国債市場特別参加者会合(第56回)
| 開催日 | 2014-06-20 |
|---|---|
| 場所 | 中央合同庁舎4号館 12階 1208特別会議室 |
| 議題 | 1. 平成26年7-9月期における10年債のリオープン方式、流動性供給入札及び買入消却入札等について〔参考配布:資料〕 (1) 10年債のリオープン方式及び物価連動債の発行額について (2) 平成26年7-9月の流動性供給入札について (3) 平成26年7-9月の買入消却入札について 2. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて〔参考配布:参考資料〕 |
| 原文 | 財務省サイトでは公開終了(本ページはアーカイブから復元) |
配布資料
| 資料PDF |
| 参考資料PDF |
議事要旨
(1) 10年債のリオープン方式及び物価連動債の発行額について
○はじめに、理財局から10年債のリオープン方式及び物価連動債の発行額について説明を行った。
・資料P1に沿って、平成26年7・8月の10年債のリオープン方式について説明する。
・今年1月以降、10年債は、新発債の表面利率と入札日の市場実勢利回りの乖離が概ね20bpである場合にはリオープン発行としてきたが、第332回債及び第333回債はいずれもクーポン0.6%でのトリプル・イシューとなった。
・7・8月の発行方式について事前に意見を伺ったところでは、今後の原則リオープン発行を望む意見がある一方、投資家の簿価分散ニーズ等にも配慮した現行方式が望ましいとの声が多数であった。
・これらの意見を踏まえ、7・8月の10年債のリオープン方式については、現在の方式を継続し、新発債の表面利率と入札日の市場実勢利回りの乖離が概ね20bpである場合にはリオープン発行とすることを提案したい。実際のクーポン設定のイメージは資料P2のとおりである。
・また、9月債は新発債となるが、10月以降のリオープン方式については、これまで通り、四半期毎の本会合で検討した上決定したい。
・次に、7月の物価連動債の発行額について説明する。資料P3には昨年10月以降、四半期毎に行ってきた物価連動債の入札状況、資料P4には足元までのBEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)の推移を示している。こうした状況の中、7月の新発債発行額については、平成26年度の国債発行計画策定時の想定どおり4,000億円とすることが適当であるとの意見が大勢であった。
・7・8月の10年債のリオープン方式及び7月の物価連動債の発行額については、本日いただいた意見も勘案して総合的に判断していきたいと考えており、改めてご意見を頂戴したい。
○平成26年7-9月期における10年債のリオープン方式及び物価連動債の発行額については、提示案に対して問題ないとする意見が多数見られたほか、以下のような意見があった。
・10年債のリオープン方式について、現行方式でクーポンの変更実績がないことを踏まえた上で、現状維持を支持する。
この点、中長期的に金利が大きく上昇するケースを考えた場合、銘柄毎の発行量を増やすことが必ずしも流動性を満たすものではないと考える。簿価と時価の乖離が大きくなった銘柄については、投資勘定において、売買により財務諸表のP/Lが動くため、純粋なマーケットの見方とは異なる要因で売買を制約しなければならなくなる。従って、簿価と時価が非常に乖離したカレント銘柄が何度も発行され続けるのは、決して流動性に資するものではないと思う。また、昨年4、5月のようにマーケットが波乱含みである状況においては、国債の安定消化により力点が置かれるべきであることから、一定の乖離幅を持ってリオープン発行とする現行方式が妥当ではないかと考える。
・10年債のリオープン方式については、直近3か月の金利が0.6%で維持されており、現行制度が適切か判断できない状況である。したがって、金利上昇局面を迎えた際など、市場実勢利回りと表面利率との乖離が20bpを超えた時点で、現行方式に問題点がないか検討の上、現行の乖離幅の更なる拡大又は原則リオープン方式とするかを判断する必要があると考える。
・10年債のリオープン方式については、特に発行額の少ない銘柄は日銀買入オペの結果によって、レポマーケットがタイト化する可能性があるため、現行のリオープン方式を希望する。
物価連動債の発行額については、4,000億円で異論はない。投資家需要は必ずしも拡大しているとは言えず、安易に増額し、マーケットのボラティリティを高めるより、現状の発行額を維持した上で、投資家層を広める方がよい。
・10年債のリオープン方式については、将来的には流動性の観点から原則リオープン方式に移行する必要があると考えている。ただ、現行方式に変更してからそれほど時間がたっておらず、投資家との議論も深まっていないため、今回は提案の内容で問題ない。
物価連動債の発行額については、4,000億円で問題ない。現状、売買高は4-6月でようやく通算500億円程度であり、マーケットは必ずしも成熟しているとは言い切れず、また店頭でも増額するほどのニーズは確認されていないため、増額するのは時期尚早ではないか。
・物価連動債について、消費増税により直近ではCPIが急上昇し、これがBEIの水準にどのような影響を与えるのか7月時点では明確には分からないため、7月の発行額は4,000億円でよいが、今後は5,000億円までの増額が可能ではないか。
・今後CPIが安定的に推移するという前提に立てば、将来的には発行額を1,000億円程度増額する余地があるのではないか。
(2) 平成26年7-9月の流動性供給入札について
○次に、平成26年7-9月期における流動性供給入札について、以下のように説明を行った。
・4-6月の流動性供給入札の入札結果は、資料P5及びP6に示すとおり、総じて安定している。また、資料P7では、同入札における残存期間別発行額を示している。
・7-9月の流動性供給入札について、残存5-15.5年ゾーン及び残存15.5-39年ゾーンにおける発行額に関してご意見を伺ったところ、資料P8のとおり、残存5-15.5年ゾーンを月4,000億円、残存15.5-39年ゾーンを月3,000億円とする現状維持が適当であるとの意見が多かった。
・7-9月の流動性供給入札の発行額については、本日いただいた意見も勘案して総合的に判断していきたいと考えており、改めてご意見を頂戴したい。
・なお、対象銘柄については、これまで同様、カレント債以外の全ての銘柄とする方針である。また、各入札において発行額の3%以上に相当する額の応札をする責任、いわゆる応札義務についても引き続きご協力願いたい。
○平成26年7-9月期における流動性供給入札については、提示案に対して問題ないとする意見が多数見られたほか、以下のような意見があった。
・平成26年度から30年債が増発になっており、残存10年超の日銀買入オペのオファー額も1,300億円に減額されているため、残存期間の短い銘柄を増額すべきであり、提案のとおり残存5-15.5年ゾーンは4,000億円、残存15.5-39年ゾーンは3,000億円を希望する。
・流動性供給入札については、残存6年ゾーンを中心に需給がタイト化していることから、提案のとおり残存5-15.5年ゾーンを1,000億円増額し、4,000億円とする案で問題ない。なお、残存5-15.5年ゾーンについては、資料にもあるように応札倍率が高いので、将来的に更なる増額をお願いしたい。
・応札倍率を勘案するとより短いゾーンに需要があることは明確であるため、将来的にはドラスティックに残存5-15.5年ゾーンの発行額を増額してほしい。
・残存10年超の日銀買入オペが減額されたこともあるため、発行額を増額するならば残存5-15.5年ゾーンで対応すべきである。また、年限の区分についてももう少し手前の年限を含めることがよいのではないか。
(3) 平成26年7-9月の買入消却入札について
○次に、平成26年7-9月期における買入消却入札について、以下のように説明を行った。
・足元の15年変動債の買入消却入札結果は、資料P9のとおり、安定して推移している。
・また、資料P10は、これまでの本会合でも提示した推計であるが、15年変動債の残高は、平成27年6月の償還の開始に伴って逓減するかたちとなっている。
・こうした状況を踏まえ、7-9月の買入消却入札の実施方式については、資料P11のとおり、入札1回当たりの買入額を1,200億円のままとし、買入頻度も現状維持とする案を提案している。
・次に、物価連動債については、買入消却入札結果は資料P12のとおりであり、直近では、買入平均価格較差及び買入最大価格較差ともマイナス圏で推移している。また、物価連動債の市中残高は、資料P13のとおりである、特に、第3回債から第16回債までの日銀保有分を除いた市中残高は、約1.5兆円まで減少している。
・7-9月の物価連動債の買入額について事前にご意見を伺った際には、資料P14のとおり現状を維持し、発行入札がない8・9月は100億円、発行入札のある7月(午前中に行う買入消却入札における買入額)は、300億円とすることで問題ないとする意見が多数であった。
・発行入札を行う7月8日の午後には、発行額を上限とする追加買入消却入札を実施予定である。
・これらの買入消却額についても、改めてご意見を頂戴したい。
○平成26年7-9月期における買入消却入札については、提示案に対して問題ないとする意見が多数見られたほか、以下のような意見があった。
・物価連動債及び15年変動債ともに提案に異論はない。特に15年変動債については、マーケットには引き続き在庫があり、4-6月期の100億円の買入額減額が投資家心理に大きな影響を与え、売却ニーズが高まっているため、更に減額する場合にはより慎重な判断を求められる。
・15年変動債は、月100億円の減額が望ましい。理論値よりも1円程度高いと思われる銘柄が散見される中、理論値を上回る価格で当局が買い入れている可能性があるほか、買入消却を続ける分だけ国債の借換発行量が増えることから、長期的な視点では減額していくことが適当であろう。
また、物価連動債についても、発行入札がない8、9月については現状維持でよいが、発行入札がある7月の買入額を100億円まで減額すべきと考える。また、追加買入消却入札(スイッチ・オークション)については、7月から取り止めるかどうかは別としても、今後早い段階で終了すべきであろう。理論値よりも割高になっており、一部には3円程度乖離した銘柄もある中、早い段階で減額していくことが望ましい。
・物価連動債については、旧型の市中残高が減少してきている中、仮に7月の追加買入消却入札で4,000億円の応札があれば、市中残高はさらに大幅に減少することになるため、買入減額の方向性を打ち出していくタイミングにあるのではないかと考えている。
2. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて〔参考配布:参考資料〕
○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・10年金利については、何かショックがない限り動きはなく、0.6%前後で推移すると考えている。未だにマーケットでは日本銀行が物価目標を達成するのは難しいというのが一般的な見方であるが、これまでのところは日本銀行のシナリオ通りに来ている。このままシナリオ通りに行けば、成果が出たところで出口を探ることになるため、将来的には日本版テーパリングによって金利上昇するというのが一致した見方だと思われる。反対に、シナリオ通りにいかない場合、金融政策の効果が限定的だと判断され、例えば円高に反応すれば、金利低下すると思われる。従って、夏場以降、円安やエネルギー価格上昇の影響が剥落した後の物価動向が重要である。ただし、金利上昇を待ち構えている投資家も多く、あまり大きな動きにならないのではないか。昨年は、谷深ければ山高しで、4月に史上最低の0.315%を付けた後、1か月半程度で1%まで金利上昇したが、今回も金利低下によるポジションの変化がないと、反動での金利上昇圧力は弱いのではないか。
米国については、言い過ぎかもしれないがあまり関心を払う必要がないと考えている。ディスインフレが続いている限りはイールドカーブはフラット化する。また、日米長期金利の連動性は高いが、この半年間を通じて米10年金利は2.4%-3.05%の動きであるのに対し、その間の日本の10年金利は0.6%弱-0.7%強の動きであり、わずか0.1%程度しか動いていない。もし、現状の米10年金利のレンジが当面続くのであれば、そこまで注視する必要はなく、やはり、結局日本の物価目標の達成次第であると思われる。
最後に、日銀買入の方針変更について、昨年5月から1年間変更しなかったにもかかわらず、今年5月に変更して3週間後に再度30、40年債が入らないように残存10年超の区分を変えている。ボラティリティの上昇を収益チャンスと捉える考え方もあるが、突然の方針変更は既存ポジションの毀損も伴うため、今一度市場との対話を考えて頂きたい。
・日本銀行の積極的な買いと、公的年金の改革の中での売りにより、非常にボラティリティの低い相場が続いており、海外の相場を受けてすぐさま動くような相場状況ではなく、インフレ・景気の動向を確かめる期間が相当程度続くと考える。唯一懸念があるとすれば超長期ゾーンの需給である。実際に今月18日のように日銀買入の方針変更があると、それに大きく反応し、今年度最も超長期ゾーンが動く日となった。公的年金による国債売却の懸念、あるいは将来的な日銀買入額の減額といった思惑がある中、来年度に向けた国債発行計画を策定する過程では、超長期ゾーンの市場をどのように育成していくのかといった課題や総発行額について留意する必要がある。
・グローバルに見て一番大きなリスクは、米国が本当にインフレになってしまうことである。ディスインフレが続いている限りはイールドカーブのフラット化圧力が強くなり金利はあまり上昇しないが、一方で本当にインフレになってしまうとFRBが巨大なバランスシートを保有しているという状況をいつまで無視し続けられるのかといった懸念がある。また、インフレが無視できない水準になった場合、日本銀行について同様の議論が起きてもおかしくない。以上はあくまでリスクシナリオとして考えているところである。
直近の円債市場については、日銀買入オペの運営次第でイールドカーブのほとんどが決定されてしまう状況である。今月18日の日銀買入の方針変更では、残存10年超を残存10-25年と残存25年超に細分化した上で、残存25年超を300億円と大きく減らしており、30-40年の金利は、民間の最終投資家の目線がより濃く反映されやすくなる。7、8月の30、40年債入札をこなして、おおよその金利の居所が定着すれば、あとは物価動向や海外要因を見極めながら、金利は変動すると考えている。当面の1、2か月はイールドカーブのスティープ化が続いてもおかしくはないと考えているが、超長期ゾーンは日本銀行による買入れの影響が限定的となることから、テーパリングを行う場合には金利上昇方向へのインパクトが小さい一方、追加緩和により買入額を増額する場合には金利低下方向へのインパクトが大きいことになるため、最終的にはイールドカーブはフラット化すると思っている。
・今年度当初、4-6月期に若干の金利上昇期待があったが、現状、予想に反して米金利が下落している。そのため、地方投資家も含めて、残高を予定通り積み上げている投資家は多くないのではないか。
FRBの情報発信が上手くいっているため、円金利だけではなく、海外の株式・為替市場はいずれもボラティリティが低い状況になっているが、必要以上にボラティリティを下げているという印象。例えば、米国の雇用統計は4か月連続で雇用者が20万人超増加しており、失業率は6.3%まで低下している中、先日のイエレンFRB議長が市場の利上げ前倒し論をかなり強い口調で封印したため、動きが出にくい状況になっている。米国は株価や住宅の資産効果に頼っている部分が大きく、11月の中間選挙に向けてドル高に対する強い抵抗があるため、FRBから金利を上げるようなメッセージは出しづらいのであろう。
日本株は円安に連動するのではなく、成長戦略や法人実効税率の引き下げに対する期待や、公的年金の運用改革に絡んで株式の購入比率が上昇するのではないかという期待に支えられている。公的年金による円債売りについては、日銀買入オペがあまりにも巨額であるため、金利上昇に繋がるリスクはあまり大きくないだろう。
今後については、日米共に引き続き物価動向がキーになると考えている。米国については、家賃や医療費の上昇により、市場予想を上回って物価上昇し続けるようなことになると、米債市場の攪乱要因になりかねない。他方、国内については、しばらくの間、CPIは1%台前半で推移し、夏場にかけては一度低下すると考えられるので、国内の物価要因が目先の金利上昇要因になる可能性は高くないのではないか。
リスクとして懸念しているのは、財政規律への信認を守れるかどうかである。法人実効税率の引き下げについては、金利が急上昇するような状況になるとアベノミクスの根幹そのものが揺らいでしまうため、明確に財源を示すべきである。また、多くの市場参加者は消費税率の10%への引き上げの見送りを想定していないので、骨太の方針の素案には「年内に判断」とあることから、きっちりと年内に決断してほしい。更に、中長期的な財政規律を維持するためには、消費税増税による歳入面の手当だけでは不十分であり、同時に、来年度予算における社会保障制度改革を含めた歳出改革を徹底的に行うことが必要と考えている。
・今月18日の日銀買入の方針変更については、40年債の発行量の半分を日本銀行が保有するというのは異常な事態であり、40年債のマーケットの今後の発展や投資家のことを考えると、今回の変更は正しいと思われる。ただし、タイミングについては、市場参加者は全く予期していなかった。将来的には、どこかの時点でテーパリングが始まると思われるが、そうした事も考えると、もう少し市場との対話に配慮して頂きたい。ある程度市場が想定した中で行う方が、不要なボラティリティの上昇を防げるのではないかと思う。
出典:財務省