国債市場特別参加者会合(第64回)
| 開催日 | 2015-12-14 |
|---|---|
| 場所 | 財務省 第3特別会議室 |
| 議題 | 1. 平成28 年1 月における物価連動債の発行額について〔参考配布:資料1〕 2. 平成28 年1-3 月における流動性供給入札について〔参考配布:資料2〕 3. 平成28 年1-3 月期における買入消却入札について〔参考配布:資料3〕 4. 平成28年度国債発行計画について〔参考配布:資料4、参考資料〕 5. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて〔参考配布:参考資料〕 |
| 原文 | 財務省サイトでは公開終了(本ページはアーカイブから復元) |
配布資料
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| 参考資料PDF |
議事要旨
○平成28 年1 月における物価連動債の発行額について、理財局から以下のように説明を行った。
・物価連動債の発行額については、平成27年度発行計画において、年4回、5,000億円を発行することを基本としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、発行額を調整」するとされており、四半期ごとに、次回発行額について、この場でご議論を頂いている。
・資料1のP1は最近の入札の状況であり、これまで9回の入札をこなしてきた。
前回11月の入札以降の市場の状況を見ると、P2のとおり、11月の入札時点のBEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)は、0.74%であったが、その後、0.8%台半ばまで一旦持ち直し、足下では原油価格の下落等を背景に再び下落に転じている。
・こうした状況の下で、本会合に先立ち、特別参加者や投資家の皆様から意見を伺ったところ、①投資家層の拡がりが引き続き課題となっているといった指摘はあるが、②足元の経済情勢・需給環境を考慮しても、5,000億円を安定的に消化することが十分可能な状況であり、流動性の維持・向上の観点からも一定量を安定的に発行していくことが適当、という意見が多かったところ。
・これを受けて、平成28年1月の物価連動債の発行額については、P3のとおり、計画と同額の5,000億円としてはどうかと考えている。
・当局としては、引き続き、物価連動債の市場を育成していくことは国債管理政策上の重要な課題と考えている。平成28年1月の発行額に関するご意見のほか、今後の市場育成のためのご提案などもあれば、あわせて頂戴できれば幸いである。
○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・現状維持を希望する。足元は商品価格の下落等によって軟調な展開が続いているが、投げ売るような動きはみられないことから、5,000億円を消化することは十分可能と考えている。マーケットの育成を図るためにも、来年度以降も現在の発行額を維持していくことを希望している。
・現状維持を希望する。5,000億円の発行が定着し、マーケットのコンセンサスとなっているところ。発行額の増減によりマーケットを不安定にさせるのではなく、来年度も安定的な供給を続けることが重要。
・現状維持を希望する。発行額を減額させると、当局の物価連動債へのコミットメントが低下していると受け止められる可能性があると思われるため、今後も5,000億円の発行を希望する。
・1回の入札当たり4,000億円への減額を希望する。もっとも、平成28年1月の発行額の減額を希望しているというよりは、来年度以降も見通せばどこかのタイミングで減額方向の見直しが相応しいと考えている。現時点では、当初期待されたほどの投資家層の拡大が見られないこと、原油価格の下落等、外部環境が物価連動債にとって逆風となっていることが理由であり、環境の改善を待って緩やかに残高を増やしていく方がかえってマーケットの育成に繋がると考えている。ただし、仮に、平成28年1月の発行額を5,000億円としても、直ちに問題が発生するとは考えていない。
・物価連動債の発行額は、いつまでに決定しなければならないのか。
入札の直前に外部環境が悪化した場合、例えば、入札の一週間前発表の時点で急遽発行額を4,000億円に減額することは可能なのか、それとも発行額について議論している今の時点で決定しなければならないのか。
(これに対し、理財局から「基本的にマーケットの予見可能性を確保した上で発行額を決定していくことが重要。特に物価連動債については、本会合や国債投資家懇談会において意見を聞いた上で発行額を決定し発表する仕組みとしている。このプロセスを経て行われた決定は重く受け止めなければならないと考えており、入札直前に発行額を変えることができないわけではないが、市場によほど大きな変化がない限りは、この仕組みに従って決めた発行額とすることが基本である。」旨回答した。)
2. 平成28 年1-3 月における流動性供給入札について〔参考配布:資料2〕
○平成28 年1-3 月における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。
・流動性供給入札については、本日、ご意見を頂戴したいテーマは2つある。
・一つは、来四半期の流動性供給入札のゾーン別の発行額の割り振りであり、これは、平成27年度発行計画で、毎月8,000億円の発行を行うこととしつつ、「具体的な実施方法は、市場参加者との意見交換を踏まえ、決定」とされていることを受け、四半期ごとに特別参加者のご意見をお伺いしているもの。
・資料2のP1は最近の流動性供給入札の結果を示したもの。左側のグラフにあるとおり、本年4月から、残存5-15.5年ゾーンについては発行額を月5,000億円に増やしたが、応札倍率は安定的に推移している。P2で入札結果の詳細をお示ししているが、テールもそれほど広がっていない状況。
・こうした状況を踏まえ、事前に意見を伺ったところでは、現状の配分が適当との意見が大多数であった。
・これを受け、当局としては、P4のとおり、平成28年1-3月期における発行額の配分についても、現状どおり、残存5-15.5年ゾーンを月5,000億円、残存15.5-39年ゾーンを月3,000億円とする案を提示させていただいた。
・二つ目のテーマは、現在対象とされていない残存5年以下の銘柄についての取扱である。
・11月の本会合において、実際に導入する場合の具体的論点についてご議論いただき、更に本会合に先立ち事前に皆様のご意見をお伺いしたが、残存5年以下のゾーンの需給は引き続きタイトであり、同ゾーンに対象を拡大することを希望する意見が多かったものと認識している。
・これを踏まえ、残存5年以下のゾーンを対象とした場合の流動性供給入札の実施イメージをP5のとおり提示させていただいた。
・対象年限については、残存1年超39年未満とする。残存1年未満となった銘柄については、投資家が運用のベンチマークとしているインデックスの対象から外れ、これらの銘柄が市場に供給されるようになることから調達も容易になる、との意見を踏まえ、入札対象から除外することとしたもの。
・ゾーン区分については、既存の2ゾーンに新しいゾーンを追加して3ゾーンで実施する方法と、対象年限を1年まで拡大して2ゾーンのまま実施する方法とが考えられる。ただ、2ゾーンで実施する場合、入札の特性を考慮すると、先物取引との関係での需要が高い残存6-7年の銘柄が落札されにくくなるおそれがあると考えられる。そのため、①残存1年超5年以下、②残存5年超15.5年以下、③残存15.5年超39年未満の3ゾーン制とする。
・入札スケジュールについては、今申し上げた先物取引との関係もあり、需要の強い残存5-15.5年ゾーンを毎月実施することとし、残存1-5年ゾーン及び残存15.5-39年ゾーンをそれぞれ隔月で実施することとする。これは、流動性供給入札をこれまでどおり毎月2ゾーン行うのであれば、こういう形が望ましいというご意見が多かったことを踏まえたもの。ただし、残存15.5-39年ゾーンの入札が隔月の実施となることで、同ゾーンのショート・カバーの機会が減少することを懸念する意見もあったことを付言させていただく。
・当局としては、国債市場の流動性の維持・向上は国債管理政策上の重要な課題の一つと認識しており、そうした観点も踏まえて、以上2つのテーマについて、特別参加者の皆様のご意見を頂戴したい。
○平成28年1-3月期における発行額については、提示案で問題ないとする意見が多数であった。残存5年以下のゾーンを対象とした場合の流動性供給入札の実施イメージについては、以下のような意見があった。
・当局の提案に異論はない。
・残存5年以下のゾーンが流動性供給入札の対象に追加されれば、需給がタイトである当該ゾーンに新規に供給がなされることとなり、ポジション繰りが行いやすくなることから望ましいものと思う。特に、国内の顧客は特定の銘柄がマーケットで調達できない状況に理解を示しているもの、海外の顧客はそうした状況を理解していないことも多いため、是非、残存5年以下のゾーンを流動性供給入札の対象としてほしい。
現状では、残存15.5-39年ゾーンの流動性供給、40年債、30年債及び20年債の各入札が全て実施される月があるところ、需給が良好なタイミングであれば問題はないものの、需給が悪いタイミングではマーケットが抱えきれない場合もあるため、残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札が隔月の実施となり、超長期ゾーンの入札回数が減少すればマーケットにとっては望ましい。
・残存5年以下のゾーンを流動性供給入札の対象に追加することを希望する。来年度国債発行計画では40年債の入札を年6回と平準化してほしいとの意見が聞かれているところ、仮にそうなった場合に、当局の提案どおり残存5年以下のゾーンと残存15.5-39年ゾーンの入札を隔月で実施することとすれば、超長期ゾーンの流動性供給入札と40年債入札が隔月で実施され、超長期ゾーンの入札が月3回に平準化されることとなるため、入札の実施頻度についても、当局の提案に賛成したい。
・当局の提案通りでよい。ただし、各ゾーンの発行額については、慎重に検討する必要。来年度国債発行計画では、中短期ゾーンが減額される方向で議論が進んでいるように思うが、仮にそうなった場合、残存1-5年ゾーンの発行額が少なすぎると、入札の度に当該ゾーンが強くなってしまうおそれもある。このため、残存1-5年ゾーンの発行額については、来年度国債発行計画で減額となるゾーンと合わせて充分に配慮してほしい。現時点では中期ゾーンの流動性が完全に枯渇し、危機的な状況になっているとまでは考えていないが、来年度の発行額が減額される可能性や日銀買入オペの買入額が増額される可能性があることを踏まえると、来年度において、残存1-5年のゾーンを新設して2ヶ月に1回でも流動性供給入札を実施することは国債市場の流動性の維持を図るために重要だと思う。
・残存1-5年のゾーンについては、顧客のニーズに対応できない場合もあるため、流動性供給入札の対象に追加してほしい。ゾーン区分やスケジュールに関しては、当局の提案したもので問題ない。ただ、各ゾーンの発行額については、マーケットの状況によってニーズも変わってくることから今後の本会合で議論のうえ、柔軟に対応してほしい。
・落札順位が上位の国債市場特別参加者が当局の提案に賛成ということであれば、当局の提案に異論はない。来年度の各ゾーンの発行額については、現時点では決定していないと思うが、来年度国債発行計画を踏まえて、今後の本会合で議論すればよいのではないか。
・残存15.5-39年ゾーンの入札を隔月の実施とし、40年債の入札と合わせて超長期ゾーンの供給を平準化するという発想は理解できる。一方で、残存15.5-39年ゾーンの入札が隔月になることによって同ゾーンにオフ・ザ・ラン銘柄が供給される機会が減少すること、残存15.5-39年ゾーンの1回の入札当たりの発行額が現在よりも増額されれば、需給の悪化につながるおそれがあることには留意が必要であり、マーケットの状況を注視することが重要。
(各ゾーンの具体的な発行額について、理財局から「従来から、流動性供給入札全体の発行額については、国債発行計画で毎月の発行額を決定した上で、具体的な各ゾーンの発行額については本会合及び国債投資家懇談会における議論を踏まえた上で最終的な配分を決定してきた。流動性供給入札がマーケットの状況に応じて柔軟に対応するべきものであることを踏まえると、来年度も同様の枠組みを維持していくべきと考えている。したがって、例えば、来年度の4-6月期の各ゾーンの発行額については、例年3月に開催する次回の本会合及び国債投資家懇談会における議論を踏まえて決定することになる。」旨説明した。)
3. 平成28 年1-3 月期における買入消却入札について〔参考配布:資料3〕
○平成28 年1-3 月期における買入消却入札について、理財局から以下のように説明を行った。
・資料3のP2は四半期毎の買入額と15年変動利付債の市場価格の推移を示している。15年変動利付債については、需給バランスが著しく崩れ、価格が大きく低下したことに伴う危機対応として、平成18年12月から買入消却を行ってきた。その後、価格が回復し、危機対応として買入れを行う必要性が低下したという判断の下、昨年度以降は、段階的に買入額を削減している。
・こうした中、本年10月以降、一時、市場での流通価格や日銀買入オペ・買入消却入札の落札価格の低下も見られたが、足元では、将来のキャッシュフローから導き出される理論価格に概ね収束したところで下げ止まっている。
・こうした状況を踏まえれば、当局としては、これまで以上に市場の状況を注視し、需給バランスが大きく崩れるような兆しがないかを確認していく必要はあるものの、引き続き、買入額を段階的に減額していく方針は維持すべきと考えているところ。
・この方針の下で、平成28年1-3月期の買入消却入札については、P3のとおり、日銀買入オペの実施が見込まれない1月及び3月に600億円の買入を行う案を提示させていただいた。
・平成28年1-3月期における買入消却入札については、本会合での議論も踏まえ最終的に決定することになるが、今ご説明した見直しの背景を考慮の上、ご意見を頂戴できれば幸いである。
○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・買入額の緩やかな減額がマーケットのコンセンサスとなっている中、市場価格の急落もみられないことから当局の提案で問題ない。
・当局の提案どおりで問題ない。理論価格を大きく下回った価格で売却を急ぐ動きは特にみられていないので、減額する方針で問題ないと考えている。
・当局の提案で問題ない。ただ、店頭での投資家からの売却ニーズは強いとの印象を持っている。15年変動利付債の買入消却は危機対応として始めたという経緯は十分理解しており、将来的に買入額を減額していく方針に異論はないものの、減額の幅やペースは投資家に十分配慮して進めていく必要があると考えている。
・当局の提案に異論はない。ただ、再び割高な価格で買い入れることとなれば問題であるが、買入消却には、流動性の低い銘柄から高い銘柄に乗り換えるといった国債市場全体でのリバランスを促す効果があることから、今後の減額ペースについては、マーケットの状況も見ながら対応してほしい。
・ここもとの入札結果を見る限り、引き続き旺盛な売却ニーズがあるため、1-3月期の買入消却入札については600億円×2回を希望しており、当局の提案に異論はない。
・これまでは理論価格に近付く形で市場価格が下落していたが、ここもとでは市場価格が理論価格を下回っており、投げ売る動きがあるだけでなく、割引債としての価格すら下回る価格で売却する動きもみられており、15年変動利付債の需給バランスは崩れていると認識している。当局の提案である1月及び3月に各600億円とする買入額が少なすぎるかどうかの判断は難しいものの、少なくとも来年3月で買入消却を終了することは適当でない。マーケットを注視し、理論価格を下回る価格での売却が多い状況が続くようであれば、買入消却を継続することが望ましいのではないか。
・理論価格対比で割高となっている銘柄を中心に市場価格が急落したにもかかわらず、投資家の売却ニーズは引き続き強い。また、理論価格対比で割高な銘柄がほぼ無くなっていることから、当局が割高な価格で買い入れるという状況は解消している。将来的に買入を止める方向であることには賛成だが、減額のペースを緩やかにして様子を見てもいいのではないか。当社としては1-3月期の買入消却は、1月及び3月に各1,000億円の買入の実施を希望する。
・15年変動利付債の買入消却は、危機対応として実施していることは重々承知しているが、二度と危機に陥らないことが重要と考えている。売買参考統計値が理論価格を下回る銘柄が数多くみられる状況になってきたので、現状の減額ペースは拙速であるように思う。従って、1-3月期の買入額は日銀買入オペのない1月及び3月に各1,200億円とし、日銀買入オペと合わせて合計3,600億円の買入ペースを維持してほしい。
4. 平成28年度国債発行計画について〔参考配布:資料4、参考資料〕
○平成28年度国債発行計画について、理財局から以下のように説明を行った。
・平成28年度国債発行計画における国債発行予定額については、資料4のP1及びP2に示しているとおり、発行根拠法別にみると、新規国債及び復興債は今後の平成28年度予算編成過程において、財投債は財政投融資計画の策定過程において、それぞれ発行規模が決定されることになる。また、借換債は発行減が見込まれている。
・これらにより決定される国債発行総額に基づき、その内数であるカレンダーベース市中発行額については、以下に示す主要論点を踏まえ検討する方針である。
・まず、「市場環境を踏まえた年限構成」である。国債市場の流動性や足元の需要の動向を踏まえ、平均償還年限にも配慮しながら、適切な年限構成を検討する。また、低金利環境は来年度も続くことが見込まれるものの、例えば海外の金融環境の急変といったショックが生じた場合にも適切に対応できるような枠組みを設けておくことも検討することが考えられる。
・次に、「国債市場の流動性維持・向上策」である。具体的には、先月の本会合でも議論いただき、先ほども議論いただいたが、残存5年以下の国債を流動性供給入札の対象に追加するかどうかを検討する。
・第三に、「市場育成と国債保有の多様化」である。まず、発行開始後まだ日の浅い40年債の市場育成策を検討する。また物価連動債については、発行規模の検討に加え、新型窓口販売の対象に追加することにより販売チャネルの多様化を図ることが考えられる。また、新型窓口販売の促進によるリテール向け販売チャネルの強化策を検討することが考えられる。
・なお、資料4のP2の右側には消化方式別発行額の状況について、P3には先月の本会合及び国債投資家懇談会で頂いた年限構成に関する主な意見について、P4には物価連動債の新型窓販における取扱いについて、それぞれ示している。また、参考資料のP1~P10に前回提出した資料を再掲している。
・今後、今まで頂いたご意見も踏まえつつ、平成28年度国債発行計画の具体的内容を決定することとなるが、市中発行額をはじめ発行計画の主要論点に関して追加のご意見があれば改めて伺いたい。
○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・40年債の発行は、平準化の観点から、4,000億円×6回を希望する。10年債は、今後、長期国債先物のチーペスト銘柄となることが見込まれるため、流動性を確保する観点からも、現在の発行額の維持を希望する。
他方、2年債、5年債及び20年債は、減額余地が大きいと考えている。
・10年債の発行額は、現状維持を希望する。
20年債についても現状維持を希望するが、2年債及び5年債を極端に減額するよりは、減額の一部を20年債で対応する方がマーケットの安定に寄与すると考えている。したがって、2年債及び5年債の減額を優先し、それでも必要な減額幅に満たない場合には、20年債を減らすことが望ましい。
・カレンダーベース市中発行額の減額幅は、国債発行総額の減額幅より抑えてほしい。特に2年債及び5年債については、流動性が低下している現状に鑑みれば、大きな減額は適切でない。
また、先のことになるが、平成29年度の国債発行計画について心配している。現在の試算では、平成28年度に比べ、平成29年度は国債発行総額がさらに減額となる見通しであり、カレンダーベース市中発行額も引き続き減額が見込まれる。仮に、1年後も現在の金融政策が継続している場合には、平成28年度以上に需給が引き締まりかねない。平成29年度発行計画のことを考えても、発行総額が減額になれば、カレンダーベース市中発行額も常に減額ありきとならないようにした方がよい。
・中期ゾーンに関しては減額の余地がある一方、20年債については現状維持が適当と考える。
・2年債及び5年債は減額の余地があるが、これらのみでは必要な減額幅に満たない場合に20年債を減額することについては賛同する。
ただ、カレンダーベース市中発行額については、可能な限り減額幅を抑えた方がよい。平成29年度は平成28年度より更に5兆円程度減額になることが見込まれるため、平成28年度及び平成29年度に前倒債の発行を抑え市中発行額を減額した場合には、流動性の低下を招くおそれがある。この場合、試算上、平成30年度以降は、借換債の発行額が増えていくことが見込まれるため、一旦、流動性を低下させた後に再度増額することになり、本末転倒である。
確かに、前倒債の発行額が増加しているとは思うが、それがなぜ問題なのか教えてほしい。
(これに対し、理財局からは「前倒債は、昭和60年度に、同年度以降に国債の大量償還が続くことが見込まれる中で、年度間の発行額の平準化を通じて国債の円滑償還を図るために創設された制度であり、翌年度の借換債の前倒し発行を認めるものである。その後、国債発行残高が数百兆円規模に達し、毎年百兆円以上の大量償還が続く中で、近年は、年度間の発行額を平準化することや、国債市場の流動性の維持の観点からカレンダーベース市中発行額の調整を行う必要性等を幅広く考慮した上で、毎年、前倒債の発行予定額の在り方を検討しているところである。平成28年度における前倒債の発行額についても、カレンダーベース市中発行額の減額をできるだけ抑制するという考え方と翌年度以降における大量償還への対応という本制度の趣旨を踏まえながら検討する。」旨回答した。)
・カレンダーベース市中発行額を大幅に減額することは問題との認識である。
流動性供給入札に、残存5年以下のゾーンを対象とすることについての議論と重なるが、中短期ゾーンの流動性が大きく低下すればマーケット全体の流動性が低下することになりかねないことから、2年債及び5年債を過度に減額すべきではない。
また、20年債については、平成28年度だけではなく長い目で見た場合、将来的にボラティリティを生む可能性があることから、超長期ゾーン全体の流動性が維持できるようであれば、減額の余地は十分にあると考える。
10年債については、減額することに反対である。
5. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて〔参考配布:参考資料〕
○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・平成28年度の需給動向は、日銀買入オペの買入額が増える一方、カレンダーベース市中発行額は減額が見込まれる。また、中短期ゾーンは安価に円調達できる状況であることから、海外投資家からの需要も見込まれ、需給は引き締まる状況が続くため、今後も円金利は低下方向にある。
さらに、米国や欧州は、人口動態の変化によってディスインフレ化しているため、欧米金利の上昇に合わせて円金利も上昇するというシナリオも排除される。中国も似たような人口動態であり、持続的な経済成長率の低下に繋がっているほか、足元では、他の新興国の多くが、原油等エネルギー価格の下落とFRBの利上げに伴いリスクマネーが吸収されることから、今までの世界経済の回復イメージにも少し変化が生じているのではないか。原油価格下落などを受けたリスクオフの動きを受けた先週末の米国市場を見ても、グローバルなファンダメンタルズの観点から金利低下が続くリスクが強まってきたと言えるのではないか。
・FRBの利上げによって米金利が上昇すれば、ドル資金を元にした日本国債への買いが減少する可能性がある。当面は考えられないものの、少し長い目で考えると、中短期ゾーンの需給のひっ迫が数年単位で続くのか否かは明らかではなく、需要が減少するリスクを考えておく必要がある。
一方、長期ゾーンについては、世界的に金利低下しており、外貨準備の運用を行っている投資家のみならず、ドル資金を保有する一般の投資家が、長期の日本国債を買ってドルにスワップするというフローも出てきており、単純に中短期ゾーンの需給が引き締まっていることだけを極端に重視するのは危険な面もある。
・当面の金利の動向は、インフレと日本銀行の金融政策次第である。来年は、日本銀行のバランス・シート上、償還される国債の増加と、年間約80兆円の国債残高の増加方針との見合いで、日本銀行は買入額を増やさざるを得ず、需給は引き締まっていくと考えている。
また、平成28年3月には、現在日本銀行の保有割合が4割程度ある328回債が長期国債先物のチーペスト銘柄になる点にも注意が必要である。さらに限月交代が進むと、日本銀行の保有割合が6~7割ある銘柄がチーペストになり、スクイーズが起きやすくなる。ヘッジツールとしての先物の機能低下が懸念される。
・11月の本会合以降、大きな状況変化はないものの、将来における金利上昇への期待感は下がってきたと思う。要因としては、原油価格の更なる急落と、人民元安による中国からのデフレの輸出の継続があり、インフレ見通しがグローバルに悪化してしまった。
また、先週は、米国でクレジット・ファンドの清算といったヘッドラインが出たが、このようなイベントについて、2007年と重ねた見方をする人も多い。年末で市場参加者が少なく、FOMC前ということもあって、市場のボラティリティが高まりやすいタイミングに入っていることが、過度な値動きを促している可能性もあるが、このような傾向が平成28年1-3月期も続くと、ますます円金利は上がりにくい状況になると思う。
ただ、これは金利が上がるような経済環境になっていないということであり、あまりいい話ではない。債務の持続可能性を問われることが、現在の日本国債市場にとっての1番のリスク要因であり、その意味で債務管理の重要性が増している。
・今週はFOMCなどもありイベントが多いが、メインシナリオとしては、円金利は非常にゆっくりとした下がり方をしていくと考えている。
それ以上に、多くの投資家の関心はドル円ベーシスの動きにある。ドル建てアセット・スワップで見て日本国債が割安な状況にあるのは、信用リスクではなく規制要因が大きいと考えている。
今後、FRBが金融政策の引き締めに動くことが見込まれる中で、制限なく他国の中央銀行にドルを供給する中央銀行間のドル・スワップ・ラインに、制限をかける動きが出てこないかを非常に懸念している。仮に、制限をかけられれば、ドル円ベーシスはさらにワイド化するリスクがある。
どのような対策を講じるべきか、非常に悩ましい問題であるが、まずは国内で収益が得られる経済環境にしていくことが大事である。また、財政基盤をしっかり維持し、今のドル円ベーシスのワイド化が、日本の信用リスクによるものだと思われないようにすることが重要である。
出典:財務省