PD Meeting #70
| Date | 2017-03-22 |
|---|---|
| Venue | 財務省 第3特別会議室 |
| Agenda | 1. 平成29年4-6月期における物価連動債の発行額等について 2. 平成29年4-6月期における流動性供給入札について 3. リオープン方式について 4.第Ⅰ非価格競争入札による発行分の限度額及び応札責任について 5.最近の国債市場の状況と今後の見通しについて 6.理財局からの説明事項 |
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Materials
| 資料PDF |
Minutes
○平成29年4-6月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。
・物価連動債については、P1のとおり、平成29年度発行計画では、1回の入札当たり4,000億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。本日は、4-6月期における発行額等について、御意見をお伺いするもの。
・1-3月期については、P2のとおり、2月に発行額4,000億円で入札を行うとともに、同月に200億円の買入消却入札を実施したところ。2月の入札は、P3のとおり、1年ぶりにBEI0.5%台後半で行われたが、大きな問題なく終了した。また、買入消却入札と日銀買入オペについても、P4のとおり、2月の買入消却入札において買入最大価格格差がゼロ銭となるなど、概ね安定した結果となっている。
また、流通市場の状況についても、P5に示したとおり、ここもとBEIは0.5%台後半で落ち着いている。
・一方で、本会合に先立ちヒアリングを行ったところ、物価連動債については、引き続き投資家層の拡がりが限定的であることを懸念する声が聞かれており、4-6月期における物価連動債の発行額と買入消却入札は、現状維持が望ましいとの意見が多かった。
・こうした状況を踏まえて、P6にお示ししているとおり、4-6月期については、1-3月期と同様、発行額を4,000億円とし、偶数月の4月と6月に200億円の買入消却入札を行うこととしてはどうかと考えている。
・また、毎年3月に、翌年度の物価連動債のリオープン及び入札の方式について御議論を頂いているが、これについても、平成28年度と同様、年間1銘柄でのリオープン、価格ダッチ方式での入札としてはどうかと考えている。
・当局としては、物価連動債の市場育成は国債管理政策上の重要な課題と考えており、そうした観点も踏まえ、4-6月期における発行額等について、皆様の御意見を承りたい。
○平成29年4-6月期における物価連動債の発行額等については、当局の提案に異論はないとする意見のほか、以下のような意見があった。
・当局の提案に賛成する。現状としては、物価連動債の需給は釣り合っており、BEIも実勢に即した水準にある。したがって、現状の発行額及び買入消却額で適正。また、リオープン方式及び入札方式についても、現状維持が適切。
・当局の提案に賛成する。市場は活気付いており、適正な流動性が確保されている。需給は若干タイト気味な環境ではあるが、一方でBEIは安定しており、入札前の不安定な動きもない。このような安定した環境が投資家層の拡大につながると思っているため、現状の発行額等を維持してほしい。
・当局の提案で問題ない。ただ、今後は市中残高の増加に伴い、市場が不安定になる可能性もあるため、次回以降の本会合で、買入消却の頻度を隔月から毎月に増加させることを検討してほしい。
2. 平成29年4-6月期における流動性供給入札について
○平成29年4-6月期における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。
・流動性供給入札について、平成29年度国債発行計画では、P8のとおり、残存1-5年ゾーン1.2兆円、残存5-15.5年ゾーン6.6兆円、残存15.5年超ゾーン3.0兆円で年間10.8兆円を発行することを想定しつつ、最終的には「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整」することとされている。
これを受け、本会合では、4-6月期におけるゾーン毎の発行額等を御議論いただくもの。
・P9に1-3月期のゾーン毎の発行額をお示しした。平成28年度は、残存1-5年ゾーンは奇数月に2,000億円で年間1.2兆円、残存5-15.5年ゾーンは毎月5,000億円で年6.0兆円、残存15.5年超のゾーンは偶数月に4,000億円で年2.4兆円の発行を行ってきた。
平成29年度発行計画では、ここから残存5-15.5年ゾーンと残存15.5年超のゾーンを増額することが想定されている。
・P10に、最近の流動性供給入札の結果をお示ししている。残存1-5年ゾーンについては安定した結果が続いており、他のゾーンについても、応募倍率が上昇するなど、おおむね安定した結果となっている。
・こうした中で、4-6月期の流動性供給入札について、皆様から事前に御意見を伺ったところ、平成29年度発行計画で想定されているとおり、残存5-15.5年ゾーンと残存15.5年超のゾーンを増額すべきとの意見が多数であった。
・これを受け、P11にあるとおり、4-6月期におけるゾーン毎の発行額について当局の提案を作成した。残存1-5年ゾーンについては、5月に2,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月5,500億円、残存15.5年超のゾーンについては、4月と6月に5,000億円の発行としてはどうかと考えている。
・4-6月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本日の議論も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて御意見を頂戴したい。
○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・当局の提案に賛成する。残存5-15.5年ゾーンには引き続き旺盛な需要があることから、発行計画で想定されているとおりに増額することでよい。また、平成29年度から20年債の発行額が1回の入札当たり1,000億円減額されることも踏まえると、残存15.5年超ゾーンの流動性供給入札を1回の入札当たり1,000億円増額することが望ましい。
・当局の提案で問題ない。前回の本会合においても、20年債の減額と残存15.5年超ゾーンの流動性供給入札の増額について議論がなされたところ、その議論に沿った提案になっている。現在のマーケット環境を勘案しても問題ない。
・当局の提案でも入札の消化は可能と思われるが、現在、残存15.5年超ゾーンよりも残存1-5年ゾーンのマーケット・メイクの方が難しい状況であるため、後者を増額して前者を現状維持とした方が、円滑なマーケット・メイクが可能となる。確かに、平成29年度から20年債が減額されるが、2年債及び5年債の中期ゾーンはそれ以上に減額されるため、需給環境はより厳しくなるだろう。
また、平成29年度第1四半期における超長期ゾーンの投資家需要を予測することは非常に難しいが、日本銀行はイールドカーブのスティープ化を容認するような方針と思われ、海外は金利上昇基調と考えられる中で、第1四半期の段階でどの程度の投資家需要が出てくるのか不安がある。平成28年度の残存15.5年超ゾーンの流動性供給入札は、1回の入札当たり3,000億円から4,000億円に増額された中で、何とか無難に消化できたのかもしれないが、入札結果が流れるケースも多かった。発行額が更に増えると、外部環境次第では需給環境が更に悪化し、無難消化に懸念が生じるだろう。このような観点からも、増額するのは残存15.5年超ゾーンよりも残存1-5年ゾーンの方が望ましい。
・当局の提案に賛成する。異なる意見があることも理解できるが、差し当たり4-6月期は当局の提案どおりに実施して様子を見ればよい。
・当局の提案については、平成29年度国債発行計画に沿った内容であり、異論はない。むしろ、本提案と異なる配分にすれば、かえって市場にとってはサプライズになりかねない。
ただ、残存15.5年超ゾーンを対象とする入札については、2回に1回程度の割合で、入札結果が流れており応札倍率も低くなっている。一方、残存1-5年ゾーンについては、需給が良好で、増額の余地もあるように見える。次回の7-9月期の発行額については、4-6月期の入札結果を見た上で、場合によっては、ゾーン毎の発行額の修正も考えるべきである。
・当局の提案に異論はない。ただ、レポ市場での需給がタイトな銘柄は、残存7-10年の範囲に集中している。次回の7-9月期においては、これらの銘柄を対象としている残存5-15.5年ゾーンの発行額を増額することも検討してほしい。
・当局の提案に異論はない。ただ、残存15.5年超ゾーンは潜在的に入札結果が流れるリスクが高くなっている一方、残存1-2年の銘柄については需給がタイトになっているので、当該ゾーンに対応する残存1-5年ゾーンの発行額を増額することも検討してほしい。
・特別流動性供給入札については、残存5-15.5年ゾーンにおける需給がタイトな銘柄のスクイーズを防止する観点からも、抑止力を有するものと理解している。当該入札について当局の見解を伺いたい。
(これに対し、理財局から「特別流動性供給入札の実施要領については、平成20年3月31日に報道発表されており、当該要領は現在も有効である。ただ、特別流動性供給入札は、突発的な事象が生じ特定の銘柄の需給が極めてタイト化することで市場機能が著しく低下するような事態を想定したものであるが、導入時に本会合で議論した際には、慎重かつ透明性の高い制度運営を求める声が強く、むしろ、こうした仕組みを用意することによって事態の発生を牽制したいという側面もあったと受け止めている。今後もマーケットの状況を注視し、真に必要な場合には特別流動性供給入札を活用することになるが、基本的には、まずは通常の流動性供給入札の枠組みで対応していくことが望ましいと考えている」旨回答した。)
3. リオープン方式について
○リオープン方式について、理財局から以下のように説明を行った。
・P13以降に、平成29年度のリオープン方式等について、事前にお伺いした皆様の御意見を踏まえて策定した実施案をお示ししている。
・10年債については、平成27年度から、新発債の表面利率と入札日における市場実勢の乖離がおおむね30bps以内の場合に、リオープンによる発行としている。事前に御意見をお伺いしたところでは、1銘柄当たりの市中残高を確保する観点から、原則リオープン発行とすべきとの意見が聞かれる一方、金利が大きく変動する場合には、新発債として発行し投資家の需要を喚起することが国債の安定消化に資するとの意見も聞かれたところ。
・このため、平成29年度も引き続き、新発債の表面利率と入札日における市場実勢の乖離がおおむね30bps以内の場合にはリオープンによる発行とする現行方式を維持してはどうかと考えている。
・また、20年債・30年債・40年債のリオープン方式及び40年債の入札方式については、事前に御意見をお伺いしたところ、現行方式を支持する意見がほとんどであったため、平成28年度と同様、20年債・30年債は年間4銘柄とし、40年債は年間1銘柄で利回りダッチ方式の入札とする案をお示ししている。
・以上の諸提案についても、他の議題と同様、本会合での議論を勘案して、最終的に決定することとしているので、忌憚のない御意見をいただきたい。
○リオープン方式等については、当局の提案に異論はないとする意見のほか、以下のような意見があった。
・日銀買入オペの影響でカレント近辺の需給が非常にタイトになっており、最近では国債補完供給オペに依存するような銘柄も出てきている。今後もそうした銘柄が出てくる可能性が高いと考えると、10年債も原則リオープン方式としてほしい。
・10年債についても原則リオープン方式としてほしい。現在の金融政策の下では、日本銀行の保有銘柄がどうしてもカレント近辺に偏りやすく、マーケット・メイカーとしては流動性の低下を懸念している。
4.第Ⅰ非価格競争入札による発行分の限度額及び応札責任について
○第Ⅰ非価格競争入札による発行分の限度額及び応札責任について、理財局から以下のように説明を行った。
・資料P16の1.のとおり、国債市場特別参加者制度は、特別参加者の皆様に応札・落札に関する責任を課す代わりに、様々な資格を付与する仕組みとなっている。
・このうち、国債市場特別参加者の資格の一つである「第Ⅰ非価格競争入札」について、2.に記載されているように、「最近、顧客による入札の平均価格での購入ニーズが高くなり、第Ⅰ非価格競争入札で確保できる量では賄えなくなっている」ため、発行限度額を引き上げて欲しいという声があがっている。
・また、3.に記載のとおり、米国のプライマリー・ディーラー制度では、発行予定額をプライマリー・ディーラーの社数で除した値を応札義務と定め、プライマリー・ディーラーの応札のみで発行予定額の全額をカバーする仕組みとなっているが、我が国では、応札責任は「発行予定額の4%以上」でされ、特別参加者21社の応札責任でカバーされるのは発行予定額の8割程度になっている。
足元では、各種国債の発行入札での応札倍率はおおむね2倍~3倍程度となっており、現行の応札責任の下で国債の消化に問題がある状況ではないものの、国債市場特別参加者の資格を見直すのであれば、資格と責任のバランスの観点から、応札責任を見直すことが適当と考えられる。
・こうした状況を踏まえ、P17に記載のとおり、第Ⅰ非価格競争入札の発行限度額と応札責任の見直し案を作成した。
具体的には、まず、投資家のニーズに応える観点から、第Ⅰ非価格競争入札の発行限度額を現行の「発行予定額の10%」から「同20%」に拡大する。
第Ⅰ非価格競争入札の発行額を過度に拡大すれば、価格競争入札分の発行額が縮小し、価格形成の競争性・公正性が損なわれるおそれがあるが、この程度の見直しであれば、現状の発行規模を考慮すれば弊害は大きくないと考えている。
・これに併せて、応札責任を「発行予定額の5%以上」に引き上げる。これにより、米国と同様、特別参加者21社の応札のみで発行予定額の全額がカバーされることになる。
・なお、資料に記載のとおり、これらの変更を行う場合、本年7月以降に発行される国債の入札分から適用する予定。このため、例えば、6月に行われる2年債の入札は新制度が適用されることになるので御留意願いたい。
また、本日は時間の都合もあり説明しないが、P25~28に「国債市場特別参加者制度運営基本要領」の改訂案を添付しているので、御確認頂きたい。
・本議題についても、本日頂いた御意見を踏まえ、改めて見直しの要否やその具体的内容を判断していきたいと考えており、国債市場特別参加者の皆様の忌憚のない御意見を頂戴したい。
○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・応札責任については、現状の「発行予定額の4%以上」を続けても大きな問題が発生するとは考えていないが、これに国債市場特別参加者の社数を掛けた値が100%に達していないという状況は健全ではなく、100%を超えていた方が望ましいというのは理解できるので、「発行予定額の5%以上」に引き上げることには賛成する。
また、第Ⅰ非価格競争入札による発行分の限度額については、入札の平均価格で買いたいという投資家のニーズが強いため、ぜひ増やしてほしい。価格競争の公正性を維持しつつ、発行予定額の何%まで増やすのが妥当かという点については、検証するのが中々難しいとは思うが、将来的には、更に25%や30%まで引き上げるべきか否かということについても、引き続き議論の余地があると考える。
・当局の提案に賛成する。応札責任の引上げについては、足元の環境においてはあまり大きな影響はないと思うが、今後厳しい環境に入った時に市場心理の安定につながる可能性が高いという意味で、今のうちに変更しておくことは非常に大事だと思う。
第Ⅰ非価格競争入札による発行分の限度額拡大についても、現在、入札において平均価格で購入を希望する投資家が非常に多い状況となっていることを踏まえれば、こうした投資家ニーズに即した変更は、市場にとっては非常によいことだと思う。
・当局の提案に異論はない。国債の安定消化ということを考えれば、このような変更をすることは非常によいのではないかと考える。
・当局の提案に異論はない。応札責任については、「発行予定額の5%以上」よりも現行の「4%以上」の方が負担が少ないのは確かだが、第Ⅰ非価格競争入札の発行限度額が増えることはそれ以上に望ましく、投資家ニーズにより即した発行ができるようになると考える。
・第Ⅰ非価格競争入札による発行分の限度額を「発行予定額の20%」に思い切って引き上げるという当局の提案に賛成する。これが15%への引上げといった微調整にとどまるのであれば、市場のニーズが大きく変化することも期待しにくい。まずは20%に引き上げてその影響を検証することで、更に、今後の国債入札の在り方をどうしていくかといった議論につなげていくことも考えられる。
・当局の提案に賛成する。当社は第Ⅰ非価格競争入札の発行限度額を増やしてほしいという要望は特にないが、応札責任の引上げについては、国債の安定消化という観点から国債市場全体にとってよいことであると考える。
・当局の提案に賛成する。第Ⅰ非価格競争入札の「発行予定額の20%」への引上げは、入札の平均価格で買いたいという顧客のニーズに応えやすくなるという意味で、ぜひ実施してほしい。応札責任の「発行予定額の5%以上」への引上げは、ある程度の負担にはなるが、それ以上に第Ⅰ非価格競争入札の発行限度額が2倍になるメリットの方が大きいと考える。
・投資家による入札の平均価格での購入ニーズが依然として強い状況であり、第Ⅰ非価格競争入札の「発行予定額の20%」への引上げは、ぜひお願いしたい。応札責任については、現在の環境においては4%でも5%でも負担感に大きな違いはないものの、札割れが起きないという安心感の下で国債が安定的に消化されるという観点から、「発行予定額の5%以上」への引上げは有意義だと思う。
・当局の提案に賛成する。第Ⅰ非価格競争入札の発行限度額については、「発行予定額の20%」という水準が適正なのかはわからないが、引き上げてもらうこと自体は非常にありがたい。
・当局の提案に賛成する。4月以降の実施でも構わない。
・第Ⅰ非価格競争入札の発行限度額拡大は、平均価格で落札できる分が増えるため、その分、価格競争入札の方で必ず落札するために高い価格に入れていた札が減ることになる。その意味では、当局にとっては発行コストが増加するという話であり、証券会社としてはありがたいが、当局の立場を考えれば賛成できない。
5.最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・足元では米金利の上昇に一服感が出始めてはいるが、中長期的にはグローバルに緩やかな金利上昇局面にあると考えている。
先週のFOMCのドットチャートは、市場ではハト派的と解釈されたが、FRB高官の発言を考えると、年3回の利上げに変更したメンバーは主要メンバーではないかと思われるため、ハト派的との解釈は、やや偏っているのではないか。他方、年4回といったように、積極的な利上げを実施するには、賃金上昇等の経済ファンダメンタルズが大事になるため、その意味では、不透明性ではあるもののトランプ政権において財政政策も含めてしっかりと実行されることが重要だと考える。
また、欧州を見ても、政治リスクや金融不安はあるものの、足元のファンダメンタルズは改善してきており、ECBによる預金ファシリティ金利の引上げ等に関する報道も目立ってきているため、今後はECBも金融引締めに向かっていくのではないかとも思う。
もっとも、今後の新興国リスクや中国をはじめとする地政学リスクもあるため、決して明確な見通しであるとは言えないが、どちらにメインシナリオに置くべきかと言えば、やはりファンダメンタルズが良好であり、それを背景としてグローバルに金利が上昇していくということだと考えている。
そうした観点から日本の国債市場を見れば、短期的には足元で米金利の上昇に一服感があるため、日本銀行によるレンジ内での国債買入の増減に一喜一憂することになるのではないか。その意味では、4月以降の20年債以下の国債発行額の減額に合わせて、日本銀行がどのように国債買入額を調整してくるのかという点が注目されると思う。
また、長期的にはグローバルに金利が上昇していく中、イールドカーブ・コントロールで10年債の金利をゼロ%程度で維持できるのかということ、また、経済が世界的に良好となり、日本のファンダメンタルズも改善していく場合に、日本銀行がどのタイミングで緩和を縮小していくのかということも重要な問題になると思う。
もっとも、良好なファンダメンタルズを背景として金融緩和が縮小していくことは、国債市場にとってはボラティリティが復活して活性化につながるという意味で、望ましいことだと考える。
・日本銀行がイールドカーブ・コントロールを導入してから、長期金利を誘導目標に近いところに上手く保っておくことができており、イールドカーブのスティープ化にもある程度成功していると評価されている。こうした中で、ボラティリティは基本的に下がる方向にあるが、米国債の動きなどによって多少の変動が見られているというのが現状。
今年の後半を見渡すと、FRBのバランス・シート縮小があり得ると思われ、ECBに関しても、QEの一段の縮小が年内に決定されるのではないかとも思っている。そうすると、グローバルに中央銀行がバランス・シートを膨らませてデュレーションを吸収していたという環境は、一変することになる。これは潜在的に、日銀買入に対して大きな負荷を与えることになるだろう。
いずれにしても発行当局に求められるのは、各年限における市場の残高を見ながら投資家の需要に見合った発行を行うことだと思う。それを念頭に置いて、今後も本会合での議論を行うことが重要だろう。
6.理財局からの説明事項
○理財局から以下の2点について説明・報告を行った。
・1点目は、大量償還月の利付債(5~30年債)及び毎月の2年債の発行に係る決済期間短縮化についてである。
・P19にお示ししているとおり、現在、国債の発行日は原則T+2であるが、5~30年債のうち、既発債の償還月である3・6・9・12月に発行するものについては、発行日から初回利払日までの間隔が短いと、発行時に払い込まれる経過利子相当額が多額となること、また、既発債の償還日よりも前に新発債を発行すると、償還資金で新発債に乗り換える投資家のファンディングに不都合が生じ得ることから、利払日・償還日と同じ20日発行としてきた。
・また、2年債については、国庫収支の資金過不足を平準化する観点から、発行日と償還日を年金支払日と同日の15日としてきた。
・その結果、これらの国債については、入札から発行までの期間が2営業日よりも長くなり、入札日程によっては、発行まで10営業日以上間隔が空くこともあるという状況になっている。
・これに対し、市場関係者からは、償還資金で新発債を購入するニーズは限定的で、発行日を20日や15日に統一しなくてもファンディングに不都合が生じる可能性は低く、むしろ、新発債の入札後、発行までの間の取引の決済が発行日に集中することで、決済リスクが高くなっていること等から、決済期間を短縮化してほしいという要請が聞かれている。
・これを受け、大量償還月に発行する利付債(5~30年債)及び毎月発行する2年債に係る決済期間を短縮化する方向で、具体的な制度設計や実施時期等を検討していきたいと考えている。
本見直しは、関連諸制度や市場関係者のシステムに大きな影響を与える可能性があり、国債市場特別参加者の皆様をはじめ、市場関係者から幅広く意見を聴取しながら検討すべき課題と考えている。引き続き御協力をよろしくお願いしたい。
・2点目は、流動性供給入札における入札対象ゾーンの事前公表化についてである。
・国債入札の日程は3か月前に予め公表することとしているが、その際、流動性供給入札については、流動性供給入札の実施日であることのみを示し、対象ゾーンは明記しない取扱いとしている。
これは、流動性供給入札の対象ゾーンは、本会合等で議論した上で四半期毎に決定されることになっているため、3か月前に決め打ちすることはできないという考えによるもの。
・他方で、このままでは、入札直前まで対象ゾーンが分からないことになってしまうため、これまでは、残存1-5年ゾーン又は残存15.5年超ゾーンを各月1回目に、残存5-15.5年ゾーンを各月2回目に実施することを慣行とすることで、入札参加者の予見可能性を確保してきた。
・しかしながら、先ほども御説明したとおり、平成29年度から、流動性供給入札のゾーン毎の発行額についても国債発行計画に明記される取扱となっている。
このため、今後は3か月前の入札日程の公表の際に、流動性供給入札の対象ゾーンも公表することとし、対象ゾーンの入札順序については、従来の慣行にとらわれず、柔軟に設定することとしたい。
・なお、繰り返しになるが、流動性供給入札のゾーン区分やゾーン毎の発行額は四半期毎に柔軟に調整されるものであることから、仮に調整の結果、公表済みの入札日程に支障が生じるような場合には、ゾーン区分等の変更に併せて入札日程も見直した上で、公表することになるので、御承知おき願いたい。
○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。
・「流動性供給入札における月内入札順序の事前公表化」は、具体的にはいつから実施するのか。
(これに対し、理財局から「3月28日に公表する予定の6月の入札カレンダーから、流動性供給入札の対象ゾーンを明記することになる。また、4月分と5月分の流動性供給入札の対象ゾーンについても3月28日に併せて公表する予定。なお、入札順序についての参加者の予見可能性を損なうことにならないよう、4月と5月については従来の慣行に沿った入札順序にする方向で考えている」旨回答した。)
Source: Ministry of Finance.