には銀行が公社債の買い手になるとの指摘があるが、昨年度後半から貸出しが伸びたため、手元資金はむしろ減少し、利息収入は相応にあるとみており、今後は貸出しを巡る環境は厳しさが増す中、収益を確保する必要性から引き続き本業に注力するとみている。しかし、金融危機による一時的な貸出しの増加要因が実体経済の悪化により剥落した時に、銀行がどのような投資行動に出るかが注目される。結局のところ公社債の買い手になるという期待感が出てくると思う。

最後に、今回の景気対策に伴う国債増発によっても金利があまり上昇しなければ、今後更に国債を増発しても大丈夫だという雰囲気が出てくることも考えられ、市場参加者としては抵抗がある。その場合は、市場との対話の成果であって、今後いくらでも増発可能というわけではないだろう。

先月、日銀が長期国債買入れを1.4兆円から1.8兆円まで増額したが、マーケットでは今後も増額してくれるという期待感が多少あるように感じる。仮にその期待感が否定された場合にマーケットがどのような反応を示すのかは少し気にしている。

(3)その他の施策について

4理財局から、その他の施策について、以下のように説明を行った。

最近の物価連動債及び15年変動債の市場の動向について、ご意見やご要望をいただきたい。なお、7-9月期の買入消却の配分については、6月中下旬に改めてご意見を伺うことになる。

4出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

・物価連動債については、一時期の投げ売りは収まってきているが、引き続き換金売りを行い得る投資家もいることは事実であり、依然として、薄商いという状況は変わっておらず注視する必要はある。価格は安定しているように見えるが、証券会社は買入消却があるという前提でマーケットメイクしている。

極論ではあるが、発行価格よりも安く買い入れられる限りは、全て買い入れる姿勢で臨むのも一案ではないか。そうすることで潜在的な売り物がないという状況になれば元本保証の付与等の商品性の議論が可能になる。但し、1回当たりの買入額が大きくなると、札が流れて価格の振れ幅が大きくなってしまうため、金額は現状程度にとどめて、買入消却を継続して実施して頂きたい。

15年変動債については、会計上の評価に理論価格を採用することが可能になってからは大きな値動きはない。マーケットでは売買が少しずつ増えており、流動性という意味では以前よりは回復しているが、あくまで買入消却があるという前提でマーケットメイクしており、買入消却の継続や買入額については慎重な議論が必要である。

・物価連動債と15年変動債については、ひと頃は需給環境や外部環境の変化により総崩れといった状態もあったが、足元ではかなり落ち着いてきており、大幅な発行減額や積極的な買入消却の効果が出てきたようだ。

しかし、15年変動債については、クーポンが低い銘柄は常に戻り売り圧力が強く、物価連動債についても、再び需給が崩れかねないという危うい状況ではある。特に、物価連動債は、15年変動債と異なり時価会計適用基準の緩和を適用するのが難しいことも懸念材料ではある。

15年変動債は国内投資家の保有比率が高く、物価連動債は海外投資家の保有比率が高いが、物価連動債の需給が悪化し魅力のない商品となったことが、海外での日本国債のブランドイメージにはマイナスになっている。そういう意味では、物価連動債の買入消却額については、4-6月で一旦引き上げられているものの、その後は再度引き上げることを検討すべきではないか。

・15年変動債については、理論価格の採用が可能になったことで投資家の継続保有が可能になったほか、買入消却の存在が投資家には安心感を与えている。この二つの要素により、15年変動債の市場については、一時の悲惨な状況から、売買がそれなりにある状況に変わってきた。

一方、物価連動債については、買入消却によるサポートはあっても全く状況は異なり、次に繋がるか否かという点は極めて難しい。国内のニーズを顕在化できるか、既発債を全て買入消却してから商品性を変えて再スタートするのがよいのか分からない。物価連動債の市場は非常に小さいので、大胆に買入消却することも必要ではあるが、逆にその買入消却のタイミングでしか市場で売買が発生しない状況になっているのも事実である。市場規模対比でやや大きな買入額になっている印象で、価格の安定という観点では買入消却を長期的に継続するという安心感を与えつつも一回の買入額を減額する、例えば、昨年度末に増額した分を若干減らすなどの対応も考えられるのではないか。物価連動債がマーケットに対して非常に悪い印象を与えていることは確かで、投資家も含めてマーケット全体で議論していかなければならない。

いずれにせよ、15年変動債や物価連動債については、今回の国債増発の対象にできる商品ではない。

・当社店頭でも、物価連動債は買入消却狙いの売買しかみられない。海外で量的緩和政策の実施等により一時的に期待インフレ率が上昇し、物価連動債の市況が堅調となった際には、国内でも物価連動債の気配値が上昇することがあったが、買入消却狙いでしか国内の売買が起こらない状況であった。今後そう遠くない将来には一気に売買が細ることも想定され、買入消却の入札も札割れしてしまう状況になるのではないか。その時には買入消却を減額すればいいという考えもあろうが、一方で市場が消滅することにもなるので、そこから新しい商品を出していくのでは遅すぎるのではないか。今の時点で国内の需要を掘り起こして新しい商品設計を進めることは難しいが、早めに議論だけはしておくべきと思われる。発行当局も、15年変動債と物価連動債では位置付けが異なると思われ、後者はグローバルスタンダードの商品であるので、今後何とか再活性化をしたいという認識があれば、随時、議論していく必要性があろう。

連絡・問合せ先:

財務省 理財局 国債業務課 太田原・橋本

電話 代表 03(3581)4111 内線 5701

Source: Ministry of Finance.