国債市場特別参加者会合(第16回)
| 開催日 | 2007-05-25 |
|---|---|
| 場所 | 財務省 第3特別会議室 |
| 議題 | (1)40年債の発行に向けた検討について 〔参考配布:資料1〕 (2)買入消却のあり方について 〔参考配布:資料2、参考〕 (3)今年度下期以降の流動性供給入札のあり方について (4)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて (5)理財局からの説明事項 〔参考配布:資料4〕 |
| 原文 | 財務省サイトでは公開終了(本ページはアーカイブから復元) |
配布資料
| 資料1PDF |
| 資料2PDF |
| 参考PDF |
| 資料3PDF |
| 資料4PDF |
議事要旨
(1)40年債の発行に向けた検討について 〔参考配布:資料1〕
理財局から、40年債の発行に向けた検討について、以下のとおり説明を行った。
40年債の発行にあたっては、流通市場が存在しない中、投資家・納税者の双方にとって不利とならない適切な条件での発行ができるよう、準備・検討を進めているところ。
先日、適切な条件での発行の前提となる、国債の金利推定モデルを構築するため、発行当局・市場関係者双方から中立的な組織である財務総合政策研究所に「国債の金利モデル推定に関する研究会」を設置し、金利推定モデルの構築に着手した。
メンバーについては別紙2のとおり、この分野における内外の第一人者の先生方にご参加いただいている。
5月15日に第1回会合が開催され、原案モデルの方向性について議論が行われた。需給の影響を受けにくいスワップカーブ及びスワップスプレッドをそれぞれモデル化し、そこから国債金利を推定するダイナミックなモデルを構築する方向で作業を進めることとなった。今後、数回にわたり議論を重ね、7月末には報告書を完成させ、対外公表する予定。その後、報告書に基づきプログラムを構築していくこととする。
また、入札実務の観点からは、年間銘柄数、1回の入札あたりの発行額(発行額の上限)、発行時期、金利推定モデルを前提とした下値の制限のある入札方式(価格コンベンショナル方式かイールド・ダッチ方式か)、特別参加者の落札・応札義務の有無といった点について今後検討する必要があると考えており、現時点での市場参加者からの意見を伺いたい。その際、40年債に対する現時点で期待されるニーズや考えられる投資家の類型についても、併せて意見を伺いたい。
出席者から出された意見等の概要は以下の通り。
○ 年間銘柄数、発行上限額について
・流動性を確保するために、複数年1銘柄とし、原則リオープン方式の発行が良い。
・複数年1銘柄か、年間1銘柄かで差はなく、初回発行時の満期についても、40年、41年、42年のいずれにしたとしても有意な差はない。
・流動性の確保が重要な問題になるので、複数年にわたってリオープン発行するのが良い。初回の発行量にもよるが、500億円~1,000億円であれば、初回は42年債とし、発行ペースを半年に1回にして2年間リオープンするのが良い。
・初回発行時の満期については、前回会合で、数回リオープンを行い、一定程度の発行残高になる時点で、残存期間が40年になるようにするのが適当という意見もあったが、20年債や30年債と発行方法を変える必要はなく、40年ちょうどの満期で全く問題ない。
・半期1回発行で1年間は原則リオープンすることに問題ないが、複数年のリオープンにしてしまうと、投資家は何年かにわたって1銘柄で簿価通算して、同じ簿価の1銘柄を持つことになってしまうため、複数年のリオープン発行は避けるべきである。
・発行ペースについては半期1回を目安とし、事前に公表した方が、投資家にとっては見通しが立てやすいと思う。また、リオープン後の1銘柄の上限を検討するほか、複数年リオープンの場合には2本目以降をどうするかも併せて検討する必要があると思う。
・流動性がまだ向上過程にある30年債入札への影響等を考えると、1回の発行額は、500億円~1,000億円程度が良い。今年度に、まず1回、上限500億円~1,000億円で発行して、マーケットでどのように消化されるか、30年等のイールドカーブにどのような影響を与えるのかといった点を確認して、来年度以降の在り方については、改めて決めるのが良い。
・発行上限に関しては、500億円~1,000億円くらいのイメージを持っている。
・発行額についてはニーズが集まればではあるが、流動性を気にする投資家が多いので、1,000億円ぐらいは発行できればと考えている。
・発行額については、40年債は財投機関債で発行されており、40年国債を半年に1回しか発行しないのなら、その半年間は一般債のベンチマークとなりうるようなサイズを確保することが望ましい。また1回の発行が小さくて最初の入札でALMされる投資家にはまってしまった場合に、セカンダリー市場が全く無くなってしまうのはいかがなものかと思うので、ある程度のサイズがあったほうがよく、できれば2,000億円程度と思っている。
・流動性確保の観点から、発行額は、500億円よりは1,000億円、1,500億円、2,000億円の方が良いと思っている。
・発行額に上限を定めるとのことだが、逆に例えば500億円以下のニーズしか無い場合には、どうするのか。発行の手続の手間等との関連から、最低限ある程度の金額がないと発行できないことはあるのか。
(これに対して理財局からは、最低発行額については、現時点では特に定めることは考えていないが、この点も含めて市場関係者の方々と今後議論を深めて、決定していきたいと回答した。)
○ 初回発行時期について
・初回発行時期としては、30年債入札の月を避け、かつ営業日等を考えあわせると、本年11月が適当である。
・1回に1,000億円、1年間はリオープンとし、半年に1回発行する場合、初回発行のタイミングとしては、30年債の入札がなく、海外投資家の休暇等を考慮しなくても良い11月が妥当である。その場合、第1回債は、3回リオープンというのもありうると思っている。
○ 入札方式について
・ニーズがあることを前提に発行するのであるから、事前にしっかりしたマーケットヒアリングを行うのであれば、イールド・ダッチ方式ではなく、最初から現行の30年債と同様に価格コンベンショナル方式を採用することで問題ない。
・30年債では当初イールド・ダッチ方式で入札が行われたので、まずはイールド・ダッチ方式が良いのではないか。そのうえで、30年債と同様に価格コンベンショナル方式に移行することで問題ない。
・システム上の問題があるかもしれないが、価格ダッチ方式を検討することも選択肢と考えている。
・入札価格の刻みは、10銭刻みになるとすこしインパクトが大きいので、5銭刻みが適当ではないかと思う。
・入札利回りの刻みは、すこし大きいかもしれないが、0.5bpが適当。
・納税者の不利になる発行は行わないという観点から、下値制限付入札とすることについては全く問題ないと思う。
○ 特別参加者の落札・応札義務等について
・必ず一定金額を発行する必要がある入札では無く、業者によってもニーズのつかみ方が違ってくると思うので、落札・応札義務は負わない形での入札として欲しい。
・落札・応札義務については、下値制限がついていて、発行するかしないかも分からないし、札割れという心配もないので、義務を課す必要はないと思う。義務への対価としての非価格競争入札も当然ながらないというのが筋ではないかと思う。
・非価格競争入札に関しては、第Ⅰ、第Ⅱともにあった方が良い。落札・応札義務に関しては、40年債だけでの落札・応札義務を設けることには反対であり、20年債等と合算にして超長期ゾーンとして評価して欲しい。
・特別参加者としては、当然ながら落札・応札義務があることが前提と考えている。ただし、40年単独での義務ではなく、落札・応札義務は、超長期の中で合算すれば良い。
○ 現時点でのニーズについて
・投資家からは、特に現時点で目立ったニーズは聞こえてこない。財投機関債で発行額500億円~700億円の40年債も出ているが、ターゲット・ディールのような形で海外投資家が購入している印象が強い。海外投資家が購入層の大半を占めることについて、国内の投資家からは、自分たちの需要が満たされないといった不満の声は上がっていない。
・顧客から問い合わせ等は多くあるが、今のところ特に具体的なニーズは聞いていない。
・基本的に安く発行されるものに関してはレラティブ・バリューに着目した投資家のニーズがあるが、理論値対比で適正に発行されるものを買う投資家に対して証券会社としてもしっかりマーケティングを行うよう変わっていかなければならないと考えている。
・40年という期間からして、国内の機関投資家の負債サイドとのギャップが大きいので、当初は慎重なスタンスでの発行が望ましいと考えている。
(2)買入消却のあり方について 〔参考配布:資料2、参考〕
理財局から、買入消却のあり方について、以下のとおり説明を行った。
買入消却については、毎月総額1,500億円程度で、うち利回り物については毎月1,000億円程度、価格物については変動利付債または物価連動債のいずれかを毎月500億円程度買い入れることを基本として、上下100億円程度の幅を持たせて実施している。また、買入対象銘柄及び買入額については、市場参加者からの要望を受けて、今年度からは四半期毎に決定し、予め当該四半期の前月末までに公表する運用となっている。
こうした運用スキームについて、これまでの実施結果を踏まえた評価と、今後も現在のスキームを継続することの是非について意見を伺いたい。
また、ストリップス債残高が伸び悩んでおり、諸外国との比較をみてもわが国のストリップス化率は非常に小さいものとなっている。将来におけるLDI運用の広がり等を展望すると、デュレーションが長いストリップス債の元本部分に対する潜在的なニーズは高いものの、クーポン部分については今後もニーズが見込まれず、こうしたニーズの偏りが市場の拡大を阻害している旨、市場参加者から意見がある。
こうした状況を踏まえ、当局では、市場参加者からの要望があるということであれば、ストリップス債の市場の育成にはずみを付けるため、当面の間に限って買入消却を実施することを検討したいと考えている。もっとも、クーポンあるいは元本のどちらかのみを買入消却すると、残る片方が再統合できなくなるというデメリットもあり、そうした点も踏まえ、ストリップス債の買入消却ニーズの有無や、買入消却するとした場合の規模、さらにはストリップス債市場を今後どのように育成していくべきか等、意見を伺いたい。
出席者から出された意見等の概要は以下の通り。
○ 現在実施している買入消却について
・現行の運用に全く問題はなく、現状維持を希望する。
・本年7-9月の価格物の配分については、4-6月と同様に、15年変動債2回、物価連動債1回とし、入札日程を踏まえ、15年変動債の買入を7月及び8月として欲しい。
○ ストリップス債の買入消却について
・生命保険会社のソルベンシー規制の流れで2010年から負債が時価会計に変わることから、それに対応して資産側のデュレーションを長期化するニーズがあり、デュレーションが長いものに対する需要が高まっている。
そのための一つの対応策として、超長期のスワップのレシーブがあるが、現状の会計基準だと、時価評価のリスクが避けられず、スワップを受けるタイミングが取りづらい。
一方、ストリップス債の元本は、実際の費用をあまり使わずにデュレーションを長くできる利点がある。例えば、30年債の場合、クーポン部分の時価合計と元本部分の時価がそれぞれ額面価格の半分ずつぐらいに相当するため、投資家にとっては、元本部分についてはデュレーションリスク、負債の時価会計リスクを最小限の費用でヘッジしながら、他の超過リターンを取っていくニーズに合致するが、例えば10年以内のクーポン部分のキャッシュフローについては、効率の悪い投資となる。
したがって、元本部分のニーズは大きいが、クーポン部分の買い手が限られているため、ストリップス制度の活用を促す意味でも、クーポン部分の買入消却を検討願いたい。ストリップス債の買入消却により、生命保険会社のニーズに応えると同時に、財務省の発行コスト低減にも繋がると考えられる。
なお、クーポンを買入消却すると、元本部分との再統合が不可能となるが、前述のとおり元本はニーズが強いので、仮に投資家に元本を打ち返されたとしても、再度の販売は可能と考えている。
具体的な買入消却のスキームについては、単独でストリップス債だけの買入消却をやるとすぐに買い切ってしまってニーズが無くなることや、需要が読みにくいこともあるので、通常の利回り物の買入消却の一環とすることを検討してほしい。入札方法については、クーポン部分の銘柄(キャッシュフロー)ごとにすると、30年債の場合60銘柄入れないといけないことになるので、例えば30年までのクーポン全銘柄を基準利回りから+1bpというように、原債券の利札のキャッシュフロー全部を一度に応札できる方法が良い。
・ストリップス債の元本は生命保険会社を中心としたニーズはある。しかし、30年債の元本の単価が50円前後であるので、仮に1,000億円をストリップス化するとなると、業者ではクーポン部分の時価合計に相当する500億円の資金が固定化されてしまう。すなわち、クーポンは日本銀行の担保にはなるが、GCレポに使えないことから流動性が無くなってしまうため、多額のストリップス化を行うのは事実上不可能である。流動性を与える手段として、買入消却については賛成である。
・ストリップス債については、投資家、特に生命保険会社から元本を分離して売って欲しいという話が来ても、クーポン部分を抱え込まざるを得ない業者としては、ポジションの都合上、十分にニーズに応えられない状況である。どのように買入消却するかについては難しい問題があるとは思うが、こうしたスキームがあれば、投資家の要望に応えやすくなる。
・ストリップス債の元本部分にニーズがある一方、クーポン部分のニーズは少ないので、こうしたスキームを試みるのは良い案である。しかしながら、市中からクーポン部分が無くなり、元本部分のみが残った場合に、その打ち返しの対応に困るので、是々非々として進めて行くべきかどうかは疑問である。
・クーポン部分は相当程度売れ残っており、これを整理したいのはやまやまだが、顧客から元本部分を打ち返された場合の対応を考えると、クーポン部分を持っている方がその後の対応がしやすいということもあり、買入消却について特に強い要望はない。
(3)今年度下期以降の流動性供給入札のあり方について
〔参考配布:資料3、参考〕
理財局から、今年度下期以降の流動性供給入札のあり方について、以下のとおり説明を行った。
流動性供給入札については、当面上期分として20年債の残存11年〜15年程度ののもの、具体的には38回から60回までの23銘柄を対象ゾーンとして、システム上の制約から、入札の都度、相対的にニーズが小さい3銘柄を外してオファーしている。
下期の取扱いについては今後検討して決定するが、検討の前提として、下期も継続するべきか否か、また継続する場合の対象ゾーンについて、意見を伺いたい。
なお、システム上の制約については、銘柄数を無制限に拡大する場合、日本銀行において相当のシステム開発期間が必要となると聞いており、まずは今の2~3倍程度に銘柄数を拡大するのが現実的かと考えているが、例えば60銘柄まで緩和されるとした場合に、対象ゾーンを拡大するべきか否か、拡大後の対象ゾーンをどうするか、といった点についても意見を伺いたい。
一方で、流動性供給入札のゾーン拡大については、過去の本会合等において、これまでの恒常的にショートとなっているゾーンへの追加供給とは異なり、レポ取引や日本銀行の補完供給オペとの関係、先物チーペストの取扱いなど、慎重な検討が必要との意見も出されていたところである。
これらの点も踏まえ、下期の流動性供給について、また、中期的な話題として流動性供給の拡大について、併せて意見を伺いたい。
出席者から出された意見等の概要は以下の通り。
・対象銘柄を拡大するのであれば、できれば全銘柄を対象としてもらいたい。他方、銘柄数を20から60に拡大するというのは、かえってやりづらいという感じもする。銘柄数の制約がある中では、事前のヒアリング等を通じて、対象銘柄を選定していただきたい。
・流動性供給入札を開始した際の主旨としては、特定ゾーンのカーブの歪みを修正するということであったが、これまでは非常に効果的に機能してきていると思う。下期以降の対象ゾーンとしては、現状から銘柄数を増やさないのであれば現状維持とし、銘柄数を増やすのであれば、金融政策の情勢や投資家の需要などを踏まえ、どちらかといえば長い年限に伸ばしたほうが良い。具体的には、現状ゾーンに加えて30年債のシングル回号を含む形でゾーンを拡大するほうが良いのではないか。
・現在の対象ゾーンに関しては、以前と比べてニーズが減ってきていることは事実である。今後の方針としては、流動性供給入札を導入する段階でコンセンサスを作り、構造的に問題があるセクターに対して流動性を供給するという形で始まったので、今後のセクターに関しても、国債市場特別参加者でコンセンサスを作ったうえで導入していくのが筋ではないか。
・現状の対象ゾーンのニーズは以前よりも弱くなってきている。今後については、導入当時の議論から大きく位置を変えることになるのであれば、慎重に議論をしていく必要があるが、流動性を供給していくという観点からは、全銘柄対象が難しくとも、何らかの形で流動性供給入札を継続していただきたい。
・ニーズは減ってきているが、依然として相応のニーズはあるので、銘柄数が増えないケースでは、現状の対象ゾーンを継続してもらいたい。市場の流動性を高めていく観点では、発行量を平準化していくことや、投資家のニーズが強いところ、極端に締まった銘柄を追加発行するなど、流動性供給入札の考え方そのものも徐々に変わってきていると思う。そうした考え方に立つと、出来る限り早く銘柄数を増やした上で、どの銘柄でも応札できるような状況にしていくことが大切である。
・将来的に対象が全銘柄に拡大されることを希望する。システムの都合で銘柄数に制限があるならば、ヒアリングのうえで対象銘柄を決定していただきたい。現在は12年から15年のゾーンよりも6年辺りのゾーンの方がむしろ流動性に乏しい。例えば、10年債241回、242回、243回の流動性が低下しており、こうした銘柄を流動性供給入札の対象にすれば良いのではないか。
・銘柄数を増やす場合、ヒアリングの手法として、銘柄単位で聞くか、それともゾーンで聞くかといった論点があると思う。どのゾーンにタイト感があるか、という聞き方をすれば、マーケット全体の需給が見えるような有意な回答が返ってくるのではないか。
(4)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
出席者から出された意見等の概要は以下の通り。
・相場環境に関しては、利上げが8月とか早期にあるのではないかといった観測が強まっている。一時的に動揺はあるかもしれないが、とりわけ今後の利上げの背景が日本銀行が示しているいわゆる「第一の柱」よりも「第二の柱」に寄ってきたと見ている。足元、決してこれから先、景気がどんどんと良くなる、または期待インフレ率が上がるような形で物価が上昇していく、といった状況ではないだろうから、連続利上げが行われたとしても、概ねイールドカーブのフラット化で吸収されてしまうのではないか。現在、足元金利が上がっても、10年1.7%台に乗ったところであり、年度内2回くらい利上げがあったとしても、これが2.0%を越えることは基本的にはないだろう。
・債券相場に関しては、足元、日本の機関投資家が押し目買いする一方で、投機筋等の海外投資家が日本銀行の利上げを材料に、ショートポジションを作っており、やや売られ過ぎの状況と捉えている。一旦下げ止まれば、6月にかけては、需給が良いことが意識されるほか、グローバルな投資家の日本株に対する見方が弱気方向に急速に傾いてきており、債券の買い材料となる。目先では、一方的に金利が上昇するのではなく、一度、小康状態となるのではないかと考えている。現状の原油価格を前提に今後のCPIの推移を考えると、原油価格の上昇が昨年8月がピークであったため、今年の夏までは原油が前年比マイナスに寄与することとなる。原油価格とCPIとの相関では、2ヶ月程度のラグがあるため、恐らく10月までは原油関連でCPIが0.2%~0.3%程度押し下げられ、そこまでは前年比でみて水面下の状況ということになる。それらを踏まえると、6月などの早い段階での利上げは難しく、11月にCPIがプラスになるのをフォワードルッキングに見込むような形で、8月から9月にかけて利上げが行われるのが現実的ではないかと捉えている。
また、1989年に利上げが何回か行われた当時の当初利上げの際は、ちょうど今と同じような事が言われており、債券が買われたが、何度か利上げが行われていくなかでは、債券相場が崩れた経緯がある。今回についても、やはり3度目、4度目の利上げが行われていくなかでは、大きなトレンドとしては、債券相場が徐々に調整して、カーブはベアフラットするという捉え方をしている。
・足元4-6月の動きについては、大きなテーマが3つあり、テーマの1つとして、投資家の債券を買うタイミングと公的セクターの資金の出入りのタイミングでは乖離があり、需給は良い時と悪い時があるものの、今年度は、公的セクターの市場運用が多く、国債の需給が逼迫しやすいということがある。
2つ目のテーマは、日本銀行の次の利上げのタイミングである。これは経済、物価情勢次第ではあるが、8月辺りを軸と考えており、市場において利上げの思惑が強くなれば、中期ゾーンの相場が崩れやすくなる。
3つ目のテーマとして、特にファンドによる日米欧の金利差に着目した裁定取引がかなり出てきているが、特に欧米の金利上昇に対し日本は遅れていたことから、海外投資家の売りが出やすくなる。
ゴールデンウィーク前までは、日本銀行の利上げを考えるタイミングでもなく、欧米の金利も比較的落ち着いていたので、金利は低下方向であった。ところが、ゴールデンウィーク明けは、投資家の買いが一巡し、公的セクターの買いの量も時期的には減ってくるタイミングであった。また、材料次第では夏の利上げを1回織り込まなければならない時期であるほか、海外では欧米の金利が上昇している。(金利上昇の要因が並ぶが、)来月になれば、国債の償還があり、また、公的セクターの資金も恐らくは増えてくると考えている。日米共通で、月末にインデックスのデュレーションがかなり伸びるということも相場のプラス材料である。来週公表される鉱工業生産、家計調査、米国雇用統計等の経済指標次第だが、弱めの数字が出ると見ているので、金利が低下する場面もあると考えている。レンジとしては10年で1.6%~1.75%くらいをイメージしている。
・足元は海外金利の影響もあって、多少、海外投資家からの売り物も多いが、目先は基本的に金利はそれほど大きく上昇しないと考えている。どちらかといえば、10年20年のところには、国内勢も含めて投資家の買いが控えており、日本銀行の利上げがあってもフラットニングで吸収されると考えている。ただ、年末から来年にかけCPIが上昇してくれば、徐々にインフレの期待がかかり、3度目、4度目、5度目の利上げとなれば、当然長期金利の上昇につながってくるだろう。
・足元の相場についてだが、日本銀行の話が大きくなりやすくて、どうしてもそこのところがピリピリしやすいということだろう。郵便貯金をネタにして、その期待を大きくして買い支えられていた部分というのは大きかったであろうから、その反動というのも一旦は出るだろう。
・秋以降の米国の動向に注目している。例えば足元の相場が軟調であるのも、下落した米国債との裁定取引という形で入ってきた売りが原因である。今後の動きについても、各国の市場間に強い連動性がある中、さらに米国の動きに注目しなければいけないと考えている。
国内の動きとしては、これまでも短期の金利が上昇した一方で長期の金利は上昇しておらず、今後も売られる時には手前中心、カーブはベアフラットと考えている。
・郵政公社は、民営化によって大きく運用方針が変わるということは考えづらいが、それ以上に今後は財投改革の影響があるだろう。今年度は財投改革の仕上げであり、今年度中は郵貯の方にかつて資金運用部に預けていた資金が大量に戻る一方で、財投債の引受けが少なくなった。そのため貯金が流出しても、今年度は昨年度に比べて大きなキャッシュを抱えている。確かに半期分しか郵政の運用計画は出ていないが、公社債を買う量が多いというのはマーケットが認知しており、実際の行動もそうなのではないか。ただ、逆に預託金の戻りが無くなる来年度は、財投債の引受けが無くなるとはいえ、この分20兆円程度入ってくるキャッシュが今年度に比べ少なくなる。
来年度に向けての心配は、郵政の民営化というよりは財投改革の仕上げによってもたらされるものが大きいのではないか。そうなると、2年債や5年債の発行が今のままでは多くなり、来年度はこれらを大きく減額する必要も出てくるかもしれず、今後の国債市場特別参加者会合や発行当局における関心事になるのではないか。
・郵政民営化の影響については、郵政公社がまだ10月以降の計画を出していないため読み切れないが、年度通期で資金の出入りで考えると、基本的には下期も上期並みに資金があると考えている。問題は、これをどの資産で運用するかであるが、基本は国債中心の運用となり、下期に公的セクターの市場運用が大きく減ることはないと見ている。ただ、リスクは何点かあり、1つは郵便貯金の流出が想定以上に大きくなれば、その分だけ買いが減ることになる。また、民営化以降は、デリバティブを使ったヘッジも想定され、日本銀行の利上げ観測が強くなれば、その分スワップを払い、結果的に国債を買う量が変わらなくても、金利上昇リスクが高まることも考えられる。更に、来年度には、財投の預託金の戻りも無くなるので、10兆円単位で買いが減ることになる。これらを踏まえると、来年度は2年から5年くらいの需給が崩れやすくなると考えている。
・民営化後の郵政公社に関しては、どちらかといえばネガティブに考えている。今後、財投預託の戻りの資金が無くなってくるだけではなく、若干負債のデュレーションが短くなってくるということを考えると、徐々に長期債への投資も減ってくるかと考えている。
・郵政公社、特に郵便貯金が今後10月以降どうするかということが全く分からないが、やはり一つの銀行としてやっていくということとなり、金利リスクをある程度管理してということになれば、当然ながらデリバティブも使いながら、今までよりは金利リスクを取らないことになるのではないか。一方で、資金を何で運用するかといって、国債市場以外には運用する場が無いので、全体感として、10月になってみないと分からないが、国債への需要については衰えないだろう。
(5)理財局からの説明事項 〔参考配布:資料4〕
理財局から、以下の事項について説明を行った。
○ 6ヶ月物FB・TBの発行予定
6ヶ月物FB・TBの発行予定について、19年度においては、国庫と国債整理基金の資金繰りを勘案し、年度上期の6ヵ月物は年度内に償還されるのでFBとして発行し、下期は10-12月まではFB、20年1-3月はTBを発行する予定で考えている。
○ 国債トップリテーラー会議の開催
国債トップリテーラー会議を新たに設けることとしている。本会議は、個人の国債保有を促進する観点から、個人向け国債の募集取扱を積極的に行っている金融機関の実績や取組を評価するとともに、個人に対する国債(今年度下期から開始する新型窓口販売を含む)販売の更なる推進のため、取扱機関と当局とが相互に意見を交換するためのものである。第1回の会議は、6月8日に開催する予定であり、各業態毎に1社~数社、合計で20社程度に御参加いただく予定である。
また、同時に、各業態毎の個人向け国債の販売上位機関と販売額を公表させていただく予定である。
○ 海外IRの実施状況、実施予定
理財局から、野村證券及びメリルリンチ日本証券の協力を得て、4月に中東において実施した第7回海外IRの結果を報告するとともに、今後、5月から6月には北欧・ロシアにおいて、6月にはアメリカ・カナダにおいて海外IRを実施していく予定である旨を説明した。
また、今後の海外IRについて、北米、欧州、アジアにおいて定期的に実施していく旨及び4月に実施した中東IRや5月から6月に実施する北欧・ロシアIRのようなその時々のニーズに応じた海外IRを実施していく旨を述べた。
さらに、今後は、従来の財務省主催説明会による説明のみならず、民間金融情報会社が開催する説明会への参加や、投資家への個別の説明を実施するなど、多様な説明を行っていく旨を述べた。
○ Government Borrowers Forum (GBF) について
理財局から、本年5月14日(月)から5月16日(水)にかけて、カナダのモントリオールにおいて世界銀行・カナダ財務省共催により開催されたGovernment
Borrowers
Forumに丹呉理財局長が出席した旨及び当該フォーラムにおいて各国の債務管理当局、中央銀行、国際機関及び国際的な民間金融機関と国債に関する専門的な議題を中心にディスカッションが行われた旨を報告した。
また、本フォーラムは、毎年、加盟国が持ち回りで開催しているところ、来年は世界銀行・日本財務省共催の下、日本で開催する予定である旨を説明し、国債市場特別参加者に協力を求めた。
連絡・問合せ先:
財務省 理財局 国債業務課 八幡・田原
電話 代表
03(3581)4111 内線 5701
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出典:財務省