PD Meeting #21
| Date | 2008-08-01 |
|---|---|
| Venue | 財務省 第3特別会議室 |
| Agenda | (1)15年変動債の今後の発行等について〔参考配布:資料1〕 (2)原則リオープンについて〔参考配布:資料2〕 (3)理財局からの説明事項〔参考配布:資料3〕 (4)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて |
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Materials
| 資料1PDF |
| 資料2PDF |
| 資料3PDF |
Minutes
(1)15年変動債の今後の発行等について〔参考配布:資料1〕
4はじめに、理財局から、15年変動債の今後の発行等について、以下のように説明を行った。
15年変動債については、2000年度より公募発行を開始し、その後2005年度まで発行額の引き上げを行ってきたが、発行残高の増加やイールドカーブのフラット化に伴う需給の変化に対応し、一昨年から発行額の調整を行ってきた。しかし、本年春以降、サブプライム問題の影響等を受け、需給の悪化が進む中で、発行当局として更なる需給の改善策が必要と考えている。
先般主要な市場参加者からヒアリングをしたところでは、これ以上15年変動債の残高を増やさないよう、今年度のネット発行額を、ゼロ又はマイナスにするよう見直すべきとの意見が数多く聞かれたところである。当局としても、市中発行の計画については、時々の市場状況に応じて必要な場合には柔軟に変更するべきものと考えており、こうした意見や本日の議論を受けて、早急に対応を検討したいと考えている。
なお、15年変動債については、将来の金利状況の変化に対するヘッジ手段にもなるなど、商品の多様化の観点では重要な商品であると認識しており、今後の発行を打ち切るといったことは全く考えていないことを予め申し上げたい。
まず、目先の需給を改善するためには、今年度の発行額の減額と、買入消却の増額により、ネット発行額を減額することが考えられるが、ゼロ又はマイナスを含め方向性についてご意見をお伺いしたい。その際、新規発行額については、15年変動債の減額分を他年限へ振り替えることや、買入消却についても、市中からの買い入れ予定額の3兆円 の中で振り分けを考えることが必要となる。
具体的な新規発行額については、今年度は既に5月に6,000億円発行しているところであるが、残りはどのような発行が適当と考えるかご意見を伺いたい。
今年度における当初の予定額2兆4,000億円から減額する場合、その分、他年限を増額する必要があるが、どの年限に増発余地があるかご意見を伺いたい。
また、買入消却については、今年度は既に3回合計4,500億円実施しているところであるが、残りはどのような買入消却が適当と考えるかご意見を伺いたい。
買入消却を当初の予定額1兆2,000億円から増額する場合、先に説明したとおり、市中からの買い入れ予定額3兆円の枠内で割り振り変更をすることとなるが、利回り物と物価連動債、どちらに買入消却額の減額余地があるかご意見を伺いたい。なお、取得原価で簿価管理している投資家が保有する既発債については、買入消却に応じると時価との差で損が発生することから、買入消却を大幅に増額しても、ただちに売却できる量は限定的ではないかとの指摘もある。
このほか、中長期的な視点で、15年変動債の市場振興策があれば、実現に向けて検討していきたい。
先般のヒアリングでは、「15年変動債のストリップス適格化」や「償還年限が2年や5年といった短いゾーンへの新規債の発行」といった案が出されたが、これらに対するご意見を伺いたい。また、このほかにも案があれば伺いたい。
4出席者から出された意見等の概要は以下の通り。
【ネット発行額について】
・15年変動債の現状は、このところ理論値対比で相当割安な状態で推移し、また直近の買入消却の落札水準も実勢から相当程度低いところで決まっており、非常に需給の状況は良くない。こうしたことがレラティブバリューの投資家のアクティビティーの減少にも繋がっており、国債マーケット全体にも影響を及ぼしていることから、15年変動債の需給改善は必要である。
ネット発行額は、新規発行額減額と買入消却額増額を組み合わせてマイナスとし、現状の一時的に非常に悪い需給を改善すべきである。具体的には、▲4,000億円程度にしてはどうか。
・現状をある程度効果的に打開するには、ある程度思い切った新規発行額の減額又は買入消却額の増額により、ネット発行額をゼロまたはマイナスにせざるを得ないのではないか。
・足元で理論価格と実勢価格の差が7円近くに達している状況となっているということは、割高な調達を迫られているということになる。まずは、今年度は、ネット発行額をマイナスとし、その結果として残高も減らすことを第一の方針とすべきだろう。
・国内外の投資家は、思わぬ価格の下落により予想外の状態に陥っている。まずは、需給を改善しなければならない。
ネット発行額を▲4,000億円程度まで減額するぐらいの手を打つべきではないか。新規発行額の減額と買入消却額の増額を合わせて行うことで、よりアナウンスメント効果が高まる。
・ネット発行額を減らすべきという趣旨には賛同するが、実体的な効果を上げないと、中途半端なことをやっていてはなかなか本質的な需給の改善につながらないという問題があるので、ネット発行額はマイナスとし、その規模においてもしっかり踏み込むべきである。
【新規発行額について】
・今年度の残りの新規発行は下期の1回、5,000億円に減額すべき。この場合の新規発行減額分1兆3,000億円については、今年度はとりあえずTBで対応してはどうか。固定利付債の増額については、来年度の計画で対応することとし、別途議論した方がよいのではないか。
下期1回の発行とした場合にリオープン発行するかどうかについては、特に強い意見はないが、発行の間隔が半年以上空くと、実勢が大きく乖離した場合、リオープンは難しくなることから、実勢が近ければリオープンしてもいいし、離れていれば新発債で発行するという対応でいいのではないか。
・価格が下がりすぎたために投資家が売るに売れず、また売れないから買えない、といった状況や、マーケットでの売買高が非常に減少していることも考えると、流動性が更に低下するという副作用はあるが、少なくとも足元については、新規発行額を大幅に減額することを軸に対応をとる必要がある。
具体的には、今年度の入札回数はあと1回、6,000億円、できれば5,000億円程度に減額して、最大でも年度で1兆2,000億円程度の発行とすべき。入札時期は、2月の決算前よりは11月ぐらいがよいのではないか。
新規発行減額の財源は、超長期ゾーンに限定されるのではないか。5年債や10年債はあまり増発余地がないと思っている。特に40年債も定期発行されたことや、金利がここもと上がっていたこともあるが、今後の超長期債のマーケットの市場参加者も増えており、このような超長期のマーケットを育成していくことも踏まえて、30年債の増発を軸にしてはどうか。ただ、無理矢理全部を超長期ゾーンに振り替えるよりは、残額はTBに一旦振り替え、改めて来年度の発行計画全体を見直していけばよいのではないか。増額余地は、20年債も足元では若干あると思うが、20年債・30年債ともに増額となるとイールドカーブに対するインパクトは大きいと思う。30年債の増額は、頻度を現状の四半期に1回とすると、2,000億円ずつ増額して、20年債並みの1ロット8,000億円とすることも考えられる。それ以上30年債を増額するとややインパクトが大きく出ると思うので、一回の発行額としてはその辺が限界だろう。20年債については、無理をして今発行する必要があるか判断しかねるが、若干の増発余地はあるのではないか。新規発行の減額分を全て超長期ゾーンで発行するよりは、増発余地を埋めた残りはTBで発行する形がよいのではないか。
リオープン発行するかどうかについては、足元のニーズが特別強いわけではなく、5,000億円以上の発行額であれば、流動性を維持することは可能と考えており、リオープンではなく、新規銘柄として発行しても十分に対応できる。来年度以降については、また別途検討していけばよいのではないか。
・カレント債の発行を取り止めたり、大幅な減額をすると、カレント債の流動性低下が懸念されるため、年間1兆円程度の発行額は必要である。つまり、下期の発行は1回、5,000~6,000億円とすべきである。
発行額の減額分をどの年限に振り替えるかについては、TBという案も出たが、借換債が増えていくという問題もある。足元ではスワップスプレッドでみて最もタイトなゾーンとなっている2年債の優先順位が高いのではないか。また、もう少し長期的にみて、来年度以降ということであれば、20年債の発行増額もあり得る。20年債については、特に2006年以降、マーケットにおいて利回りの変動が小さく、より安定した銘柄となっており、長期の負債を持っている保険会社等からの安定的な需要が見込める。30年債・40年債については、現時点では流動性が足りず、また昨年来のサブプライムローン問題の影響で、海外のファンド勢のパフォーマンスも落ちていることもあり、もう少し様子を見た方がよいのではないか。
リオープン発行するかどうかについては、48回債はα=20で発行されているが、20数年前に15年変動債が発行されたときは、需要が強かった。ニーズが相当強くなる場合には、流動性を重視して1銘柄の方がよいということかもしれない。逆に、実勢に沿った形で、小口でも増発できるケースもある。そういう意味では、柔軟に対応してもよいのではないか。
・今年度は、あと1回、6,000億円程度の発行でよいのではないか。減額分の他年限の増額については、イールドカーブ上、両サイドに振り分け、2年債と20年債で対応すればよいのではないか。
リオープン発行するかどうかについては、仮に今年度の発行が下期1回となった場合に、次の発行までに半年以上経過するので、新規銘柄として発行した方がよい。
・発行額については、下期に1回、4,000億円程度まで減額すべき。減額分の振り替えは、マーケットにあまりインパクトのない短期ゾーン、2年債を中心に対応していくべきである。
リオープン発行するかどうかについては、次の発行までの期間が半年以上経過するということと、投資家の需要を考えると、リオープンでない方がよい。
・新規発行については、下期1回で5,000億円~6,000億円程度とし、実勢価格が動く可能性が大きいことを考えると、リオープン発行に拘らなくてよい。
15年変動債の新規発行額の減額に見合う増発余力については、本格的な発行年限の議論は来年度発行計画において行うこととして、全体のイールドカーブに及ぼす影響等を考えると、2年債やTBで対応すべきではないか。特に2年債については、リオープン発行することがテクニカルに難しいことからすると、現状の1回の発行ロット1兆7,000億円では比較的スクイーズが生じやすくなっており、増発することで流動性を高めるという意味もあるのではないか。それ以外の部分はTBで対応することが現実的だと考える。
・既に上期6,000億円発行しているが、今年度はこれ以上の発行を取り止めてはどうか。来年度以降については、ネット発行額のマイナスを継続することで、全体の発行額が減っていくこととなり、リオープン発行との考え方もあるだろうと考える。また、15年変動債の新規発行額減額の振替先としては、基本的に15年の債券が減るのであるから、年限としては長いものを発行すべきであり、20年債を軸にして考えるべきではないか。
・新規発行については、今年度ではあと1回、5,000億円程度の発行とすべきである。発行月については、既発債の利払いが少ない12月か2月に発行するのがよいと考えている。また、発行額が5,000億円程度あれば十分流動性も維持することができると考えており、リオープンして発行する必要はない。また、新規発行の振り替えについては、需要が見込める20年債と2年債を合わせて増額することがよいのではないか。
・カレント物の新発債をある程度発行していくことによって、15年変動債の流動性を維持していくことは必要と考えており、新規発行については、今年度にあと2回発行、1回当たり6,000億円を維持する必要があると考えている。
また、15年変動債の新規発行減額の振替先としては、将来の財政の健全性等を勘案すると20年債を前提に考えるべきだろう。
【買入消却について】
・買入消却額は、下期は毎月行い、各1,500億円とすべき。15年変動債の買入消却を増額する分については、利回り物を減額して対応すべき。
・買入消却額については、3兆円の年間総額を変更しないとすれば、物価連動債は、未だ流動性等で不安定な部分もあり、買入消却額は現状維持とすべきである。したがって、利回り物の買入消却額を若干減額するのがよいのではないか。ただし、利回り物の買入消却も、マーケットの流動性を考えると、1回当たり1,000億円程度は必要と考えている。したがって、下期の利回り物の買入消却額を1回当たり1,000億円とすれば、当初の利回り物の買入消却予定額から、1,800億円程度を15年変動債の買入消却に振り替えることが可能ではないか。その場合、現状の半期に4回の買入消却時に上乗せしてならす形でもよいが、買入消却を毎月行うような形にすればよいのではないか。
・買入消却については、現状では、利回り物、15年変動債、物価連動債、ストリップスと4つのパターンがあるが、物価連動債とストリップスについてはそのままとし、利回り物については、30年債が対象となっているのは財務省の買入消却だけであり、マーケットの要望が強いことからすると、全額というわけにはいかないが、その他の利回り物の買入消却相当額を15年変動債の買入消却に振り替えることが必要だろう。
・買入消却については、現状維持でよい。
・買入消却については、上期は1,500億円を4回行うこととなっているが、下期は各回1回当たり2,000億円程度まで増額する。増額分の振り替えについては、物価連動債は7月も急落しており、CPIが上がっていく中で、むしろ逆行安という状況であり、国内外の投資家もリスクを落としたままマーケットに戻れる状況にはないことから、現状維持とし、利回り物の買入消却の減額で対応すべきである。
・買入消却については、業者に在庫が積み上がることを防ぐためにも、毎月の実施が望ましい。また、ネット発行額の減額はある程度マーケットで織り込まれているが、需給環境が好転しているようには見えないことから、足元のインパクトを考えると、非常に難しいかもしれないが8月の実施も含めて検討してはどうか。15年変動債の買入消却を増額する振替先としては、利回り物の下期分を1回当たり1,000億円程度に減額して対応するのが現実的ではないか。
・償還までまだ7年程度残っている状況下で、発行残高を増やさないようにするには、今年度の残りは、1兆2,000億円の発行に対して買入消却も1兆2,000億円とする必要がある。買入消却の増額分は、利回り物をほぼ全額15年変動債に振り替える必要がある。ただし、保有者の中には時価と簿価が乖離していることから買入消却をすぐに利用できない者もいるようであり、極端に買入消却を増額することもできず、上限として1回当たり2,000億円程度を下期計6回実施してはどうか。
(ここまでの議論を踏まえ、当局より、以下のように発言した。)
・買入消却の頻度を毎月にするとの意見については、効果の観点からは、そのようなやり方もあると思われる。ただし、入札日程を勘案すると、商品の多様化、流動性供給入札、買入消却の充実もあり、かなり厳しいスケジュールとなっている。来年度以降のことも考えると、年間を通じて毎月15年変動債の買入消却を行うのはかなり厳しい状況であり、オペレーションリスクも背負わなければならず、実現可能性を慎重に検討しなければならない。また、利回り物の買入消却を減額するとの方向性が大勢の意見と思われるが、どこまで減額できるかを考える場合、昨今の日銀の国債買入オペの状況を見ていると、財務省が実施している「1年未満を除外し30年債も対象となりうる買入消却」は、市場からの期待もあり、そのようなことも合わせて考える必要がある。
【市場振興策について】
・現存の15年変動債が償還を迎えるまでまだ7年も残っていることがある問題の一つになっている。その償還が来ない期間を対象に、残存2~5年程度の15年変動債を発行することによって、割安になっている既発債のαの割安度合いを更に強調することで、償還が短い15年変動債に需要が集まる可能性もある。また、既存の15年変動債の発行を、そのような短期のゾーンに振り替えていく考えもあるのではないか。
・残存の短い変動債を発行するとの意見に関しては、8回債・9回債と比較して48回債やその近辺の銘柄の方が割安度合いが大きくなっているので、残存の短い変動債の方がマーケットのニーズが高いとの考えからの意見だと思われる。しかし、マーケットの変動債に対するニーズそのものがかなり低下している現状で、新たに残存の短い変動債を発行すると、結局、入れ替えという形で、既発債を売って残存の短い変動債を買うという動きが活発化するのではないか。そうすると、新たな問題として、割安なカレント銘柄が更に割安となってしまい、流動性も一段と悪化する可能性があることを懸念する。したがって、時間はかかるかもしれないが、ネット発行額をゼロ又はマイナスとし、地道に変動債そのものの需給の改善をやや長い目で見て図っていく方がよいのではないか。
・今すぐ投資家のニーズがあるという訳ではないが、15年変動債もストリップス化できるよう検討してもよいのではないか。現在、クーポン部分だけでもかなり割安になっているので、これらの買いが入る可能性がある。
・ストリップス化については、将来的にはニーズがあると思うが、現状は、7~15年、特に10年辺りのところがストリップス債のニーズが薄く、ALMの観点からニーズがあるかについては少し疑問がある。もう少し残存が短くなればニーズが出てくるのではないか。そういう面ではむしろ2~5年程度の短い15年変動債を発行した方が、金融機関等の満期保有のニーズにマッチするのではないか。
その場合、残存の短い15年変動債を発行することで既発債の流動性が低下するのではないかとの懸念については、その部分は基本的に買入消却で処理すればよい。したがって、買入消却の増額を行い、残存の短い15年変動債も発行することにすれば、15年変動債の全体の流動性の向上とともに、今の理論値から乖離している状況を改善することもつながるのではないか。
・ストリップス化よりは、15年変動債の残存2年物等の発行の方が、検討する余地があると考える。15年変動債の発行を止めてもよいのではないかとも思えるが、発行するのであれば、残存2~3年に短くした方がよいのではないか。現状では、ストリップス化してすぐニーズが出てくるかと言われると、やや微妙な感じもする。中長期的にこの異常な割安さが続いていれば、さらに割安なクーポンが買えるという意図で、こういう意見が出てきていると思うが、中長期的にこの異常な割安な状態が続いていることの方が問題だと思う。あまり複雑なことをするよりは、早めに買入消却を行い、理論値近辺で発行できるようにすることが先決だろう。
(2)原則リオープンについて〔参考配布:資料2〕
4理財局から、原則リオープンの適用拡大について以下の通り説明を行った。
これまでも、資料にあるとおり、数回に渡りこのPD会合の場などで議論してきているが、最近の事象として、10年の292回債のレポが非常にタイトになり、入札において札が引き気味となった結果、札が流れる影響が出たところである。こうした状況を踏まえると流動性向上の観点と併せて原則リオープンの適用拡大も必要なのではないかとの声も聞かれている。
こうした状況を踏まえ、先般ヒアリングを行ったが、未だその賛否については意見が分かれているところである。
こうしたことから、原則リオープンの適用拡大については、時期尚早との見方もできるが、原則リオープンの適用拡大に対する賛否や適用する場合の年限の優先順位についてご意見を伺いたい。また、併せてレポ市場そのものの在り方についてもご意見を伺いたい。
4出席者から出された意見等の概要は以下の通り。
・全年限について原則リオープンを適用する意見に変わりはない。ただし、投資家の意向を踏まえると、長い年限、まず20年債から対応するのが現実的であると考えている。その後、投資家の実際の需要等を見ながら、10年債、5年債という順に適用範囲を拡大していくことがよいと考えている。
・銘柄毎の流通量の増加は個別銘柄の流動性維持・拡大に資するため、原則リオープンには賛成である。証券会社としては、証券業の性格に照らしても流動性の向上は望ましいことであるほか、自身のバランスシートの不要な拡大を回避できるメリットがある。しかし、会計制度やカレント志向など、市場には多様な価値観を持つ投資家がいるため、まずは過去の発行クーポンの振れが比較的小さく、発行額も相対的に少ない20年債に原則リオープンを適用し、状況をみながら、他年限への適用を検討するのがよいのではないか。
・やや否定的な立場である。原則リオープンの適用範囲の拡大は、中長期的には国債の流動性の向上に繋がると考えるが、現在の金利水準や、また、国内投資家に国債の最終消化を頼っているという現状において、そうした投資家は簿価に対する意識が高いことを踏まえると、原則リオープンの実施により様々な制約が生じることが想定され、今後の入札時の応札額に振れが生じる危険性も高い。10年292回債のレポのタイト化の問題は、リオープンにより1銘柄当たりの発行量を増やす議論と同時に、レポ市場の整備など他の対策がないか再点検することも必要ではないか。
なお、20年債に限れば、投資資金の性質が10年以下の国債とは若干異なることや、20年債全体の流動性を向上させる観点からも、原則リオープン制度の導入の余地はある。
・反対の立場に変わりはないし、現状、その気持ちは非常に強くなっている。米国をはじめ世界のマーケットが動揺している中、現状で最も不足しているのは、リスクテイク能力である。特にボラティリティの高まりにより、銀行などはバーゼルⅡの枠組みの中で、自己資本の管理は難しくなっている。また、海外のヘッジファンド等も3月以降はかなり退出しているため、最終的なリスクをテイクするプレイヤーの存在が非常に貴重になっている。
また、10年292回債のレポがタイトになり、その後の入札にも影響が及んだことは理解しているが、当時は最終的なリスクをテイクする投資家が少なかったという状況にあったと認識している。
こうした状況で、原則リオープンを行うことは、貴重な国内の投資家のリスクテイク能力を更に弱める可能性があるので、効果は期待できないし、業者にとってもプラスにはならないと考えている。
・引き続き反対の立場である。流動性の向上というメリットよりも、会計制度等を勘案した場合のデメリットの方が大きい。米国でのリオープンの対象は、10年債であれば四半期中の2回発行分であり、日本において四半期中の3回発行分をリオープンした場合、3回目まで入札が円滑に行われるか不安がある。現在は、時々の実勢を反映した銘柄が存在することが投資家の需要と合致しており、仮に原則リオープンとした場合には、投資家の需要が確実に減少し、業者のマーケットメイクに支障が生じるであろう。原則リオープンとはせず、実勢金利が既発債と同水準の場合に加え、特定銘柄のレポ市場が機能していない場合にもリオープンを行うという、現行のリオープンの柔軟化により、流動性低下の問題も解消できると考えている。
・実勢を反映したクーポンの銘柄を幅広く持つことが投資家のニーズであるため、原則リオープンには反対である。最終投資家の需要が減れば、レポ市場だけではなく、入札にも悪影響が及ぶのではないか。特に主要投資銘柄である5年債と10年債については、原則リオープンを適用しない方向で検討していただきたい。
・社内でも立場によって意見が異なっているが、個人的には、10年以上の年限は基本的に原則リオープンすべきと考えている。10年債、20年債については、今後は投資家による満期保有等のニーズが増えると見込まれ、そうした投資家にとっては、リオープンの有無は特に影響ないと考えている。従って、20年債を最優先に対応してはどうか。
確かに、5年以下のゾーンについては、米国でも2年債や5年債は単一銘柄で発行されている。我が国の場合、投資家の決算上の必要性もあるように聞いていることから、当面は、5年以下の国債の原則リオープンには慎重に対応すべきであるし、特に残存期間の短い2年債のリオープンの必要はないと思う。
(3)理財局からの説明事項〔参考配布:資料3〕
4理財局から、以下の事項について説明を行った。
○ Government Borrowers Forumの実施報告
5月13日(火)及び14日(水)の2日間にわたり、東京において財務省と世銀共催のGBFを開催した。GBF東京会合においては額賀財務大臣が基調講演を行い、篠原財務官、Kenneth Lay世銀副総裁が議長を務め、32ヶ国から99名が参加した。2日間を通して、資料にあるように様々な課題に関してセッションを行い、主要金融機関の幹部や各国国債管理当局の幹部が多数参加する等、本会合への関心の高さが伺われた。
○ 海外IRの実施状況
5月27日(火)から6月5日(木)にかけて、北米IRとしてボストン、グリニッジ、ニューヨーク、トロント、オタワ及びロサンゼルスの6都市を、中東IRとして6月17日(火)から6月22日(日)にかけて、ドバイ、アブダビ、クウェート、リヤド及びドーハの5都市を訪問し、日本国債についての説明会を開催するとともに個別に投資家を訪問し、説明を行った。
中東IRは2回目であるが、今回は宮下財務大臣政務官をヘッドとして実施した。先方からは物価連動債を含め関心が多く寄せられ、今後中東地域との関係を強化していくことの重要性も認識された。これが、先月の額賀大臣の中東訪問にもつながっている。
この度の北米IRにおいては、国債市場特別参加者のうち、大和証券SMBC株式会社、モルガン・スタンレー証券株式会社及びリーマン・ブラザーズ証券株式会社の協力を、中東IRにおいては、ゴールドマン・サックス証券株式会社、バークレイズ・キャピタル証券株式会社及び三菱UFJ証券株式会社の協力を得た。協力頂いた6社にこの場を借りて御礼申し上げる。
なお、これまでの海外IRでは幅広く「日本国債」の認知度を高めるため、多人数を対象とした「日本国債セミナー」を多く実施していた。これにより日本国債に対する各国投資家の理解度はより深化したと思われる。他方、投資家間でその理解度に格差が生じていることから、各投資家に応じたきめ細かい対応が必要となっている。
そこで、今後の海外IRは、従来のセミナー形式を中心としたものから、投資家との間で双方向の意見交換を行う個別投資家訪問(1on1)やスモールミーティング形式を中心としたものにしたいと思っている。各国投資家との繋がりを深めるに当たり、国債市場特別参加者の皆様には引き続き御協力をお願いすることになると思うが、よろしくお願い申し上げる。
また、2007年3月から2008年3月までの海外IRにおいて幹事を御担当していただいた会社には既に「海外投資家の国債投資動向についてのアンケート」を送付しているところだが、今般、理財局においては海外IRの効果を詳細に把握するために、このようなフォローアップ調査をすることとした。
(4)最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
4出席者から出された意見等の概要は以下の通り。
・足元では、3つのテーマが混在している。すなわち、景気はグローバルに下振れリスクが意識され、90年代以降の金融不況を知る国内投資家には、米国の金融問題に対する懸念が強い。この問題は金利低下要因になるが、一方でコモディティ市場への資金流入によるインフレ懸念が、金利上昇要因としても意識されている。年初から金融不安、インフレ懸念、景気減速というようにテーマがめまぐるしく移り変わる中、年度内は景気の下振れリスクが明確になってきた。米国の景気減速がグローバルに広がり始めている兆候が、この5~6月の日本の数字にも現れてきた。こうした状況下では日銀の利上げはないとの見方が浸透すれば、5年債や先物を中心に金利の低下余地がある。他方、原油価格や物価が一方向に上昇して需要に大幅に悪影響を及ぼすようなリスクは小さいのではないかと見ている。
・昨年来の動きを見ていると、昨年は2月にサブプライムローン問題があり、世界同時株安となったが、その後4~6月期はグローバルインフレ懸念で金利が上昇し、サブプライム関連商品が値崩れを起こした。今年もサブプライム問題から始まり、その後4~6月期はグローバルインフレ懸念で金利が上昇している。足元は、原油高等の悪影響や景気の減速を市場が意識しているという状況である。
現在の金融市場は、グローバルに人、物、カネ、情報が行き交い、様々な要素が絡み合うため、一つの材料が局面的に金利上昇要因にも低下要因にも捉えられるところがあり、その結果としてボラティリティが上昇しやすい。
従来、日本の債券市場は、欧米の債券市場からは独立した動きをしていると言われていたが、最近では国内金利の大部分が欧米の金利動向で説明がつくようになっている。そのため、今後は国内の経済、金融政策よりも、グローバルな経済動向、金利状況に日本の債券市場が振り回されるのではないかと考えている。
来年にかけて注目するのは米国の住宅市場がいつ底打ちをするのかということであるが、原油価格等の先行きに対しては不確実性が高く、なかなかシナリオを決め打ちできない中、国債市場についていえば、個人投資家を含め、幅広い投資家がいざという時に参加できるよう、インフラ整備を更に進めることが重要である。
・インフレと金融と景気の危うい均衡については、景気と金融の問題がインフレの問題を打ち消してしまうと考えている。
米国については金融市場、資産価格、実体経済の負の相乗作用が存在するが、不動産の問題に加えて、さらにガソリン高が自動車産業を直撃し、現在はITが新たな調整局面に入っている。おそらく米国の歴史を振り返ると、住宅とITと自動車が同時に下向いたということは過去になく、この調整はかなり深まっていくのではないかと思う。これまで投資銀行、証券会社といったブローカー業務に対する損失という問題であったが、足元では商業銀行にも影響が出てきている。商業銀行は家計との関係が非常に密接であり、減税効果が一巡した後はおそらく消費への打撃がかなり大きくなるのではと考えている。
新興国についても、特に資源を持たない東アジアの国については、インフレ退治のための金融引締めが、結果的に経済のオーバーキルという状態になっているので、景気については来年や再来年にかけてかなり厳しい状態が続くだろう。
景気と物価については胴体と尻尾の議論があるが、基本的には景気が胴体で、物価は尻尾と考えている。今後の国内の景気について、景気後退議論が高まってきているが、潜在成長率を大きく下回るような成長がもし数年続くのであれあれば、日銀は利下げに追い込まれるのではないか。
具体的には、金融政策面では今年の12月にも利下げが想定され、また、来年の3月にかけては、10年金利で1%近く低下すると予想される。一方、来年度にかけては、景気の低迷による税収の下振れや郵政民営化等の影響で、国債市場では春夏あたりから需給面からの金利上昇圧力が高まってくると思う。そのため、来年度の国債発行計画では、年限構成を大胆に見直すなど柔軟な対応が必要になるのではないか。
・本日の株式市場の下落を見ても分かる通り、漸く景気悪化を市場が認知したのではないかと見ている。国債市場は、イールドカーブを前から潰していくような状況になっており、この背景には利上げ観測後退による短期ゾーンのボラティリティの低下に加え、市場が景気の悪化ということを予め織り込んでいたともいえる。欧米市場においても短期ゾーンは今月になって落ち着いてきているため、国内金利の低下余地は残っていると考えている。
今後のポイントは年度後半に向けての景気循環の動きとグローバルインフレの余熱であり、そのバランスが焦点になる。金利はどちらかといえばボトムアウトの方向を再度試していくと考えている。景気の悪化については、基本的に深度はそれ程深くないと見ている。
また、インフレ率については年末にかけて一旦ピークアウトする可能性もあるが、企業の価格設定行動を見る限り、コストの運営の仕方が変化してきているようだ。したがって、インフレ率については高い水準が当面継続し、金利の先高期待が年度後半から来年度にかけて生じてくると考えている。
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Source: Ministry of Finance.