PD Meeting #27
| Date | 2009-06-12 |
|---|---|
| Venue | 第3特別会議室 |
| Agenda | (1) 平成21年7-9月の買入消却について〔参考配布:資料1〕 (2)平成21年7-9月の流動性供給入札について〔参考配布:資料2〕 (3)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて |
| Sources | Removed from mof.go.jp; restored here from web archives |
Materials
| 資料1PDF |
| 資料2PDF |
Minutes
(1) 平成21年7-9月の買入消却について〔参考配布:資料1〕
4はじめに、理財局から、平成21年7-9月の買入消却について、以下のように説明を行った。
平成21年度の買入消却の具体的な配分は、四半期毎に市場の状況を見ながら決定することとしており、資料1-1のとおり、本年4-6月については、15年変動債を計3,400億円、物価連動債を計6,600億円配分した。今回の会合では、本年7-9月の買入消却の実施額についてご意見を頂きたい。なお、3月の会合資料と同じく、参考までに同じ期間の日本銀行の長期国債買入予定額を括弧内に示した。
資料1-2は、物価連動債の市況を示しているが、依然として実質利回りは3%を超えており、最近をみても5月後半など大きく振れる場面もあった。資料1-3では、15年変動債の市況を示している。15年変動債については、銘柄間で値動きに違いもあるが、カレント銘柄をみると実勢アルファーは徐々に上昇している。
こうした状況を踏まえ、本年度の7-9月の買入消却の実施額についてご意見を頂きたい。また、物価連動債は15年変動債と比較してボラティリティの高い状態にあるが、物価連動債や15年変動債の市況についてお気付きの点や、今後の取扱いについてご意見があれば、合わせて頂きたい。
(これに続き、北米IRの報告として、物価連動債の見方を中心にIRでのディスカッションの内容を以下のとおり紹介した。)
北米IRにおける物価連動債についての海外投資家の見方は、総じてポジティブな印象であり、今後の物価連動債の在り方など、積極的な方向での議論が多かった。
また、基本的なスタンスとして、物価連動債の発行停止から買入消却までの一連の流れについて好意的な評価であり、買入消却を今後も継続してほしいという意見が多かった。
その他、物価連動債以外の部分では、今回の国債増発については、自国(米国)よりは小さいものの、2011年のプライマリーバランス黒字化はおそらく困難となる中、財政規律について今後どのようなガイドラインをもっていくのかという点について関心が寄せられた。
4出席者から出された意見等の概要は以下の通り。
・ 4-6月の市場環境等を踏まえ、第1四半期の買入額を継続することが望ましい。
現在の市況については、商品市況の回復やインフレ期待等を背景に、米国のBEIが上昇してきているが、日本の物価連動債については未だ需給バランスが崩れた状態が継続しているため、米国の物価連動債と歩調を合わせる形にはならないと見ている。カレント銘柄では80円から90円近辺のレンジ相場となっているが、現在各月2回の買入消却入札を織り込む形での相場形成がなされており、本価格帯にとどまっている間は細かい値動きまで過度に警戒せず、市場参加者に不要な思惑を作らせないよう、淡々と買入れを実施していけばよい。ただし、物価連動債の市況は相対的には不安定であるため、15年変動債に影響が出ない範囲で物価連動債を7,000億円程度、15年変動債を3,000億円程度という形で若干物価連動債に比重を置いてもよいと考えている。
・物価連動債・15年変動債とも需給状況に目立った変化はなく、基本的に4-6月の買入額を維持すべきと考える。ただし、CPIの下振れが7-9月に物価連動債の需給悪化を招くようであれば、その局面で物価連動債への買入額を増額する余地はあると思われる。
・物価連動債については、毎月2,200億円で計6,600億円、15年変動債については、日銀の買入れがある月は1,000億円で、残り1,200億円を2回で計3,400億円、合計1兆円でよいのではないか。
物価連動債については、買入消却増額後も今のところ改善が見られず、BEIが▲100bp台後半で推移しており、引き続き集中治療が必要な状況と考えている。ただし、BEIが▲200bp程度では押し目買いも出てきており、逆に言えばこういった手当てによって、大きく崩れるリスクも多少減少している。
15年変動債については、市場価格は緩やかな改善傾向となっているが、買入消却入札では、応札倍率がまだ4倍程度あることから、まだまだニーズが高く、現状程度のサポートは必要と考えている。
・基本的には4-6月と同額をベースに、物価連動債については、8月は日銀の買入れがないため、その月は他の月よりも多めとし、15年変動債については、日銀の買入れがある8月を他の月よりも少なくすることでよいのではないか。
また、物価連動債について一部買入対象外の銘柄があるが、ニーズがなければ応札もされないと考えており、全銘柄を対象としてほしい。こういった銘柄を利用し価格を操作するような動きがマーケットにはあるが、対象にしておくことでその不確実性等を排除できるのではないか。
15年変動債については、物価連動債の優先度が高い状況ではあるが、マーケットでトレードされている価格と買入消却入札の落札価格の乖離が広がっている状態であり、引き続きニーズはある。
・両方ともに、4-6月と同額もしくは可能であれば増額してほしい。物価連動債に関しても15年変動債に関しても、マーケットが落ち着いているとは全く思っていない。買入消却入札に合わせた投資家の売りも継続しており、このオペレーションは大事なものであると思っている。
・基本的には両方とも4-6月とほぼ同じような配分、同じような額を継続していけばよいのではないか。
15年変動債については、物価連動債よりも早くから価格のボラティリティが落ち着き、かつてに比べれば相当小口ではあるが、投資家の店頭の売買もある。ただし、引き続き買入消却入札の結果が実勢よりも甘い水準であり、また、応札倍率もそれなりに高い水準が続いているため、現状のレベルは最低限継続していくことがマーケットにとっては必要であると考えている。
一方、物価連動債については、買入消却入札のタイミングを狙ったような売買しかなかったところから、足元では水準によっては店頭での売買も少し見えるような状況となったが、価格のボラティリティは相変わらず落ち着いていない。不安定要素の一つとして、将来に対する継続性の期待が非常にぶれていることが要因ではないかと考えているが、今後これを安定させていくことで、ひいては、物価連動債の価格のボラティリティをある程度下げることに寄与していくのではないか。そのための具体的な方法については、今後も議論が必要であると思うが、ある程度年間を通じたシナリオを見せることも一案である。ただ、あくまでも四半期ごとに見直していくことは、マーケットの実勢に合わせて運用を柔軟にしていくという面があるため、買入消却の継続性に対する誤解をしっかり説明して解いていくことが我々も含め当然必要だと思う。まだ4-6月の買入消却を実施しただけであり、4-6月に続き7-9月も買入消却を実施していけば、点が線になるだけでも少しは変わるかもしれず、すぐに年度を通じた決定を明確にしなければならないというわけではない。いずれにしても、マーケットが小さいため、買入額を増やせば価格は少しは上昇するかもしれないが、それが必ずしもボラティリティを下げることにはつながらない可能性もあり、できるだけ安定的なオペレーションをしていけばよいのではないか。
・基本的には、現状と同額でよいが、場合によっては日銀の買入額も考慮した上で、今回は少し物価連動債に比重を置いた配分にしてもよいかもしれない。その結果、15年変動債の1回当たりの買入額が数百億円程度減ったとしてもマーケットには影響はないと考えている。
現状のマーケットでは、物価連動債・15年変動債ともに、ある程度は業者間で取引はされているものの、1日の売買高は数億円から数十億円と少額にとどまっている。こうした中で、1回の買入消却入札に対する応札倍率は3~4倍という状況が続いており、多少価格が上昇してきたからといってマーケットでの安定性が元に戻ったとは思っていない。少なくとも応札倍率が1倍を割り込む程度に低下するまでは、現行の規模で買入消却を続けるべきである。また、買入消却が継続されていくという期待感がマーケットの安定性を保つのではないか。
・現状と同額でよい。ただし、15年変動債については、7月と9月には日銀の買入れがないため、四半期で割り振ってしまうと10月以降は少し買入額が減ってしまうが、できれば7月と9月は1回当たり1,400億円にしていただきたい。
物価連動債に関しては、店頭での売買を見る限りここ一週間くらいは小口の買いが海外から目立っており、足元で少しBEIが上昇し、地合いがよくなっていることが背景になっているのだろう。
また、最近国内投資家からはこの商品を将来的にどのようにしていくのかといった質問も出ており、買入消却の継続ということではなく、例えば、フロアの付与などを含めて、発行当局がどのように考えているのかを投資家は絶えず懸念として頭の中に描いているのかもしれない。ただし、フロアを付与してほしいという意見はあるものの、実際にフロアが付与されれば買うかというと必ずしもそうではないと思われる。
15年変動債に関しては、会計上の評価に理論価格を採用する投資家が増えておりマーケットの安定に資している。一方で、それが流動性を低下させているといった面もあるが、地合いがよくなってきているため、理論値を採用していない地方投資家から買いも出てきている。個人的意見ではあるがキャピタルゲインを目的とするならば、興味深い債券になってきたのではないかと思う。理論値を採用している投資家は出てこないため、相場全体として復活するわけではないが、相場が少しずつよくなるというような兆しがあると感じている。
・7-9月のトータルな額としては、可能であれば4-6月よりも増額する方がよいと考えている。
物価連動債と15年変動債の配分については、マーケット全体のプレッシャー、価格の沈み方、買入消却入札のタイミングでの海外投資家を中心とした委託注文の量・件数を考慮すると、8:2程度まで物価連動債の比率を上げてもよいのではないか。具体的には、物価連動債は、日銀の買入れのない8月を3,000億円とし、残りの2回を2,500億円で計8,000億円、15年変動債は、日銀の買入れのある8月を400億円とし、残りの2回を800億円で計2,000億円としてはどうか。
また、買入消却入札の対象銘柄については、一部対象外の銘柄があるが、制限を設けず、例えば1回の入札につき落札は50億円程度までといったキャップを付けるなどして対象としてはどうか。
・15年変動債の買入消却に厚めに配分していただきたい。国内の銀行等、長く苦しんで保有している投資家がいるため、こちらを優先して買入消却するのが筋ではないか。
物価連動債の方へ配分を厚くするとの意見が多いが、物価連動債の商品上、ある程度CPIの動きに準じた動きがあって当然であり、将来的に発行再開を考えているならば、足元のCPIのマイナス幅が大きくなり価格が下がってしまうため早めに買い入れる、ということではなく、ある程度の動きは許容してもよいのではないか。
・買入消却については物価連動債への配分を厚くできるのであればお願いしたい。
今後の日本の経常収支の黒字は縮小していき、ある程度海外投資家に国債の消化を依存せざるを得なくなる時期がいずれ来ると思われる。現状では、物価連動債の評判が悪く、結果的に日本国債全体に対する海外のイメージがなかなかよくならないという面もあるため、国の一つの施策として対応していく必要があるのではないか。本会合の直前は、7-9月に物価連動債の買入額が減るのではないかという思惑で価格が変動したこともあった。そもそも売買量が非常に少ない分値動きも大きい。これを解消するには、例えば、年度内は最低限現状の買入額は据え置くといったニュアンスのみを伝えるのも一案であるし、そういったニュアンスを伝えつつ、7-9月の買入額を増額するのもひとつの選択肢ではないか。
(2)平成21年7-9月の流動性供給入札について〔参考配布:資料2〕
4理財局から、平成21年7-9月の流動性供給入札について、以下のように説明を行った。
流動性供給入札については、本年度の当初の国債発行計画では、毎月1,500億円×2回のペースで毎月3,000億円の発行を予定していたが、7月以降は、既にご案内のとおり、毎月6,000億円の発行に増額することとしている。
したがって、毎月の発行額が倍増になるが、最近の本会合において、現在実施対象としている残存6~29年ゾーンに加え、残存5年以下のゾーンを対象に追加することを希望する意見も出されていた。そこで、本日の議論に際しては、資料2-1に議論の叩き台として対象ゾーンや毎月の入札回数について3つの案を示している。具体的には、案1の「現行増額型」として、現在と同じ2つのゾーンを対象に、7月以降は1回当たりの発行額を3,000億円とする案、案2の「ゾーン追加型」として、例えば対象ゾーンに残存5年以下を追加し、全部で3つのゾーンとし、毎月の入札回数は現行の2回のまま1回当たりの発行額を3,000億円とする案、案3の「ゾーン・回数追加型」として、案2と同じく対象ゾーンを3つにするとともに、毎月の入札回数も3回とし、各ゾーンそれぞれ1回ずつ実施(1回当たりの発行額は2,000億円)する案を挙げている。
なお、資料2-2は、平成20年度以降の入札対象銘柄と流動性供給入札を通じた累積発行額をグラフにしたものである。また、資料2-3は、同じく平成20年度以降に実施した入札の結果を纏めたものである。
7-9月の流動性供給入札について、ご意見やご要望を頂きたい。
4出席者から出された意見等の概要は以下の通り。
・「現行増額型」が望ましいと思っている。市場で流動性が常に欠けているのは現在対象としているゾーンであり、それを維持して増額する方法がよい。1回当たり3,000億円程度であれば今の段階では問題ないと考えている。残存5年以下のゾーンの中には需給が締まっている銘柄がないわけではないが、7月からの増発は中期セクターを中心に行われることもあり、今まで以上に売買が起こると見込まれるので、流動性供給入札は、現状のゾーンで増額してほしい。
・「ゾーン・回数追加型」で残存2~6年ゾーンの追加を希望する。同ゾーンには需給が変わりやすい銘柄があり、残存2~6年の5年債と10年債を流動性供給入札の対象としてほしい。
・入札・発行システムの制約を離れて純粋な希望を言えば、日銀の輪番オペと同じゾーンによる実施を希望する。即ち、10年を境にして2つのゾーンを分けてほしい。現行の残存6~15年ゾーンは、入札日に先物相場が上昇すると、先物決済の最割安銘柄等に落札が集中してしまい、必ずしも長期や超長期ゾーンで流動性の供給を要する銘柄が落札できないケースもある。また、そのようなケースでは、今後は1回当たり3,000億円の発行に見合ったヘッジができるか正直よく分からない。また、入札結果の発表時刻が13時15分であるため、事前にヘッジをして入札に臨むこともやりづらい面がある。以上を踏まえ、流動性供給入札については、先物周りのゾーンとそれ以外のゾーンは分けて実施してほしい。システムの制約が解消しないならば、ゾーンを追加して3つとし、入札回数も月3回にしてほしい。
・「現行増額型」でも問題はないが、本会合等で中期ゾーンに対するニーズが強ければ、「ゾーン追加型」でも構わない。1回当たり3,000億円で毎月2回入札を実施し、対象ゾーンは3つの中から順番に回せばよい。ただ、中期債だけを対象に流動性供給入札を実施する必要はないとも思う。
・「現行増額型」をベースに考えている。その理由は、今後も2年債や5年債の発行がコンスタントに行われる中で、中期ゾーンは決して流動性が低いとは言えないためである。ただし、現行の流動性供給入札が残存6年以上を対象としていることもあり、残存5~6年の間がエアポケットのように流動性が極端に落ちることもある。新発5年債とは重ねないという考え方で、残存5年超まで対象ゾーンを広げるのも一案ではないか。
・「ゾーン追加型」を希望する。1回当たりの発行額については、現在の1,500億円ではむしろ少なく、市場実勢よりも高値で入札利回りが決まることが多く、また入札結果の発表時刻が遅いことも影響し、入札前のヘッジもしづらい。1回当たりの発行額が多い方が、オペレーションが安定するのではないか。対象ゾーンについては、中期ゾーンはスクイーズしても短期間で解消することが多いが、6年近辺は、投資家の一定のニーズがあるほか、先物決済の最割安銘柄に該当した時期を経て需給が歪みにくいものでもあり、流動性供給入札の対象に加えてもよいのではないか。また、40年債についても、発行から間もないが、早くも市場のニーズが高まっており、既に若干スクイーズ状態になっている。投資家からはニーズがあると聞いており、早い段階で40年債も流動性供給入札に加えることを検討してほしい。
・「ゾーン・回数追加型」を希望する。1回当たりの金額が1,500億円から3,000億円に倍増するのは若干リスクがある。発行額が少ないと事前のヘッジが難しいという点は、1回当たりの発行額が5,000億円程度にならなければ、大して差はない。3,000億円はむしろ中途半端で入札が不安定になるリスクがあるので、一旦2,000億円に止め、入札回数を月3回にするのがよいだろう。比較的需給がタイトな銘柄が存在する残存2~6年を対象ゾーンに追加してほしい。ただ、1回当たり3,000億円でも問題ないという意見が多ければ、「現行増額型」としても構わないが、その場合でも、若干需給がタイトな残存5~6年は対象に加えてほしい。7月以降大きく増発される残存5年以下とは重ならないので、イールドカーブには非常に優しい対応となるだろう。また、40年債についても、投資家からはニーズがあっても購入できないとの意見もあり、流動性供給入札の対象とすることを早急に検討してほしい。
・「現行増額型」でよい。現在の発行量や7月以降の増発を考えると、中短期債に限定した新たなゾーンを追加する必要はない。本会合で何度か議論されている入札結果の発表時刻が少しでも前倒しできれば、1回当たりの発行額が増加した場合でも、より安心感がある。
(ここまでの議論を踏まえ、当局より以下のとおり発言した。)
・7月以降に毎月の発行額が増えることもあり、これまで要望が聞かれた入札結果の公表時刻の前倒しについて、当局の対応状況をご説明したい。発表時刻を前倒すに当たって、当局側の事務処理に万全を期すためには、関係システムの機能向上が不可欠と判断し対応に着手した。ただし、システム開発業者の選定等には所定の手続きがあり、若干時間を要するため、すぐには前倒しできない点をご理解頂きたい。
また、流動性供給入札における40年債の取り扱いについて、当局の考え方を申し上げると、対象ゾーンは必要に応じて適宜見直すこととしており、残存5年以下のゾーンのように、本会合等を通じて意見が出されたものについては、流動性供給入札の趣旨も踏まえ、本会合等でも議論して頂いている。40年債については、まだ新しい商品であるが、流通市場の状況や発行への影響などを考慮しながら検討していきたい。
(3)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
4出席者から出された意見等の概要は以下の通り。
・足元で生じている日米の景気の早期回復期待は、裏切られる可能性が高いと考えている。米国での利上げ期待のような一時的な現象が我が国で生じることはなく、中短期ゾーンの金利は安定した状態が続くとみている。それ以上の年限の金利には様々な不安要因があるため、イールドカーブの形状は中短期ゾーンからスティープ化するリスクがある。
例えば、超長期ゾーンについては、生保の超長期債への需要で7月以降の増発分も十分消化できるとみているが、最近海外の金利上昇等に伴い、ヘッジ外債のニーズが高まるという要素も出てきた。したがって、超長期債の金利については、海外のイールドカーブの動きとある程度連動するのではないかと考えている。
10年債については、7月からの発行増額は2,000億円であり、他と比較して金額が大きいわけではないが、明確な買い手が不在であるため、非常に不確定要素が多い。過去10年間ほどの5年-10年金利のスプレッドは40~90bp程度で推移してきたことを踏まえると、7月以降の増発に際して、5年債に対して10年債が90bp程度のプレミアムを要求してもおかしくない。即ち、5年債が0.9%であれば、10年債が1.8%になることも想定される。
・アノマリーを信じたくはないが、今年も6月が最も金利の高い月になるのではないかと考えている。7月から増発となるが、既に額はわかっている。市場参加者が懸念するのは常のことである。実際に増発が開始される前が最も金利が上昇しやすいのではないか。ただ、7月からの増発懸念が払拭されても、市場では2次補正や来年度当初予算などを話題にし、年末に向けて需給懸念を引きずるかもしれないので、引きつづきうまくコントロールできればよいと思う。
一方で、2003年に長期金利が0.4%まで低下した頃よりも短期金融市場での余剰資金は多いような感覚もある。4月時点で国内銀行の公社債残高が過去最高の148兆円という統計などは、その裏付けといえるかもしれない。今後、銀行貸出が伸び悩み、更に余資が積み上がることが見込まれる中、国債の需給懸念が払拭される局面が来ると、市場は景気減速を織り込み始めるだろう。円債市場では、来年も景気は低迷し、米国の金利上昇も続かないといった点が意識されるだろう。
したがって、今後の金利上昇をあまり心配する必要はなく、国債発行については年末まで市場は増発懸念を持ち続けると思われるので、それに対してうまく対応できればよいのではないか。
・本年度の上期の長期金利は1.5%を中心に推移するとみている。増発が開始される7月にも意外に金利は上昇しないだろう。
米国債金利の急上昇については、米国の国債管理政策やFRBによる市場との対話が機能していないことに伴う需給バランス悪化の結果であり、仮に米国10年債金利が4%を超えたとしても、それが直ちに日本国債の金利上昇圧力にはならないであろう。
また、日経平均株価が1万円台を回復したことも、実体経済の回復というよりは、市場の資金余剰が主因であるとみており、債券に対する強い売り材料にはならない。株価が更に上昇しても、景気回復を裏付ける強い材料が出てこない限りは、長期金利を1.7~1.8%台に押し上げる要素にはならないと考えている。
むしろ注意を要するのは8月ではないか。7月の国債増発は今積み上がっている余剰資金により対応可能と思われるが、8月にはその余剰資金を使い切り、また9月中間決算を控え信用リスクに敏感になるため、市場の流動性が再び低下し、そうした中で国債の金利が上昇することもあり得る。
市場参加者も、こうしたシナリオを想定し、当面は押し目買いのスタンスで臨むと考えられるため、結局、上期の長期金利は1.5%を中心とした狭いレンジで推移するだろう。
先に、海外投資家の日本国債のイメージがなかなかよくならないといった話があったが、米国債の値動きの激しさを考えると、日本国債の安定感というのは際立っていると思う。これは財務省を中心とした国債管理政策が適切に運営されているということであり、日本銀行も各種のオペを通じて金融市場の安定化に尽力している成果が出ているということではないか。こういった面は、本会合などを通じて十分に機能しているということを積極的に言っていった方がよい。
特に、当局の対応が後手に回っているというような誤解がマーケットにあるならば、むしろ、足元のボラティリティが多少なりとも減ってきたのはこうした政策が先手を打ってうまく行われているということの表れだということや、今回の17兆円という非常に大規模な増発を結果的にサプライズなく消化したということなどをアピールすることにより、ひいてはアナウンスメント効果により市場の安定化に繋がるのではないか。
連絡・問合せ先:
財務省 理財局 国債業務課 太田原・橋本
電話 代表 03(3581)4111 内線 5701
Source: Ministry of Finance.