PD Meeting #38
| Date | 2011-06-20 |
|---|---|
| Venue | 第3特別会議室 |
| Agenda | (1) 平成23年7-9月における流動性供給入札及び買入消却入札について 〔参考配布:資料〕 (2) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて |
| Sources | Removed from mof.go.jp; restored here from web archives |
Materials
| 資料PDF |
| 資料PDF(not archived) |
Minutes
【議論に先立ち、当局より以下の説明を行った】
(2次補正について)
・平成23年度第2次補正予算については、当面の復旧対策に万全を期すため、原発事故の賠償関係や二重ローン問題対策等に限定し、7月中のできるだけ早い時期に国会へ提出できるよう作業を進めている。
・その財源については、平成22年度決算剰余金等の既存の財源により賄い、国債発行には依存しない方針である。
・なお、平成22年度特例公債については、本年4月以降の出納整理期間中に2兆円の発行を予定していたが、税収動向・歳出不用等の状況を踏まえ、その発行をとりやめたところであり、今年度中に発行する前倒債の増加要因となる。
(3次補正について)
・さらに、その後、震災復興のための第3次補正予算が組まれ、その中で国債が増発となることも想定されるが、国債の増発が行われる場合には、これまでと同様、市場との対話を通じて、円滑に消化されるよう努めていきたい。
(1) 平成23年7-9月における流動性供給入札及び買入消却入札について 〔参考配布:資料〕
はじめに、理財局から、平成23年7-9月における流動性供給入札及び買入消却入札について、以下のように説明を行った。
・流動性供給入札について、資料1のとおり、残存5-15年を対象とする入札は、比較的安定した結果が続いている一方、残存15-29年を対象とする入札は、直近(6月3日)の応募倍率が2倍弱まで落ち込むなどやや低調な結果になる傾向がみられている。また、3月の本会合及び4月の国債投資家懇談会の席上において、発行対象銘柄から外れた銘柄の再対象化を含め、どの銘柄を発行対象とすべきか市場参加者の意向集約を行い、当該結果に基づいて選定を行うこととしてはどうかとの提案を受けている。
このような状況を踏まえ、資料2のとおり、発行対象銘柄の選定方法について、現行どおりとする案と、現状対象外としている残存12年未満の20年債及び残存20年未満の30年債を含めて発行対象銘柄を国債市場特別参加者へのアンケート結果に基づき選定する案の2つの案を提示している。この点、国債市場特別参加者の皆さんから事前に意見を聞いた際には、大多数がアンケート方式を支持しており、本日午前中の国債投資家懇談会でも同方式に明示的に反対する先は一部に止まったところである。
いずれにせよ、当局としては、本日の意見も勘案し、総合的に判断していきたいと考えているところであり、7-9月期の流動性供給入札の実施方式について、意見を頂きたい。なお、資料2下段に記載のとおり、アンケート方式の留意点として、①要望の多かった銘柄から順に選定するとともに、要望先が同数となった場合には、日銀保有分を除いた5月末現在の市中残高の少ない銘柄を優先する、②発行対象銘柄は7-9月期を通じて固定する方針である。もっとも、発行対象銘柄の見直しの頻度については、10-12月期以降、その時点における市場参加者の意見や当方の内部的な事務処理上のフィージビリティ等も踏まえ改めて検討することとしたい。
次に、資料3以下で、買入消却入札について説明する。
物価連動債については、資料3のとおり、BEIは概ね▲0.2%前後で推移しており、先週末(6月17日)時点で実質利回りは0.888%、BEIは▲0.226%となっている。こうした中、買入消却入札は比較的安く決まっている。
15年変動債については、資料4のとおり、この間大きく価格が上昇しており、先週末(6月17日)時点で実勢αは0.678%となっている。こうした中、4月13日及び5月11日に実施した買入消却入札は大きく流れたものの、5月27日実施分及び6月9日実施分は前日引値近辺での決着となるなど無難な結果に収まってきている。
資料5では、最近4年程の買入消却額の推移を示している。特別会計仕分けの結果を反映し、本年1-3月期から国債整理基金の取崩し等を財源とした買入消却を実施してきているところであり、7-9月期についても、4-6月期と同様に買入総額は7,500億円を予定している。この点、参考までに事前に意見を聞いた際には、国債市場特別参加者及び国債投資家懇談会メンバーともに、4-6月期と同程度の買入規模、すなわち物価連動債1,500億円・15年変動債6,000億円を維持すべきとの意見が大勢を占める結果となっていたが、意見を頂きたい。
なお、本件に係る対外公表は、通常であれば24日(金)を目途に行うこととなるものの、流動性供給入札の発行対象銘柄をアンケート方式により選定する場合には、その集計作業の関係上対外公表が来週半ばまで後ずれする見込みである点、申し添える。
4出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・流動性供給入札については、アンケート方式が望ましい。現行どおりの選定方法で対象から外れる銘柄の中には投資家のニーズがある銘柄も存在しており、業者としては、アンケート方式とすることでこれらのポジションカバーを行うことが可能となる。
また、残存5-15年ゾーンと同15-29年ゾーンのバランスが悪いという指摘があるが、とりあえず7-9月期はアンケート方式で実施し、10月以降、その結果も踏まえ発行額を変えるなどの追加的な対応を検討してはどうか。
買入消却入札については、現状維持でよい。国際会計基準の問題により、15年変動債の需給に先行き不透明感があることから、現状の買入額を維持することが望ましいのではないか。
また、現状、買入消却入札のオファー時刻は10時40分となっているが、オファーから締切までの間の対応が混雑しており、投資家からも余裕を持って入札を考えたいという声が聞かれていることもあって、ある程度の時間的余裕が欲しい。できれば入札日前日までに入札の実施を公表して欲しいが、最低限オファー時刻の前倒しを検討して欲しい。
・流動性供給入札については、アンケート方式を希望する。現行どおりの選定方法では、対象から外れた銘柄の中に需要が強いものがある一方、対象となる銘柄の中に需要が少ないものもあることから、対象を柔軟に広げることで、より安定した入札を行うことが出来るのではないか。
買入消却入札については、4-6月期と同様に、物価連動債1,500億円、15年変動債6,000億円を希望する。
・流動性供給入札について、アンケート方式は業者にとって非常に効果的である。
買入消却入札については、依然として需要があるため、現状維持を希望する。
・流動性供給入札については、可能な限り幅広い選択肢を確保できることから、アンケート方式が望ましい。現段階で特段需給が逼迫している年限やレポレートがタイトな銘柄は見受けられないものの、こういった状況を未然に回避する意味でもアンケート方式は効果的と考える。
買入消却入札については、4-6月期の実施方式に違和感は無く、日本銀行の買入オペを踏まえた形で現状維持を希望する。15年変動債については、売却を進める地方金融機関などが平準的に存在するため、円滑な消化を行う上でも買入規模を継続することは重要である。
・流動性供給入札については、アンケート方式を支持する。流動性供給入札の本来の趣旨に鑑みれば、市場で需給がタイトになっている銘柄に対し流動性を補完供給することは、最も理想的な形だと思う。残存15-29年ゾーンの銘柄選定については、四半期に一度64銘柄の中から60銘柄を選択するとの説明を受けたが、今後様々な活用方法があるだろう。例えば、1社当たりの回答数を30銘柄まで絞ることで、各ゾーンにおいて人気の高い銘柄やニーズの高い銘柄の判別が可能となり、流動性供給入札自体の必要性についても検証できるのではないか。
買入消却入札については、物価連動債の買入額を各月400億円の合計1,200億円まで減額してはどうか。4-6月期は毎月500億円の買入を行っているが、特に入札が過熱することなく、市中残高も過去の3割強まで減少しているため、将来ハードランディングを回避する意味でも、各月100億円の減額は必要だろう。
・流動性供給入札については、現行どおりでも構わないが、アンケート方式を否定している訳ではない。現行の方法はルールに従っているため予見性が高く、市場のポジション繰りを比較的コンスタントに変えられるのが利点であるため、仮にアンケート方式を採用するのであれば、7-9月期の結果を踏まえてという前提ではあるが、アンケートの頻度を上げて頂きたい。
買入消却入札については、物価連動債の市中残高が縮小する中、発行再開の目処が立っていない状況では、市中残高を維持する観点から、各月300億円の合計900億円まで減額して欲しい。また、物価連動債の減額分については、9月に向けて売却ニーズが増すことが見込まれる15年変動債に充当すればよいだろう。
・流動性供給入札については、流動性をより拡充させる観点からアンケート方式を支持する。この点、残存5-15年ゾーンについては(同ゾーンに該当するものの)除外される銘柄が多いこともあり、将来的にはアンケートの頻度を高めていくことが望ましい。
買入消却入札については、4-6月期と同様に、物価連動債の買入額を1,500億円とするとともに、日本銀行の買入オペと合わせた月毎の買入額の平準化を図りつつ、残額6,000億円を15年変動債の買入に割当てることを希望する。固定利付債については、オペレーションの前提としてある程度のロットが必要になると考えているが、現状の相場環境では実施する必要性はないと思われる。
・流動性供給入札については、アンケート方式を支持する。流動性確保の観点から30年債シングル回号を追加発行することが望ましい。
買入消却入札については、物価連動債の市中残高が減少してきていることから、減額という選択肢もあるものの買入自体を取り止め、7,500億円全額を15年変動債のみに割当てることを提案する。具体的には、7月3,000億円、8月1,500億円、9月3,000億円と、日本銀行の買入オペと合わせて毎月3,000億円程度となるようにしてはどうか。
・流動性供給入札については、20年50番台後半や60番台前半、30年シングル回号の中で特に業者のニーズが強い銘柄がいくつか存在するところ、これらを発行対象にし得るという点でアンケート方式を支持する。この点、可能であれば入札の都度アンケートを実施した方が、よりニーズに合致した応札が見込めるのではないか。
買入消却入札については、これまでどおり、市中残高の減少に伴い物価連動債の買入額を1回当たり100億円程度減額することは可能と思われる。もっとも、直近の応札倍率は物価連動債の方が15年変動債より高い状況が続いているため、現状維持でも問題ないと考える。
・流動性供給入札については、アンケート方式を希望する。現行どおりの選定方法で対象から外れる銘柄の中には需要のタイト化が散見される銘柄もあることから、より広く選択肢を設ける方が入札は安定すると考える。
買入消却入札については、現状維持でよい。15年変動債の買入額は、日本銀行の買入オペが実施される月は1,200億円、実施されない月は2,400億円を提案する。
・流動性供給入札については、アンケート方式への変更をお願いしたい。オフザラン銘柄については引き続きカバーニーズがある。出来れば毎回ヒアリングを実施することが望ましい。
買入消却入札については、現状維持でよい。物価連動債は500億円×3回、15年変動債は、日本銀行の買入オペが実施される8月は1,200億円、実施されない7月及び9月は2,400億円とし、現行ペースでの買入を継続してほしい。
・流動性供給入札については、アンケート方式を希望する。アンケートの頻度は高い方がよりマーケットの実勢に合うと考えられることから、入札の都度アンケートを実施してほしい。そもそもオファー銘柄数が60銘柄であるのはシステム上の問題という理解でよいか。そうであるならばアンケートを実施する手間をかけるよりも、オファー銘柄数を増やせるようシステムを改修する方がシンプルであると考える。
(これに対して、当局からは、日銀ネットの制約上オファー銘柄数の上限が60銘柄となっているところ、当面の変更は難しい旨回答した。)
買入消却入札について、物価連動債については微減で日本銀行の買入オペと合わせた買入額を現状と同程度になるよう設定してほしい。
・流動性供給入札については、アンケート方式を支持する。一般論として発行対象銘柄の選択肢が増えることは望ましく、かつ入札の都度アンケートを実施する方が、国債の需給を安定させるという流動性供給入札の本来の趣旨に合致するのではないか。事務に手間がかかるのは大変だと思うが、是非ともお願いしたい。
買入消却入札については、現状維持でよい。
(2) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
4出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・足元、10年債利回りは1.1%台で膠着しているが、米債の利回り低下など外部環境に様々な変化がある割には反応が鈍いという感じがする。震災の影響により企業が手元流動性を高めたことで、金融機関の余剰資金が積み上がった結果、積極的に債券の購入に向かう動きも見られているが、まだ残高は積みきれていないという印象。
先週16日の後場以降、幾分金利低下方向で動意が出てきているが、6月中は金利が低下しても1.05%程度と見ている。1.1%前後という利回り水準が平均的には今後も続いていくと思うが、7月以降、特に下期に関しては、マーケットの見方とは違ってもう一段低い水準をつける可能性があり、1.0%を割り込んで0.9%程度まで利回りが低下しても不思議ではないと考えている。
下期に関しては、震災復興需要による景気の急回復や第3次補正予算による国債の大幅増発で金利が上昇するという見方があるが、それは既に誰もがわかっていることであり、それが織り込まれたところでプライスアクションがなされているはずである。したがって、現在織り込まれている以上の景気回復や、国債の増発による財政悪化懸念が起こらない限り、上期より利回りが上昇するということにはなりにくく、今後の国債発行に対しての不透明感が払拭されて安心感が出てくれば、逆に利回りが低下していくのではないかと考えている。
国債増発による金利上昇はよくある話であるが、2009年度を例にすると、年度中に26兆円以上の国債増発があり、カレンダーベースでも24兆円以上あったが、リーマン・ショックによる景気悪化の影響もあって、2009年度に加え2010年度の上期まで含めると金利は低下している。したがって、景気の見通しや期待成長率が長期金利の決定要因としては最も大きいと考えられる。原発事故に伴う長期的な電力供給不安が復興需要に伴う設備投資を抑制し、我が国の潜在成長率や期待成長率を押し下げてしまうという懸念が日増しに強くなっていることに加え、長期的な設備投資の抑制に伴う資金余剰も金利低下要因になってくると見ている。
以上のことから、現段階では断定できないものの、4月11日につけた1.335%が今年度の最高利回りになる可能性が高く、結果として6年連続で4~6月期に年度最高利回りをつけることになるのではないか。
・一般的な観測だが、現状は強い不透明感があることから、投資家の行動はグローバルに見てデュレーション短期化の動きが進んでいる。国内要因としては震災、東電、原発問題、海外要因としては米国景気、ギリシャ、中国とアジアの景気等があり、懸念材料は多い。今月のQE2終了を踏まえて、リスクマネーが安全資産に回帰する動きがベースにあり、そこに足元の不透明感が拍車をかけていると見ている。QE2終了後は、QE1以降の動向と類似してくるのではないかと考えている。QE1とQE2の間の時期にあたる2010年3月末から8月末までの期間は、S&P500が約10%下落、原油価格が約8%下落、米国10年債は利回りベースで約35%低下、CRB指数は約3%低下しており、壮大なリスクオフの動きになった。今回もQE2の政策的なサポートが低下する中で、リスク回避の動きがより債券利回りの低位安定もしくは低下を促す可能性が高い。また、QE3の議論が浮上すればいっそう金利が低下する可能性もあるのだが、もし実際にQE3が導入されるとすれば逆に金利上昇リスクになると考える。QE2導入後はS&P500が約20%上昇、原油価格が約20%上昇、米ドルは約10%低下し、米国10年債は利回りがむしろ上昇し、CRB指数は約30%上昇している。つまり政策的サポートを理由にすさまじい勢いでリスクマネーが市場に回帰して行ったという構造が伺える。このように、QE2終了後はQE1終了後に近い動きになると考える。具体的には、株価が下落し、商品価格が調整され、米ドルは上昇し、金利は低位安定もしくは低下圧力がかかるだろう。10年国債利回りのレンジとしては、当面3ヶ月程度の期間1.0%~1.35%と想定している。1%を下回るには、要因としてQE3の議論が浮上しないと難しいのではないか。かたや1.35%を超えるには、ある程度の財政プレミアムの議論がないと難しいのではないか。
・足元については、需給要因、海外要因が非常に良好だと思われるため、金利の低下余地はあると思う。需給面からは、来月5日の10年債入札までは長期債の供給がない上、今月は国債の大量償還月であり、投資家の中には買い足りていない者が多いという状況であるため、金利が上昇しにくい環境である。海外面からは、欧州の債務危機問題は、資金繰りも含めて先送りという流れになっているためあく抜けしない状況で、米国経済についてもフィラデルフィアやニューヨーク連銀の指数が非常に弱い数字となったことから、来月のISM指数は50割れ、雇用統計も悪い数字が出てくるであろうことは既に想定されており、そういった中では国債の利回りは上昇しにくいものと思われる。一方で、7月以降については、個人的には高値波乱という見方をしている。大規模な復興対策、国債の増発、QE2の終了に伴う米国債の一時的な需給悪化などがマーケットの中で想定されていると思われるが、どこまで織り込まれているかは疑問がある。今後、社会保障と税の一体改革に関しては、成案を決定して関連法案をどうするかという流れになり、復興対策についても償還財源の手当てをしていき、公的年金についても基礎年金の国庫負担の引き上げに伴う財源不足についてどうするかという議論になると思うが、足元では反増税の動きが広がってきているように感じる。そのような中において、復興対策がより大きくなる可能性があって、仮に第3次補正予算が10兆円規模を上回り、それが9月中に成立するとなれば10-12月期以降は景気の浮揚効果が出てくると思う。加えて言うと、5月の一次補正についても、これから執行段階となるため、夏場の電力不足は懸念されるが、景気の押し上げ効果は出てくると見ている。かく乱要因として考えているのは、米国の株価動向である。米国経済については財政を含めて悪材料が多い中、ドル安と株高による資産効果という面がこれまで強かったが、株価が下がったところでこれらの効果は剥落してきた。しかしながら、現在の米国株式市場には陰の極に近づいてきているとの見方がある上、企業がキャッシュリッチという状況であるため、株価の上値余地を見ている者がいるので、足元1~2ヶ月程度の米国株価については、慎重に見極める必要がある。また、東電の賠償スキーム問題に関しても注意が必要。現在は電力債の発行が難しくなっており、格下げなどによって電力債を購入していた投資家が国債に資金を回しているという面があると思うが、今後実際にスキーム案の国会審議という流れになれば電力債に絡んだ不透明要因が剥落し、国債から一般債に資金が回帰すると考えられるため、その辺りの材料も今後1~2ヶ月かけて見極めていく必要があると考えている。
・今後1、2ヶ月程度を考えた場合には、金利の低下もしくは横ばいを想定している。ポイントは、米国の景気減速がどこで止まるのかが見極めきれない、という一点につきる。7・8月の経済指標で何らかの改善が見られたとしても、景気回復が実際に確認できるには数カ月はかかると考えられる。景気のベクトルが下を向いている以上、金利は上がらないと考えている。その一番の圧力になりやすいのが、ドル安のトレンドが米国の景気減速と共に今後も続く可能性があるということである。ただし、年度後半を考えると国内の復興需要は確実に出てくる。また、国債もほぼ確実に増発されるということで、ネガティブな要因も予想される。さらに、米国の景気が年度後半に持ち直す場合には、年度後半にもう一回金利が上がる局面があってもおかしくないと考えている。全ては、米国の景気次第と考えている。
・4月頃までは景況感が改善していたが、その後米国で悪い経済指標が相次いで発表され、また、ユーロ圏ではソブリンリスクが再び注目されるなど、景況感は反転し、この2ヶ月間金利は緩やかに低下してきた。今後発表される経済指標に注目しているところであるが、トレジャリーやブンズだけでなく日本国債も緩やかな金利低下が続くと思われる。
少し長い視点で見ると、資金の流れは日米ともにリスク回避の方向に動きやすいと考えられるため、本質的及び本格的な金利上昇は想定されない。ただ、日米ともに国債の発行額が非常に大きいため、様々な材料がタイミング次第では悪い材料と捉えられるおそれがあり、金利は上昇する可能性がある。特に、その財源を国債に頼ると思われる第3次補正予算については、そのタイミングに注目している。
・4月以降は我が国の国債市場にとってフォローの風が吹いていた。まず、欧州の財政懸念であるが、ギリシャ問題が昨年よりも1ヶ月程度早く浮上した。次に、米国のソフトパッチも昨年よりも早めに始まった。また、新興国の金融引き締めが続いており、5月以降、株価が全般的に軟調になっている。さらに、我が国の国債市場については、3月の過去最大の償還に加えて、6月も大量償還となっている。このようにマクロ面と需給面の双方により金利低下が続いたが、ボラティリティが縮小基調にあることから当面はこの流れが続く可能性が高い。ただし、7-9月期や下期を展望すると、若干ボラティリティが上昇する可能性があるのではないか。欧州の問題はここ数週間が山であり、ギリシャがデフォルトするのか、それとも2013年に予定される新たなスキームまで耐えられるのかがここ1ヶ月以内にはっきりしよう。また、米国が本格的な景気後退に向かうのか、それとも単なるソフトパッチで終了するのかもここ1ヶ月程度ではっきりするのではないか。7月になるとFRBの国債買取が新規分はなくなりMBSの償還資金見合いになるため、その状況下で米国の景気動向がある程度表に出てくるだろう。需給面で見ても、FRBの統計によれば、米国の場合1-3月期はニューヨーク連銀の国債の買取額が純増額の倍に及んでおり、純増分の全てを買い取った上に個人投資家からも買い上げたという結果になっている。そういう意味では、金利低下が本当の実需によるものなのかそれとも仮需によるものなのかが7-9月期に表に出てくるのではないか。また、日本の復興については、実質的な1.5次補正の編成に取りかかっているとの話があったが、本格的な復興予算の策定が阪神淡路大震災の時と比較して遅れているためにその後の復興による景気回復が若干遅くなっており、夏場から下期にかけてその影響が出てくるのではないか。7-9月期において債券にとって様々なフォローの風とアゲインストな風が出てくるため、そこでトレンドを確認していくこととなろう。いずれにしても若干ボラティリティが上昇する可能性が高く、イールドカーブにはスティープ化圧力がかかるのではないか。日本の金利の低い状態が継続する場合、今回の震災や原発事故等の影響が日本の国力を毀損した状況が相当程度続くことを意味し、今年や来年にかけて長期金利の1%前後の水準が続くと、電力の問題等で貿易収支が恒常的に赤字化するリスクが出てくるおそれがあるため、5~15年後に団塊世代が65~75歳に到達する段階で様々な経常収支の赤字化リスク等をむしろ拡大させるおそれがある。したがって、今年はまずは復興戦略、続いて成長戦略と中長期的な財政面での戦略の着実な編成と実行が国債市場の長期的な動向にとっても重要になるのではないか。
連絡・問合せ先:
財務省 理財局 国債業務課 鈴木・高嶋
電話 代表 03(3581)4111 内線 5701
Source: Ministry of Finance.