国債市場特別参加者会合(第34回)
| 開催日 | 2010-11-18 |
|---|---|
| 場所 | 第3特別会議室 |
| 議題 | (1) 平成23年度国債発行計画について 〔参考配布:資料〕 (2) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて |
| 原文 | 財務省サイトでは公開終了(本ページはアーカイブから復元) |
配布資料
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| 資料PDF(未取得) |
議事要旨
(1) 平成23年度国債発行計画について 〔参考配布:資料〕
はじめに、理財局から、本年度の発行計画及び来年度の発行計画について、以下のように説明を行った。
・本年度の発行計画の状況としては、「発行根拠法別発行額」について、現在国会で審議中の補正予算において、新規財源債の内訳である建設国債と特例国債の一部入替を行い、また借換債発行額を個人向け国債の中途換金見込み額の見直し等により約2,000億円減額している。
「消化方式別発行額」については、個人向け国債等の発行額が見込みを下回っており、また物価連動債・15年変動債の発行再開も現時点では難しい一方、第Ⅱ非価格競争入札による発行が見込みを大きく上回っている。したがって、その他のカレンダーベース発行額については、12月時点で大きく変更する必要があるとは考えていない。
・また、来年度の発行計画について、現時点で判明している状況を説明すると次のとおり。
「発行根拠法別発行額」としては、新規財源債については本年度と同様の44兆円に抑えるべく現在予算編成作業が進められている。借換債については、買入消却を本年度当初計画と同額の3兆円と置いた場合の財源を含めて、約12兆円増の115兆円で概算要求を行っている。財投債については、概算要求では本年度と同額の15.5兆円となっているが、来年度財投計画における財政融資の規模、財投償還金及び財融回収金、預託金の見通し等によって決まってくるため、現時点ではまだ何とも言えない。
一方、本年度中の来年度からの前倒債の発行見通しについては、まず増額要因として、昨年度の新規財源債のうち出納整理期間発行分が減額となったことや財投債の不用分の影響、さらに本年度に入ってからの第Ⅱ非価格競争の上ぶれ分がある。減少要因である個人向け国債等の減少分と15年変動債と物価連動債の発行仮置き分を差し引いても、現時点では10兆円程度に積み上がる見込みとなっている。したがって、来年度は前倒債の発行減額によって市中発行額をある程度抑制することも可能と考えられる。
なお、先般行われた特別会計の事業仕分けにより、国債整理基金残高を活用した繰上償還を検討することになっており、具体的なことは現在検討中であるが、仮にこれを実施して買入消却を行う場合、借換債発行額の減額要因となる可能性もあると考える。
いずれにせよ、現在のところ、来年度発行計画について確たることを申し上げる状況にはなく、本日の会合では、今後の様々な状況に的確に対応できるよう、増減可能な年限、流動性供給入札及び買入消却、その他要望事項等について、幅広く皆様のご意見を承りたい。
4出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・増額について、30年債と40年債は発行頻度据え置きのうえ1回当たり1,000億円の増額が可能と考える。また、2年債と5年債も、1回当たり1,000億円の増額が可能ではないか。
減額については、償還年限の短いT-Bill1年物を減額すべきと考えている。
流動性供給入札については、来年度も現状維持を希望するものの、残存15~29年ゾーンを対象とする入札の場合、市場環境によって結果が振れやすい状況にあるため、1回当たり500~1,000億円程度の減額を検討してもよいのではないか。
買入消却については、今年度と同様、物価連動債と15年変動債を中心に継続していただきたい。物価連動債についてはもう少し減額余地があると思われるが、15年変動債については、投資家からの売却ニーズが相応にあることから現状維持を希望する。
・2~3兆円程度の増額を前提に考えると、2年債、30年債、40年債に増額余地があり、それぞれ発行頻度据え置きのうえ、1回当たり1,000億円の増額が可能と考える。
減額に関して、流動性供給入札は補完的な役割という位置付けにあると認識しており、その在り方について議論を進めた場合、毎月1,000億円減額の月5,000億円とすることも可能ではないか。ロジカルに考えると、減額対象は残存15~29年ゾーンとなるが、再度議論の余地があると思われる。なお、減額分は、例えば30年債を毎月発行(1回当たり6,000億円)とすることで吸収可能と思われる。
買入消却については、物価連動債の方が減額余地はあるように思われるが、今年度同様、市場の状況をみながら3ヶ月ごとに買入規模等を議論すればよいのではないか。
・流動性供給入札以外の全年限で1回当たり1,000億円の増額が可能と考えている。来年度の市中発行増額を3.6兆円と仮定すれば、10年債、20年債、30年債、40年債について、発行頻度据え置きのうえ1回当たり1,000億円の増額で対応すればよい。また、減額するのであれば、イールドカーブの補正という本来の目的を達成しつつある流動性供給入札にすべき。
買入消却については、15年変動債は現状維持を希望する一方、物価連動債は若干の減額となってもやむを得ないと考えている。
・2年債、5年債、30年債を1回当たり1,000億円増額し、それでも足りなければ40年債の1回当たり1,000億円の増額で対応すればよい。減額するのであれば、30年債と比較して発行額が多過ぎる20年債がよい。
流動性供給入札については、本来の趣旨からすれば減額すべきかもしれないが、オフザラン銘柄に対する投資家のニーズは引き続き強いので、現状を維持して欲しい。
買入消却については、15年変動債は現状維持を希望する一方、物価連動債はある程度減額可能と思われる。
・市中発行総額の増額を4兆円弱と仮定した場合、30年債の増額のみで対応することを希望する。具体的には、現行の6,000億円×8回から7,000億円×12回とすれば、3.6兆円の増額が可能となる。それでも足りない場合には、5年債で対応すればよく、1回当たり1,000億円の増額で、追加的に1.2兆円の増額が可能。
減額については、流動性供給入札を提案する。1回当たり1,000億円の減額で、2.4兆円の減額が可能となる。既に十分な流動性が供給されており、債券の需給偏在が極めて僅少となっている中、流動性供給入札の本来的な位置付けが失われつつあることに問題意識を持っている。また、応札義務が課されていないことから、入札結果が不安定化する傾向にあり、通常の新発債入札への悪影響も懸念される状況等に鑑みれば、流動性供給入札については減額が妥当。減額分については、30年債中心に超長期セクターの発行増額で対応すればよい。
買入消却については、物価連動債は市中残高の減少を踏まえ、減額を希望する。15年変動債は、国際会計基準における取扱いについて全銀協から公正価値区分の適用が発表されている中でマーケットが不安定化する要素を秘めていることや、市中残高が40兆円弱程度あることからも、最低限現状維持を希望する。再び市場が混乱するような場合には、同残存の固定利付債とのエクスチェンジオファーを行うことなども検討してほしい。
・3.6兆円程度の増額を前提とすれば、2年債、5年債、30年債、40年債でそれぞれ1回当たり1,000億円の増額を提案する。減額する場合は、T-Bill1年物を1回当たり1,000億円減額し、さらに足りないのであれば、5年債か超長期ゾーンで対応することが望ましい。
流動性供給入札については、現状の発行額・ペースを希望するが、流動性が極めて乏しい40年債も対象銘柄に追加してほしい。
買入消却については、物価連動債は市中残高の減少に伴い減額が可能と考えるが、15年変動債は現状維持を希望する。
・増額については、40年債及び30年債を優先すべきであり、次に20年債及び10年債の順番で考えている。
減額については、市場流動性の向上に伴いその必要性が薄れてきている流動性供給入札の減額が可能ではないかと考えている。なお、当社も40年債を流動性供給入札の対象銘柄に追加することを希望する。
買入消却については、15年変動債は現状維持とする一方、物価連動債は減額の方向でよいのではないか。
・増額については、まず40年債及び20年債を考えており、それぞれ発行頻度据え置きのうえ1回当たり1,000億円程度の増額が可能ではないか。その次に5年債及び2年債が考えられ、合わせて月3,000億円程度の増額は可能ではないか。
減額に関しては、発行計画上、15年変動債及び物価連動債の数値を計上せず、市場環境が改善した場合には発行再開もあり得る旨注書きする方が現状に沿っており、年度中の振替による増発の懸念も取り除くことができるため望ましいと考えている。15年変動債及び物価連動債について各々3,000億円の減額が可能ということ以外、特に減額可能な年限はないと考えている。
流動性供給入札については、現状の発行額・ペースを希望するが、システム的に可能であれば40年債も対象銘柄に追加してほしい。
買入消却については、今年度同様、市場の状況をみながら3ヶ月ごとに買入規模等を議論することでよい。長い目で見た場合、15年変動債、物価連動債ともに少しずつ減額していくことでよいのではないか。
・2~40年債のすべての年限で1回当たり1,000億円程度増額余地はあるが、前倒債の取り崩しにより全体として4兆円前後の増額に抑えるべき。その場合、発行頻度は変更せずに2年債、5年債、30年債、40年債をそれぞれ1,000億円程度増額し、それでも足りない場合は、10年債、20年債の増額、あるいは2年債をさらに上積みして調整すればよい。
発行総額は減額できる状況ではなく、また、いずれかの年限を減額しその振り替えとして他の年限を増額するといった必要もないと考えており、減額可能な年限はない。
15年変動債は、現在、発行が困難な状況にあるということは市場のコンセンサスとなっており、来年度の発行計画に計上しなくても市場に混乱を招く恐れはない。一方、物価連動債は、もう少し前向きに考えており、来年度発行計画に計上し15年変動債と対応を変えてもよいのではないか。
15年変動債の買入消却は、マーケットに引き続き売却ニーズがあることや発行当局の市場に対するコミットメントを示す意味でも現状維持とすべきである。仮に減額したとしても小幅に留め、ある程度の額を確保すべきであり、償還まで5年程度残っているため、今後2~3年は買入消却の継続が必要ではないか。
物価連動債の買入消却については、これまでどおり減額方向でよく、市場環境を見ながらどこかのタイミングでやめることも視野に入れるべきである。現在、市中残高も4兆円程度まで減少してきており、今後は発行再開に向けて市場機能を回復していくことを考える必要があるのではないか。
流動性供給入札は、発行総額を減額できる場合には減額対象の一つと考える。しかし、発行当局においても投資家においてもコスト等の削減につながっていることや投資家からのオフザラン銘柄へのニーズもあること、また、業者にとってもバランスシートのコントロールに非常に役立っていることに鑑みれば、現状、うまく機能しており、現状程度の維持は必要と考える。
・現状の良好な市場環境から全年限で増額可能。しかし、来年度の国債発行計画では借換債を12兆円増額する一方で、翌年度前倒債を大幅に減額することで相殺されることから、それほど大きな市中発行の増額にはならないと考えている。
将来の借換リスクや利払増リスクを軽減する観点から増額対象に優先順位をつければ、30年債、40年債、20年債、10年債または5年債の順となり、基本的には5年以上の年限で増額すべきと考える。
減額可能な年限は、翌年度前倒債の発行減額はT-Billの国庫引受の減額につながることから、6ヵ月物や1年物の短期債を減額し、替わりに長めの債券を発行することによって、今後の借換債の発行の抑制が可能となるのではないか。
流動性供給入札は、年度を通して大きく変更する必要はない。市場環境次第で減額あるいは内容の見直し等も可能と考えられる。
買入消却についても変更の必要はない。市中残高を考えれば、物価連動債の減額が妥当だが、市場環境次第では増額した方がよい可能性もある。
物価連動債と15年変動債の発行計画の仮計上は、当局側の市場へのコミットメントを示す意味でも、共に3,000億円の計上を継続してもよいが、どちらも計上せずに市場環境次第で発行再開するという文言を記載するだけでもよいのではないか。15年変動債を計上せず、物価連動債だけ計上することも考えられるが、妙な思惑を引起こす可能性もあるため避けた方が無難である。
・増額可能な年限については、30年債と40年債を軸に発行頻度は据え置きの上、各月1,000億円の増額が可能と思われ、次の候補としては、2年債の各月1,000億円増額が考えられるのではないか。
流動性供給入札については、直接的、間接的に投資家のニーズを反映することができる入札となっており、増額することも可能と考えている。安定的に消化する方法として、応札義務を課すこと、対象年限を例えば10年未満と10年超のセクターに変更することや入札ロットの配分を見直す等を行うことで、より投資家のニーズを反映させることで可能になると思われる。
買入消却については、従来どおりの実施を希望する。物価連動債については、今後、フロア付与等で発行再開することを考えた場合、市中残存額が少ない方がスイッチオークション等の手立てを取り易く、更に、現状程度のブレークイーブンインフレ率で推移するのであれば、それほど買入額を減らす必要はないのではないか。
・カレンダーベース市中発行増額を3.6兆円程度と仮定した場合、増額の優先順位としては、30年債、40年債、その次に2年債、5年債と考えられ、それぞれ発行頻度を変えずに各回1,000億円ずつ増額することが可能と考えられる。
更に増額が必要ならば、20年債を各回1,000億円増額することが考えられる。その理由としては、金利が上昇した局面では投資家の需要が見込まれること、発行年限の長期化や借換債の抑制を図れるからである。
一方、減額については、強いて言うと流動性供給入札が考えられる。元々補完的な位置付けで始まり、既発債の供給ツールとして有効な手段であったことから、イールドカーブのスムージングにはかなり寄与していると思われるが、応札義務がないため、相場環境によってはボラティリティを高める一面もあり、そういった点を含め流動性供給入札のあり方を議論した方がよいのではないか。
買入消却については、物価連動債は引き続き減額方向で調整し、15年変動債は引き続き同規模での実施を希望する。
・来年度の市中発行額については、法人税減税、社会保障費の増大等の要因を踏まえ、今年度対比で3~8兆円の増額を見込んでいる。
国債発行計画は例年12月20日頃に公表されるが、今年は年末にずれ込む可能性もあり、その時期は市場全体の板が薄く金利変動リスクが大きいので、ネガティブサプライズにならないよう、多少大きめの数字を市場に織込ませて、そこから絞っていく方法がよいのではないか。
借換債の額はほぼ固まりつつあるが、税外収入を使っても新規財源債44兆円が維持出来るか不透明な状況ではないか。また、財投債については、外為特会のFB償還が行われれば、増額となる可能性がある。
それらを前提に、各年限ともに増額は厳しい状況にあるが、増発せざるを得ないのであれば30年債、40年債、2年債、5年債といった優先順位で増額すべき。
具体的には、30年債、40年債は発行頻度を現状維持としつつ、1回当たり1,000億円の増額が可能ではないか。また、それでも不足する場合には、国債投資家懇談会の場で1回当たり2,000億円の増額が可能かどうか議論してはどうか。
2年債、5年債については、日本銀行の時間軸政策や基金による買入対象が残存1~2年であることに加え、来年8月の基準改定でCPIが下方修正される可能性があり、改めて時間軸効果の強化が予想されることから、月1,000億円の増額は可能と思われる。もっとも、5年債については、増発に伴う金利上昇リスクは否定できない。
15年変動債、物価連動債については、発行計画上の扱い方に検討の余地があり、仮に発行計画に計上しないのであれば他の年限に振り替える必要がある。
流動性供給入札については、現状を維持して欲しい。
買入消却については、今年度当初計画対比で1兆円少ない2兆円の買入額を見込んでいる。また、国債整理基金で繰上償還を行うのであれば、借換債を単純に減額するか、買入消却を増額するか2つの方法が考えられるが、仮に買入消却で対応するのであれば15年変動債の増額、もしくは、その他の利付国債を対象にすればよいのではないか。物価連動債については、市中残高は減少しているが、来年8月のCPIの基準改定時に需給が崩れる恐れがあるので現状維持がよいと思われる。
・来年度の増額を5~6兆円と仮定した場合、2年から40年のすべての年限で1回当たり1,000億円の増額が可能と考えるが、30年債、40年債、10年債、2年債、5年債、20年債の優先順位で増額すべきと思われる。また、減額の必要があれば、流動性供給入札が候補となるのではないか。
買入消却については、年度全体で2兆円の枠を設定した上で、これまでどおり3ヶ月毎に見直しの議論をしつつ、順次減額していく方法がよい。
・2008年度以降、2年債が大量に増発されている中、償還を受ける銀行が主に投資対象としている年限を増額対象の中心に据えた方がよい。したがって、2年債は1回当たり2,000億円の増額、5年、10年債も場合によっては1回当たり2,000億円の増額を提案する。その他、30年、40年債についても、生保の需要を考えると入札回数は据え置き、1回当たり各1,000億円の増額が可能と思われる。
一方で、本日の20年債入札の結果や、10-20年のスプレッドが過去最大の水準にあることを考えても、20年債の需給の悪さが窺えることから、発行総額が減額可能な局面では20年債の減額を提案したい。
流動性供給入札については、発行総額の減額が検討される場合には規模縮小もあり得るが、現状は特に問題無く、来年度も現状維持を希望する。
買入消却については、物価連動債は、市場規模の縮小とともに買入比率を徐々に減らしていくべきである。一方、15年変動債は、市中残高が非常に多いことや、国際会計基準の取扱いの見通しが不透明であることを考えても、買入消却へのニーズは強く、最低限でも現状維持を希望する。
(2) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
4出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・日銀の金融緩和以降、極めて緩やかではあるが債券価格は下落している。その過程で当初予想された足元金利の低下が起こらなかったということが大きかったと思うが、いずれにしても緩和に向けて低下した分だけやや調整局面を迎えたということだろう。ただし大きな枠組みで見て、本質的に債券市場から資金が逃げていくような変化は今のところ見られず、レンジ内の推移での調整局面が長引いているということではないか。何らかのショックから相場が大きく下落するような展開は今のところ想定していない。
・日本の金利については、日銀が当面金融引締めはできないこと、銀行の預貸ギャップが縮小に向かわないこと、経済の高成長が期待できないことなどから、レンジ相場になると見込んでいる。先般の米国のQE2に関しては、バブルを作って時間稼ぎをしているものと評価しており、それが不確実性を増大させる形で債券相場のボラティリティを高めているのではないか。円債相場は一方通行の相場となりやすいことから、結果的にはレンジ内に止まりながらも、例えば、特段の材料がない中、債券先物が1週間で2~3円変動するような値動きの荒い局面も見られるのではないか。
・直近のマーケットの動きを見ると、米国のQE2発表後に商品市場やアジア株式市場を中心にほぼすべてのマーケットで流動性が落ちて値が飛んでいる。本日の20年債入札を見る限りでは円債マーケットも同様の状況になっていると感じており、年末にかけて流動性低下がテーマになってきている。超長期ゾーンについては夏場に金利が大幅低下した場面で流動性が低下したというのは理解できるが、金利が上昇してきた状況においても、まだ一日の値動きが大きいままである。超長期ゾーンのマーケットが拡大してきて4年後には10年超で200兆円程度になってくると思うが、その時に流動性を確保できるかがテーマであり、目先20年債の2%で金利上昇が止まるかといったところに注目が集まっている。
・足元は米国のQE2の動きを織り込んだ反動や、ヘッジファンドが11月決算に向けポジションを縮小している影響が出ていると思われる。その結果、為替が円安・ドル高に振れ、世界的に出遅れていた日本株に消去法的な資金が入っている。また、米国の中期ゾーンの金利上昇という悪材料も、JGBマーケットに影響を及ぼしているのではないか。金利の絶対水準は、市場参加者が押し目買いのターゲットと考えていた水準にきていると思うが、下値の見えないボラティリティの高い状況なので、金利のピークアウト感を確認しないと腰を入れた買いが入れづらい状況だと思う。
外部環境については、米国の中期ゾーンの金利上昇が落ち着き低下方向になることが必要ではないか。FRBの情報発信や最近出た米国のPPI及びCPIは、デフレリスクを裏付けるものだったことに加え、昨日のモーゲージ申請件数も急落しており、米国では最近の長期金利の上昇が住宅市場に悪影響を及ぼしているため、米国経済のこうした悪材料がマーケットで改めて見直されれば、米国の中期ゾーンの利回りも低下するのではないか。
国内については、今月末はインデックスの年限が通常月より延びる見通しであること、来月は国債の大量償還や公的年金の給付金振込があること等から資金余剰が次第に強まるため、目先は一旦落ち着くのではないか。ただ、来年4月からの国債増発懸念や政治動向等を見据え、中長期的な目線で円売りや日本国債の売りを窺う海外投資家がおり、財政規律に対する強い決意、具体的には2011年度予算編成において新規財源債44兆円を死守する、という意気込みを見せないと、JGBマーケットが崩れるリスクもあり、注意が必要である。
・国内において、10月上旬に0.820%と底を付け、その後金利は上昇に転じている。世界的に見ても11月2日の中間選挙、3日のFOMCに向けて債券のロングが大きくなっていたが、FOMCの結果を受けて益出し売りが相次いだ。その後、FOMCの内容に関してG20で新興国のみならず欧州からも批判が出たことに加え、足元では米国・共和党内からも批判が出たことで、先行き不透明感が強くなったことから益出し売りがさらに加速し、年末の欧米の金融機関の決算と相まって、ポジションが一段とアンワインドされている。
今後については、来週26日の米国のブラックフライデーや、30日にホワイトハウスで上下両院の幹部とオバマ大統領の協議が行われる予定であり、そこでブッシュ減税が継続されるかどうか等のイベントが控えているため、これらの結果次第では再び債券市場に資金が流入する可能性もある。その場合には、一旦アンワインドされたポジションが元に戻ると考えられるが、一方で年明け以降想定以上に米国の景気が改善に向かえば、債券市場から一段と資金が流出しリスク資産に向かう可能性も考えられることから、ボラティリティの高い展開が継続すると思われる。それに加えて、雇用と物価次第によっては、QE2が一段と拡大する可能性もあれば、逆に早期に打切りになるリスクという両面があることから、米国の経済指標に対する感応度が強くなり、内外金融市場においてボラティリティの高い展開が続きやすいと想定している。
・直近の日本国債の金利水準のレベルを考える際には、金融政策を軸として手前から考えるとわかり易いものの、次回の利上げ時期を考える際には、数ヶ月ではなく数年先といった期間、すなわち米国が金利正常化した後どの程度の期間かという議論になるため、当面は米債市場との連動性の高い展開が継続すると思われる。
この数週間の動きという点では、円債を含めグローバルにあらゆるマーケットの焦点が米国のQE2一点に絞られていたが、QE2後には、米国の債券市場がポジション調整の売りでショートエンドから崩れたことがきっかけとなり、金融市場全体の反転というテーマに変わってきている。
今後については、FRBの資産買入がポートフォリオのリバランス効果を生み出し、リスク資産は上昇、中でも長期金利は比較的低位安定という環境が最終的に作り出されると思う。向こう数週間はボラタイルな展開が継続すると思うが、市場のポジション調整を経た後、具体的にはクリスマス休暇に入る頃には、そういった局面に入るのではないか。ただ、時間の経過とともに金利水準のレベルとリスク資産のレベルが乖離しているという議論になってくると思うが、それも早くて3ヶ月から半年先の話であるため、現状そこを強く意識した投資戦略を考える必要はないと思う。
・足元の米国債の10年金利はFedが追加緩和を示唆する前の水準である3%近くまで上昇しており、米国の景気が急激に悪化しないということを既に織り込んできている。
今後については、リスク資産の下落と債券市場の下落が両立しているということを考えると、これまでの流動性相場から景気回復のペース次第で金利が変化するといった業績相場に移っていくと見ている。日本・米国・欧州・中国どこを見ても今年後半から来年前半にかけて財政効果が剥落してくるので、景気のアップサイドリスクは限られている。足元の金利上昇が急速な景気回復がないことを織り込むのであれば、これ以上の金利上昇は見込みにくく、いずれ景気が緩やかに減速していくという従来のシナリオに戻り、10年金利で0.8~1.2%のレンジ相場となるのではないか。
連絡・問合せ先:
財務省 理財局 国債業務課 鈴木・高嶋
電話 代表 03(3581)4111 内線 5701
出典:財務省