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auctions / pd / m / 11 — 2006-04-13

PD Meeting #11

Date2006-04-13
Venue財務省 第3特別会議室
Agenda
(1)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
(2)今年度の国債発行について(参考配布:資料1、参考資料)
(3)国債に係る海外説明会(海外IR)について
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Materials

資料1PDF
参考資料PDF
資料2PDF

Minutes

(1)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて

4出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

・金利上昇の要因は、基本的に2つあると考えている。1つは言うまでもなく日銀が量的緩和を解除したことである。特に、幹部の発言により、マーケットに「これから先、日銀は中立的金利を目指す」というイメージが醸成されてしまったのは確かである。

ただ、それだけでは今のような環境にはならなかったと考えている。これまでは、世界的にディスインフレが継続すると見られており、アメリカにおいてもFRBが2004年6月から利上げを行ってきたが、その間、長期金利は安定的に推移をしてきた。ところが足元その点について変化が見られ、インフレに対する懸念も出る中で、アメリカの10年債利回りが5%に迫るという状況となってきた。ディスインフレが継続し、期待インフレ率が安定していれば、たとえ日銀が連続利上げという姿勢を示したとしても、長いゾーンの金利はこれほどは上がらなかったと思われるが、こうした環境変化が加わることによって、イールドカーブがこれまでのようにフラット化するだけではなく、時にはスティープ化もしつつ、ベアな相場が続くという状況となっている。

これからの見通しについては、世界的にインフレ懸念が広がりを見せる限り、相場が反転してくるきっかけが見出しがたい一方、日銀のスタンスが変わることも見込みにくいというのが現状であり、どこまで金利が上がるかについてはともかく、基本的にはベア相場が続くという見方が一般的。

ただ、自分としては、消費者物価指数の動きやこれから先の色々な政治的なプレッシャー等を考えると、連続利上げが実現できるのかについては、疑問の余地が残されていると思う。また、世界的なディスインフレが終焉したとも思っていない。したがって、極めて少数派だとは思うが、足元10年債の利回りは2%までの上昇で止まると思っている。連続利上げの懸念や世界的なインフレ懸念が終焉するに伴って、一旦ブルスティープ化を経験しながらも、カーブ全体としては下に下がって行くというイメージを描いている。

・量的緩和が解除され、今まで特に短い年限を中心に支えとなってきた時間軸効果がなくなることにより、市場参加者の金利に対する見方が大きく分かれ、その結果、ボラティリティが高まり、その分だけ金利が押し上げられているというのが大きな構図。例えば、今年末及び来年末のオーバーナイト金利見通しに関する民間の調査結果をみても、今年末は0~0.5%、来年末になると0~1.5%と大きく見方が分かれている状況。

例えば、海外の投資家の間では、金利先物が織り込んでいるように、年内で0.5%、来年末までに1.0~1.25%という水準までオーバーナイト金利が上がって行くという強気の見方が非常に増えてきている。そうした見方に沿うような形で、CPIが1%に近づき、さらに上抜けるような動きを見せることになれば、10年債の利回りも年末までに2.2%、年度末には2.4%といったところまで上がってもおかしくはないと思っている。また、5年債の利回りについても、実際に利上げが始まった段階では、年度末には、1%台後半、例えば、1.8%まで上がってくるようなことも十分にあり得ると考えている。

・3月以降の金利上昇については、量的緩和が解除されたこと自体よりも、その後の言動により、日銀がゼロ金利解除や金利正常化に対して前のめりになっていることが明らかになった結果であるとの見方をしている人が多いのではないか。そうした中で、海外の金利が上がり、株価もしっかりとしていることもあって、ここ数週間で夏場の利上げを織り込むような形になっている。

海外投資家も、中期的に円債はベアと見ており、特にCTAといわれるファンド等はかなり先物の売りを膨らませている。また、国内投資家については、3月の期末前後からかなり金利が上がったこともあり、特に銀行・地域金融機関を中心に保有債券の含み損がかなり膨らんでいる状態になっている。含み損が膨らむと結局それを抑えるために債券を売り、それが結果として更なる金利上昇を誘うという状況になっており、結果的にはフォワードカーブがここ1年位で3回位の利上げを織り込むような状態になっている。

仮に、日銀がそうしたカーブの状況に基づいて、「マーケットが日銀に対してゼロ金利の解除を催促している」という解釈をすれば、結果的にそれが債券マーケットを壊してしまうことになりかねないと懸念している。ユーロ円金先は確かに来年にかけて3回位の利上げを織り込んでいる水準になっているが、キャッシュのターム物金利は6Mで0.18%近くであり、まだそこまでの利上げを織り込んではいない状況。従って、実際に夏に日本銀行が0.25%金利を上げるようなことになれば、中期ゾーンの金利の調整も大きくなるおそれがある。中期ゾーンの主要な保有者は銀行であり、時価会計に晒され、来年3月にはアウトライヤー規制の適用が始まることもあり、もう一段の売りを誘うリスクもある。混乱を避け、安定的な市場を作って行くという意味において、日本銀行には、是非、市場に対する細心の注意を払い、発言についても慎重を期して頂きたいと思っている。

相場環境に加え、金融機関のポートがかなり傷んでいることもあり、当面、債券マーケットはボラタイルな動きが続くのではないかと考えている。

・住宅、個人消費や輸出といった需要項目別に見ても、景気については、堅調な動きが強まっており、少なくとも今年度前半については、内外の景気の回復は持続すると思っている。銀行の貸出しも、ようやく下げ止まった感があり、徐々に回復基調になりつつある。ただ、回復のペースは非常に緩やかなものにとどまっており、現在の中短期ゾーンが主導した金利の上昇というのは、少し行き過ぎた感がある。

政府によるデフレ脱却宣言も視野に入り、夏場から秋にかけてゼロ金利解除の観測も強まってくることから、当面、金利は緩やかな上昇ないし高止まりの状況が続くのではないか。

年度後半については、現時点では海外の景気減速や調整圧力による企業の回復力の鈍化により景気が減速するというシナリオと、消費の拡大に支えられてこのまま回復が持続するというシナリオの両方があり、そのバランスによって決まっていくだろう。緩やかな成長の中で緩やかに金利が上がっていくというのが、一番あり得るシナリオであると思っており、そうした前提に立てば、銀行としては、コア預金などの負債動向とのバランスを考えながら、中期債を中心に従来どおり継続的に投資していくことになるだろう。

今後、利上げのパスの行き過ぎ感の修正や景気回復のスピードが少し緩やかになることが確認されれば、足元少し消極的な運用スタンスとなっていたこともあり、ちょっと積極的にしてみたいという気持ちもある。

なお、アウトライヤー規制についての発言があったが、我々の感覚としては、ヒットするのは相当遠いという印象を持っている。

・当行でも、預貸金の状況はまったく変わっておらず、加えて昨年来ポジションを落としてきた関係もあり、運用資金は潤沢にある。

一方で、時間軸効果がなくなることについて、ある程度覚悟はしていたものの、ここまで不安定な状況になるとまでは思っていなかったこともあり、先行きには今一歩自信が持てないというのが実情である。

ただ、マーケットは、発行者、投資家、金融当局の3者の阿吽の呼吸みたいなものがあり、その間で、一種の信頼関係が醸成されれば、資金がある以上、当然、将来的に一定額の運用は考えていくことになる。

なお、個別の事情について申し上げれば、この半年で一番大きく売り込まれたのは15年変動利付債であり、そのために投資余力が減退した面がある。この後に議論されると思うが、この点については是非配慮してほしい。

・フォワード・レートについて言及があったが、例えば、ゼロ金利が半年後に0.5%になり、1年後も0.5%だとすると、平均で0.25%となるがそれでマーケットが決まるわけではない。0.25%で買って半年間は資金益で、半年後に0.5%で資金損となってよいかというとそういうわけにはいかないのが実情である。従って、今後、金利が上がるということを前提にすると、プレミアムがついてしまうマーケットに変わっていくということを認識していかざるを得ないと思っている。特に銀行は資金益がないと投資が難しいところもあるので、中期ゾーンには、プレミアムもついていかざるを得ないと思っている。他方、長いところについては、生保等がALMを着実に行っており、そういう意味では、スティープニングする局面も勿論あるとは思うが、基本的には、しっかりサポートされると思っている。

また、ライアビリティのコストが今まで高かったので、国債を買わず、代わりに利回りの高い仕組債等を買っていたような地方の業態が、今後少しずつ国債を買うといったことがこれから増えていくのではないかと期待している。

・新聞等でも価格や金利のボラティリティが上昇しているという点が報じられているが、ゼロ金利政策以前の市場環境や海外の市場環境に比べれば、異常というほどの状況ではないと考えている。

今後、金融政策が徐々に中立の方向に向かっていくことを前提にすれば、市場構造もそれに合わせて変わっていくことになり、その結果、勿論需給要因によるところもあるが、長期金利、超長期金利は、これまで以上にファンダメンタルズに沿った形で形成されていくこととなる。他方、短・中期の金利は、目先の金融政策の変更のタイミングが、価格の決定要因になると考えている。その意味では、短期と中期で、価格決定プロセスが異なる市場になってくると考えている。

仮に、年内に1回ないし2回の利上げが行われ、その後も、2%以上といった中立的な金利水準まで、米国のように淡々と政策金利が上がっていくというタカ派的な見通しに立つのであれば、5年金利で1.5%以上、10年金利で2.0%以上ということも十分にあり得ると考えている。

・大きな意味での市場のベクトルは、各参加者が景気の実態をどのように認識しているかによって変わるものと考えている。量的緩和の解除という政策判断は、景気の実態に即して行われたものであり、その意味において、市場の大きなベクトルは変わらないと認識している。ただ、ゼロ金利解除後の利上げについての市場の見方は、過度なスピード感があり、違和感がある。今後発表される、10-12月期、1-3月期の景気実態の指標や米国景気の実態によっては、行き過ぎた部分の反発は十分にあり得ると考えている。

マーケットメイカーという立場からは、グローバルなリンクが高まり、イールドカーブを含め、非常にボラタイルになってきたと感じている。ただ、投資家に目を向けると、中期・長期とも、買うべき投資資金のなかで、買うべき年限に、ある意味、当然の投資行動が見られており、金利上昇が過度にエスカレートしていくという見通しは持っていない。

(2)今年度の国債発行について(参考配布:資料1、参考資料)

4出席者から出された意見等の概要は以下の通り。

・15年変動利付債については、早期の減額が必要。具体的には、5月債から1回あたり0.2兆円減額し1.1兆円の発行とし、年間では1.2兆円位の減額が必要と考えている。増額する候補としては、一つは30年債で、7月債から1回あたり0.1兆円増額し、年間で0.3兆円程度を増額する。もう一つは物価連動債で、現在の四半期発行から、8月債から隔月発行とすることにより、年間で0.5兆円の増額は可能である。残りは、流動性供給入札で、上期だけでなく下期も継続することにより、0.6兆円の増額が可能。これらの合計で1.4兆円の増額となり、15年変動利付債の5月債からの減額は可能であると考えている。

・総じて国債市場全般の需給環境が悪くなったとは感じていないが、15年変動利付債は例外であり、これは、日銀の買切りオペの対象になっていないことが一因となっている。15年変動利付債については、全員が売りたいと思っている訳ではなく、例えば、αの高い銘柄を外しカレント銘柄に入れ替えたいという投資家がいる場合に、買い切りオペの対象となっており、発行量も1回あたり0.2兆円ないしは0.3兆円以上の減額がなされていれば、投資家サイドの売買が活発化し、投資家のニーズにも応えていくことができるのではないか。

この減額をまかなうための増額は、物価連動債や30年債で行ってはどうかと考えている。また、今のところ、まだ運用計画を策定している段階で動きは鈍いが、絶対値バイヤーである生保や年金は、恐らく20年、30年の金利が上昇する過程では、そのコストは十分にペイするものと考えているはずであり、30年債のみならず、20年債の増額も可能ではないかと考えている。

具体的には、物価連動債については、現行の発行のタイミングでは少しトレードしづらいと思っており、1回の発行額は変えずに、偶数月での発行としていただけるとやりやすい。

20年債及び30年債については、ほぼ0.1兆円の増額は可能とのイメージを持っている。

なお、10年債についても、シ団等の関係もなくなり、年度途中に増やすことも可能となった。20年債、30年債の増額で十分でなければ、10年債も増額の検討対象として加えて考えることもできるのではないか。

・15年変動利付債については、直近の需給関係をみると現行の発行量は少し重たいという印象である。

店頭では、売り一色という訳ではなく、特に4月に入ってからは買いも入ってきているが、銘柄間の需給バランスにはかなりばらつきがある。このばらつきを買切りオペ等で均すことができれば相応のニーズはまだ残っているのではないかと思う。ただ、償還がなく、15年変動利付債の残高も積み上がってくることもあり、18年度に1兆円程度減額するとともに、その後も引き続き減額することにより、将来的には四半期ごと発行に変えた方がよいのではないかと考えている。

一方、物価連動債については、3月末に会計制度が変更されて国内の投資家もかなり保有しやすくなったが、まだ実際に国内の投資家が積極的に物価連動債のマーケットに入ってくるという状況になっている訳ではなく、依然として海外の投資家が中心の消化構造であることは否めない。足元の物価連動債のニーズは高く、将来的には国内の投資家も積極的に参加してくることが期待できるが、急激な発行増をすれば、15年変動利付債のような需給悪化を招きかねない。当面緩やかな発行増に留め、国内の投資家の参加が見込め、保有者のばらつきがない形でマーケットが広がっていくということが確認できた段階で、さらに増やしていけばよいのではないか。

30年債についても、投資家のニーズは比較的高いものの、物価連動債と同様、急激な発行増よりは、段階的に増やしていく方がよいと考えている。

具体的には、15年変動利付債については、1兆円程度まで減額し、物価連動債については、1回あたりの発行量を0.1兆円から0.2兆円、30年債についても、1回あたりの発行量を0.1兆円から0.2兆円程度の増額に抑えていただきたいと考えている。

・来週に実施される最初の流動性供給入札の結果も見極める必要があるが、現時点でしっかりとした需要があり、中長期的にも発行年限の長期化やコストの安定化が図れる、という2つの観点から、20年債と流動性供給入札の2つについて増額を検討すべきと考えている。例えば、20年債を7月あたりから0.1兆円増額すると0.9兆円の増額となり、流動性供給入札についても7-9月で0.1兆円ずつ増やして0.2兆円にすれば、0.3兆円の増額となるかと思う。これで1.2兆円を調達できれば、15年変動利付債を0.2兆円程度ずつ減額していくことも可能であると思う。

30年債及び物価連動債については、追加的な発行余地は当然あると考えているが、30年債については、投資家懇談会でも触れられているとおり、昨年度後半の相場展開自体がフラット化にベットした短期的な需要に支えられていた面があり、現時点において、安定的な投資家の買いが現行の0.5兆円以上にあることが確認できてはいないのではないか。また、物価連動債については、需要はあるとは思っているが、これも確認してからゆっくり増額していけばよいのではないか。

・究極的には、発行計画は、財務省において、発行コスト最適化等の観点から決められるべき問題と考えている。

ただ、一般論として、新発債の発行額増というのは、一時的な相場のあやで決めるべき問題ではなく、慎重に見極めて行って欲しい。例えば、30年債の需要は、足元強く見えるが、次回の入札から増額ということになると、ちょうど第1回目の利上げが始まるところに重ならないとも限らない。現在市場構造が大きく変わりつつある中で、現時点では強く見える超長期債の需要が利上げのサイクルに入った中でも維持されるのかは、慎重に見極めていくべきポイントではないかと考えている。

その意味では、流動性供給入札について、1回あたりの金額と対象銘柄を拡大していくことができれば、新発債を単純に増額するよりも効果的に需要の強いポイントを探っていくことが可能なのではないかと考えている。対象銘柄を12年から15年ゾーンに限らず、5年債、10年債、あるいは、対象ゾーン以外の20年債、30年債に広げてもよい。また、15年変動利付債でもクーポンの高い20回台に関しては非常に需要が強く、この流動性供給入札をより機動的に利用すれば、銘柄間格差によるボラティリティの上昇を抑制することにもつながり、最終的に発行コストを低減していくことができるのではないか。

・年度途中での増額・減額ということに関しては、マーケットにサプライズを与えることなく、マーケットの期待に沿う形で行うことが適切。投資家懇談会の議論にもあるとおり、マーケットには、既に物価連動債と30年債の増額及び15年変動利付債の減額は、ある程度織り込まれており、それに従って行うべき。

現在の市場予想の中心線がどの辺りにあるかというと、多分、物価連動債に関しては二つのオプションがあり、一つは今まで出ているような0.5兆円の発行を維持しながら、偶数月に発行するというものと、それから四半期のまま0.7兆円程度に増やすものであり、この点については、マーケットの多数決に沿えばよいのではないか。我々としては、一番肝心なのは流動性の確保であり、その観点からは0.7兆円×4回の方が妥当と考えている。

一方、30年債に関しては、7月の入札からということになると思われるが、一回0.1兆円増やすと年度ベースでは0.3兆円のプラスとなり、物価連動債と合わせて1.1兆円の増額が確保できる。

その場合、15年変動利付債については、1回当たりの発行額を0.2兆円減額して、1.1兆円にするというのが中心線になると思う。その前提に立てば、5月から減額するには0.1兆円足りない。3月から1.3兆円に減額したことから、もう一回1.3兆円で様子を見るということでよいのではないか。

15年変動利付債については、新年度に入ってからはしっかりしているが、今後、カーブ形状の変化等により、やはり需給が改善しないことも考えられる。その次のオプションとしては、先ほどから話が出ている流動性供給入札を下期に継続すれば0.6兆円浮くことから、その見合いで15年変動利付債を下期に0.9兆円にすることもできるが、今そこまで考える必要があるのかは疑問。そもそも長いところを増やせば、その分だけ需給面からカーブがスティープ化するので、15年変動利付債にとってはそれだけでもサポートになるという点も考慮すべき。

・15年変動利付債の需給が悪化しているというのは事実だと思う。ただ、急激に発行を減らして他のところを増やしていくと、逆に、流動性が急激に落ちることによる悪影響も出かねないことから、基本的には段階的なアプローチが正しいだろう。

30年債に関しては、まず0.1兆円程度の増額とした後、状況を見ながら、隔月発行にしていくことができれば、セカンダリーのマーケットへの玉の供給もスムーズにできるようになっていくのではないか。

物価連動債については、会計上の問題がクリアになったとはいえ、増額にどれだけ耐えられるかについては、疑問もある。実際、バイバックや輪番オペの対象にも入っていない状況において、無理に増発すれば、逆に物価連動債のマーケットが、育たなくなる可能性もある。せめて0.1兆円の増発ぐらいからスタートするというようなイメージが良いのではないか。

・15年変動利付債については、現在需給が飽和状態にあり、2015年まで償還がないこともあって、現行の発行量をそのまま続けていくのは無理があると見ている。今、目先の発行予定額の調整を議論しているところであるが、場合によっては多年度にわたり、ある程度減額のスケジュールを提示するようなことも考えられるのではないか。

今年度において、どこを増やしていくかについては、20年債・30年債を増やすという議論もあるが、商品としての将来性、海外の市場規模や発展のスピードを考えれば、まず、物価連動債を中心にどこまでいけるかを考えるべき。投資家のニーズが強いのであれば、足りない部分について30年債を増発するということも考えられるが、正直そんなに強いニーズがあるのかという気もする。

具体的には、15年変動利付債に関しては、0.2兆円減らし、物価連動債の増発で足りない分については、30年債の増発で対応するのであれば、7月以降、0.1兆円ないし0.2兆円の増発ということになるのではないか。

・15年変動利付債については、現状を考えると、0.2~0.3兆円の減額が望ましい。それに対して何を増やしていくかについては、足元の金利上昇局面においても、大きく需給が崩れているゾーンがないことから、いろいろな年限で対応することが可能になっていると思う。

そうした中でも発行のバランス等を考えれば、現状の発行額が0.5兆円という低いレベルに抑えられている物価連動債と30年債を増やす方がいいのではないか。

物価連動債については、去年の夏ごろに、物価連動債が大きな調整を経たことを考えれば、その増発については、それなりに慎重な対応が必要。ただ、去年の今頃は、インフレ動向という話をする投資家はいなかったが、今年は、投資家が、明らかにインフレを意識した投資を始めており、潜在的に高いニーズがあるという点で大きな違いがあるのは確か。今のBEIのレベルは、需給にタイト感があり割高となっているが、これが大きく崩れて、例えば70bpを割り込むというようなことは考えにくく、0.1兆円程度の増額は、問題無いと考えている。増額のやり方については、一回の発行額を抑えるという意味でも、隔月発行がやりやすいのではないか。

30年債については、これまでも指摘されているように、前回発行以降、オーバーディマンドになっていたのは、イールドカーブのフラットニングを狙った海外勢の買いによるものであり、国内投資家はそれほど育っていないと思っている。ただ、現状においては、1銘柄の発行額が0.5兆円と限られており、発行を増やすことにより流動性を確保していくという方法で対応していくことも十分に考えられる。増額規模については、30年ゾーンが、JGBのカーブのロングエンドであり、ここを乱暴な形で増やしていくと、それ以外の金利も引きずられて上がるというリスクがあることから、やはり慎重に0.1兆円程度の増額に留めることが良いと考えている。

・物価連動債のマーケットには増発余地があり、0.1兆円程度増額してもいいのではないかと考えている。ただ、一般的には、毎年12月に発表された発行計画を基に、マーケットの期待が形成されるものであり、それが事後的に変わるということ自体は、マーケットにとっては良いことではない。15年変動利付債について、荷もたれ感があるのは確かであり、それを解消するのであれば、新発債の発行額の見直しという形ではなく、流動性供給入札等により対応することが望ましいと考えている。

・環境の変化に応じて、改めて投資家の声を聞き、特別参加者会合等を通じて、柔軟に年限の変更を考えていくことについては、肯定的に考えている。これだけの発行量であり、投資家のニーズに基づいていなければ、消化自体が困難をきたすおそれがある。

15年変動利付債に荷もたれ感があることは確かであり、足元の発行額の多さを見直すことが必要。ただ、今後のニーズもあり、急激に減額するより、まずは1回当たりの発行額を0.2兆円程度減額していく方向が良いのではないか。

物価連動債に関しては、大きな方向感は概ねシェアされているとおりであり、どういった規模や頻度にするのかという問題。自分としては、隔月発行化が良いと思っている。偶数月での発行とし、15年変動利付債と交互に物価連動債が発行されるようにし、額に関しては当面0.5兆円程度を維持することとしてはどうか。物価連動債に関しては、基幹商品の一つとして年限の多様化の余地もあり、まずは0.5兆円の偶数月発行とした上で、会計の見直しに伴う投資家の対応を確認しながら着実に前進をしていくべきではないか。

30年債に関しては、既に指摘されたとおり、懸念がない訳ではないが、投資家懇の議論でも見られるような需要があるのも事実である。また、長いところの金利上昇でようやく買えるレベルになったという投資家の声も出始めており、増額の余地はあるのではないか。増額の規模としては、0.1兆円程度からのスタートがよいと考えている。

・国債全体のバリエーションという観点からは、15年変動利付債と物価連動債の合計残高が、ある一定量をキープすることが必要と考える。現在の金融環境やマーケットのコンディションを考えれば、15年変動利付債を1回あたり0.3兆円減額し、その分を全て物価連動債の増発で賄うということでもいいかもしれない。ただ、バイバックなどの吸収の方法が整備されていないことを考慮し、15年変動利付債を0.3兆円減額し、その分を物価連動債と30年債に振り分けることが妥当と考える。

物価連動債に関しては、隔月発行化により一回あたりのショックを和らげるという観点もあるが、既発銘柄との整合性や将来的な管理の方法等の観点から、今までどおりの四半期ごとの発行が良いのではないか。

・30年債は、海外も含めた投資家の需給にかなり偏りがあり、四半期ごとのベースでは、正直、間隔が長いと感じることがしばしばある。今年の1月~4月の間にも、新規供給があれば良かったと感じていた。30年ゾーンはイールドカーブの端にあって、振れやすいということもあり、発行間隔を見直すことにより、ボラティリティをもう少し落とすことを考えても良いのではないか。その結果、投資家層も広がることも期待できる。

・15年変動利付債については飽和状態にあり、まず1回当たりの発行額を0.3兆円減額して、1兆円にすることとしてはどうか。この見直しにより、まずは上半期を乗り切り、下半期には更なる減額も考えなければいけない状況と考えている。

当面の減額の見合いの規模としては、物価連動債と30年債を増額するというのがコンセンサスになっているという印象。物価連動債に関しては、今後育てていく必要のあるマーケットという意味で増発には賛成であり、その場合には隔月発行として欲しい。

ただ、30年債に関しては、0.1兆円程度の増額を消化できないことはないとは思うが、本当にそれだけのニーズが市場にあるのかについては疑問がない訳ではない。どちらかというと、もっと需要の強いもの、例えば、20年債や10年債の増発や流動性供給入札の増額を検討した方が良いのではないかと考える。

・15年変動利付債に関しては、今後9年間は償還がなく、このままでは残高が90兆円という単位になることから、将来的にどの程度の発行残高とすべきなのかを考えながら、徐々に減額を進めていく必要がある。足元については、0.2兆円の減額で十分ではないか。

その際の増額対象については、物価連動債を基幹商品として育成するためには、ある程度の発行量が必要であり、15年変動利付債が発行当初0.6兆円×4回だったことも考えれば、1回の発行額を0.7兆円に増額してもいいのではないか。なお、発行の間隔は現行のままとし、銘柄をあまり分散させない方が望ましいと考えている。

30年債については意見が分かれているが、金利が上昇する局面において超長期債の買いニーズが多いのは確かであり、発行体として、コストやファンディングの安定性の面で、20年債と比較しつつ、0.1兆円程度増額することは可能ではないか。

・15年変動利付債については、偏った需給を一旦ほぐすという観点から、できるだけ思い切った削減が望まれる。増発との見合いの中で、可能な限り絞ることにチャレンジして頂きたい。

増発の対象としては、まず、商品性の改善があった物価連動債が適当ではないか。増発の方法については、できるだけ購入のチャンスを多くするという観点から、頻度を高める方が現実的であり、その方が投資家にとってよりなじみ深い商品に早く成長できるのではないか。その他の増発の候補としては、カーブの形状等から考えれば、30年債ということになると考えている。

・15年変動利付債については、足元少しニーズが高まる気配もあるが、やはり0.2兆円、場合によっては0.3兆円という形で減らして欲しい。その代わりとしては、30年債と物価連動債というところだろうと思うが、物価連動債については、システム対応の必要もあり、増発のテンポは少し遅めとすることが良く、隔月発行にして発行頻度を一回増やして頂き、0.5兆円という形の方が対応し易いのではないか。

・15年変動利付債に関しては、基本的に銘柄間の格差がかなり大きくなっており、マーケットメーカーとしては、他銘柄でヘッジすることができないという状況が続いている。新発債の減額も大事なことだとは思うが、買切りオペ等により、銘柄間の格差が解消していくような仕組があると、マーケット全体のスムーズ化につながるのではないか。

・将来的には多年限にわたるインフレカーブが形成されることが望ましく、10年の物価連動債だけでなく、将来的な課題として、年限の多様化、例えば、20年の物価連動債の発行も可能であればお願いしたいと考えている。

・物価連動債は、世界的に見ても有望な市場であり、社内でも投資家向けに大きくアピールしていくこととしているところであるが、財務省としては、国債発行の中で物価連動債をどう位置づけており、今後、内外に向けてどのような形で情報発信していくのか。また、非常にテクニカルな要因ではあるが、今年の8月のCPI基準改定に伴い、食品・エネルギーを除いたCPIが発表されることから、この指数が物価連動債の参照インデックスになるのではないかというような見方も一部にあると聞いているが、これについてはどう考えているのか。

(これに対し、理財局から、以下のとおり回答した。

・物価連動債については、わが国の場合スタートが遅かったため、今のところまだ市場規模も小さいが、海外の発行状況を見ても将来的には基幹商品のひとつとして、大きく育てて生きたいと考えている。今回の発行計画の見直しに当たっても、そういう将来像をにらんだ上で、足元をどうするかということで考えていきたいと思っている。

情報発信のあり方については、昨年からIRを定期的に行なうようになっており、そういった機会を活用したり、パンフレットや、ホームページなどさまざまな手段を適切に使うことにより、物価連動債の位置付けや、具体的な商品内容について正確に伝わるようにさらに努力をしていきたいと考えている。

参照係数に関しては、現行の物価連動債は、生鮮食品を除くCPI総合指数を参照するという商品設計となっており、既発の物価連動債について、参照するCPIを事後的に変更することはない。本年8月に予定されているCPIの基準年改定に伴い、食料品・エネルギーを除いたCPIの発表が検討されているようだが、総務省は、基準年改定以降も、従来どおり、生鮮食品を除くCPI総合指数を継続して公表する方針と聞いている。本年8月以降に発行する物価連動債についても、新たに公表されると言われている食品・エネルギー除きのCPIがどの程度一般的に用いられるか分からないこと等を踏まえ、当面現行の商品設計を変える予定はない。)

・報じられているように、50年債の発行を検討するのかどうかはともかく、超長期債や物価連動債の国内の需要を掘り起こす場合には、やはり年金の運用を変えていかなくてはならない。発行体である財務省が、厚生労働省の年金局と話をする等の働きかけをする必要性はあるのではないか。

(これに対し、理財局から、以下のとおり回答した。

・先日の投資家懇でも年金のインデックス運用について話題となったが、国内の企業年金、公的年金、保険会社等には、超長期債に対する潜在的なニーズが、相応に存在するのではないかと考えているところ。 また、超長期債市場の育成に関し、国債管理当局として何ができるかについては引き続き研究していく所存であるが、特別参加者の皆様方におかれても、今申し上げたような潜在的なニーズの掘り起こしに努めていただければと考えている。

なお、50年債については、一部の報道の後、事務次官から記者会見でお答えした通り、現時点で特に具体的な検討を行っているわけではない。)

4理財局から、「本日のヒヤリングを通じて、超長期債や物価連動債に対するニーズの高まりと、中長期的にこれらの市場を育成すべきとの期待を感じたところであり、発行体として発行量を増加させるよう努めていきたい。他方、投資家からは30年債、15年変動利付債、物価連動債の流動性についてフェア・プライスがついていないのではないかとの懸念が表明されているのも事実。その点についてどう考えておられるのか、マーケット・メイクの現状も教えてほしい。」旨発言したところ、出席者から以下の発言があった。

・2年債は当然の事ながら、5年債、10年債、20年債については、投資家の数が極めて多い。5糸1毛とマーケットが動くにつれ、色々な引合いが来る中で、トレーディングを行うことが出来ている。

それに対して、30年債や物価連動債は、東京市場が閉まっている夜間に多くの取引が行われているというのが現状。我々としては、この時間帯であっても、積極的にマーケット・メイクしていく義務があると考えており、オペレーション上、リアルタイムでなかなかヘッジしづらいものについて、何とかオファー・ビットを縮められないかを、試行錯誤している。言い換えれば、目を皿にして一瞬一瞬のマーケットの中で売買の対象となっているという感覚ではない。

こうした状況は、海外の顧客が、もっと東京時間に売買するような状況になれば改善されるのではないか。我々としても、東京時間で売買してくれる日本の投資家に対して、30年債と物価連動債を啓蒙し、間口を広げていく義務があるとは強く感じているところ。

・確かにマーケット・メイクがやりにくい局面がある一方で、逆に非常にシャープなプライスが出されていると感じる局面もあるのが実情である。したがって、例えば2WAYを出す際のスプレッドを他の銘柄と比較しても、そのボラティリティは大きくなっている。

ただ、足元では、30年債についてはグローバルなフラットニングの流れの中にあり、物価連動債についても、もともと海外投資家にもなじみのある商品であることから、今のプライスはある程度フェアなものとなっているのではないか。また、15年変動利付債については、理論値から見た割安感から、相対的には投資家の需給のマッチングが起きやすい状況にあったと思う。

物価連動債は、昨年一度大きく調整した経験があり、30年債も足元少し需給が緩んでいるなど、今後も不安定な値動きとなることは勿論あるだろうが、裾野が広がってきているのは確実。それによって、裁定、絶対値、相対的なバリューといった多様な観点からの売り買いが行われるようになるというように、変化は着実に進んでいると思っている。

・当社の場合は、ブルームバーグやQUICK等に30年債、物価連動債、15年変動利付債のプライスを常時クオートしており、絶えず2WAYで出している。それを見て海外の投資家も含めて、東京時間に取引が行われるという状況となっている。確かに2年債から20年債に比べると、同じようなオファー・ビットのスプレッドを出すというわけにはいかないが、若干開いたオファー・ビットの中で、場合によってはその提示したプライスの内側で取引することもあり、そういう状況の中で比較的両サイドの取引が来ている。去年、一昨年に比べるとかなり流動性という面では高くなってきているという印象を持っている。

(3)国債に係る海外説明会(海外IR)について

4理財局より、資料2について報告の後、次回(第4回)のIRについては、昨年度末時点での直近2四半期の落札実績を踏まえ、日興シティ証券及びメリルリンチ証券の協力を得て、6月後半に北米地域の数ヶ所で行う方向で検討中であると説明した。

連絡・問合せ先:

財務省 理財局 国債業務課 辻・田原

電話 代表

03(3581)4111 内線 5701

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Source: Ministry of Finance.